映画は家で観ています。
『グリーンブック』が放送され、じっくりと3回観ました。
グリーンブックは元々黒人の人種差別が激しかったころ、
自動車で旅行する黒人のために、黒人専用のホテルやガソリンスタンド、
その他の黒人が使える施設の案内が書かれた旅行ガイドブックのことです。
余談ですが、わたしが初めて沖縄に行ったとき、
白人専用ビーチの記載があった地図にはとてもびっくりしました。
ロードショウでも観ましたが、
そのときはいい映画だな・・・くらいの感想でした。
大好きな『ボヘミアン・ラプソディー』を押して、
アカデミー賞の作品賞を獲得したので、ちょっと不満でした。
でも、今回、観る回数を重ねていくたびに、
これこそ作品賞にふさわしい映画だと思うようになりました。
ストーリーは、1960年代、天才と言われた黒人ピアニストのドクターが、
人種差別の色濃く残るアメリカ南部へ演奏ツアーへ出る話です。
運転手兼用心棒のイタリア系のトニーと一緒に、
各地を回りながら、少しずつ心を通わせていきます。
トニーはドクターの仕事をするまで、
修理で自宅に来た黒人たちが使ったグラスを、
ゴミ箱に捨ててしまうほど嫌がっていました。
当時としては、トニーの住んでいたニューヨークでさえ、
当たり前のことだったかもしれません。
ツアー中は、そんなトニーが驚くような、
露骨で冷たい差別が次々と続きます、当たり前のように。
あまり教養のないトニーに、初めのうちドクターは、
手を焼きながら対応していました。
でも、トニーは包容力があり、いつも前向きで、
問題解決能力にとてもたけていました。
ドクターはトニーとは正反対の性格。
教養があり、几帳面で、そして、生まれてから今までの差別を感じ、
孤独な心を鎧で隠すように暮らしていました。
トニーはドクターのすばらしい演奏ぶりに惹かれ、
持ち前のおおらかさで、ドクターのよ鎧を1枚ずつ剥がしていき、
その孤独さにも心を寄せるようになります。
そして、南部のツアー中に出会った上流階級の人たちの、
差別と冷たさに怒りを感じ始めます。
ドクターは、粗野なトニーの妻への手紙を、
女心を撫でるような内容にリライト、やさしい人でもあるんです。
自らあえて南部ツアーを企画したドクター。
才能だけではどうしようもできない世の中に、
勇気を持って立ち向かっていきます。
劇中、台詞も素晴らしかったのですが、
あえて困難立ち向かう勇気、苦手なものを受け入れる寛容さ、
その一場面一場面の、
ドクターとトニーの表情の見事さに感動しました。
1度観ただけでは分からなかった表情の細やかさを、
はっきりと感じ取ることができました。
この映画をもう1度見てよかったと思いました。
腰の痛みは忘れていました💦