きのう『二トラム』を観ました。
オーストラリア・タスマニア島で起こった無差別銃乱射、
35人が死亡し、15人が負傷した事件を映画化しています。
小さなころから二トラムという蔑称で呼ばれていたマーティンの、
情緒不安定な日常を淡々と描いています。
二トラムはマーティンのアルファベットを逆読みしたもの。
毎日住宅街の中にある自宅で花火をあげるマーティン。
隣家からは怒りの罵声が毎日あびせられます。
そんなマーティンに両親は半ば諦め気味、
興奮すると大声を上げて暴れるので、抗うつ剤の投与が続いていました。
通院に付き添っていた母親は、
主治医から投薬はマーティンのためか自分のためかと聞かれます。
少しためらってマーティンのためと答えます。
でも、家族なら毎日毎日何かの問題を起こす息子を、
少しでも静かにさせておきたいと思う気持ちは当たり前だと思います。
マーティンは芝刈りのバイトで出会ったお金持ちのヘレンと暮らし始めます。
周りから変人扱いされていたマーティンを、
母親ほど年上のヘレンは彼女なりのやさしさで接します。
それは恋人ではなくて、母、親友、仲間と言った感覚でしょうか。
いつも口うるさく厳しい母、そんな母には頭が上がらない父。
血のつながった家族よりも、ヘレンはつながっていたのかもしれません。
家にも、バーにも、ビーチにも、どこにも自分の場所がなかったマーティン。
小さいころ父親からもらったエアガンを撃ち始めます。
次第に上達して的はほぼ的中。
ヘレンの死の後、何十丁銃を買い求め、
そしてマーティンはすべての銃を持って出かけます。
なんだかとても重い映画でしたが、
マーティンを演じたケイレブ・ランドリー・ジョーンズのすごさ、
上質の映画を観たという気持ちが強い映画でした。
でも、次は明るくて楽しい映画を観たいと思います。