森出じゅんのハワイ生活

ハワイ在住のライターが、日々のあれこれをつづります。

カメハメハ4世未亡人と選挙

2016年11月09日 | 歴史


昨日は恐ろしい1日でした…。家族で選挙に行き、「初の女性大統領がいよいよ誕生だね。今日は歴史的な日だね」と話していたのも束の間。大方の予想を裏切って、ドナルド・トランプが大勝利を収めたのは、皆さんご存知の通りです。

午後4時頃から始まった激戦州フロリダの開票速報を見ながら、我が家を含むヒラリー支持者は青ざめはじめ、そのほかの激戦州の結果を追いながら、だんだん言葉をなくし…。まさかのトランプ大統領誕生で涙を流す、そんな夜でした。ああ、オバマ大統領が勝利した8年前の夜と比べ、なんて悲しい涙だったのでしょう!

トランプ氏が大統領選出馬を決めた時には、皆が単に面白がっていただけなのに。それがついに実現してしまいました。確かにヒラリーは完璧な人ではないけれど、あのトランプに比べたら何ぼかマシでしょう。

今さら思えば、俳優だったレーガンが急にカリフォルニア州知事になって大統領にもなって。アーノルド・シュワルツネガーも州知事になって。アメリカって、よくも悪くも「何でもアリ」の国なのでしょうね。トランプの当選の可能性を、もっと本気で心配するべきでした…。

でも。今朝のニュースでは、オバマ大統領もヒラリー候補もトランプの勝利を受け入れる、それは立派なスピーチをしていて。いったん選挙で選ばれたからにはその結果を尊重する、それが民主主義というものなんだと教えられました。

ヒラリーは「トランプが次期大統領です。私達は心を開き、トランプが仕事をする機会をあげないといけない」、オバマは「トランプに協力して任務の引き継ぎがスムーズに行くよう協力する。トランプ氏の成功を応援する」と言っていました…。政治的な混乱を招いてはいけない、国民のためにも、ということですね。

潔いよいというか、ホント、これが民主主義ということなんですね…。私も2人を見習わなければなりません。

さてさて、話は飛躍して1870年代のハワイに戻りますが…。ハワイ王国ではその昔、君主を選ぶために2度の選挙が行われました。カメハメハ大王の孫であるカメハメハ5世が跡継ぎを指名せず亡くなり、高位の王族の中からルナリロ王が選ばれた時が一回目。そしてルナリロ王が亡くなってまた選挙があり、この時に選ばれたのがイオラニ宮殿を建てたカラカウア王でございます。

実は2回目の選挙の際は、昨日の大統領選挙のように潔くは行きませんでした。カラカウア王に敗れたエマ王妃―カメハメハ4世の未亡人―の支持者が暴動を起こし、死者まで出る騒ぎになったのです。

何でも暴徒が裁判所に押しかけ、裁判所の2階の窓から投げ飛ばされた男性が死亡したとか…! コワ~イ。エマ王妃はイギリス人を祖父に持つ美しい王妃で、よくフラソングの主題にもなっている女性なのですが、ここだけの話、私はあまり好きではアリマセン。

もちろん、選挙に敗れたからって暴動をけしかけたのがエマ王妃だとは思わないのですが。カラカウア王の妹で跡継ぎになったリリウオカラニ女王の自伝に、気になることが書いてあったのです。何とエマ王妃は瀕死の状態だった病床のカメハメハ5世を何度も見舞い、耳元で、私を次の君主に指名して頂戴、と囁いていたのですって…。こそこそ、何度も何度も。コワ~イ! 幸い、そのコソコソ願が聞き届けられることはありませんでしたが。

エマ王妃もヒラリー女史のように野心家だったよう。しかも、どちらも同じく夫が一度得た高位の地位に就きたい、という野望があったようですが。残念ながらエマ王妃は、ヒラリーのように潔い女性ではなかったようですネ。ここだけの話…。

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