薬屋のおやじのボヤキ

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人が病気しやすいのは、そもそも低体温動物だから

2012年02月28日 | 冷え・アレルギー

人が病気しやすいのは、そもそも低体温動物だから

 低体温になると、免疫力が低下し、様々な疾病を呼び込むことになります。
 そして、アレルギー症状を持つ人や癌(がん)を罹っている人は、まず間違いなく低体温になっています。
 近年、日本人の体はその傾向が強まり、標準的な体温である36.5℃に届かない人が多くなっているようです。
 その原因としては、運動不足で、かつ、飽食しているからと言われますが、実は、このブログで何度も取り上げていますが、西原克成氏がおっしゃておられる「冷たい物中毒」が最大の要因でしょう。
 冷蔵庫で冷やしたものを毎日のように口にし、腸を冷やし過ぎることによって、腸内免疫のバリアが働かず、そのために、全身が腸内細菌などにより細菌汚染されてしまい、ミトコンドリア(細胞内“発電所”)の機能が落ちることによるものです。
(2016.9.14挿入追記 注:2014年6月、順天堂大学の研究グループが、“腸内細菌が血液中に移行することを初めて発見した”と発表し、糖尿病との関わりだけを論文にしていますが、既にその10年前、西原氏は著「究極の免疫力」の中で、腸内細菌が血液中に移行することを様々な疾患との関わりの中で述べておられます。<挿入追記ここまで>
 これに口呼吸が輪をかけます。口呼吸も、同様な現象を引き起こすからです。

 さて、体温が低下すると、どの程度免疫力が低下するでしょうか。
 測定方法や評価の仕方によって違いが生ずるようでして、幾例か挙げれば、

   体温が0.5℃下がると、免疫力は35%落ちる。
   体温が
1度下がると、37%、30%、40%落ちる。
   逆に、
体温が0.5℃上がると、免疫力は35%アップする。
   体温が
度上がると、60%、数倍アップする。

などと言われています。
 
そして、風邪を引いて熱が出れば、つまり、体温が上がれば、免疫力がアップし、ウイルスや病原菌をやっつけてくれ、自然治癒することになるのです。
 ところが、標準的な体温である36.5℃以上あって、運動もし、腹八分で止めている人でも風邪を引いたり病気することも多いです。
 “人は病の器”とも言われ、他の動物に比べて、あまりにも病弱過ぎます。
 その最大の原因は、直立二足歩行にあることは、先に記事にしたところですが、これ以外にも大きな原因がありそうです。

 それは、ヒト特有の“生まれながらにしての低体温”です。
 哺乳動物の体温について、ネット検索して調べてみました。その詳細については、小生の別立てブログで記事にしていますので、ご覧頂くとして、その結果は次のようです。
 別立てブログ記事→ http://ameblo.jp/nagatukitouka/entry-11173256595.html

   陸生哺乳動物の一般的な体温 38±0.5℃
   水生哺乳動物の一般的な体温 36±0.5℃

 これは、人類が水生進化(詳細は同上別立てブログで紹介)した状況証拠の一つになるのですがそれはさて置き、陸生哺乳動物に比べて、ヒトの体温は1.5℃ほど低く、チンパンジーに比べても1℃低いのです。
 ヒトとチンパンジーは極めて近い種で、免疫機構は同一と考えられ、また、相互輸血が可能なほどですから
、免疫細(白血球)は同一と考えて良いでしょう。
 よって、チンパンジーは、生まれながらにしてヒトより免疫力がグンと高いと言えます。

 こうしたことから、ヒトは、“生まれながらの低体温”によって、“恒常的な免疫力の低さというハンディーを抱えていると考えざるを得ないのです。
 “人が病の器”と化し、様々な疾患を呼び込むことになるのも、ヒトがチンパンジーより免疫力が3、4割低い“低体温症”の状態にあるからというのは、うなずける気がします。

関連記事
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つらーい冷え症、その対策(食事編)[対症療法的通則]

2012年01月12日 | 冷え・アレルギー

つらーい冷え症、その対策(食事編)[対症療法的通則]

 本稿は、東洋医学にのっとった冷え症対策の食事のあり方を説明したものです。
 これは、“冷えれば温める”という対症療法的通則であって、一般的な冷え症には効果的ですが、決して根治できるものではなく、一生続けなければなりません。
 病的なほどに極度な冷え症となると、この方法ではかえって悪化することもあります。その場合には、東洋医学の本旨にのっとって症状即療法である“冷えには冷えを”という荒療治をせねばなりません。その方法は別記事2014.1.13「生菜食の是非について考える。完全生菜食で信じられない健康体に!」で解説しましたのでご覧ください。(以上追記:2014.4.19)

  つらーい冷え症、その対策(食事編)[対症療法的通則]

 冷え症は、癌(がん、ガン)、腎臓病の元、そして、お肌の大敵です。
 健康体の体温は36.5℃とされていますが、今日では、これだけ“高温”な方は少なくなっています。ちなみに、20年前には、人の体温は36.6~36.7℃と言われていましたから、そのうち健康体の体温は36.4℃と言われるようになることでしょうね。

 体温が恒常的に低くなる、つまり冷え症だと、様々な疾病に悩まされることになります。
 まず、癌細胞は35度を好み、低体温な方ほど癌にかかりやすくなります。
 そして、腎臓病にもご注意。
 体のなかで最も酸素を必要とする脳に、血液が最優先で流れます。二番目に血液を多く必要とするのが腎臓です。
でも、冷え症の場合、腎臓に血液を十分に送る余力がありません。よって、腎臓がアップアップの状態になってしまいます。
 アレルギーも起きやすいです。多くは、免疫反応の異常が原因していますが、体温が高まれば、免疫機構が正常化し、症状が和らぎます。
    
 
冷え症の方は、新陳代謝がガクンと落ちます。
 体温が1℃下がると、新陳代謝の速度は半分近くまで落ちます。つまり、細胞の生まれ変わりに2倍近い日数を必要とする勘定になります。
 これでは、体中の細胞が老化し、実年齢以上に老けた体になってしまいます。

 冷え症は、苦痛であると同時に、こうして、万病の元になります。
 西洋医学では、冷え症という病名はありません。「自律神経失調症」の一症状として診断され、有効な治療法はないです。
 それに対し、東洋医学では、冷え症とは「血が滞った状態」と考えます。そこで、血の流れを良くする様々な方法を取り、効果的に治療を行なうことができます。

 今日の冷え症の根本的な原因は、「栄養が燃えにくくなった」ことです。
 飽食時代です。消化吸収された栄養が体内にポンポンに詰まり、不完全燃焼しているのです。ストーブに石炭を詰め込み過ぎて、ちっとも燃えないのと同じです。
 過栄養な状態にありながらも、酸素の運搬や代謝に不可欠のミネラル(鉄、マグネシウム、亜鉛など)が、今日の食品に不足し、より体熱生産を落としています。

 さらに、重労働をしなくなって、末端まで血液を十分に送る必要がなくなり、多くの毛細血管に休眠状態が続き、錆び付いてしまっていることでしょう。
 加えてストレス社会。大量に発生した活性酸素が毛細血管を傷つけ、赤血球の流れを極端に悪くしてしまいます。

 こうして、体が冷えて当たり前の生活になってしまっています。
 さて、冷え症の方の食事はどうしたらよいか、本題に入りましょう。
 食養生の基本は次のとおりです。
 ミネラルの多い食品とし、腹八分に止め、体を温める食品を中心にする。

 先ずは、様々な野菜やキノコ、海藻類をパクパク食べることです。
 ここで、注意すべきは、冬場にあっては、体を冷やすものは極力避けたいです。
 果物、夏野菜がそうですし、芋類ではダイエット食品のコンニャクです。
 なお、果物、夏野菜でも、火を通せば、それが和らげられます。
 冬場は冬野菜に限ります。つまり、旬の食材を使うことです。

 芋類にあっては体を温める山芋がお勧めですし、穀類では大麦にその力がありますから、麦飯としたいです。なお、米や芋類一般は中間の食品です。
 麦飯にとろろをかけた「麦トロご飯」がお勧めです。ただし、流し込むのではなく…こうしても消化不良にはなりませんが…良く噛んで食べてください。これは、なかなか難しいですが、時間を掛けてゆっくり食べる習慣が身に付きます。
 そうすれば、腹八分に止めることもできましょう。

 体を温める王様は、肉や魚ですが、消化しやすい魚を適量に止めたいです。
 肉を多食すると、一時的に体が温まりますが、未消化のタンパク質によって腸内環境が悪化し、かえって体を冷やしかねません。
 と言いますのは、野菜などをたくさん食べて腸内環境が良くなれば、腸内善玉菌が活発に活動するようになり、食物繊維を発酵させて発酵熱を作り出し、体の芯から全身を温めてくれるようになるからです。腸内環境が悪いと、この発酵熱が生み出されないです。

 最後に、参考までに「温冷食品表」を掲げておきましょう。

 温める食品     中間の食品      冷やす食品
  大麦            米              …
  山芋         芋類一般       
こんにゃく*
  大豆         黒豆、小豆     コーヒー*
根菜類、冬野菜       …          夏野菜
   …             梅         果物一般
  魚一般      イカ、タコ、エビ     カニ
   肉         鶏卵          牛乳*
  黒砂糖        酒粕          白砂糖*

