で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1121回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ジョン・ウィック チャプター2』
前作で、妻のために引退したもの、妻を亡くし、生気を失くしていたものの妻の愛犬を殺され、復讐の鬼と化した伝説の殺し屋をキアヌ・リーヴスが演じ、世界的大ヒットとなったクライム・アクションの第二章。
ロシアン・マフィアを返り討ちにした主人公ジョン・ウィックが、今度は因縁深きイタリアン・マフィアを敵に回しての壮絶な戦いを、スケールアップしたアクションと濃いキャラ満載で描き出す。
監督は引き続きチャド・スタエルスキ。
前回のノー・クレジットだった共同監督のデヴィッド・リーチは製作総指揮で参加。
物語。
ロシアン・マフィア相手に壮絶な復讐を成し遂げた引退していた伝説の殺し屋ジョン・ウィック。
あれから五日後、ウィックは、ロシアン・マフィアの幹部の秘密工場から愛車を取り戻そうとしていた。
再び平穏な生活に戻ろうとしていた彼のもとに、裏社会の血の掟であるウィックとの誓印を持って、友人のイタリアン・ギャング “カモッラ”のアメリカの支部であるダントニオ一家の副ボスであるサンティーノ・ダントニオから、とんでもない殺しの依頼が舞い込む。
ウィックは引退を理由に断るものの、サンティーノから誓印の掟を破ったことの制裁を受け、家を爆破されてしまう。
妻の思い出のつまった家を爆破され、ウィックは復讐心に駆られたが、裏社会の聖域コンチネンタルの友人ウィンストンに相談する。
彼に「血の掟である誓印は絶対で、サンティーノに理がある」と言われ、仕方なく、ウィックは、サンティーノの依頼を引き受けることになる。
それは、ダントニオ一家のボスとなった姉ジアナ・ダントニオの暗殺だった。
キャラクター創造と脚本は、引き続きデレク・コルスタッド。
出演。
キアヌ・リーヴスが、伝説の殺し屋ジョン・ウィック。
キャラクター化させる存在感は、ハリソン・フォードかキアヌ・リーヴスっていう感じです。
それは、あの輪郭、特に顎の力だよね。あの顎に髭で鬼に金棒。
さらに訓練を重ねて、アクションばりばりです。
イアン・マクシェーンが、コンチネンタルの支配人のウィンストン。
ランス・レディックが、コンチネンタル・NYのマネージャーのシャロン。
リッカルド・スカマルチョが、イタリアン・ギャング “カモッラ”のNY支部の“ダントニオ一家の”副ボスのサンティーノ・ダントニオ。
クラウディア・ジェリーニが、ダントニオ一家のボスで、サンティーノの姉のジアナ・ダントニオ。
コモンが、ジアナの護衛のカシアン。
ルビー・ローズが、ダントニオ一家の護衛部長のアレス。
人間関係の見せ方が素晴らしいのです。
フランコ・ネロが、イタリア(ローマ)のコンチネンタルの支配人のジュリアス。
ピーター・セラフィノウィッツが、ソムリエ
ルカ・モスカが、仕立屋。
ローレンス・フィッシュバーンが、バワリー・キング。
トビアス・シーガルが、部下のアール。
トーマス・サドスキーが、ジミー。
デヴィッド・パトリック・ケリーが、チャーリー。
ピーター・ストーメアが、アブラム。
ジョン・レグイザモが、整備士のオーレリオ。
ブリジット・モイナハンが、亡くなった妻のヘレン。
Midori Nakamuraさんという女優が、クレジットされているが、役名がSeamstressでお針子なので、仕立て屋でコインを受け取り、スーツに銃を撃つ彼女かな? 彼女は、『いけない!ルナ先生 アイドルって最高!!篇』で葉月ルナ先生役をやっていた手島緑のようです。
スタッフ。
製作が、ベイジル・イヴァニク、エリカ・リー。
製作総指揮が、ジェフ・ワックスマン、ロバート・ベルナッキ、デヴィッド・リーチ、ケヴィン・フレイクス、ヴィシャル・ルングタ。
撮影は、ダン・ローストセン。
ギレルモ・デル・トロの推薦で、抜擢。
淡い光と極彩色の光、影の映像が素晴らしい。
珍しく、美しい映像のバトルアクションになっており、『グランドマスター』の影や『HERO』とは違ったラテン的な美しい画面でアクションを堪能できる。
プロダクションデザインが、ケヴィン・カヴァナー。
衣装デザインが、ルカ・モスカ。
編集は、エヴァン・シフ。
音楽は、タイラー・ベイツ、ジョエル・J・リチャード。
音楽監修は、ジョン・フーリアン。
旧知のギャングから来た依頼を断ったことから裏社会の掟に囚われる愛犬家の引退した殺し屋を描くアクションオペラ第二章。
低予算の前作から、生身のリアル・アクションと戯画的な裏社会描写がパワーアップ。ガン・フーとカー・フーには凄みも。
キアヌ・リーヴスのアイコン化してしまう特性の真骨頂。
葉で根を語る脚本のセンスに惚れ惚れ。
極彩色の闇を写すダン・ローストセンの美麗映像に陶酔。
例えるなら一筋の流れ星のような、背中で泣く美学にバカ痺れる充作。
おまけ。
原題は、『JOHN WICK: CHAPTER 2』。
まさに、第二章です。
てことは、前作が第一章です。
上映時間は、122分。
製作国は、アメリカ。
映倫は、R15+。
