前にも書いたと思うが、自営業者になってから雪は好きだ。朝起きて雪が降っていると何か開放感がある。すべてを雪のせいにしてサボれるような気がする。
必ず今日でなければ駄目という仕事などめったにない。よって、他の日に伸ばせるものは全て延ばす。
(だって雪だから仕方ないだろう)と自分に言い訳する。そして後ろめたさを追いやるように、堂々と戸外の雪をみながらコーヒーをすする。
ところで息子は真冬の恰好で勤めに出て行った。まあ、雪の屋外で働く訳では無いのだからまだいいだろうが、通勤が大変だろう。
大学の時、新聞配達をやった。まだあるのかどうか知らないが、新聞奨学生という奴だ。詳しい話はまたいずれにして、何と言っても一番嫌だったのが雪の朝の配達だった。寒い中を雪の無い車の轍をたどって無理矢理自転車を漕いで行く。すぐに身体は汗をかく程暑くなる。カッパを脱ぎたくなる。そのくせ指先は新聞が掴めないほど凍えて痛い。自転車のスタンドを立てようとするつま先はジーンとして、すでに感触がない。
(将来、どんな仕事に就こうとも、雪の日は外へ出なくていい仕事をしよう)と思った。