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モバライダー mobarider

火星の雪は “ドライアイスの霧”?

2012年06月25日 | 火星の探査
真冬に火星の両極で降る雪の話

なんと、1つの結晶が赤血球ほどの大きさしかないことが分かったんですねー

NASAの火星探査機“マーズ・フェニックス・ランダー”の過去のデータから、季節が夏から秋に変わるころに火星の北極付近に降雪があったことが分かっています。

この時期は気温が比較的高かったため、降った氷の結晶は水でできていたようです。

でも、冬になり気温が摂氏マイナス125度に低下すると、
火星の大気中の二酸化炭素が凍るんですよねー
そして、ドライアイスの雲を作り、雲は南北両極から中緯度の地域まで達することになります。

二酸化炭素の雪については、これまで火星の極地付近で冬を過ごした着陸機がないので、
マサチューセッツ工科大学の研究チームは軌道上から調べることにしました。

NASAの軌道周回機が収集した15年分のデータを分析したんですねー

火星探査機“マーズ・リコナイサンス・オービター”が収集したデータをもとに、
二酸化炭素の雪を降らせる雲が作られる“気温”と“気圧”の条件を満たす場所を予測。




火星探査機“マーズ・グローバル・サーベイヤー”が収集した重力データから、
両極地における季節ごとの二酸化炭素の雪の堆積量を推定。

重力データなのは、毎年冬には雪や霜が積もって質量がふえるため、火星の重力場はわずかに変化するからなんですねー

 探査機のデータからは雪雲が反射する光の量も分かるため、雲の密度も特定。

これらのデータを組み合わせることで、雲に含まれる雪粒子の数と大きさを突き止ることができました。

南極付近では二酸化炭素の雪粒子の大きさは4~13ミクロン、大気密度がかなり高い北極でも8~22ミクロンでした。
人の赤血球の平均サイズが6~8ミクロンなので、かなり小さいことが分かります。
このことから、火星の降雪は霧に近いものだと予想されるんですねー

地球では雪の結晶を含む降水粒子は、チリなどの大気中の微粒子を核として周囲に作られます。
でも、火星の二酸化炭素の雪粒子は、チリ粒子を取り込まなくても大気中から作られる可能性があるんですねー

火星の雪の大きさと組成は、雪の結晶が太陽光のどの波長を吸収・反射するかにも影響します。

太陽エネルギーは、火星の気候の原動力となっているます。
雪粒子のサイズ(の範囲)を詳しく調べることは、これを火星はどの程度吸収しているか知る手掛かりとなるんですねー

なので、火星に降る雪の大きさを知ることは、
火星大気の全体的特性を理解するうえで非常に役立つ可能性があります。