ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

エッセイ「梅ちゃん先生」と「小商いのすすめ」

2012-08-30 20:14:08 | エッセイ
 NHKの連続ドラマ「梅ちゃん先生」だが、これは、平川克美氏の最近の本を参照しているのは間違いない。具体的には「小商いのすすめ」ミシマ社。舞台は、東京、大田区蒲田、町工場。ここまでの日本を支えてきたモノづくりの現場だ。卓越した技術力の日本の中小零細企業。
今日も、梅ちゃんの夫である町工場の若旦那が、セリフで「自分は工場を大きくするのを目標と言ってきたが、違和感があった。そうではなく、ここでしかできないものを作りたい。大量だったり安価だったりということを追求するのでなく、自分にしか作れないものを作ることによって、企業としての居場所を確保していきたい。」みたいなことを言っていた。
 梅ちゃんの兄は、自分で起業した貿易商だが、頑固な父親に、モノを作らず、右から左に動かすだけの商売はモノづくりの職人より落ちるみたいなことを言われている。親子の対立の構図を描くために。ただ、これは、恐らく、ドラマ的に、貿易商はダメという結論に導かれるのではなく、必要なモノを必要なひとに届ける重要な仕事、というふうに位置づけられるはずだが。
 日本のモノづくりは素晴らしいが、貿易は、商売は宜しくないとは結論付けられないはずだ。必要なモノを必要なひとに届けようとする限りにおいて、貿易、商業もまた大切な仕事出ることに間違いはない。
 梅ちゃん先生の医療についても、なんらかのタネ本があるはず。日本の医療問題にひとつの提案をさりげなく行おうとしている。先日も、独り暮らしなのか、おばあさんが虚言癖で、ながながと自分の人生をもの語るエピソードで、カウンセリングの重要性とか、さりげなく主張されている。
 そういえば、がんの老人が、在宅で死のうとするエピソードもあった。
 平川克美氏には「俺に似たひと」(医学書院)という本があって、そちらは僕は読んでいないのだが、高齢の父親の病気、そして介護のことを書いた本らしい。恐らくそちらも参考文献になっているはずだ。
 まあ、総じて、戦後の何もない時代から、高度成長期をくぐりぬけて行こうとするひとつのユートピアのような時代を描くドラマだ。明るく爽やかで希望が持てる。気持ちのいいドラマだ。
 そして、このドラマのポイントには平川克美氏の著作がある。

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