ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

月毛の駒

2017-04-20 04:20:22 | 短歌






うたかたの 消ゆべきものと せし百合を 月毛の駒の 閉ぢし目に見る






*最近、枕詞の勉強ばかりしているようですね。「うたかた(泡沫)の」は「消ゆ」とか「憂き」にかかる枕詞です。うたかたというのは、知っていると思いますが、水面に浮かぶ泡のことです。はかないものや消えやすいものの譬えによく使われます。

「消ゆ」にかかる枕詞は、ほかにも「月草の」がありますね。「憂き」にかかるのは他に「葦の根の」があります。歌の感じによって使い分けるとよろしいでしょう。この歌の場合は、つきくさより、うたかたのほうが、ふさわしいように思います。

うたかたのように、消えていくべきものとした百合の花を、月毛の馬の、閉じた目の中に見る。

月毛は、古語では鴇毛とも言います。鴇の羽のような毛色という意味らしいが、見た限り、鴇色には見えない。とてもきれいなクリーム色です。月毛の駒は、月そのものを言い表す言葉としてもつかわれます。ですから歌の意味は明白でしょう。

百合の花は、その形と性質に似た愛を表します。百合のように清らかでおとなしい愛だという意味です。花は、人間の心を表現するのにとても便利だから、覚えておくとよいでしょう。暖かな愛を表現したいときは、蒲公英を使えばいいでしょう。天国のような愛を表現したいときは、桜を使えばいいでしょう。菫の愛はどんなものか、向日葵の愛はどんなものか。日ごろ、感性を開いて感じておくとよい。そうすれば、歌で愛を表現したいときに、何かと便利です。短い言葉で深い心を表現することができます。

あの人の愛は、確かに百合のように静かで清らかだった。あまり自己主張はしない。はかなげで凛としているが、それゆえにそれを見ると、人はたまらなく汚してしまいたいという欲求に駆られるときもある。

そういう気持ちに負けてしまい、おまえなど消えてしまえと、百合の花に言った。するとその愛は、月の閉じた目の中に隠れて行ったのです。もう永遠に出てこない。

阿呆が分かったときにはすべてが遅い。

今までに何度もこんな歌を歌ってきましたが、いろいろな歌い方がありますね。表現の仕方というか、人によってつかみ方が違うのが面白い。




葦の根の 憂きと消えゆく 白百合の 月毛の駒の 背にやすらへり     夢詩香




違ったもので詠い始めると、こういう感じにもできる。いろいろと応用してみてください。つかみ方を変えればまたおもしろいものが詠めます。意味が微妙に違ってくるのもおもしろい。

閉じた目の中に消えていくというより、こう詠めば、馬の背に乗せられてさらわれていくという感じがしますね。あなたがたには、どちらが胸に響くでしょうか。







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