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発酵食品「納豆」に多く含まれるビタミンKの功罪、そしてナットウキナーゼの話題などなど

2020年02月16日 | 正しい栄養学

発酵食品「納豆」に多く含まれるビタミンKの功罪、そしてナットウキナーゼの話題などなど
2020.2.16 最新更新)

 先日(12月15日)「酵素は誇大広告、でも発酵生成物は体にいい」と題して記事にしました。その中で、納豆については一例として品名を上げただけでしたから、本稿で少し詳しく説明したいと思います。
 岐阜で生まれ育った小生が子供の頃は、納豆といえば甘納豆のことで、糸引き納豆なるものの存在を知ったのは、中学か高校のときだったことでしょう。でも、当地ではそうした食文化は全くなく、見たこともありませんでした。納豆とは、糸を引く煮豆の発酵物で、関東では朝食のおかずの定番になっている、という知識があっただけです。
 その納豆なるものを小生が最初に口にしたのは、上京して大学の寮で朝食に出されたときです。大豆の煮物かと思いきや、箸を付けると糸を引く。“ああ、これが関東で言うところの納豆というものか。” そのまま一口。 “まずー! こんなもん食えんわ。”
 すると、隣に座っていたのが関東の出身者であろう、“醤油とカラシを入れてかき混ぜるのだ。”と教えられ、そうしたところ何とか食べられましたが、“こんな臭くてまずいものを関東の連中は毎朝よくも食べているものだ。”と感心させられました。
 今ではこの納豆は小生の好物になっていますが、刻みネギをたっぷり入れないことにはうまくないですし、できることなら鶉の卵を1個落とし込みたいものです。そして、時折変化を付けるために、たまにはシラス干しなり青海苔をたっぷり加えたいです。
 また、かき混ぜるのも面倒ですし、糸引きが煩わしいものになりますから、大根おろしがあればそれを少し加えます。これで糸は引かなくなり、臭いも弱まり、食べやすくなりますから、納豆嫌いの方におすすめの方法です。

 さて、納豆が体にいいと言われて久しいです。
 
「納豆を食べると骨が丈夫になる」と言います。これは、納豆にビタミンKが多く含まれ、造骨に必須の補酵素として働くから、そう言われるのでしょうが、足りていればスムーズに造骨は進み、ビタミンKを多く摂ったからといって造骨が増進するものではありません。
 ちなみに、納豆に含まれるビタミンKはダントツに多く、グラム当たりで比較すると、これを多く含む青物野菜である春菊、小松菜、ホウレンソウの2、3倍になっています。
 でも、通常の食生活であればビタミンKは充足しており、あえて納豆を毎日食べて補給するまでの必要性はありません。
(2010.2.16挿入追記)
 ここで上記(ビタミンKは足りている)を訂正します。ビタミンKはK1とK2からなり、摂取量はK1が圧倒的に多く、体内でK1→K2変換され、腸内細菌もK2を作ってくれるとされていますが、現実には「菜種油など数種類の植物性油脂によりビタミンK2の働きが阻害される」ことにより、ビタミンK2不足になっています。
 ビタミンK2不足は骨づくりに支障が生ずるのみならず、動脈の石灰化(動脈硬化)、インスリンの出を悪くし、またインスリンの活性を落とす、肺の組織をがん化させる、など様々な障害を引き起こすのです。
 よって、積極的なビタミンK2の補給、つまり納豆を頻繁に食べることがたいへん重要なこととなります。これについては下記ページで書きました。
 発酵食品「納豆」は日本人の救世主(ビタミンK2-オステオカルシン・リンクからの考察) 
(挿入追記ここまで)
 なお、大豆にはカルシウムが多いから骨が丈夫になるとも言いますが、これはピント外れです。そもそもカルシウムは通常の食で十分事足りている(厚労省が言っていることは間違い)のですし、骨に関してミネラルを持ち出すのであれば、不足しがちなマグネシウムの方が重要です。その点、大豆にはマグネシウムも十分含まれていますから、骨へのミネラル補給としては理想的でしょう。
 参考までに、骨を丈夫にするのはミネラルではなく、たんぱく質のコラーゲンです。
 骨は鉄筋コンクリートに例えられ、鉄筋に相当するのがコラーゲン、コンクリートに相当するのがミネラル(カルシウム、マグネシウム、リン)ですからね。コンクリートだけだと硬くて折れやすいですが、鉄筋が十分に入れば、しなうようになって簡単には折れません。
 そこで、コラーゲンの生成が重要なものになり、その点、大豆はたんぱく質が多いですから、コラーゲン生成の原料に事欠かないことになります。
 こうしたことを総合的に勘案すると、「納豆を食べると骨が丈夫になる」と言えますが、どちらかというと「大豆を食べると骨が丈夫になる」でしょうね。