(注) 冷やす食品は、火を通せば和らぎますが、印のものは効果が出ません。
  表以外の主な食品の分類は次のとおりです。
  ・貝、海藻類は、「温」「冷」逆になっているものがあり、定かでありません。
  ・香辛料は、基本的に「温」ですが、発汗により「冷」の作用もあります。
  ・酒類は、基本的に「冷」ですが、少量なら「温」となります。

  ・リンゴは、「温」に分類されることがありますが、基本的に「冷」です。
 (様々な温冷食品表が出回っていますが、その注釈などから総合すると以上のようになります。)

  (この記事は、当店「長寿美肌新聞」2003年10月号を一部改変したものです。) 

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つらーい冷え症、その対策(生活編)

2012年01月11日 | 冷え・アレルギー

つらーい冷え症、その対策(生活編)

 “子供は風の子”小生、高校時代の晩秋に、クラスの仲間と最後まで上着を着てこない猛者争いをし、何と一番に。この話を当時中学生の息子にしたら、真似してこれまた一番に。親子2代、変人ぶりを発揮。奥方、こぼすことしきり。「バカなことやってないで、少しは勉強しなさい!」

 健康な子供は、新陳代謝が激しく、体熱生産も順調になされ、また、全身に血液を十分に送り出し、かつ、押し戻す筋力が、大人に比べて相対的に大きいです。
 よって、じっとしていることなく、体を動かし続ければ、代謝も盛んになり、子供は真冬でも薄着、素足で過ごせます。
 でも、高度文明社会では、あまりにも便利になりすぎて、こうは行きません。
 子供も大人も運動しないものですから、血液循環が悪くなっている上に、筋肉が衰えていますから、運動しても、筋肉中の血液を心臓に戻したり、筋肉へ吸引したりする力が不足します。
 やはり、ここは運動を癖付けするしかないです。特に、冷え症の人は必須です。
 一番簡単な運動は、立ったままで“かかとの上げ下げ”です。
 これで、全身の血液循環がよくなりますし、毎日何度もやり続けていれば、ふくらはぎの筋肉が付いてきます。
 それ以外には、「膝屈伸」など、このブログのカテゴリー「健康体操」で、どこでもできる体操を紹介していますので、ご覧になってください。
 なお、暇な方はウオーキングがお勧めですが、タラタラ歩いていては十分な効果が出ません。ふくらはぎの筋肉増強を意識し、歩幅を少し広くしてください。そして、しっかりマスクをし、呼吸が多少苦しいくらいに心臓に負荷を掛けてやると効果的です。
 ここで注意すべきは、口呼吸は絶対しないで、鼻呼吸にすることです。
 なぜならば、口呼吸すると、喉がやられて風邪ウイルスが増殖してしまいます。

 衣服での保温には、次のことに注意してください。
(
1) ロングブーツは、保温効果満点で、よさそうにみえますが、ふくらはぎの筋肉を働かせなくしてしまい、全身の血流不足を生じますから、常用は避けたいです。
(2) 下半身をベルトなどで少しでも締め付けると同様に血液循環を悪くします。
(3) 寝るときは、ネグリジェかゴムの緩いパジャマにし、ノーパンで、下半身を思いっきり開放しましょう。これで、血流がグーンと良くなります。
(4) 靴下を履いて寝るのは逆効果です。寝入ってから足の裏に汗をかき、逆に冷やしてしまいますからね。
(5) ゆるゆるのレッグウォーマーは、ふくらはぎの血管を温め、血流を早く良くします。

 部屋の暖房は、コタツか床暖房を中心にし、温風暖房は極力控えましょう。エアコンは百害あって一利なしと心得てください。頭寒足熱が肝腎ですからね。

 楽々できるのが半身浴です。
 快適温度(42℃)の湯は、体表面のみ血液が循環し、内臓への血流を滞らせてしまい、逆効果です。「何時間でも入っていられるわ」というお湯が一番です。
 これが、「湯治」です。
 なかなかできないことですが、なるべく浅めの風呂に最低20分は浸かりたいです。
 最初は肩が寒いでしょうから、肩に濡れタオルを掛け、時々掛け湯をしたり、タオルを湯船で温め直します。こうしていれば、次第に血液が内臓の奥まで回り始めます。
 
湯治は、体の内側から血流を良くし、低体温から一時的に脱却してくれます。そして、その間に代謝を活発にしてくれますから、どれだけかの持続効果も期待できます。
 なお、湯上がりに冷水シャワーを浴びると効果がグーンと長引きます。皮膚が引き締まり、汗腺や毛穴からの体熱の放散を防ぐことができるからです。

(この記事は、当店「長寿美肌新聞」2003年11月号を一部改変したものです。)

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       真冬でも裸で暮らせた原始人、凍死する現代人 
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(2014.4.19追記:)
 本
稿では初歩的なことを書きました。これで、どれだけかの冷え症対策になりますが、できればもう一歩進めたいです。その一つが「冷・温交替浴」でして、皮膚へ強い寒冷刺激を与えることです。これについては、2011.5.23「 今がチャンス!始めましょう、冷水シャワー 」を参照なさってください。

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真冬でも裸で暮らせた原始人、凍死する現代人。冷え症、アレルギー症の根本的原因がここに。

2012年01月10日 | 冷え・アレルギー

真冬でも裸で暮らせた原始人、凍死する現代人。冷え症、アレルギー症の根本的原因がここに。

 そもそもヒトの体はうまく出来ていまして、原始時代には、真冬でも暖房なしで素っ裸で生活できたようです。
 「猿には防寒着の毛皮があるが、ヒトは丸裸だからそんな訳ない。」と、おっしゃるかもしれませんが、ヒトには猿が持ち合わせていない皮下脂肪があって、これが防寒着の代わりをしてくれているのです。
 南米大陸の最南端のパタゴニア地方、真冬は極寒に。そのはずれにあるフェゴ島に住んでいた原住民は、新大陸発見時には、年中、素っ裸で暮らしていたと記録にありますから、やはり、ヒトは寒さにめっぽう強い動物だと言えそうです。

 原始人なり、フェゴ島の原住民は、秋に飽食して余分な栄養を皮下脂肪として溜め込み、これを使って、真冬に体内で燃やしていたことでしょう。
 じっとしていても体内で発生するエネルギーを基礎代謝と言います。彼らは、皮下脂肪を燃やし、基礎代謝が高かったと思われます。加えて、真冬でも野山を歩き回ったでしょうから、運動エネルギーで体温も高く維持できます。
 それが、高度文明社会になると、1日3度の食事で飽食してしまい、また、運動不足になり、加えて、少しでも寒くなると、いっぱい着込む上に暖房器具に頼ってしまいます。
 こうした生活で一番困るのが、基礎代謝が落ちてしまうことです。これは、冷え症や低体温症を引き起こします。冷え症や低体温症は、内臓の働きを落としますし、免疫力も低下します。そして、あらゆる病気を呼び込むことになってしまうのです。

 皮下脂肪を燃やすにはどうしたら良いでしょうか。それは、少食にして、たっぷり運動することです。ところが、皮下脂肪は、容易にはエネルギー変換しませんので、先ずは、日頃からの訓練が必要になります。
 大半の方は、ブドウ糖の血中濃度がかなり低くならないと、皮下脂肪を分解することができません。それまでの間、ひどい空腹感に悩まされます。
 あまりにも腹が空きすぎると、空腹感が弱まることがありますが、これは、やっと内臓脂肪が分解されて、血液中にブドウ糖やそれに類似したエネルギー物質が放出されたからです。皮下脂肪は、内臓脂肪が底をついてから使われる非常食みたいなものです。もっともっと空腹感に襲われて、はじめて分解されるからです。
 従って、大半の方は、皮下脂肪は溜め込みっ放しになっていて、それがエネルギー変換されるのは、病気して長期間寝込んだときぐらいのものです。その場合も、先に筋肉がやせて、タンパク質がエネルギー変換されますが。

 このように、現代人は、皮下脂肪のエネルギー変換機能が錆び付いてしまって、効果的にエネルギーを生産する能力を失っていると思われます。
 その点、彼らは、食事と食事の間隔が大きく開くと、皮下脂肪のエネルギー変換機能がスムーズに働き、食事を取らなくても、十分な熱エネルギーが生産されて、寒さをものともしなかったことでしょう。

 一昔前、「子供は風の子」どころか「大人も年寄りも風の子」だったのです。つい最近まで、幼稚園や保育所では、ショートパンツ1枚で、真冬も元気に走り回っていた所が数多くあったようですが、今は、なさそうです。皆、寒がりになってしまいましたね。
 楽して快適に過ごせる高度文明生活にドップリと浸かり込んでしまったからです。この生活は、安楽であるがゆえに、健康を害することになります。

 風の子と寒がりでは、血液の循環も全く異なったものになっています。
 風の子の皮膚は、汗腺や毛穴がしっかり閉じて、熱を逃がしません。そして、皮膚への血液循環を少なくします。よって、皮膚は冷たいです。一時的な冬眠状態。
 でも、呼吸で熱は肺から逃げます。
 そこで、体内、特に内臓で熱を発生させようと、体の芯の血液循環を活発化させ、内臓脂肪を燃やすのです。よって、内臓イキイキ、血液サラサラになってしまいます。元気になるのは当たり前です。アトピーにも花粉症にもなりません。

