で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2219回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』
剣と魔法の世界で、盗賊が仲間と巨悪から娘を取り戻す冒険に出るファンタジー・アクション・アドベンチャー。
世界的人気のTRPGの元祖である『ダンジョンズ&ドラゴンズ』を実写映画化。
主演は、クリス・パイン、ミシェル・ロドリゲス。
共演は、ヒュー・グラント、ジャスティス・スミス、ソフィア・リリス。
監督は、『モンスター上司』や『スパイダーマン:ホームカミング』の脚本でも知られる『お!バカんす家族』、『ゲームナイト』の、ジョナサン・ゴールドスタイン&ジョン・フランシス・デイリー。
物語。
剣と魔法の世界フォーゴトン・レルム。
盗賊のエドガンは、家族のために義賊となっていたが、生活は苦しかった。
時は流れ、すべてを失ったエドガンは相棒のホルガとともに極寒の刑務所にいた。
そこを出た二人は、かつての仲間、魔法使いの青年サイモンとペテン師のフォージを探す。
いつしか、あらゆる動物に変身する能力を持つドリックらと出会い、新たパーティを組みと巨悪と立ち向かうはめになる。
原案:クリス・マッケイ、マイケル・ジリオ
脚本:ジョナサン・ゴールドスタイン、ジョン・フランシス・デイリー、マイケル・ジリオ
出演。
クリス・パイン (エドガン/盗賊/元ハーパー)
ミシェル・ロドリゲス (ホルガ/戦士バーバリアン)
ジャスティス・スミス (サイモン/魔法使い)
ソフィア・リリス (ドリック/ドルイド・ザ・シェイプシフター)
ヒュー・グラント (フォージ/ペテン師)
デイジー・ヘッド (ソフィーナ/魔術師)
レゲ=ジャン・ペイジ (ゼンク/ハーパーの戦士)
イアン・ハンモア (ザス・タム/レッド・ウィザード)
クロエ・コールマン (キーラ/娘)
ジョージア・ランダーズ (ジア/妻)
ソフィア・ニール・ハントレイ (幼いキーラ)
スタッフ。
製作:ジェレミー・ラーチャム、ブライアン・ゴールドナー、ニック・マイヤー
製作総指揮:デニス・L・スチュワート、ジョン・フランシス・デイリー、ジョナサン・ゴールドスタイン、クリス・パイン、ゼヴ・フォアマン、グレッグ・ムーラディアン
撮影:バリー・ピーターソン
プロダクションデザイン:レイモンド・チャン
衣装デザイン:アマンダ・モンク
編集:ダン・レーベンタール
音楽:ローン・バルフェ
『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』を鑑賞。
剣と魔法の世界フォーゴトン・レルム、盗賊が仲間と娘を取り戻す冒険に出るファンタジー・アクション・アドベンチャー。
世界的人気のTRPGの元祖である『ダンジョンズ&ドラゴンズ』を実写映画化。
この映画と原作は関係ないとさえ言える感じですが、なんといってもTRPGの実写化なので。これはテーブルトークロールプレイングゲームのことで、ゲームシステムだけで、お話はゲームマスターがつくったり(シナリオ集が出ていたりします)して遊ぶ、本と紙とサイコロでやるアナログのゲームのことです。もちろん、これを基にした小説なども出ていて、近いもので知られているのは『ロードス島戦記』があります。なので、有名キャラやエピソードというのは無く、あくまでも世界観だけが存在するということになります。(その世界観もアレンジ可能で、現代に来たりすることも出来ちゃいます)
世界的に有名で、『E.T.』の冒頭で遊んでいるのがこれです。他にも、トム・ハンクス初主演映画が、これ絡みの実際の事件を元にした小説を映画化した『トム・ハンクスの大迷宮』(原題は『Mazes and Monsters』)』なんてのも。
今作は、それ発売しているハスブロの商品原作映画シリーズの一本です。これを見て『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のイメージをしやすくして、遊んでねというとこですかね。他には、『トランスフォーマー』、『GIジョー』、『バービー』などがあります。
だから、ゲームの映画化と言っても、ちょっと違うんですね。そもそも物語づくりも楽しむゲームなので。といって、そのTRPGの外の部分を取り入れたわけではないです。なので、あれをやってないからダメということでいえば、一回は地下迷宮と竜が出て、剣と魔法で戦うということぐらい。でも、今作のつくり手は、いくつか、このゲームならでの要素を入れており、それが、知ってると、「ああこれは『ダンジョンズ&ドラゴンズ』だと思わせることに成功しているのです。
前置きが長くなりました。
さて、なので、今作はシンプルな剣と魔法の世界をこのゲームならではの要素で、作劇しています。
それは、あまり選ばない職業のプレイヤーを選ぶヤツがいるというところです。今作の主人公は元義賊の盗賊という一般庶民で、魔法が仕えるわけでも県が強いわけでもなく、他にも家柄はいいけど半人前の魔法使いとか、ペテン師が仲間にいたりする。いわゆるファンタジーでは活躍しないキャラクタをゲームだからと選ぶ人がまぁけっこういるんです。おいらは『ダンジョンズ&ドラゴンズ』は数度やっただけですが、『ウィザードリーTRPG』とか『ガープス』、『ソードワールド』などいくつかのテーブルトークRPGをやっていましたが、メインは道化魔法使いという職を選んでました。(そういう意味では『勇者ヨシヒコ』のメレブもTRPG的なキャラと言えます)
