マダム・クニコの映画解体新書

コピーライターが、現代思想とフェミニズムの視点で分析する、ひと味違う映画評。ネタバレ注意!

『奇跡』&『風の中の子供』

2011-07-05 | 映画短評
 
・『奇跡』で 子どもたちはとにかく道を走る。
 それも半端じゃなく真剣に。

 「生きる」とは「死」への道程だ。道を辿る行為は、願いや欲望を超えて「世界」を開く。
 奇跡とはまさに世界の開かれだ。彼らの叫んだ言葉は転がり、周辺を巻き込み、思いがけない巡り合わせを生み出す。
 登場人物すべての成長物語である。
★★★★★(★5つで満点)


・『風の中の子供』は、小津や溝口も天才と認めた清水宏監督の映画 (1937年)。
 本作でも、『奇跡』と同様に子供たちは走りまくる。
 走る度に友だちの輪が広がっていくのが快い。

 主人公兄弟の天性の明るさは、『奇跡』のそれと重なる。どちらも天才子役そのものだ。
 親子の愛情の深さ、慎ましい家族の暮らしぶり、不穏な時代に抗うメッセージ性・・・。
 切り返しショットを多用した斬新な映像が眩しい。 
 ここには本物の日本映画が凝縮されている。
★★★★★(★5つで満点)


トップページヘ


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。