 寒がりは、逆の現象が起きます。
 皮膚は夏のように汗腺や毛穴がたるんだままです。厚着したり、暖房の助けでもって、体熱が逃げるのを防ぎます。皮膚への血液循環も多く、皮膚は暖かいです。
 その分、体の芯への血流は不十分になります。
 加えて、部屋の中に閉じこもり、運動不足で脂肪が付く一方です。
 内臓脂肪が増え、内臓の働きが悪くなります。そして、血液中の栄養の引き受け先が見つからず、血液中に栄養が溜まりに溜まって、ドロドロに。血液循環はますます悪くなる一方で、皮膚への血流まで悪化して、より寒がりになります。
 アトピーの方は、これでは皮膚の炎症が治らないからと、生体反応を起こし、皮膚への血液循環を激しくします。よって、皮膚は熱くなり、逆に、体の芯の血液循環が極端に悪くなります。つまり、体が「アイスクリームのてんぷら」状態になってしまうのです。

 いまさら風の子にはなれないし、毎日たっぷり運動するのも大儀だし、どうしよう。
 打つ手はあります。腸を温めてあげればよいです。
 これについては、2011年3月2日の記事「 腸内発酵で体温アップ! 」で、猿の実態を中心にして取り上げました。それと一部重複しますが、その方法を紹介しましょう。

 まず、冷たい物は決して口にしてはいけません。
 次に、腸内環境を改善することが肝腎です。腸内細菌が活発に活動してくれると、それに伴って熱が発生し、これが体の芯を温めてくれる熱源になります。
 よって、腸内細菌が喜ぶ食生活をしましょう。
 その第1は、少食です。彼らの処理能力には、自ずと限界がありますから。
 第2に、動物性タンパク質を極力減らすことです。これが多いと、どうしても未消化なものが大腸に行き、腐敗して悪玉菌を増加させ、善玉菌の活動を妨げて、熱の発生を落としてしまいます。

 外から体の芯を温める方法もあります。
 温泉における湯治と同様に、浅め、ぬるめ、長めの風呂に浸かることです。熱い湯は、逆効果です。体表だけの血流を良くしてしまい、体の芯への血流が絞られてしまいますからね。そして、体の芯が十分に温まったら、風呂から出るときに、冷水シャワー(※)を浴びます。こうすると、皮膚の機能を高め、体表からの放熱防止効果が絶大です。
 日中は、へそ下に貼るカイロを当てておくと、湯治と同じ効果が得られます。
(2016.9.24挿入追記)お腹を温めるツボに貼るカイロのミニサイズを下着の上から貼るのもいいです。「環跳」というツボで、立ったときにお尻の両脇にできるくぼみです。お腹から離れた場所にありますが、お腹に一番効くツボで、間接的に胃にも効果的です。温まりすぎて気分が悪くなるようでしたら、取り外します。(挿入ここまで)
 これは簡単ですから、おすすめしますが、これに甘えて運動を全然行なわないようでは何にもなりません。貼るカイロで寒さが消えたら、屋外で運動すると良いです。
 寒風で皮膚も鍛えられて、一石二鳥です。

(この記事は、当店「生涯現役新聞」2010年1月号と2008年2月号を編集して1本にしたものです。)

2014.4.19追記:(※)関連
 皮膚への寒冷刺激が非常に重要なものとなります。おすすめは「冷・温交替浴」でして、そのやり方は、2011.5.23「 今がチャンス!始めましょう、冷水シャワー 」を参照なさってください。

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ミトコンドリアと放射能そして冷え性(冷え症)・低体温症

2011年12月02日 | 冷え・アレルギー

ミトコンドリアと放射能そして冷え性(冷え症)・低体温症

 福島原発の爆発で飛び散った放射性同位体のヨウ素131とセシウム137。ヨウ素は馴染みのある元素ですが、一般の人はセシウムはまず聞いたことのない元素です。
 セシウムは、ナトリウムやカリウムと同族(第1族)の元素ですから、その化学的性質は似ており、体内で同じような挙動をするものの、ナトリウムやカリウムと違って、体内に蓄積しやすいようで、大変厄介なものと思われます。なんせ、ヨウ素131(半減期8日)と違って、セシウム137は半減期が30年と長く、放射能を出し続けますからね。
 ところが、原発推進派は、セシウムはカリウムと類似しており、自然界にはカリウムの放射性同位体がかなりあり、人が食べ物から取り込んでいる放射性同位体の過半はカリウム40であるから、セシウムの放射性同位体をそんなに怖がることはない、と言います。
 逆に、原発反対派は、人工的に作られた放射性同位体から浴びる放射能は、基本的にゼロでなければならないと主張します。これは、医学的見地から、放射能はどこまでが安全かという閾値(しきいち)はない、つまり少しでも浴びれば、それだけ発ガンの危険性が増えるのだから、極力避けなければならないというものです。
 この議論は平行線をたどるしかないですが、カリウム40が放射性同位体であるからといって、これまでを毛嫌いされてはたまりません。

 なぜならば、細胞核を有する真核生物にとっては、カリウム40という放射性同位体なくしては生存できないからです。
 ヒトの細胞もそうですが、細胞内小器官としてミトコンドリアというものがあります。20億年前までは、全ての生物は、これを持ち備えていなかったようです。ところが、シアノ・バクテリア(核を持たない原始的な単細胞生物)がこの頃から大気中に酸素を放出するようになり、酸素を好むミトコンドリアというバクテリアが勢いを増して、他の単細胞生物に潜り込んで寄生を始めたようです。
 そして、12億年前には、共生関係が成立して細胞合体が起こり、細胞内小器官となったようです。しかし、他の細胞内外小器官(これも最初は寄生から始まったと考えられています)のように融合する段階までは進んでおらず、ミトコンドリアは二重の膜でもって細胞内で隔離されていますし、独自の遺伝子をその中に抱え込んだままです。
 ミトコンドリアは通常の細胞の1000分の1程度の大きさで、1つの細胞内に数百個程度あり、得意技はエネルギーを作り出すことでして、地球上の世界の国々に例えれば、小さな産油国として独立を保ち、わが道を行くといったところでしょうか。

 このミトコンドリアは、いわば原子力発電所です。
 放射能を利用して、エネルギーを作り出す元になる、ATPという有機化合物をじゃんじゃん作ってくれ、これでもって、細胞は様々な化学反応を行い、生命を維持するとともに、体温も作り出します。ヒトの場合、何と、全エネルギーの95%をミトコンドリアに依存しているのです。
 この発電をするのに欠かせないのが、カリウム元素の約8000個に1個存在する、放射性同位体カリウム40です。カリウム40が出し続ける高エネルギーのガンマ線がATPを作り出す化学反応過程で、なくてはならないものなのです。
 ガンマ線が化学反応を起こすなんて聞いたことないと思われるでしょうが、ビタミンDは皮膚において紫外線を浴びることによって合成されるように、電磁波(ガンマ線、X線や紫外線)なくしては化学反応が起きないものはけっこう多いのです。
 また、直射日光で看板が色あせするのも電磁波が引き起こす化学反応によるものですから、ヒトであれば皮膚ガンが起きるのもいたしかたないことです。
 ですから、ミトコンドリアという原子力発電所が放射能で高エネルギーを作り出してくれる一方で、ヒトの細胞は、放射能で内部被曝しているのです。この放射能によって、当然にして遺伝子が傷付くのですが、それを修復して正常化したり、ガン化した遺伝子を細胞ごと破壊するといった機能があらゆる生物に備わっていますから、どってことないです。
 じゃあ、どの程度までの内部被曝なら、その機能つまり自然治癒力が発揮できるのかとなると、生命誕生時やミトコンドリア合体が起きた太古の放射能量から鑑みるに、一般論からすれば1桁上であっても、どってことないと言えましょうが、自然治癒力は常時正常に発揮できるものではなく、大幅に落ち込むことがありますから、自然放射能だけであってもガン化し生命の危機が訪れることがありましょうし、逆に、自然治癒力が高まっておれば2桁上の人工放射能を浴びても、どってことないとなります。
 このように、必要悪のような放射能ですが、ヒトの体内において、放射能を必要とするのは、ミトコンドリアだけのようですから、内部被曝は、天然のカリウム40だけに止まっていてほしいものです。

 ところで、カリウム40の半減期は約12億年です。ミトコンドリアが勢いを付けてきた時代に比べれば、今日、地球上のカリウム40は約4分の1に減っています。さらに約12億年経つと、カリウム40は半分に減ってしまいます。どんどん減っていくカリウム40ですから、ミトコンドリアという原子力発電所の出力が落ちないかと心配になってきます。
 これは遠い将来のことですから、余計な心配であって、何とかなるだろうで済まされますが、今現在、ちゃんとミトコンドリアが発電してくれているか、これに大きく注目していただきたいです。

 近年、冷え性(冷え症)や低体温症がどんどん増えてきています。
 その原因は、過食や運動不足が大きな原因とされていますが、それだけではなさそうです。ミトコンドリアの発電出力そのものが落ち込んでいるように思われます。
 と言いますのは、低体温の方が全身日光浴を繰り返していると、だんだん元気になってくるとのことです。太陽光の赤外線に体を温める効果がありますが、それは一時的なものであって、本質的には紫外線に大きな効果がありそうです。紫外線はけっこう大きなエネルギーを持つ電磁波ですから、これがガンマ線に代わってミトコンドリアの発電に寄与しているのではないかと考えらるのです。実際に、人工太陽でもって、低体温症の治療に当たっておられるお医者さんもいらっしゃいます。

