行政書士・社会保険労務士 大原事務所

人生も多分半ばを過ぎて始めた士業。ボチボチ、そのくせドタバタ毎日が過ぎていく。

先日、ジャンヌモローが死んだ

2017-09-19 19:03:42 | 日記・エッセイ・コラム

 自分の歳を考えれば当然だが、ファンだった役者、監督、作家がポツリ、ポツリと死んでいく。

 若い頃、映画が好きだった。でも時間はあるが金はなく、何でも見るという訳にはいかなかった。それはせいぜいアメリカンニューシネマ以降のアメリカ映画が中心。色々観たが、イージーライダーのあの衝撃的な終わり方には驚いた。

 フランス映画は数える程しか見ていない。好みの問題だから許して欲しいが、アランドロンもカトリーヌドヌーブもどこが良いのか、と思っていた。

 ジャンヌモローを初めてみたのは「死刑台のエレベーター」。ジャズが好きでたまに聞いていたマイルスデイビスのトランペットのテーマ音楽を先に好きになって、そこからの興味で映画を見た。大学時代、何処かの名画座の深夜上映だったような気がする。その後TVでも何度か見たし、随分あとになって、レンタルビデオでも見た。生意気にもフランス映画もいいのがあるなあと思った。

 恋人と共謀して夫を殺す。完全犯罪と思えたのに、逃げようとした恋人は、ちょっとした手違いでエレベーターに閉じ込められてしまう。目論見が次々と破綻していく。

 最後の場面。刑事は一見無関係と思える二人の関係を証明する証拠が欲しい。男が持っていたカメラを見つけ、フィルムを現像する。女は暗室で自分を追っている刑事と二人、現像液のトレーを見つめている。夫を殺した恋人と自分が一緒に映っている画像が印画紙に浮かび上がってくる。楽しそうに笑顔で抱き合っている写真が何枚も。ジャンヌモロー演じる女の顔から全ての表情が消える。愛おしそうに写真を撫でる指先がアップになる。このシーンが見たくて、ビデオを借りてきた時は最後の5分程を繰り返し見た。

 始めてみた時、二十歳前の私はジャンヌモローを美人だとは思わなかった。すこし唇の厚い冷たい感じのおばさん。こういう顔の女がフランスではスターになるのかと思った程度。でも、何回も見ているうちに、だんだんその顔が魅力的に思えるようになった。

とびっきりの美人は案外魅力に乏しいと思う。そういえば誰とは言わないが、私の好きな女優に美女といわれる人はいない。