 ここで、ビタミンKに関して補足しておきましょう。
 「ビタミンKを摂りすぎると血液が固まってしまう」と言って、脳梗塞や心筋梗塞が心配な方は納豆を食べるのを控えておられることが多いです。
 そのように指導されるお医者さんや栄養士さんもあります。でも、これは間違い。
 もし、これが正しいようであれば、春菊、小松菜、ホウレンソウといった青物野菜も食べてはいけないことになります。でも、そうした指導は聞いたことがありません。
 間違いの発生源は、ワルファリン(商品名の一つがワーファリン)の投与です。
 血液が固まりやすくなっては血管が詰まってしまう恐れがあるという重大な疾患を持っている方にワルファリンが投与されます。なお、これの長期投与は問題がありそうです。なんせワルファリンは殺鼠剤の主要成分でネズミを殺す毒薬ですから、人体に良いわけがありません。
 ビタミンKは血液凝固因子を作るための補酵素として働き、出血を防いでくれます。その働きを阻害するのがワルファリンですから、ビタミンKが大量に摂取されると、ワルファリンのビタミンK阻害効果が減少してしまうのです。ですから、ワルファリンを効かせるには、体内のビタミンKが少ないほうがよく、これを多く含む納豆を食うな、ということになるのです。併せて青物野菜も控えなさい、というのが正しい指導でしょうね。
 でも、ワルファリンの投与を受けていない方には無関係です。造骨の場合と同様に、ビタミンKが多くても血液凝固因子がたくさん作られるということにはならないからです。
 人体には生体維持機能がちゃんと働いていて、適正な造骨なり適正な血液凝固がなされるよう、うまくバランスされているのです。ただし、そのバランスが保てないほどにビタミンKが不足したときには、破骨が進み、血液が凝固しにくくなるというだけのことです。
(2019.12.20挿入追記)
 「ワルファリンは殺鼠剤の主要成分でネズミを殺す毒薬ですから、人体に良いわけがありません。」と上に書きましたが、人体においては、ワルファリンは「ビタミンK2-オステオカルシン・リンクを阻害」し、糖尿病などを発症させる危険性があることが判明しています。つまり、ビタミンK2の働きを阻害するというものです。
 詳細については、次の記事の中で解説しています。
 水素添加植物油脂はトランス型脂肪酸以外の毒物により食用に不適です
(挿入追記ここまで)

 今度は真逆の話を紹介しましょう。
 「納豆を食べると血液がサラサラになり、血栓を溶かす」というものです。
 これは動物実験で確かめられ、さも正しいように言われていますが、これも間違い。
 たしかに、納豆菌が吐き出す酵素「ナットウキナーゼ」を実験動物に静脈注射すると、血液をサラサラにし、血栓を溶かすという効果が生ずるようです。これと類似したものにウロキナーゼがあり、これは医療現場で人に対して静脈注射の方法で使われています。
 もし、ナットウキナーゼにウロキナーゼ以上の効果があれば、ウロキナーゼに代わって医療現場で使われることになりますが、いまだ使われていませんから、どれほどの効果があるのかは疑問です。
 さて、ナットウキナーゼを経口摂取した場合、つまり納豆を食べたときにどうなるかというと、ナットウキナーゼはたんぱく質ですから、まず強い酸性を示す胃酸で変性し、その機能を失う恐れがあります。次に、胃や腸で分泌されるたんぱく質消化酵素によって分解される恐れもあります。ウロキナーゼはこうして分解されてしまうことが分かっていますから、経口摂取ではなく静脈注射するのです。
 さらに、それらを免れたとしても、たんぱく質がどうやって腸壁をすり抜けられるかです。腸壁が荒れていれば、これはアレルギー体質の方がそうですが、その一部はすり抜けます(これがアレルゲンになり、アレルギー反応を起こす)が、大半がすり抜けるなんてことはとても考えられません。
 現実には、ウロキナーゼと同様に胃酸でかなりやられてしまうのではないでしょうか。
 ですから、「納豆を食べると、ナットウキナーゼで血液がサラサラになり、血栓を溶かす」というのはインチキです。
 血液サラサラは容易に血流実験できることでして、梅肉エキスなどについては経口摂取で実証済みですから、納豆でやってみて、その結果を公表していただきたいものです。
 なお、その類の実験が一部で公表されており、どれだけかの効果があるように思われるものの、梅肉エキスの足元にも及びつかない感がしますし、どうせ実験をするなら、被験者の血中のナットウキナーゼ濃度を測定し、その濃度と血液サラサラ度合いの違いを見せてほしいものです。