 ここで少々脱線しますが、真夏に海水浴などで長時間直射日光を全身に浴びますと、倦怠感が生じますが、これは紫外線を浴びすぎた影響と思われます。戦前には、強いレントゲン(X線)を浴びると、全身の倦怠感が生じ、これは放射線宿酔と呼ばれていました。そして、長崎の原爆投下で、放射線宿酔と同じ症状が現れたことから、秋月振一郎医師は、あの強い光線は放射線ではないかと考え、放射線宿酔の治療法(強い塩分の補給)でもって対処したら、その症状が消えていき、加えて原爆病の発病が抑えられ、多くの命を救われたとのこと
です。(秋月氏著「長崎原爆体験記」より)
 このように、紫外線とガンマ線はエネルギー量が違うだけで類似した性質を持ち、一定量の紫外線はカリウム40のガンマ線の代替をするようで、ミトコンドリアが何らかの原因で出力低下しているときには、紫外線が出力アップつまりATPの生産に寄与すると考えて良いと思われます。よって、
冷え性(冷え症)や低体温症の方には、先ずは全身の日光浴がお勧めとなります。

 さて、ミトコンドリアの発電出力が落ち込む原因は何でしょうか。
 先ず考えられるのは、酸素を好むミトコンドリアですから、細胞への酸素供給不足が挙げられます。よって、全身くまなく血液循環をスムーズにしてあげれば良いです。
 これによって、冷え性(冷え症)や低体温症が改善する方もいらっしゃいますが、残念ながら、顕著に改善する方はまれですし、逆に症状が酷くなる方もあります。
 これは、十分な酸素供給によってミトコンドリアの発電出力がどれだけかアップしても、末梢血流が良くなったことにより、生産される熱量よりも放熱される熱量の方が多くなってしまうからでしょう。

 本質的な原因は別のところにあり、それは、腸内細菌などの雑菌が全身の細胞に入り込んで寄生し、ミトコンドリアの発電を阻害している可能性が大きいようです。
 酸素を嫌い、ミトコンドリアの助けなしで発電している腸内細菌などの雑菌は、寄生した細胞内にいる、酸素を好むミトコンドリアを毛嫌いするのは当然のことで、何らかの形でミトコンドリアの発電を阻害していると考えられます。
 じゃあ、どうやって腸内細菌が体内侵入を果たし、細胞内にもぐりこんだのか。
 これは、冷たい物中毒と口呼吸の2つのルートがあるとのことです。
 先ず、冷たい物中毒ですが、異常に冷えた飲食物を多量に口にすれば、腸が冷やされて、腸壁のセンサーが運休状態になってしまい、腸内細菌はやすやすと体内侵入できてしまうというものです。次に、鼻から息を吸えば雑菌を殺菌する機能が整っているのですが、口呼吸すると、それが不完全になり、乾いた喉の粘膜から雑菌が体内侵入するというものです。こうして、冷たい物中毒なり、口呼吸が恒常化すると、体中の細胞に雑菌の寄生がどんどん進行し、ミトコンドリアの発電を阻害してしまうというものです。
 これは、元東大講師、西原克成先生の説ですが、数多くの臨床とミトコンドリア研究から生まれ出たものですから、信憑性が高いものと、小生は捉えています。
(2016.9.14挿入追記 注:2014年6月、順天堂大学の研究グループが、“腸内細菌が血液中に移行することを初めて発見した”と発表し、糖尿病との関わりだけを論文にしていますが、既にその10年前、西原氏は著「究極の免疫力」の中で、腸内細菌が血液中に移行することを様々な疾患との関わりの中で述べておられます。<挿入追記ここまで>
 実は、小生と女房は、数年前の夏に冷たい物中毒がために、秋になって、西原先生がおっしゃる典型的な病症が出ましたし、当店のお客様の中に、明らかに恒常的な冷たい物中毒がために低体温症に陥っていると考えられる例が数多く見られます
から、そのように思われるのです。もっとも、冷えたビールを毎晩ゴクゴク飲んでも、どってことのない、オバケのような健康体の方もお見えでして、何事にも例外があり、そうした方は、よっぽど腸が丈夫に出来ているのではないでしょうか。もう1ルートの口呼吸については、当店のお客様の中には例が少なく、明らかにそうだと思えるのは1名だけです。

 じゃあ、どうやったら寄生した雑菌を退治できるのか、これがポイントになりますが、一筋縄では困難極まり、複合的に様々な対処法を講じなければ不可能なようです。
 取り敢えずは、これ以上症状を進行させないために、冷たい物中毒から脱却することですし、口呼吸を止めることです。
 あとは、このブログのカテゴリー「冷え・アレルギー」の過去記事の中で、対処法をいくつか挙げていますので、そちらをご覧になってください。
 これとは全く別の問題として、ミトコンドリアの毒になる物質があり、それは玄米の胚芽に多く含まれるアブシジン酸です。これは十分に長い時間、玄米なり胚芽米を水に漬けておくことで無毒化できます。
 詳細は、このブログの「玄米VS白米論争」をご覧ください。クリック↓
http://blog.goo.ne.jp/miyakekazutoyo230910/e/bd8208d4c19a7d852f8900cb46146466

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暑くなった5月半ば、“冷たい物中毒”から脱却するチャンス!

2011年06月14日 | 冷え・アレルギー

暑くなった5月半ば、“冷たい物中毒”から脱却するチャンス!
 (この記事は2011年に大地震による原発事故の影響で電力不足になることを踏まえて記事にしたものですが、それに関わらず、毎年、初夏は“冷たい物中毒”から脱却する良いチャンスですから、表題を一部書き換え、この記事を残すことにします。)
 [冒頭の一部は2011年の特殊事情につき削除しました] 
 
例年、真夏にはガンガンに冷えた“冷たい物”を、ごく普通に飲んだり食べたりしていました。願わくば今夏もそうしたいです。
 のどが癒され、はらわたに染み渡り、生きた心地がしますからね。
 しかし、これをやり続けると大変なことになります。
 小生の失敗談を紹介しましょう。
 2004年は猛暑でした。でも、エアコンは体に良くないから、この際、汗をかこうとばかり、閉店後、居室に戻ってからは、エアコンを弱冷に設定していました。そして、晩飯。
 先ずはガンガンに冷えたビールを飲む。はらわたに染み渡るうー!
 
デザートには“〇〇屋の小豆バー”なるものが一番だ!
 これを毎日何本も何本も食って食って食いからかした。実にうめぇ。うめぇ・・・
 そして、秋の到来。
 小生の、漢方で言うところの「腎」(いわゆる泌尿器系)に突如として機能低下が発生!
 “出ん!弱った。わしも歳食ったのかなあ・・・”
 しかし、何か変だ? 時同じくして、小生と同様に、小豆バーを毎日何本も食べた女房に、リウマチの気が出てきましたから、どうやら原因は別にありそう。
 
2か月後に、他のことを調べていて、“ああそうだったのか”と、その原因を偶然に発見。
 小生の「腎」機能障害も、女房のリウマチも、ともに、何と“冷たい物中毒”が原因と分かった次第です。

 この“冷たい物中毒”は、腸を異常に冷やすことによって単に下痢するだけで、何ら問題はないと簡単に片付けられています。腸が丈夫なら下痢もしないし、便秘気味なら、起き掛けに冷たい水を1杯飲めば便が出やすくなる、と勧められさえしています。
 “冷たい飲食物は摂ってはイカン!”と声高に叫んでおられる医学者は、西原克成先生お一人を除いて、おられそうにありません。
 よって、“冷たい物は摂ってよろしい”とされてしまっている今日情勢です。

 ここで、西原氏の経歴を簡単に紹介しておきましょう。氏は、東京医科歯科大学を卒業後、東京大学医学部博士課程に進まれ、大学院卒業後も大学に残られたのですが、“講師”の身分のままで定年退官されました。今、話題になっている原発問題で、いい歳こいても“助教”(昔の助手)の身分のままの京都大学の小出裕章先生と同じ立場です。
 つまり、学会で認められている理論に対して、決してそれを認めず、異議を申すがために、“干されてしまい、相手にされない”人物です。
 えてして、こういう方の言われることが正しいのでして、今般の原発事故で、それがは
っきりしました。それと、同様に、“冷たい物中毒”の害は、孤軍奮闘されている西原氏の論が正しいと、小生は考えています。

