ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

岡本真 ふじたまさえ 図書館100連発  青弓社

2017-09-17 00:26:28 | エッセイ

 ARG=アカデミック・リソース・ガイド代表取締役と、同社ディレクターを務めるおふたりの共著。ARGの発行する、図書館に関する雑誌LRG=ライブラリー・リソース・ガイドの人気企画「図書館100連発」、トータルで400の本数の中から、100を厳選したもの。

 この百本のアイデアは、どれも優れたもので、しかし、すぐにでも取り組めるものである。

 冒頭で、岡本氏はどんなことを言っているか。

 

「本書には、図書館の運営で活用できるアイディアが、文字どおり100個詰まっています。その多くは、今日からでも始められる手軽なアイディアです。そして、それはいまも日本のどこかの図書館で実践されているものです。」(まえがき 13ページ)

 

 なるほど。

 このアイディアというのは、なんのためのものか。

 

「日本中の図書館には、図書館員のみなさんの不断の努力によって蓄積された膨大な量の学術資源があります。」(13ページ)

 

 岡本氏は「こうした学術資源が利用者である市民に適切に提供される環境を、図書館運営に携わる方々とともに考え」つづけるなかで、「約1500を超える図書館を視察し、図書館の今を見つめ」、「驚かされるようなアイディア」をたくさん発見された。

 

「日本中を駆け巡っていろんな図書館を見ていくと、こうした様々なアイディアとで会います。そして、実際に足を運んで気づいたことは、すべてがすばらしい図書館というのは一つもないということです。…同時に、どこにでもあるような「普通の図書館」に何も素晴らしいところがないということも、ありません。すべての図書館には必ず課題があり、きらりと光る独自のアイディアがあるのです。」(14ページ)

 

 図書館というものは、どこのどんな図書館であっても素晴らしい。どんな小さな図書館であっても、必ず素晴らしいところがある。

 それはそうなんだろうな、と、私も思う。

 で、具体的に、どんなアイディアが紹介されているかというと、それは、ここでは紹介しないことにしたい。実際に本に当たっていただきたい。

 岡本氏は、最後に、こんなことを発言されている。

 

「「100連発」が横展開して広まったことは狙いどおりでした。地域ごとに工夫を受け継ぎながら、チューニングしてハイレベルなものになってきているという印象をもっています。図書館をよくするのは、ハコの建て替えやシステムの更新などの大きな話ではなく、日々のチューニングこそが大事だという点を伝えられているのではないかと自負しています。」(121ページ)

 

 元の連載で、いいアイディアは、すぐに真似され、横に拡がって行ったのだと。ここでは、真似が決して悪いことではない。各館の実情に合わせながら取り入れ、チューンナップしていく。そういうことが日々行われているのだと。良きところは、どんどん真似するべきものなのだ。

 図書館界とは、そういうふうに情報流通の良い世界であるべきであり、現にそうなのであると思う。

 この本も、元の連載以上に、受け入れられ、100連発のアイディアがどんどん広まって行ってほしい。

 そして、さらに続編、続々編と続いていってほしいものである。


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