きのう『ジョーンの秘密』を観ました。
子供たちも巣立って、夫を亡くしたひとり暮らしのジョーン・スタンリーは、
突然やってきたイギリスの保安局に逮捕されます。
第二次世界大戦時、
ソ連にイギリスの核開発の機密情報を流したスパイ容疑でした。
でも、スパイのイメージにはほど遠い、隣の家のおばあさんって感じです。
その取り調べの様子と、
50年以上前のジョーンがケンブリッチ大学で物理学の学生だった頃や、
核兵器開発機関の秘書として働き始めた頃、
現在と過去が交錯しながらストリーは進んでいきます。
ジョーンはロシア系ユダヤ人の友人から誘われて参加した共産主義の集会で、
友人の従兄を紹介され恋に落ちます。
彼はソ連のスパイ、原爆開発の情報を手に入れようと、
ジョーンにすり寄りますが、
共産主義には加担できないときっぱりと断ります。
その後、彼は自室で自殺、KGBが関与していたのか・・・。
映画館のニュースで、広島に原爆の投下映像を見たジョーン、
大きな衝撃を受けた3日後、
ラジオで長崎の原爆投下のニュースを聞き、心が乱れます。
ソ連に情報を渡せば、世界の核の脅威の均衡は保たれる、
その思いが大きくなり、人々を救いたいと、ソ連に情報を流し始めます。
大学時代に知り合った友人もまたソ連のスパイでした。
取調室では、次々にスパイ行為が明らかになり、
同席していた弁護士の息子は、
戸惑い、怒り、不信をジョーンにぶつけます。
裁判では弁護はしないと言われ、自殺を考えるジョーン。
でも、結局自殺をとどまって家から再び連行されますが、
家の前にはたくさんの報道陣と野次馬が押しかけていました。
いくつもの罵声が浴びせられる中、弁護をしていないと言っていた息子が、
ジョーンの隣で手を握っていました。
確固たるイデオロギーを持ってスパイ活動する人ばかりが、
スパイではないとテレビ番組で聞いたことがありました。
ジョーンはまさにそのタイプでしょうか。
たまたま有用な情報を知るポジションにいて、
信頼した人や友人、愛した人が、
外堀を埋めて普通の人をスパイに仕立てていく。
境目がよく分からなくなって、客観的でなくなる。
自分だったらどうするのだろう・・・。
実話に基づいた作品だけに、一層怖さが増した気がしました。
おもしろく見ごたえがありましたが、ちょっと心に圧がかかりました。
次はもう少し軽めの楽しい映画を観たいと思います。