 さて、“冷たい物”を大量に摂ると、体内でとんでもないことが起きるのです。
 西原氏が解明された恐るべき現実を説明しましょう。
 “冷たい物”を大量に摂ると、当然に腸が冷えます。わずか1、2度Cでも腸の温度が下がると、体内に「取り込んで良いもの」と「いけないもの」を判別するセンサー(これは免疫細胞の白血球が担っている)が作動しなくなります。
 冷えた刺身を大量に食べた後で、血液を顕微鏡で見ると、刺身に付いていた雑菌がたくさん見付かります。これは腸が冷えて、センサーが働かなくなり、雑菌が腸壁をすり抜けたからです。
 それと同時に、100兆個もいる腸内細菌の一部が腸壁をすり抜けます。
(2016.9.14挿入追記 注:2014年6月、順天堂大学の研究グループが、“腸内細菌が血液中に移行することを初めて発見した”と発表し、糖尿病との関わりだけを論文にしていますが、既にその10年前、西原氏は著「究極の免疫力」の中で、腸内細菌が血液中に移行することを様々な疾患との関わりの中で述べておられます。<挿入追記ここまで>
 ただし、腸内細菌は、免疫細胞に飲み込まれた状態で血液に入るようでして、その後、体中に運ばれて、吐き出され、どこかの細胞に潜り込むようです。
 体内侵入した菌が病原菌であれば、免疫細胞が、これは外敵であると感知して食い殺してくれるのですが、ヒトと共生を望む腸内細菌は特段の悪さをせず、ヒトの細胞に潜り込んで、細胞が作り出すエネルギーを少々横取りするだけですから、免疫細胞は腸内細菌を殺そうとはしません。
 でも、これは明らかに「寄生」です。もっとも、腸内細菌は、人の細胞に比べて非常に小さいですから、1回だけの“冷たい物”の摂りすぎであれば、何ら問題ありません。
 加えて、十分に健常体であれば、菌が潜り込んだ細胞の細胞膜は傷が付いており、免疫細胞によって欠陥のある細胞として認識されて破壊され、同時に菌も破壊されます。
 たとえ、見落としがあっても、細胞は新陳代謝しており、数ヶ月も経てば、古い細胞は破壊されて、新しい細胞に作り直されます。このときに、菌も破壊されます。
 しかし、頻繁に“冷たい物”を摂りすぎていると、その度に腸内細菌が体内にばら撒かれて寄生が蓄積し、エネルギーの横取りが無視できなくなります。
 その結果、体内温度が低下します。すると、新陳代謝が遅れますし、免疫細胞の能力がダウンしますから、寄生した腸内細菌の破壊もできなくなります。
 この悪循環で、ますます体温は低下し、低体温症になります。いわゆる「冷え症」です。
 これと、並行して、様々な疾病が生ずるようになります。
 
腸内細菌は、体内に均質に侵入するものではなく、宿主の体質により、入りやすい所とそうでない所があるようです。よって、小生の場合には「腎」に入り、女房の場合は「関節」に入ったと考えられるのです。人によっては、「膵臓に入って糖尿病を引き起こす」ことがあるようで、糖尿病の原因は、何も過食だけではないようです。
 このように、“冷たい物”の摂りすぎ、つまり、“冷たい物中毒”は、非常に恐ろしいものとなります。なお、低体温になると、アトピーや花粉症などのアレルギーそしてガンになる危険性が高まることが分かっていますから、こうした面からも要注意です。

 さて、寄生した腸内細菌を一掃する方法ですが、残念ながら、これと言った良い方法はありません。免疫細胞によって食い殺してもらうしかないのですが、エネルギーの横取りが無視できない程度に寄生が進んでいると、体内温度が低下していて、免疫細胞にその力がなく、お手上げ状態です。
 小生や女房の場合は、1夏でそれに気づき、以後、“冷たい物”を極力避け、また、体を温める漢方薬などを毎日飲んだお陰で、少しずつ体内侵入した腸内細菌を退治できたようで、症状が緩和できたのですが、それでも、ほぼ元に戻るには1年かかりました。そして、2人とも残念ながら完全には直りきらず、今日に至っています。
 症状が進んだ方となると、1年や2年では、なかなか改善しないようです。改善効果が実感できるようになるには、少なくとも数年はかかると覚悟せねばならないようです。
 何にしても、“冷たい物中毒”から脱却するのが、先決です。
 そして、生活習慣を改め、体内温度を高くする工夫をし、新陳代謝を促し、自然治癒力(免疫細胞の活性化)を高めるしかありません。
 これを根気良く、気長に取り組むしかないのです。

 今年の夏は、電力不足という「禍」を転じて福となす、絶好の機会です。
 「常温飲食物」を努めて摂ることによって、“冷たい物中毒”から脱却なさってください。
 
なお、“冷たい物中毒”の発生は、冷蔵庫の普及によるもので、冷蔵庫文化が原因です。そのあたりのことは、過去記事「 アトピーの本質的な原因を考える(その2) 」をご覧ください。参考文献も、そこで紹介しています。

 蛇足になりますが、ここで、薬屋のおやじのボヤキを一言。
 これほどまでに冷蔵庫文化が普及してしまっては、家電業界、ビール・清涼飲料水・冷菓業界などなどにとって、いまさら“冷たい物中毒”を持ち出されたんでは、業界の存亡にかかわるではないか! なんせ、“神様のような”お客様も皆、冷たい物に大喜びされておられるんだから。
ましてや“冷たい飲食物を摂っても何ら問題ない”と、今まで医学界も言ってきたではないか。ここのところは、西原氏のような“変人”の言うことは無視して、電力不足の今年こそ、“夏の熱中症対策には冷たい物を”と、大いにPRしようではないか。
 こうして、各種製造業界と医学界、加えて政府までもが、皆ぐるになって
、“冷たい物中毒”を完全に無視し、抹殺してしまいそうな雲行きです。
 清涼飲料水自販機も、何だかんだ屁理屈をこねて、例年どおり、ガンガンに冷えた物を供給するようですし・・・
 まこと、いやになりますなあ。
 

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黄砂症(黄砂アレルギー)の発生&PM2.5

2011年05月06日 | 冷え・アレルギー

黄砂症(黄砂アレルギー)の発生&PM2.5

 今や公害物質となった黄砂。これによって、アレルギー症状が出る方が増えてきました。今年(2011年)は、ゴールデンウイークにかなり飛んできましたし、まだ続きそうです。
 特に、花粉症の方は、黄砂にも反応する傾向にありますし、中でもヒノキ花粉に反応する方は、ヒノキが終わるか終わらないかの時期に今年は黄砂がやって来て、症状を重くさせています。当店のお客様にも、そうした方がいらっしゃいますし、小生の女房と娘がそうです。
でも、こんなことは、ごく最近のことでして、女房と娘もこれは今年初めての経験ですし、せいぜい10年前からそうなったらしいということが、今、分かっただけです。

 そもそも、黄砂は、タクラマカン砂漠、ゴビ砂漠、黄土高原一帯から舞い上がった細かい土の粒子で、特別に害になるものではありません。ただし、細菌やカビの死骸がどれだけか付着していますので、ダニ・アレルギーの方などは、以前から反応したようです。
 それが今世紀に入ってからは、中国の急速な経済発展で、大気汚染が酷くなってきています。これに伴い、硫黄酸化物、窒素酸化物などの大気汚染物質、そして、水銀などの重金属が除去されることなく工場の煙突から撒き散らされ、それらが黄砂に付着して舞い上がり、朝鮮半島と日本列島に落ちてくるのです。
 これは、小生も実感しています。
 
うちでは、昔から、おふくろが、納屋の雨どいから落ちてきた雨水を桶に受けて、これを野菜苗や鉢植の草花の水やりに使っています。水道代が勿体無いということもありますが、幼い植物は水道水の塩素でダメージを受けますから、そうしているのです。
 そして、その昔は、黄砂が酷い時期に、しとしと降った雨の雨水は、桶を黄色く染めるのが普通でした。それが、10年ほど前、一時の小雨で溜まった桶を覗いてみると、どす黒い色になっていて、これを見たおふくろがビックリし、小生に報告してくれました。
 それ以降、しとしと雨のときは、桶に溜まった雨水を注意して見るようになり、やはり、その色は、以前の黄色っぽさは消えて、黒っぽさが目立つようになっています。
 そうした雨水の場合には、塩素より毒気が強いであろうからと、これを捨てることにしている、おふくろです。この黒っぽさの原因は、大気汚染物質以外に考えられません。

 大気汚染物質によるアレルギーは、過去の四日市ゼンソクが有名ですが、これに比べ、黄砂に付着した大気汚染物質の、その濃度は桁違いに低いです。
 動物実験でも、黄砂だけ、低濃度大気汚染物質だけでは、アレルギーを発症しません。しかし、大気汚染物質が付着した黄砂だと、アレルギー症状が出るのです。両方が重なり合うとアレルギーが出るという、たちの悪いものになるのです。

 こうして、黄砂によるアレルギーが発症するようになり、今や「黄砂症」という病名が登場することになったのです。
 この対処法は、花粉症と類似したものとなり、先ずはマスク着用となるのですが、粒子が花粉(スギ:30ミクロン)に比べて細かい(数ミクロン)ため、肌に付着しやすく、肌アレルギーを起こしますし、肺に入りやすく、ゼンソク症状を引き起こしやすく、厄介です。

 黄砂情報(現状と予測)は気象庁が出していますが、下記をクリックしていただければ、黄砂情報とともに、対策と治療法が詳細に解説されていますので、覗いて見てください。
 http://kobe-haricure.net/health/e114.htm
 この記事も、これを参考にさせていただきました。

(2014年4月追記)
 1年前(2013年)の1~2月のことですが、中国から流れてくるPM2.5(大きさが2.5ミクロン程度の大気汚染物質)が大きな話題になりました。PM2.5は、大気汚染物質で極小の粒子です。日本では「微小粒子状物質」と呼ばれています。これが九州北部で環境基準の3倍ほどになり、西日本一帯で一時的に高濃度になりました。
 黄砂に付着して飛んできたものではなく、大気汚染物質が単独で飛んできたものです。これは、当然に呼吸器疾患を引き起こすもので、注意が必要になってきます。
 その状況は、次のサイトでご覧いただけます。
 http://guide.tenki.jp/guide/particulate_matter/

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腸内発酵で体温アップ!腸内善玉菌の働きはビックリするほどスゴイ!

