ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

気仙沼の記憶を形にしようプロジェクト制作・発行 気仙沼の記憶 んだんだ

2015-09-22 21:16:09 | エッセイ

 このプロジェクトは、気仙沼出身の慶応大学大学院生の小野里海さんを中心とするもののようである。メンバーは、かんぺー、なっちゃん、さとみん、たかし氏、あやみさん、さっちゃん、たおるまんの7名、最後の方のページにかわいいイラスト付きで紹介されている。

 冒頭にはこんなことが書いてある。

 

 「こご、なんだっけなぁ」

 

 この一言から始まりました。

 

 あんなにすぐ側さあったのに忘れてしまった建物

 毎日通ってだのにわがんなくなった場所

 何十年も住んでんのに忘れてしまった景色

 

 そして

 景色が変わっと、そごさ住んでだ人のごどまで忘れてしまいそう…

 

 景色が変わってしかったがら、これからも景色は変わるから

 気仙沼の景色を、忘れだぐないあの日の思い出を

 もっともっと大切にしたいと思いました

 

 「過去を思い出せるきっかけ」

 

 そんな本を作りました

 

 と、「んだんだ」と心があったかくなるような本を作ったということ。

 写真集団「鼎」の皆さんはじめ、多くの皆さんの写真に、多くの皆さんのインタビューを組み合わせて、震災前の記憶を記録している。

 七福神の郷土芸能や、荒磯まつりなどイベントの様子、さり気ない街かど、漁師の歩く岸壁、唐桑の入り江、徳仙丈のつつじ…

 近所付き合いと題されたページは、ベンチのまんなかにおばあちゃん、向かって左に小さな子どもと父親、右には近所のおばちゃんが坐ってにこにこと笑っている写真。

 そこにキャプション。

 

お父さんだぢの船が帰ってくっと「魚まづっから」って言ってご近所に配んの

ボウルに魚入れて「父ちゃんの船入ったがら~これどぞ」って

そうすっと「まってらいん。まってらいん」って言われて

魚の入ってだボウルを洗って、その中に自分ちにある林檎どがを入れで

そういう近所付き合いがあったんだよね

 

 とまあ、そんなふうな懐かしい写真と言葉がいっぱいに詰め込まれた小さな本になっている。

 本のページをめくって、思い入れのある光景を見つけたひとは、涙ぐむ、そんなひともいるらしい。

 震災後、若いひとびとが、気仙沼のために、気仙沼の未来のためにさまざまな取り組みをすすめている。このプロジェクトもまたそのひとつ。頼もしく、有難いことである。

 ところで、この本は、本吉図書館の蔵書。そうそう、スタッフのあやみさんからこういう本を作ってますと話を聞いて、気仙沼の図書館(唐桑、本吉と気仙沼)の分、できれば5冊寄贈戴けませんか、とお願いしていただいたものの内の一冊。郷土資料ですが、これは貸出可能なもの。

 連休明けには返却しておきます。

 

 


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