ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

気仙沼の内湾はいい天気

2024-01-07 23:31:15 | 詩誌霧笛137号(2021)以降
2024年お正月松の内
晴れた空にぽっこりと白い雲

日本海側の能登半島は雪かもしれない
ガザは晴れているかもしれない
ウクライナは吹雪の場所もあるかもしれない
東京やニューヨークは
晴れていようが吹雪だろうがとりあえずは気にしなくていい

1968年や1989年に僕たちには希望があった
2001年にようやく僕たちは何かに気づきはじめた

おそらく僕たちはまだ人間ではない

文明は進歩したかもしれないが
文化は進歩などしない
いやもちろん十代のころからそんなことは知っていた
2022から2023年に
あらためて
人間は進歩などしていないと思い知らされた
そして
2024年になって
追い打ちをかけられる
ぼくらは
何を学んできたのだろうか
13年前以来僕たちはさまざまなことを学んだはずだ
29年前の体験から重ねた蓄積はあったはずだ
だが細々とした対処法はデータ化しても
大きな知恵は
人間を大切にするこころは
置き去りにしてきたのではないか
自信なさげな薄ら笑いの奥底には人間らしい心情ががんじがらめに閉じ込められているのかもしれないとしても
人間を大切にするこころが
置き去りにされてきたのではないか
冷徹に数値化してグローバルな尺度に並べてしまう社会で

だれが正義で
だれが悪徳か
だれが正しくて
だれが間違っているのか
だれが冷徹で
だれが思いやりあるのか
だれが敵から守ってくれるのか
だれが味方なのか

僕たちは分け隔てられている
壁で囲い込まれている

おまえは敵だ!
おまえらは敵だ!
殺される前に殺す!
殺される前に殺せ!
殺されたのだから殺せ!
同胞が殺されたのだからやつらを殺せ!

いや
殺すな!殺すな!殺すな!
誰も殺すな!

生きよ!生きよ!
生きながらえよ!

僕たちは希望を語る
僕たちは希望を語らなければいけない
人間は死ぬまで生き延びなければならない
そして人間にならなければならない
おそらく僕たちはまだ人間ではない


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