・『奇跡』で 子どもたちはとにかく道を走る。
それも半端じゃなく真剣に。
「生きる」とは「死」への道程だ。道を辿る行為は、願いや欲望を超えて「世界」を開く。
奇跡とはまさに世界の開かれだ。彼らの叫んだ言葉は転がり、周辺を巻き込み、思いがけない巡り合わせを生み出す。
登場人物すべての成長物語である。
★★★★★(★5つで満点)
・『風の中の子供』は、小津や溝口も天才と認めた清水宏監督の映画 (1937年)。
本作でも、『奇跡』と同様に子供たちは走りまくる。
走る度に友だちの輪が広がっていくのが快い。
主人公兄弟の天性の明るさは、『奇跡』のそれと重なる。どちらも天才子役そのものだ。
親子の愛情の深さ、慎ましい家族の暮らしぶり、不穏な時代に抗うメッセージ性・・・。
切り返しショットを多用した斬新な映像が眩しい。
ここには本物の日本映画が凝縮されている。
★★★★★(★5つで満点)
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