胸と頭のダブルタップ、銃の予備、マグチェンジ、弾倉補充、まず撃つ、敵の銃を奪うなど、多くのアクション映画で捨ててきたプロの動きを徹底的にやっているのは同じことの繰り返しとととらえるのは知識と目の差。この美しさは他の映画で滅多に見られない芸術品。
チャド・スタエルスキの次回作として、『John Wick: Chapter 3』と『ハイランダー』のリブートがアナウンスされている。
デヴィッド・リーチはシャーリーズ・セロン主演で期待の新作『アトミック・ブロンド』で監督を手がけ、『デッドプール』の続編の監督に抜擢されている。
デレク・コルスタッドは、キューバ・グッディングJrとドルフ・ラングレン主演の『ASSASSIN -アサシン- 』でも、伝説の殺し屋対決を書いてます。『John Wick: Chapter 3』も手掛ける予定ですが、裏社会ホテルのコンチネンタルを描くTVシリーズ『The Continental』もアナウンスされている。あのソムリエや仕立て屋などの特殊な殺し屋サービスが描かれるようです。
ややネタバレ。
シリアスな『キングスマン』の楽しみ。あちらが続編で英国→米国したように、こちらは米国→伊太利と胸像のようになっているのも興味深い。個人商店スパイでコメディ的なあちらと違って、こちらは裏社会の殺し屋御用達でシリアス味なのが逆に笑いを増幅している。
しかも、どちらも家(本部)を破壊されて、というのもシンクロニシティよね。
『ジョン・ウィック』の最初の脚本は、ジョンの年齢は60代だった。
でも、キアヌ・リーヴスに決まって、どうやら40代後半の設定になったようだ。
『アジョシ』でも元は60代の太めのおっさんの設定だったが、30代のシュッとした男に変更になった。
初老設定の戦士系の役が主役の戦闘で、その感じに近いのが見れるのは、『おじいちゃんはデブゴン』の軍人のサモ・ハン(64歳)、『めぐり逢ったが運のつき』の殺し屋のジャン・ロシュフォール(62歳)、『許されざる者』のアウトローのクリント・イーストウッド(61歳)、『ブラッド・ファーザー』のアウトローのメル・ギブソン(60歳)、『イギリスから来た男』のギャングのテレンス・スタンプ(59歳)、『ポリス・ストーリー/レジェンド』の刑事のジャッキー・チェン(59歳)、『トゥルー・グリット』の賞金稼ぎのジェフ・ブリッジス(58歳)、『96時間』シリーズのエージェントのリーアム・ニーソン(54~59歳)などがあります。
あと、忘れちゃいけないのは、『RED』シリーズですね。
ウィックのアクションが時折、重めに見えるのは、引退して遅くなった、という表現でしょう。
それでも、強いのは全盛期がどれほど強かったのか、を逆に伝えてくれます。
アクションはだいたい、バレエタイプ、人間を表現するタイプ、技術を見せるタイプ、リアルタイプに別れます。
『ジョン・ウィック』のよいところは、技術を見せつつ、リアルなアクションで、人間を表現しつつ、堂々とバレエも入れてしまう配合のバランスなのです。
普通のドラマしか見ていないエラい評論家風には、それが分からんのです。
ネタバレ。
組織図と流れ。
主席連合(ローマが本部らしい)という裏社会の一大組織と、それに寄り添う形の巨大組織のコンチネンタルがある。主席連合の12名の主席にイタリアン・ギャング “カモッラ”、ンドランゲタ、マフィア、ダントニオがいる。
ダントニオ一家は、どうやらカモーラのNY支部。ダントニオ一家の父が死に、姉ジアナがボス、弟サンティーノが副ボスになった。
アコーニは、サンティーノの就任にも顔を出していたので、カモーラの人間なのかも。(ジアナが下手に出ていたし)
バワリー・キングのホームレス組織は、二つとは違う独立した組織。バワリー・キングが作ったのか引き継いだのかは不明。
コンチネンタルも世界中にある巨大組織。イタリア(ローマだけ?)の首長はジュリアス。パンフレットによると、ウィンストンはコンチネンタル代表と書かれている。
コンチネンタル・ローマには、仕立て屋、武器ソムリエ、地図屋のサービスがある。
整備士のオーレリオがどこに所属か不明(コンチネンタル・ニューヨークの整備部か?)
ウィンストンは、ウィックに目をかけていた(いつからの知り合いかは不明)ようで、友人関係。
ジョン・ウィックは、現役時代はダントニオ一家の仕事も多かったようで、姉弟とは浅からぬ仲で、引退するために必要な何か(誓印を結ぶことではないみたい。金と何か?)をサンティーノと誓印を結ぶことで手に入れた。
ジアナとは、深い仲だった可能性がある。(カシアンはそれに嫉妬していた?)
ジョン・ウィックがいた頃からの古参の護衛がカシアンで、アレスは新顔らしい。
ジョン・ウィクが現役の頃、バワリー・キングはウィックに首を切られ、選択肢を与えられ、反撃しなかったことで、一命を取り留めた。そのことで、箔がついたようでコンチネンタルとは違うホームレス組織の長にまでのし上がった。
コンチネンタルの掟は2つ、1,コンチネンタルで血を流すな、2,誓印を守る。この内の1を破ったことで、ウィックは狙われることになる。
しかし、誓印はどこの掟になるのか? 主席連合の上部組織があるのだろうか? それとも、コンチネンタルの掟で、それをダントニオが利用したのか?
第二章が、第一章の五日後からでしたから、第三章はエンディングの一時間後からか、それとも数日後から始まるか。
第三章、製作発表はされていますが、いつとはまだ出てないのです。
やきもき。