鋤鍬を 今は剣に もちかへて 国守るため 働く人よ
*戦争はまだ続いています。戦争を終わらすために、人間は努力していますが、戦況は暗くなるばかり。たくさんの人が死に、傷ついている。
国は攻撃され、破壊されている。そんな自分の国を守るために、たくさんの人が武器をとり、働いている。
この歌、最後の七を、「たたかふ人よ」にしようかと考えましたが、そうすると死が間近に迫ってくるような気がして、やめました。実際人々は戦っています。命をかけて、国のために、愛する人の幸福のために戦っている。すさまじくつらい。平和な時なら鋤や鍬をもって畑で働いているような人々が、武器を持って戦わねばならない。
人の命を取り合うような戦いに身を投じねばならない。
歌の最後が、呼びかけの形で終わっているのは、そのあとに、その心はどういうものだろう、その苦しさはどういうものだろう、という感慨を省略しています。みなまで言わず、呼びかけのかたちで断ち切ることで、余計に心の叫びが伝わる。
戦争というものは、殺し合いです。けれど戦わねば、国はもっとひどいことになる。自分が引き金を引く、その銃弾の一発の向こうで、死ぬ命がある。殺さねば自分たちが危ない。そんな地獄に自分を落としてまで、戦わねばならぬ人間の心とはどういうものだろう。
戦争は悲劇だ。早く終わって欲しい。人間が、人間の魂が、生き地獄に苦しんでいるさまを、これ以上見たくない。