 ここまで納豆について悪口ばかりを紹介してきましたが、良いこともたくさんあります。
 まず、
「納豆食う人 色白美人」と言われます。
 たしかに納豆にはビタミンB1(疲労回復)、ビタミンB2(皮膚の健全化)が多く含まれますが、これで直接的に色白になるものではありません。
 またまた悪口で始まってしまいましたが、
これは総合的な食生活の違いによるもの、として考えれば、随分と遠回りになりますが、そのとおりだということになりましょう。
 特に朝食で大きな違いが出てきます。納豆を食べない人は、たいていは食パン、マーガリン、ハム、牛乳といった洋食になり、これらは体に悪いものばかりです。それに比べて納豆を食べる人は、納豆に良く合うご飯に味噌汁と漬物という和食になり、これらは体にいいものばかりで、そうした方は昼食や夕食も和食が多くなる傾向にありますからね。
 やはり日本人は日本人に合った食生活の毎日でなきゃ色白にはなれません。食生活を洋風にして動物性食品を多食すれば、まずは腸内環境が悪くなって毒素が発生しますし、高タンパク食は全身の細胞に知らず知らず炎症を起こしてしまうなど、体に悪いことばかりで、結果的に肌がどす黒くなりますからね。

 次に「納豆は天然の酵素食」というのがあります。納豆菌が吐き出すナットウキナーゼはじめ各種消化酵素など様々な酵素がたっぷり入っているというものです。
 しかし、ここでもまた悪口で始まってしまいますが、酵素自体は先に説明したナットウキナーゼと同様に、口に入れれば胃酸や消化酵素で、多くは変性し、分解されてしまい、摂取した酵素が人の体の中でそのまま働いてくれることは期待できそうにありません。
 肝腎なのは、先日、発酵食品に関して記事にしましたとおり、発酵によって生産された発酵生成物の数々です。様々な栄養素の中で人の体が一番に求め、かつ、体に最もやさしいのが発酵生成物であるからです。
 そして、発酵生成物は、麹菌(酵母菌)が主体となる味噌、乳酸菌など発酵細菌が主体として加わる漬物、発酵細菌の1種ではあるものの一風変わった枯草菌である納豆菌が主体となる納豆、と大きく3分類されましょう。
 よって、発酵生成物も、発酵にかかわる菌種によって、どれだけか違ったものになり、特定の菌でしか作れないものも数多くできることでしょう。
 こうしたことを鑑みると、納豆には様々な発酵生成物がけっこう含まれている上に、納豆にしかない発酵生成物もどれだけかは含まれていると思われます。
 発酵生成物については未解明な部分が多いですから、何とも言えない面がありますが、異なった種類の発酵食品を幅広く毎日摂取するのが、人の体に一番いいことであり、また、最も体にやさしいものであることは、はっきり言えます。

 こうしたことから、日本人の1日の食生活は、先ほど述べましたように、先ずは納豆を乗せたご飯、味噌汁、漬物の朝食から始め、ここでまたまた悪口になりますが、1日3食は体を害しますから朝食はお預けにして、これをお昼に軽く食べ、夕食は例えば塩辛を乗せたご飯、味噌鍋、キムチといった発酵食品をふんだんに取り入れたメニューで食卓を飾っていただきたいものです。そして、デザートとして少量ならかまいませんからヨーグルトを食べるのもいいでしょうね。
 なお、これでは塩分過多になると心配される向きもありましょうが、これも前に「減塩は大間違い!塩味を楽しんでイキイキ元気!」の記事で申しましたとおり、塩分は塩味を楽しむ程度に摂って全く支障はないですし、逆に減塩は体を壊しかねません。どの程度に塩分を摂っていいかの基準は、食後に喉が渇いてお茶を飲みたくなる、これは塩分過多、これを目安にしていただければいいです。
 1日1食生活の小生、晩酌が終ったら、仕上げは、納豆に塩辛とキムチを加えてかき混ぜ、これを熱々のご飯に乗せて食べる、これにはまっています。
 もっとも、毎日これが食べられることはなく、今は、お歳暮でいただいた大量の佃煮を片付けるしかなくて、食後にお茶が飲みたくなることがないような程度に抑え、ご飯のおかずに
少量ずつの佃煮と漬物で我慢しています。

