チェインブレーカー及び関連領域の郵便史

ユーゴスラヴィア建国当時~1922年頃までの旧オーストリア・ハンガリー帝国地域のチェインブレーカーを中心とした郵便史

H. 郵便小切手

2008年06月25日 19時48分30秒 | 郵便料金
H. 郵便小切手
郵便小切手は、スロヴェニアのリュブリャナ郵政局管内で見られ、1922年初め頃まで実施されて消滅した制度であると言われています。なおその後、第二次世界大戦中のイタリア占領下で一時的に復活しています。
郵便小切手の発行はリュブリャナ郵政局により行なわれ、郵便小切手の受取人への支払いの際に配達料金が受取人から徴収され、不足切手で領収されました。
不足切手は、通常は郵便小切手の裏面に貼られて消印されました。しかし、稀に表側に貼られている場合もあります。
この制度は、ユーゴスラヴィア軍により占領されリュブリャナ郵政局管内に置かれたオーストリアのケルンテン州とシュタイヤーマルク州の鉄道路線Luttenberg-Spielfeld沿いの地域でも実施されました。


1.1918年9月1日~1919年6月30日まで
受取人により支払われる配達料金(不足切手により徴収)
10 Kronen以下 5 vinar
10 Kronenを越えて1000 Kronen以下 20 vinar
1000 Kronenを越えて1000 Kronen毎に 20 vinar


2. 1919年7月1日~
受取人により支払われる配達料金(不足切手により徴収)
10 Kronen以下 5 vinar
10 Kronenを越えて1000 Kronen以下 20 vinar
1000 Kronenを越えて1000 Kronen毎に 20 vinar

3a. 1919年9月/10月~
受取人により支払われる配達料金(不足切手により徴収)
金額によらず各取り扱いに 10 vinar

この時期の料金徴収の混乱に関しては、参考文献(1)でProf. Dr.-Ing. Klaus Wielandは次のように書いています:
『郵便小切手の受取人の支払うべき配達料金に関しては、部分的にはっきりしない点がある。時期(2)の細分化された料金は、1919年8月24日の命令No.35816/II-19により固定され、統一的に10 vinarに固定された(時期3a)。
しかしながら、1919年9月になってもなお、しばしば高い料金が誤って請求された。
これに関するこれ以外の告示は、1919年12月26日の命令No.60.169 IIa-19に再び、叱責無しに施行期日に関して述べられている。
それにもかかわらず、私は1920年1月にもなお、10 vinar不足切手の代わりに20 vinarの高すぎる料金が徴収された多くの郵便小切手を確認できた。
郵便小切手配達料金は、恐らく非常に頻繁に命令された額が徴収されなかったと思われる。1920年5月16日の後の最初の週と月では、低すぎる額の受取人が支払うべき配達料金が徴収された郵便小切手を持っている。』


4. 1920年5月16日~
受取人により支払われる配達料金(不足切手により徴収)
50 Dinar (200 Kronen)以下-----10 para (40 vinar)
50 Dinar (200 Kronen)を越えた場合-----20 para (80 vinar)


5. 1921年5月1日~1922年頃
受取人により支払われる配達料金(不足切手により徴収)
50 Dinar (200 Kronen)以下-----20 para (80 vinar)
50 Dinar (200 Kronen)を越えた場合-----50 para (2.00 Kronen)

参考文献
(1)Nachrichtenblatt der Arbeitsgemeinschaft Jugoslawien und Nachfolgestaaten 47/93, p.732-735 (1993)
Prof. Dr.-Ing. Klaus Wieland
Ausgewählte Postgebühren in Slowenien 1918 bis 1921
スロヴェニアにおける1918年~1921年までの郵便料金選集

(2)Nachrichtenblatt der Arbeitsgemeinschaft Jugoslawien und Nachfolgestaaten 64/98, p.1144-1147 (1998)
Prof. Dr.-Ing. Klaus Wieland
Ausgewählte Postgebühren im Königreich SHS 1918/19
SHS王国1918/1919の郵便料金選集

(3)Nachrichtenblatt der Arbeitsgemeinschaft Jugoslawien und Nachfolgestaaten 67/99, p.1206-1207 (1999)
Prof. Dr.-Ing. Klaus Wieland
Die Erhöhung der Postgebühren in Bosnien und der Herzegowina
ボスニア・ヘルツェゴビナにおける郵便料金の値上げ


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