敵の道具を奪ったり、魔法を本来と違う使い方するのもその要素だったりします。
その変なキャラをまるで自身がプレイヤーをやってるかのように楽しんで演じているのが、クリス・パイン、ミシェル・ロドリゲス、ジャスティス・スミス、『 IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』のベバリー役のソフィア・リリス。それに加えて、最近この手の役が多くなったヒュー・グラントが、もう生き生きと演じてくれています。
つまり、ゲームなので、人間性がかなり出るのがいいんです。で、逆に妙に清廉潔白で記号っぽいキャラが出てくるのもよくある話。これも上手く取り入れています。
他にも、どこかで見たものの引用とかね。ゲームマスターはあくまで物語づくりの素人ですから、すぐパクるというのもあるあるなのです。今作はそれをちょっとだけ入れ、スパイスにしています。
もう一つこのTRPGならではの要素があり、それが今作はうまいんですよ。
監督は、『スパイダーマン:ホームカミング』の脚本でも知られる『お!バカんす家族』のジョナサン・ゴールドスタイン&ジョン・フランシス・デイリーのコンビで、共同脚本を手掛けています。
シナリオの軽みがいいのよね。このゲームを楽しんでいたんじゃないかな(共同脚本マイケル・ジリオがかもしれませんが)と思わせてくれる、絶妙な入れ方がたまらんの。
もしかしたら、いったん『ダンジョンズ&ドラゴンズ』を、このキャラと設定でやってみて、シナリオ描いたのかも。
さて、最後のそのタマラン要素とは、確率ギリギリのアイディアを実行するところ。突拍子もないアイディアをサイコロので目で成功(大成功のクリティカル!の感じ)に出来るのがこのゲームの醍醐味の一つで、魔法でそれをカバーしたりするのが楽しいのです。今作は、序盤からこれをうまく取り入れてきて、その奇抜なアイディアを失敗せるところが、今作がいわゆるファンタジー世界の実写化ではなく『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の実写化だと思わせてくれるところなのです。この失敗(大失敗のファンブル感!)の要素がちゃんとコメディと障害になっているのがうまいし、楽しいのよ。
しかも、どっちかしか選べないという条件の入れ方も上手いのよね。
つまりは、脇役と人間味と選択と決断と実行と失敗の物語になっているのです。
今作は、まさに、どこが面白いかをつかんだつくり手たちの選択の決断が失敗せずに、実行された結果というわけです。
原作ファンだけがわかる要素が初見者の邪魔にならないし、初見でも楽しめる映画化として、頂点の一本と言えるでしょう。
新しい用語もある程度は説明してくれますから。
あと、もう一つ、TRPGならではの要素もあるんで、そこはTRPG好きなら気づいて、ニヤニヤしてください。
あー、重い作品を見た後は、こういうのでバランスとりたいよね。
もうね、見たすぐ後に、続編を期待しちゃう。
この手の軽いファンタジーが好きなら、見て得しかない岩作。
おまけ。
原題は、『DUNGEONS & DRAGONS: HONOR AMONG THIEVES』。
『地下迷宮と竜たち/盗賊たちの名誉』。
2023年の作品。
製作国:アメリカ
上映時間:134分
映倫:G
配給:東和ピクチャーズ
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』は、2000年に一度映画化されている(邦題は、『ダンジョン&ドラゴン』)。しかも三部作。
ややネタバレ。
ハスブロ商品映画には、『バトルシップ』、『マスターズ/超空の覇者』(マスターズ・オブ・ユニバース)、『呪い襲い殺す』(ウィジャボード)もある。
ネタバレ。
もう一つの要素は、説明。
ゲームマスターがどういう状況で吸って、説明するのがこのゲームのお約束で、まさに説明しようというシーンが何度ある。
ある意味、偽家族(パーティ)ロードムービーで『おバカんす家族』と同じ作劇なのよね。
そこに、『ゲームナイト』の謎解き感を加えた感じ。
それで、この監督コンビが起用されたんだろうなぁ。
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』は1974年発売され、『D&D』と略される。
ベースの世界観はあるので、国や色々な名詞は決まっている。
今作は、1967年に始まった『フォーゴットン・レルムズ』キャンペーンの設定を基にしているそう。
モルデンカイネンは、有名キャラの一つ。
ハーパー(ハーパーズ)も、『D&D』に出てくる正義の秘密結社。
オウルベア、ミミック、ゼラチナス・キューブも有名モンスター。
『D&D』と制作会社が同じで世界的に有名なトレーディングカードゲーム(TCG)『マジック・ザ・ギャザリング』も映画化が動いています。
ハスブロはその会社の親会社。
デブドラゴンは、まさかデブゴンヘのオマージュ?