宮代NOW(出来事編)

埼玉県宮代町及び周辺のもろもろ情報

救急車利用の3つの条件を提唱 東埼玉総合病院「公開医療講演」 宮代町で開催

2010年06月12日 19時56分43秒 | 宮代ニュース
「大病院でも助けられない命を、地域のチームワークで助けたい」。地域医療に取り組む東埼玉総合病院(埼玉県杉戸町清地2-2-11、高井孝二・院長)は12日、宮代町の進修館で「第7回公開医療講演」を開催した。



この講演の中で中野智紀医師は、救急車の乱用が医療現場の疲弊を生み、助かる命が助からなくなること、救急コストの増大が地方財政を圧迫していることなどさまざまな弊害を引き起こしているとして、地域医療を支えるために住民が出来ることとして、救急車を要請するときの3つのポイントを提唱した。



3つのポイントとは
●入院が必要なほどの症状であること
●命に関わる症状であること(意識がない、けいれん、麻痺、激しい(ハンマーで叩かれたような)頭痛・胸痛・腹痛、息が苦しいなど)
●自分だけでは移動できないとき



埼玉県は人口10万人あたりの医師の数が全国一少ない。宮代町や杉戸町、久喜市など埼玉県東北部の6市3町の「利根保健医療圏」は埼玉県の中でも医師の数が少ない状況である。

このため、東埼玉総合病院など利根保健医療圏の病院や診療所など医療機関では、高齢化の進展に対応できる地域完結型の医療体制を構築しようと各種の検討が進められている。

こうした中で、この7月からは、利根保健医療圏の病院や診療所がオンラインのVPNネットワークを構築し、診療情報をデータベース化する新しい医療ネットワーク作りがスタートする。



こうした、医療側の動きを知ってもらうと共に、住民としても出来ることを検討実施してもらい住民・行政・医療機関などが一体となった地域医療体制の構築を進めるため、医療機関と住民が情報を共有する一助として「公開医療講演」が開催されている。



今回で7回目を数える東埼玉総合病院主催の「公開医療講演」は13日、宮代町の進修館で行われ約80名ほどが聴講に訪れ、各講師の話に熱心に耳を傾けていた。



第1部は「栄養よろず話」と題して同病院栄養科の志村祐子・管理栄養士が、塩分を減らす具体的な方法。



第2部は「急病時にはどうする?救急車?」と題して同病院中野智紀・医師が地域医療体制構築への取り組みと実情とともに患者として急病時にどう対処すべきか。



第3部は「狭心症について」と題して、同病院循環器科の福田良昭・医師が、最近の狭心症の診療技術など--の各講演が行われた。



第2部はこれまで、地域医療に関する絵本の朗読が行れてきたが、今回からは、第二段階として、住民としてより良い地域医療体制に協力・参加し、医療機関と一緒に育てて行けるかを具体的に考えていくシーリーズとした。

その第1回は、急病になったときの救急車の利用について。

「待たされたくない」「すぐ診て欲しい」「どこの病院に行けばいいのかわからない」「救急車は無料だから」という論外な理由での救急車利用や軽い怪我や風邪などの軽い病気で救急車を要請する件数が多く、搬送された患者の50.8%が軽症で救急車を使う必要のない状況である。

救急車の乱用とも言うべき利用の弊害がさまざまなところに出てきており、こうした利用を是正するため、徳島赤十字のように、入院の必要がない軽症の人が夜間や休日に救急受診したときは、保険診療費とは別に3150円を徴収するなどの動きも出始めている。

こうした中で、中野医師は「救急車を使うかどうか見分ける3つのポイント」を提唱したもの。