2011年03月02日 | 冷え・アレルギー

腸内発酵で体温アップ!腸内善玉菌の働きはビックリするほどスゴイ!

 腸内発酵による発酵熱で、かなりの熱エネルギー生産があると考えて良いのではないかと、このブログの「 「冷え」・「冷え性」・「冷え症」を考える(その2) 」で述べました。そして、その中で、それがどの程度のものかは、小生の不勉強で分からないと申しました。その後、何とかして分からないかと、ネット検索を重ねたものの、残念ながら、いまだに見つかっていません。
 そこで、今現在で判明していることを述べることで、ご勘弁願いたいと思います。

 まず、ヒトに近い種のサルについて、見てみました。
 極寒の地に住むサルの両横綱は、ニホンザルとキンシコウです。
 ニホンザルは皆さんご存知のとおり、青森県の下北半島や真冬の上高地で、その寒さをものともせず暮らしています。メスの体重は、通常10キロ弱で、その小さな体でありながら、極寒に耐えられるのです。どうして、それが可能なのか、現在、調査研究されているようですが、まだ分かっていません。
 なお、ニホンザルは雑食性で、虫の幼虫なども食べ、動物性たんぱく質をけっこう取っていますから、これにより、熱エネルギー生産がどれだけか高まることでしょう。小生は、これも一因していると思っています。
 さて、もう一方のキンシコウ(黄金色の体毛で、孫悟空のモデルになったとか)ですが、チベットの3千メートルの高地に住んでいて、メスの体重は、ニホンザルと同程度です。
 食性は、木の葉や皮といった食物繊維食で、胃が2つに分かれていて、前胃発酵させています。つまり、ウシと同様に、胃の中に微生物を住まわせ、その微生物が食物繊維を発酵させ、発酵生成物の有機酸を栄養源にしているのです。
 そして、発酵により発酵熱が生じ、これによって、極寒に耐えられるのではないかと言われています。
 前胃が“湯たんぽ”代わりになって、内から暖を取っているというものです。
 なお、発酵というものは、味噌なり酒なり、何でもそうですが、微生物が有機物を分解するときに熱を発生させます。従って、胃の中で発酵させれば、胃が熱源になるのは当然のことになります。

 次に、後腸発酵について、見てみましょう。
 草食動物で、これを行っているのはウマです。ウマは、大腸に微生物を住まわせ、その微生物が食物繊維を発酵させ、発酵生成物の有機酸を栄養源にしているのです。
 また、ヒトに極めて近い種のゴリラも、その巨漢から推察できるように、大腸がどでかく、かなり後腸発酵させています。
 そして、ヒトも、完全なベジタリアン(ただし生菜食に限る)となると、後腸発酵が格段に進み、ヒトの消化酵素では分解不可能な食物繊維を微生物が分解し、それ相当の有機酸を作り出し、これが栄養源の一つになっているとのことです。
 通常、これを、「腸内細菌の善玉菌が活発に活動し、腸内環境を良くしてくれる」で、済ませていますが、実は、これは、「後腸発酵による、栄養源の有機酸の生成」であって、「発酵に伴う発酵熱の発生」でもあるのです。

 以上のことから、ヒトの腸内に住む腸内細菌は、100兆個、総重量にして1.5キロもあるのですから、これが活発に活動してくれたら・・・腸内環境が改善されたら・・・必然的に発酵の速度が高まり、「発酵に伴う発酵熱の発生」が、かなりのものとなりましょう。
 つまり、大腸が“湯たんぽ”になって、体温を高めてくれることになります。
 そして、これによって、低体温から脱却でき、冷え症、アレルギー、花粉症も大幅に改善が期待できるということになるのです。
 これは確かなことと思うのですが、いかがなものでしょうか。

関連記事:2014.1.13 生菜食の是非について考える

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「冷え」・「冷え性」・「冷え症」を考える(その1):何よりも皮膚の鍛錬を

2011年02月17日 | 冷え・アレルギー

「冷え」・「冷え性」・「冷え症」を考える(その1):何よりも皮膚の鍛錬を

 2月1日付けのブログで書きましたように、当地岐阜では27年振りの寒い1月となった今年です。連日寒風に晒され、また、雪に見舞われ、体は「冷え」、「冷え」の連続でした。2月とて、初旬は一時的に暖かったものの、中旬には雪が舞って寒さがぶり返し、冷え切ってしまっている体は、思いのほか不調を来たして、様々な疾病を招いています。
 今年ほど、一時的な「冷え」、恒常的な「冷え性(冷え症)」に悩まされたことは、少なかったことでしょう。そして、春の足音が聞こえてきても、一向に改善する兆しが見られないばかりか、より悪化する方が多いように見受けられます。
 ところで、「冷え性」と「冷え症」の違いですが、「冷え性」とは、単なる“性分”であって、健康上特に問題がないと捉えて使う場合に用い、「冷え症」とは、何らかの身体的不調を生じさせ、治療を要する程度に重い「冷え性」の場合に用いると考えて良いしょう。

 この「冷え症」が、昔に比べて段々増えてきています。
 昭和の高度成長に伴って豊かになり
、「飽食暖衣」・「運動不足」で、体内エネルギーの生産が減り、日本人は皆、だんだん「冷え体質」になってきたと言われます。
 たしかに、そうした面がありますが、真の原因は、アトピーに関する記事の中で述べましたように、 「冷蔵庫文化」による「冷たい物中毒」 によって、「低体温」になってきているからでしょう。
 「低体温」になれば、当然にして寒さに弱くなり、また、暑さにも弱くなります。
 こうして、日本人は、どんどん虚弱体質になってきました。
 これは、漢方薬の処方にも明確に現れていて、何かと応用範囲が広い「柴胡(サイコ)」剤のようですが、高度成長前は、がっしりとした体格で体力のある方に効く「大柴胡湯」が汎用され、その後は「小柴胡湯」になり、平成のバブル期からは虚弱な体質の方に効く「柴胡桂枝湯」を処方するのが一般的になってきたと、あるベテランの漢方薬局の先生が、約20年前に、自分の経験を元にして、おっしゃっておられました。

 さて、「冷え症」は、幾つかのタイプに分けられるのが一般的でして、ある学者は「血行不良」・「胃腸虚弱」・「新陳代謝低下」の3タイプに分けており、別の学者は「血管収縮型」・「血管拡張型」の2タイプに分けたりしています。また、何でもないのに汗をかいたり、のぼせたりする「隠れ冷え」があると言われたりします。
 何がなんだか、よく分からない分類法でして、行き着くところは、実に便利な説明である「自律神経失調症」で片付けられたりします。
 これらは全て、「低体温」からくる結果であって、本質的な原因を指し示しているものではありません。でも、基本的に対症療法しか取らない近代医学ですから、結果つまり症状を診て、その症状を短絡的に取り除く治療が優先されますから、このような分類になるのでしょう。よって、本質的な面からのアプローチがないがしろにされてしまうのです。
 ここに、日本の医療制度の大きな問題点であるのですが、しかし、お医者さんが患者さんに対して、本質的な原因を取り除くための生活習慣の改善指導に時間を割いていたら、1日に何人もの患者を診ることは不可能で、かつ、初診料だけしか保険点数が挙がって来ず、これでは食っていけません。
 「冷え症」がもとで、「不眠症」になったら「睡眠導入剤」を、「頭痛持ち」になったら「鎮痛剤」と「胃薬」を、といった具合に、よりいっそう「冷え症」にしてしまうような処方しか取れないのです。
 その点、当店をはじめ相談薬局・薬店は、“有り難い”ことに、お医者さんが取りたくても取れない方法で、患者さんに対応できますから、食っていける道が開かれています。
 先に掲げました、「血行不良」・「胃腸虚弱」・「新陳代謝低下」の3つを本質的に改善してくれる「漢方薬」や「健康食品」を持っているからです。「冷え」に詳しいお医者さんが、これを処方しようとしても、保険適用されませんから、使えないのです。
 なお、「漢方薬」の中にも保険適用されるものは多いのですが、処方できる薬が限定されています。よって、どれだけかは「冷え」を改善してくれるものはあるのですが、「冷え」を本質的に改善する「漢方薬」は、「具体的な何かの症状に対症療法的に効く」というものではなくて、「健康食品」に近い「養生・滋養強壮」のためのものでして、どちらかと言うと「食養生」としての扱いとなってしまい、保険適用からは除外されます。これは、「食べ物」にまで保険適用していたら、国の医療費がパンクしてしまうからです。