 ところで、漢方では、冬は腎の季節。腎は精気を養い、塩を欲す。
 また、温冷食品表では、塩は強い温。
 よって、特に冬場は塩分を気にすることなく、日本古来の発酵食品、佃煮、そして梅干をお召し上がりください。
 1日1食の小生ではありますが、精気を養い、体を温めんがために、朝は1粒の梅干しを白湯でいただくようにしております。
 なお、梅干はクエン酸を多く含んでおり、エネルギー回路を円滑に回してくれる効果に優れ、鎌倉武士が出陣に当たっての兵糧(梅干以外は食べず)でした。
 小生の朝食抜き・1粒の梅干は、鎌倉武士に倣ったものでして、これによって一日活動的に動き回ることができるようになりました。
 皆さんにもぜひおすすめしたい「朝は、朝食抜き・1粒の梅干」の食生活です。
 参考までに、朝食を抜いたほうがいいことは、「朝食有害論の歴史的推移」で詳述していますので、よろしかったらご覧ください。   


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ナットーキナーゼや消化酵素について (カピバラ)
2013-12-27 10:13:06
はじめまして。
私は今、腸の原因不明の病気で消化が出来ず、消化酵素の薬を飲んでいます。

たんぱく質は消化酵素を作り出すと聞いたのですが、今は納豆が消化が出来ず食べられません。

ナットーキナーゼのサプリメントを飲むと消化酵素は生成されるのですか?

さらに、かなりの便秘に悩んでおり、ソルティーフレッシュとゆう、便が出る方法も試しました。

方法は生理食塩水を一リットル飲む方法なのですが、生理食塩水は消化酵素を流したり、善玉菌も殺すのですか?
返信する
カピバラ様へ (薬屋のおやじ)
2013-12-27 17:21:27
消化ができない難病を患っておられるとは、お気の毒です。
ご質問に可能な限りお答えさせていただきます。

「たんぱく質は消化酵素を作り出す」
間違いではありませんが、消化酵素を作り出す仕組みは複雑にからみ合っていて、たんぱく質はその1原料に過ぎないと考えてよいでしょうから、意識的に「たんぱく質を摂らねば」と考える必要はありません。
納豆は、まだ発酵していない大豆の方が圧倒的に多いですし、完全に噛み砕くのが難しいですから、消化に悪いと言えましょう。

「ナットウキナーゼ」のサプリ
これを飲んだからといって、食べ物の消化が進むとは考えにくいです。たぶん、胃酸で変性し、効力を失うと思われますし、ヒトの消化酵素の代用になるとは思われません。

「生理食塩水を1リットル」
お茶やコーヒーの変わりに喉を癒す程度のことで、これといった効果は期待できないと思われます。なお、消化酵素との関連はないですし、善玉菌にも影響はありません。

「便秘症」
胃腸で消化が難しい体質とあれば、未消化のたんぱく質、脂肪、炭水化物が大腸に多く入り込みますから、便秘症になるのは必然です。お医者さんから整腸剤が処方されていると思いますが、それで効果がなければビオフェルミンなど市販薬を足されるといいでしょう。

さて、病状を改善するにはどうしたものか?
お医者さんで消化酵素が処方されているようですから、それがどれだけかの助けになりましょうが、大した力にはならないと思われます。

1 消化しやすい食品を選ぶ
肉はダメ。白身の魚を少々。たんぱく質の補給は神経質になる必要はありません。穀類・豆類に十分含まれています。
油脂を使った料理を控えることも重要です。できれば、脂「断」です。
減塩はダメ。消化力を落としますし、内蔵諸器官の働きを落とします。塩味を楽しむ程度に塩は摂ってください。

2 消化は口で
健常者であっても1口30回噛めと言います。消化器系の病気は100回噛めとも言われています。
あなたの場合は100回噛みが要求されましょう。口の中でどろどろになるまで噛むことです。
便秘解消には第1に食物繊維ですから、野菜を多く摂り、野菜がどろどろになるまで噛むことです。

3 消化器官を休ませる1日2食
朝食を抜くに限ります。これで、内臓諸器官が随分と休まり、消化能力のアップも期待できます。

4 1日断食
1日2食に慣れたら、1日断食を定期的(週1回)に取り組むことです。1日2食の場合以上に内臓諸器官を休ませることができます。

なお、1日2食、断食については、いきなり行うと体を害する恐れがありますので、このブログのサイドバー・カテゴリー「朝食抜き・断食で健康」の記事を参考にして、慎重に取り組んでください。
寒くなってきました。下腹部にシャツの上から「貼るかいろ」を毎日使い、内臓を温めてあげてください。そして、お風呂は温めで30分程度は漬かってください。
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