宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

ブラックホールや超新星への理解が深まるかも  X線天文衛星“NuSTAR”

2012年06月19日 | 宇宙 space
ブラックホールや、超新星の残骸などから高エネルギーX線を観測するため、NASAのX線天文衛星“NuSTAR”が打ち上げられました。

13日に“NuSTAR”を搭載したペガサスXLロケットは航空機からを投下され、

13分後には“NuSTAR”を切り離し軌道へ
これから1週間のうちに10mの伸展マストを広げ、23日後に観測オペレーションが始まる予定です。





軌道上での“NuSTAR”のイメージ



現在、運用されているX線天文衛星には、
“チャンドラX線天文衛星”や“XMMニュートンX線観測衛星”があります。

それぞれ低エネルギーX線を放射する天体は鮮明にとらえるのですが、高エネルギーX線に焦点を合わせることは技術的に難しいんですよねー

いっぽう“NuSTAR”はX線の中でも高エネルギーX線を検出することができます。
ブラックホールや中性子星などの天体を従来の天文衛星よりも100倍の感度と10倍の解像度でとらえることができるんですねー

なので寿命の尽きた恒星が崩壊する中、どのようにブラックホールが形成されるのか
周囲のチリやガス、惑星や恒星を吸い込みどのように成長していくのか
っといったブラックホールについての理解が深まると期待されています。

また、恒星の爆発が「どのようにして銀河や恒星や惑星、さらには生命の素材を宇宙にまき散らすのか」っという謎の解明に役立つようです。

非常に重い恒星が核の水素を使い尽くすと、しだいに原子が融合して重い元素に変わっていきます。
こうして寿命が尽きた星は最終的に崩壊し、爆発して超新星となります。

このとき酸素や炭素、鉄などの元素が宇宙にまき散らされることになるんですねー

“NuSTAR”は、このような爆発で最初に作られる放射性原子核から出る高エネルギーX線を捕らえることができます。

超新星の爆発の後には、強力な磁場を持つマグネター(帯磁星)や、高速で回転するパルサーなどが残ることがあります。
こうした極めて高密度の各種中性子星についてのデータも集めます。

“NuSTAR”の高エネルギーX線観測と、既に稼動している“フェルミガンマ線宇宙望遠鏡”、“チャンドラX線観測衛星”、“ハッブル宇宙望遠鏡”、“スッピツァー宇宙望遠鏡”が連携すれば、大型ミッションの成果も期待できるはずです (^^