効き目がどんどん強くなったスイッチOTCの頭痛薬、副作用が怖いです
33年前(1985年)までは、頭痛薬といえば、バファリンかノーシンでした。前者はアスピリン(アセチルサリチル酸)、後者はアセトアミノフェンが鎮痛効果を発揮します。
偏頭痛なら、これを飲んで静かな明るくない所で安静にしていれば頭痛は和らぎます。
緊張型頭痛であれば、これを飲んで首や肩の筋肉のこりを取って血行を良くしてやれば改善します。
その当時の医療現場では、こうした市販薬ではあまり効果がない頭痛に対してイブプロフェンが使われていて、これの副作用がさほどのことはないとの理由から(本当は別の理由ですが)、1985年から薬局・薬店の店頭にも並ぶようになりました。医療用薬から一般用医薬品にスイッチした、いわゆるスイッチOTC薬です。一番有名なのがエスエス製薬のイブで、大正製薬のナロンエースもそうです。
イブプロフェンは、アスピリンやアセトアミノフェンより効き目が強く、これが大きく広まっていきました。
しかし、イブプロフェンであっても頑固な頭痛には効きません。
そうしたところ、2011年には、新たにスイッチOTC薬としてロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム)が第一三共から発売になりました。アスピリン製剤やアセトアミノフェン製剤そしてイブプロフェン製剤は第2類ですが、ロキソプロフェンナトリウム製剤は第1類の扱いになっており、薬剤師が説明して販売することになっています。
これが発売されたとき、当店でも置こうかと女房(薬剤師)と相談したのですが、その当時にお医者さんからロキソニンを処方されたお客様(当店は薬局でないから処方箋を受け付けられない)に副作用が出たりしていて、相談を受けたこともあり、“イブプロフェンでもけっこう強い薬なのに、その一段上のロキソニンなんて本当に必要なのか?”と疑問に思い、取り扱わないことにしました。
そうしたところ、発売間もなくの頃、通りがかりの見知らぬ方が来店になり、“ロキソニンありますか?”とお尋ねになる。“イブでどうでしょうか?”と問うと“イブじゃ効かないです”とおっしゃる。こうしたことが、その後たびたびありました。最近でもたまにあります。
でも、当店では、取り扱わない方針を変えません。
昨年のこと、お医者さんもロキソニンはけっこう処方しておられるようですが、当店のお客様で、1年間も毎日飲まされている方がありました。“腰痛の治療をずっと受けているの。体がだんだんだるくなって…”とおっしゃるものですから、処方されている薬の一覧表を持ってきていただいて判明したことです。“こんなものは毎日飲んでは絶対ダメ。痛くて我慢できなくなったときに飲むだけにしてください。”と告げ、お医者さんにも話をして薬の処方を止めにしてもらうようにお願いされてはどうかと話をしました。その結果、その後のロキソニン処方はなしとなり、お客様に感謝されました。
2年前に週刊現代がシリーズで日本の医療(主として手術と投薬)の様々な害について特集を組んでいましたが、その7月23・30日で次のように書かれていました。
・ロキソニンは、1週間以上飲むと、かなりの頻度で胃炎、胃潰瘍が起こっている
さらに1年後、週刊現代9月16日号で次のように書かれていました。
・ロキソニンは、消化管出血リスク、腎不全リスクがあるので、飲むとしても短期に止める
以上、これらの副作用については取材先を明記してありますから、信頼していいでしょうが、残念ながらその頻度のパーセンテージは不明です。
こうして時代が進むとともに一段一段強い薬が出回るようになり、たしかに効き目はアップしたでしょうが、副作用がより多く、よりひどく出るようにもなりました。
頭痛薬に限らず、あらゆる症状に対処するための薬、皆同様ですが、これが時代の流れとなっています。これはこれでよし、という評価もできます。
例えば、“耐え難い頭痛が襲ったが、今は決して仕事を中断できない。企業戦士として、無理やりにでも頭痛を抑え込み、期日までに与えられた仕事を仕上げてしまわねばならぬ。そうしないことには自分は評価されないし、社運にもかかわる。ロキソニンのお陰で難局を無事に乗り切ることができた。よしよし。”です。
これは西欧文化の発想であり、西欧において医学が「野戦病院の医学」として発展したところに根差したものです。戦場では頭が痛いからといって安静にしているわけにはいきませんからね。薬を飲んで、しゃにむに突撃せねばなりません。
ですから、ロキソニンをはじめとする強い薬は、企業戦士がまさに戦場にいる状態にあるときに限定して飲むべき性質のものです。
単なる頭痛持ちという方の場合は、一段下のイブプロフェンだってロキソニンとけっこうどっこいどっこいの副作用がありますから、常用することは問題があります。もう一段下のアスピリンやアセトアミノフェンだって五十歩百歩の感があります。
というのは、これら皆、対症療法ですから、一時しのぎにしかならないからです。
極端な説明になりますが、“頭痛薬とはなんぞや”といったら、それは“局所の細胞群が悲鳴を上げて脳の中枢へ救助信号を送っている、その電話線をハサミでプツンと切る”というものです。これによって、脳中枢に“救助信号が来なくなったから頭痛はもう治ったのだ”と勘違いさせるだけのものです。
ですから、頭痛を治そうと思ったら、自分の頭痛の原因はどこにあるのか、その真因をつかみ、その予防法を探し出すしか方法はないのです。
そうは言っても、現代社会は、日本においても効率良く働かせるため、人を“戦場の企業戦士”扱いする傾向が強くなってきましたから、厄介です。
そこで、①現代社会はストレス過多となり、活性酸素が過剰に脳内で産生されていること、②現代人は体をあまり動かさなくなり、飽食もしているから血流が悪くなっていること、この2つの要因により頭痛をはじめとする様々な症状が出やすくなっていると考えられますから、当店では①体内の活性酸素除去②脳血流改善の両方に効果的なサプリメント(西洋では医薬品扱い)の「銀杏葉エキス」を皆さんにおすすめしています。
「銀杏葉エキス」は品質の良いものであれば一切の副作用はありません。西欧諸国では医師は「銀杏葉エキス」を処方するとともに、一時的に他の医薬品を併用しての対症療法を行うことが多いようです。日本でも、こうした方法がベストだと思うのですが、厚労省は“銀杏葉エキスは食品である”として決して医薬品としては認可しません。これは薬への頼り方が日本人と西欧人とでは大きく違い、食品サプリメントまで医薬品にしたら、皆が毎日飲みたがるようになり、健康保険財政が即座にパンクしてしまうからです。
まあ、こうしたことから、当店(薬店)は「銀杏葉エキス」を皆さんに飲んでいただいて、それによって食っていけますから有り難いのですが。
ロキソニンに限らず強い薬、一般的には第1類の医薬品ということになりますが、こうしたものは、止むに止まれぬときに、副作用覚悟でたまに飲むだけにする、という使い方をしていただきたいものです。
最後に一つ付け加えておきますが、頭痛薬=解熱薬です。同じ薬が両方に効きます。よって、頭痛薬をしょっちゅう飲まれる方は、体を冷やしてしまいます。代謝を悪くし、低体温症にしてしまいますから、様々な疾病を呼びこむ元になる恐ろしい薬なのです。
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