女ひとり、歳をとる。

お金なしの60代、犬2匹と同居中。

どう生き、どう死ぬのか。

2022-06-22 21:47:59 | 映画

 

きのう『PLAN 75』を観ました。

いつも、洋画しか見ないのですが、前に観た『ツユクサ』があまり好みでなく、

やっぱり邦画は観るのはよそうと思っていました。

でも、『PLAN 75』の老人の生死問題は67歳のわたしにとって、

邦画といえど他人事でない気持ちが強くて足を運びました。

 

そう遠くない未来の日本は少子高齢化が一層進んで、

超高齢化社会になっていました。

老人にはいろいろなことの社会保障に税金が使われ、

それを不満に思っている若者たちが、

老人たちを殺害する事件が全国で頻発していました。

そんなとき、「プラン75」が国会で可決され、

満75歳になると個人で生死の選択できるというものでした。

 

ひとり暮らしの78歳の角谷ミチは、ホテルの客室清掃員として働いていました。

職場の同じ年代の女性たちとは、ときどき外でもカラオケなどで会っていました。

それはミチにとって、小さな励み、そしてささやかな楽しみ。

仕事のペアだった女性が作業中倒れ、そのことが原因で70代後半の4人が解雇されます。

その後連絡が取れなくなったペアだった女性は自宅で亡くなっていました。

収入がなくなったミチは仕事探しに奔走しますが、

高齢のミチを雇う会社はどこにもありませんでした。

今の住まいも立ち退かねばならず、アパートを探しますが、

ひとり暮らしの高齢者には住む家さえもどこにもなく、

深い絶望の中で、プラン75の申し込みをするミチ。

ミチのその日は一刻一刻と迫ってきます。

 

もっと辛く、暗く、悲しい映画だと思っていました。

でも、これは命の尊厳を考え、人間の情愛にあふれた映画だと感じました。

ミチを演じた倍賞千恵子さんの演技力は見ごたえがあり、

役所のプラン75の担当のヒロム役の磯村勇斗さん、

プラン75コールセンターのミチ担当の瑤子役の河合優実さん、

プラン75関連施設で遺品整理係マリア役のステファニー・アリアンさん、

俳優さんたちのしっとりした演技は心に深く入って来ました。

 

そして、なによりも、全てのシーンが急がずに、ゆったりとしていて、

制作側の意図を押し付けない感じがしました。

台詞も多くなくて、こちらが思い、感じ、考えることが必要でした。

それはきっと監督の早川千絵さんの手法なのでしょうね。

映画館でもう一度観たいと思いました。

そして、邦画、悪くないとも思いました。

 

ポスター画像

 

 


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