 さて、その昔、と言っても半世紀前・・・小生が子供の頃・・・までは、真冬には一時的に体の「冷え」がありました。手に「あかぎれ」、足に「しもやけ」は当たり前でして、耳たぶに「しもやけ」ができることもありました。外で遊んだり、畑仕事を手伝っている最中は、露出した皮膚の部分が非常に冷たくなって、極度の血行不良になり、どうしてもそうなります。加えて、動きやすいように薄着していましたから、全身の皮膚が冷たくなっていました。
 でも、これによって、体の表面から熱が奪われることが少なく、血液は内臓に集中して流れますから、体の芯は冷えず、「冷え性(症)」なるものは、基本的に存在しませんでした。体内の温度は、年中一定に保たれていたのです。それも、けっこう高い温度で。
 今のお子さんに小生の時代の真似をさせたら、直ぐに風邪を引いてしまうことが多いでしょうね。なぜならば、「耳たぶがしもやけ」になるまでの寒冷刺激を受けていないからです。そして、皮膚を過度に「血行不良」にしてしまう程までに筋肉や汗腺・毛穴の収縮力が備わっているとは思えませんからね。
 今は死語となってしまった「子供は風の子」。何と言っても、皮膚の鍛錬なくしては、「冷え性(症)」から完全に逃れることはできないでしょうね。

 以下、 「冷え」・「冷え性」・「冷え症」を考える(その2)へ続く。

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「冷え」・「冷え性」・「冷え症」を考える(その2):体内エネルギー生産の向上を

2011年02月17日 | 冷え・アレルギー

「冷え」・「冷え性」・「冷え症」を考える(その2):体内エネルギー生産の向上を

 「冷え性(症)」からの脱却の基本は、本稿その1で書きましたように、まず第1に、昔の「風の子」のように、体熱を逃がさないために皮膚の収縮力を高めることです。
 その鍛錬には、風呂に入る前と後に、水シャワーをたっぷり浴びるのが一番です。
 これを、いきなり真冬の今から始めるのは不可能ですが、慣れてしまえば、小生がそうですが、年がら年中可能になります。善は急げです。風呂上りに、最初は微温湯で手足だけで良いですから、皮膚をどれだけかでも冷やしてあげてください。
 こうすれば、体表面からの熱の放散を少しは食い止められるようになります。
 なお、本格的な冷水浴のやり方は、今夏に紹介することとしましょう。

 第2は、体内エネルギー生産力の向上です。
 これには、幾つも複合的に取り組まねばなりません。
 先ずは、花粉症のブログ記事の中で書きましたように、言うは易し行い難しの「運動」です。適度な運動を毎日何度も欠かさず行い、筋肉で熱エネルギーを生産することです。
 あまりにも便利になり過ぎた今日にあっては、これは不可能に近いことですが、やる気を出して取り組むしか方法はありません。
 例えば、これも花粉症のブログ記事の中で書きましたが、手が空いたときの「ひざ屈伸」運動です。女優の森光子さんが何十年も続けておられる健康法でして、その影響を受けて、かなり多くの方が取り組んでおられるとのこと。これを知って以来、小生も、客待ちの時間・・・あり過ぎて困るのですが・・・毎日のように何度も実践して
います。

 次に、腸内環境の改善です。ヒトの細胞は60兆個(※)しかないのに対して、腸内細菌は100兆個もが腸内に住んでくれています。重量にして、何と1.5キロはあります。その腸内細菌が活発に活動してくれれば、かなりの熱エネルギーが生産されるのは必然です。(※ 2015.11.20追記:最近の研究では37兆個で、こちらが信憑性が高いです。)
 ここで生み出された熱が血液循環によって、全身が温められることになります。
 この熱量を調査・測定された学者もいらっしゃることでしょうが、小生の不勉強で、腸内発酵でどの程度の発酵熱が生ずるのか知らないものの、腸の働きが悪い方はお腹が冷えているのに対して、腸の働きが良い方はお腹が温かいですから、無視できない、かなりの量の熱エネルギー生産があると考えて良いでしょう。
 なお、腸内環境の改善は、いいことずくめでして、直ぐ下で述べます3つ目の事柄に密接に関係してきます。

 その3つ目が、60兆個あるヒトの細胞に、活発に活動してもらうことです。
 新陳代謝や代謝、つまり、細胞の作り替えや維持が円滑に行われるようになれば、付随的に熱エネルギーの生産が高まります。
 そのためには、必要な栄養素の摂取が欠かせません。
 ところで、この世はまさに飽食時代。栄養は、たっぷり過ぎるほどに取っています。
 しかし、それがために必要な栄養素が体中に行き渡らないというジレンマに陥っています。過ぎたるは及ばざるが如しで、腹八分またはそれ以下が最適な“中庸”となります。
 なお、野菜だけは十分に食べて、ビタミンやミネラルが欠乏しないようにせねばならないのですが、近年の野菜には、これらの栄養素が少なく、「見た目だけ野菜」になっていますから、特にミネラル欠乏が危惧されます。
 ミネラルが少しでも欠乏すると、新陳代謝、代謝ともに、ガクンと落ちますから、ミネラル不足は深刻な問題です。
 極端に欠乏している場合は別ですが、恒常的にどれだけかミネラル不足になっている場合は、自分では全く気が付きません。自分は健康で何も問題ないと思ってしまいます。
 例えば、1キロ先の店に買い物に行く必要が生じたとします。都市であればバスか電車を、地方であれば車を使ってしまいます。「歩いて行きたい!」などと思う人は、きわめてまれです。約20年前に、前の仕事の関係で、フランス・パリの都市計画の責任者に話を聞いたことがあるのですが、「70メートル以上先の“遠い”所へは、だれもが車を使う」ことを念頭において都市づくりをせねばならないと、ぼやいてみえました。一瞬エッと思ったのですが、考えてみるに、これは日本人でも同じでしょう。
 「体がだるくて、一気に歩けるのは、70メートルが限度」という、この情けなさ。
 これは、ミネラル不足が大きな原因になっているとしか考えられません。
 当店では、そうした自分は“健康体だ”と思っておられる方に対しても、「総合ミネラル剤」を積極的にお勧めしているのですが、たいていの方は、「体が軽くなった」とおっしゃいますから、間違いないです。中には、代謝が良くなって、「体が温かくなった」と感ずる方さえあります。

 4つ目が、「早寝・早起き」して、お日様に当たることです。「朝日」は、眠っていた全身の細胞を速やかに目覚めさせ、イキイキと活動させるためのスイッチになるようでして、これによって、代謝が進み、体熱生産が円滑になるとのことです。
 残念ながら、小生は「遅寝・遅起き」し、早起きしたとしても、このブログづくりのために、シャッターが下りた店内で、ひたすらパソコン画面の光を老眼に浴びるだけの生活ですから、ことこれに関しては何ともなりません。
 もっとも、年中そうではありません。言い訳がましいですが、初夏から初秋にかけては、早朝の畑仕事をちょこっとだけですがやるようにしています。これで、ご勘弁ください。

 以下、 「冷え」・「冷え性」・「冷え症」を考える(その3)へ続く。

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「冷え」・「冷え性」・「冷え症」を考える(その3):体内温度を知っておきましょう

2011年02月17日 | 冷え・アレルギー

「冷え」・「冷え性」・「冷え症」を考える(その3):体内温度を知っておきましょう

 「冷え性(症)」は、一般的に、体の表面の症状に対して使われる用語ですが、類似した言葉として「低体温」・「低体温症」という用語があります。これは、主として、「体内温度(深部体温)」が低いとか、それによって生ずる疾病を言います。
 さて、ヒトの「体内温度」は、何度でしょうか。また、何度が理想的でしょうか。
 日本人の場合、大人の「平熱」は36.
7度、「体内温度」は37度と言われたりしますが、体温は、血圧と同様に季節変動し、また、日変動が激しいですから、“この数値だ”と断定することは難しいです。
 まず、年齢によって差が出ます。赤ちゃんの体温は高く、成長するに従って下がり、その後安定するものの
、年を重ねるに従って段々下がります。これは、皆さん、ご存知のとおりのことでして、新陳代謝(細胞の生まれ変わり)の良し悪しによるところが大です。
 次に季節変動ですが、健康体であれば、「体内温度」は変化しません。冬は皮膚表面への血流を絞り込み、夏は汗で体熱を放散するからです。このように、汗腺を中心とする皮膚の体温調節機能はすぐれものなのですが、毎年寒暑で鍛錬し、汗腺などを発達・維持させていないと、これが円滑に行われなくなる恐れがあります。
 なお、汗腺は2歳半までに完成すると言われており、それまでの間は、「子供は風の子」生活が重要になります。また、汗腺は、生後1、2日で、その働きを止めてしまうものが多いとも言われます。いずれにしても、過保護にすれば、「温室育ち」と言われるように、心身ともに健康に育たないのは、確かなことです。

