朝読書~臨床瑣談

2008-11-18 10:08:14 | Weblog
「朝読書」と言っても、中高生の朝の読書運動ではありませんよ。
学生時代に千葉敦子の本を読んでいた時、「朝、目覚めると前夜に読んだ本の続きを読む…」というくだりがあり、朝の忙しい時間に本を読む時間がもてるのかと感心した記憶があります。家を出るまでは家事全般を母親に依存する生活でしたから(それでも生保レディをしていた時期や祖母の介護等での不在時があり、私は小4から一通りの家事をさせられていました)、朝は登校まで自分のことであたふたバタバタするばかり、時間に余裕ができても新聞に目を通すのがやっとで、とても読書なんて…と思っていました。それが変わったのがここ数年。気が付けば、夫が不在の時は枕元に3~4冊の本を重ね、寝る前・夜半に目覚めた時・朝…その時の気分に任せて本を選び読むようになっていました。要するに、読み出したら読み終えるまで一気呵成…という体力・気力が衰えて、ぼちぼち読み進められるようになったということですね。布団の中での読書は誘眠効果があるらしく、夫の在宅時はこれができないために寝付きが悪くていけません。
それはともかく…。昨夜はチェスタトン「木曜日だった男」を読みはじめたところ、即座に就寝モードでしたが、これはどうも話の世界に入り切れていなかったからのようで、今朝は4時半に目覚めてから「臨床瑣談」(中井久夫/みすず書房)に変更。中井久夫の著書は「治療文化論」(岩波書店)が始まりですからかれこれ20年近い付き合いになりますが、それ以前にも岩波書店の季刊誌「へるめす」でいくつかの文を読んでいますから、それまで含めると…夫よりも長い付き合いですなぁ。付かず離れず、というより著作集も含めてかなり深く依存した時期もありました。ただ、ギリシア詩関係の訳本に見向きもしないのは、やはり詩歌コンプレックスのなせるところでしょう。
さて、この本は「みすず」誌の不定期連載をまとめたものですが、著者まえがきによると、丸山ワクチンについての反響が多数あり、出版社としてはこれに応対しきれなくなったための見切り出版(そこまでは書いていませんが、ニュアンスとしてはそんなものでしょう)といった形のようです。そのためか、従来の著書と比べると文の密度がやや低いと申しますか、吟味が足りなかったような気がしないではありません。しかし、内容はきわめて今日的かつ実戦的。一見、あまり関心が集まりそうもない話題(1.虹の色と精神疾患分類のこと)でも、従来の精神疾患ばかりではなく他の領域へも広く応用できそうですし、2.院内感染に対する患者自衛策や3.昏睡からのサルヴェージ作業については、当事者にとってはワラをも掴む思いで読むのではないでしょうか。
早朝読書ゆえ、ここまで読んで残念ながら時間切れ。後半(4.ガンを持つ友人知人への私的助言、5.SSM、通称丸山ワクチンについての私見、6.軽症ウィルス性脳炎について)はまた後日のお楽しみ…。とまれ、これで1800円プラス消費税はお値打ち品です。奥付によると二ヵ月間で第三刷まで出さていますから、中井久夫の知名度を考慮してもかなり早いペースで売れている証拠。医療現場で働く人々や医療行政に携わる人々に読んでもらいたい本ですね。

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