 体温を知る上で厄介なのは、日変動です。
 血圧と同様に、体温も日変動が激しいからです。運動したり、食事すれば、体温は上がります。なお、食事の場合は、熱いものか冷たいものかで直ぐに差が出ますし、体を温める食品か冷やす食品かで2、3時間以降に差が出てきます。なお、肉食中心の西欧人の場合は、たんぱく質がエネルギーに利用される前処理段階で分解熱が発生しますから、菜食主義者よりも体温が恒常的に高くなります。(逆に、日本人の場合は要注意。肉食は腸内環境を悪化させ、これが元で体温を低下させる恐れがあります。)
 通常の生活での体温の日変動は、大人の場合は約1度と言われます。夜明け前の3~5時に一番低くなり、夕方に最高になるのが一般的です。自分の平熱が36.5度と思っていても、寝起きに測れば36度、夕方測れば37度となるのが普通ということになります。
 よって、風邪かなと思って夕方に体温を測ったら37度もあって、“微熱が出ている!”と勘違いしたり、朝起き掛けに測って36度しかなくて、自分は「低体温症」だと余計な心配をされる方もあります。このあたりを誤解なきよう、承知しておいてください。
 ここで、「平熱」とは、午前10時頃に脇下で測った体温のことです。
 一般的に、この時刻に、1日の平均的な体温になるのと、運動や食事の変化の影響を受けにくい時刻であることからでしょう。
 なお、脇下での測定は日本流でして、ところ変われば、肛門であったり、口中であったりします。測定する部位で、値は異なり、肛門や口中は、脇下よりも0.
5度程度高いと言われたりしますが、時刻によって、測定部位ごとの差が増減しますし、また、逆転することもありますから、何とも言えません。
 また、平衡温(一定値に安定する温度)に達する時間は、脇下では10分、口中では5分とのことで、実測式体温計の場合は、一般的に、その半分の時間で測ると0.
2度、さらにその半分の時間だと0.4度程度低い値になるようです。

 さて、もうひとつ厄介なことに、冬は、皮膚表面が冷えていることが多くて、体表血流が絞られており、その場合には、脇下や口中での測定値が低くなることがあるようです。
 このように、体温を正確に把握するのは非常に困難でして、ましてや体の深部の「体内温度」を知ることは、特殊な機器を使わないことには不可能と言えましょう。

 それでも、知っておきたい「体内温度」です。
 その一つの目安として、ある学者は、脇下で10分間測定した値と言っておられますから、これでもって代用して良いでしょうが、少々疑問があります。
 と言いますのは、テルモの予測式体温計は、脇下に10分間挟んで測定した値を予測するもので、これでは、脇下の体温を指し示すことになってしまうからです。
 そうしたことから、これは小生の独断と偏見によるものですが、脇下体温にプラス0.3度した値とした方が良いのではないかと思われます。その根拠は、日本人の場合、健康な大人の「平熱」は36.7度、「体内温度」は37度と言われ、0.3度の差があるからです。
 なお、測定は午前10時頃とし、食事や重労働から2、3時間経った後とします。そして、何日か測定し、平均値を求めるのが良いでしょうね。

 ところで、小生の「体内温度」は何度かと言いますと、この記事を草稿するまでは、申し訳ありませんが、調べ
たことはありませんでした。そこで、急きょ測定することとし、3日連続で、午前10時頃に測ったのですが、2月中旬の寒波の影響もあり、その時刻になっても、指先が冷たかったり、また、寒けが抜け切っていなかったりしたこともあり、体表血流が不十分な日もあったようで、「平熱」の平均値は36.4度(ばらつき0.2度)、プラス0.3度した「体内温度」は、36.7度という値になってしまいました。
 でも、時節柄、これで御の字と考えるべき
でしょうね。「自他共に認める“健康優良児”の小生ですから、体内温度は37度あってしかるべき」ところなのですが、測定条件が悪かったし、こういうこともあると。
 しかし、“自分は納得がいかない”という小生がここにいます。
 日本人は、検査数値に過敏に反応する傾向が大です。小生も同様。測定条件が悪かったことに加えて、客観的にみれば、「36.
7度はおおむね37度」であって、何ら問題がないのですが、これが36.9度であっても、悔しがります。
 加齢とともに「体内温度」は下がるのは自然現象であることは、本ページの最初の方で書いたばかりですが、小生の心は、還暦を過ぎたがゆえに、これを認めたがらず
、悪あがきするのです。“俺の「体内温度」は37度あってしかるべきだ!”と。
 そうしたことから、暖かくなって、体表血流が良くなったら、もう一度「体内温度」を測定しようと思っています。その結果は、また、ブログします。

 脱線しつつ、ここまで長々と体温について述べてきましたが、自分の「体内温度」を知っておくことが、「血糖値」と同等以上に、とても重要だからです。
 なぜならば、「体内温度」が、「おおむね37度」であれば、免疫系統が正常に働いてくれて、健康体でいられるのですが、これより低くなると、免疫力が落ちたり、免疫系統に誤作動を生じさせる恐れが出てくるだけでなく、「冷え症」の諸症状の他にも、様々な障害が体の中で生じてくる恐れがあることが分かっていますから、単なる「体質」として片付けてしまうのは、あまりに危険だからです。

 以下、 「冷え」・「冷え性」・「冷え症」を考える(その4)へ続く。 

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「冷え」・「冷え性」・「冷え症」を考える(その4):怖いのは低体温症

2011年02月17日 | 冷え・アレルギー

「冷え」・「冷え性」・「冷え症」を考える(その4):怖いのは低体温症

 ヒトの免疫機構は、体内温度がおおむね37度以上で適正に働くのですが、体温が高ければ高いほど免疫力はアップします。
 従って、体内に侵入してきた病原菌やウイルスが増殖し、危険な状態になると、それらを撃退せんとして、発熱させ、時には40度を超える高熱を発することになるのです。
 さて、体内温度が、常時36度、あるいは35度しかないとなると、どうなるでしょうか。
 当然にして、免疫力が落ち、病気を拾いやすくなります。
 また、新陳代謝(細胞の生まれ変わり)がガクンと落ちます。体温が1度低くなると、新陳代謝は半分になるとも言われます。そうなると、体中が老化した細胞だらけになってしまい、実際の年齢よりも、うんと上の年齢の体になってしまいます。

 要注意ラインとなる体内温度、つまり「低体温症」と判定されるのは何度でしょうか。
 これは、学者によって違いがあるようです。また、脇下で測る平熱の値で代用せざるを得ない面もありますし、先に述べましたように、体温は日変動しますから、測定値でもってして明確に何度とは言えないです。
 一つの目安として、ある学者は、平熱が35度以下しかない方を「低体温症」としてみえますが、36度以下の方も同様な扱いをして良いのではないでしょうか。
 なぜならば、体温が1度下がると、基礎代謝(生命維持)エネルギーは13%低下すると言われ、内臓や諸器官
の働きがそれだけ落ちるのですから、これは無視できない数値と思われるからです。
 さて、低体温になると、体の中で、どんなことが起きるのでしょうか。
 はっきり言って、何もかもがおかしくなります。

 まず、体温調節機能がうまく働かなくなります。体の芯は冷えているのに、汗をかいたり、のぼせたり、指先がほてったりして、体熱を無駄に放出することさえあります。
 次に、消化器系統の働きが全般に落ちます。胃腸虚弱となって、消化酵素の出が悪くなり、排便力が落ちます。肝臓の解毒作用が弱まり、毒素の無毒化が遅延します。
 3つ目に、血液がドロドロになって血流が悪くなり、酸素供給が不完全になります。併せてリンパ液の流れも悪くなり、むくみが出てくることがあります。
 4つ目に、腎機能が落ちて、老廃物の排出力が低下します。
 5つ目に・・・切りがありませんので・・・などなど、とします。
 そして、当然にして、これらが複合することになりますし、併せて、ヒトと共生している腸内善玉菌の活力も落ちてしまい、腸内環境が悪化して、悪玉菌がのさばって毒素が全身に撒き散らされ、諸機能が一段と落ちるという悪循環に陥ります。
 以上のことは、単なる老化現象の急進で、「一気に老け込んでしまった、この老体と仲良く付き合っていくか。」と、あきらめることもできましょうが、これだけでは済みません。
 いろいろと深刻な事態が発生し、悩まされることになります。

 第1に、神経系統が円滑に働かなくなくます。自律神経失調症と呼ばれるもので、交感神経(興奮)と副交感神経(沈静)のバランスが崩れてしまいます。例えば、夜、寝ようとしても、後者が働かず、疲れ込んでいても寝付けなくなることが多くなります。
 第2に、ホルモンの分泌力が落ちます。ホルモンの中にも、神経と同様に興奮と沈静のバランスを取っているものがあり、これが崩れて、様々なトラブルが生じます。
 第3に、免疫系統の乱れです。免疫力が落ちることは先に述べましたが、怖いのは、免疫機構の司令塔であるヘルパーT細胞が狂ってしまうことです。
 ヘルパーT細胞が正常に機能していれば、増殖する病原菌・ウイルスやガン細胞などを集中的に攻撃し、放っておいても格別に問題がないゴミの類(ダニ、花粉、未消化たんぱく質など)は、ぼつぼつ掃除するだけなのですが、低体温になると、これが逆転してしまい、何でもないゴミの類に集中攻撃をかけるようになることがあるのです。困ったことに、これに止まらず、いったん何かのゴミの類に集中攻撃をかけると、それに対する抗体を作らせてしまい、その後において、それが侵入する度に猛攻撃をかけ、つまり、アレルギー反応を示すようになってしまうのです。

 近年、急激に増えている、アトピーや花粉症の発症は、こうして起きるのです。

 このように、「低体温症」は、放っておくと、大変なことになるのです。
 また、上の第1から第3は、相互のバランスを取って恒常性を維持していますから、どれかが崩れると他にも影響し、全体の崩れにもつながります。

 以下、 「冷え」・「冷え性」・「冷え症」を考える(その5)へ続く。  

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「冷え」・「冷え性」・「冷え症」を考える(その5):「冷え」は万病の元

2011年02月17日 | 冷え・アレルギー

「冷え」・「冷え性」・「冷え症」を考える(その5):「冷え」は万病の元

 ここまで、4回に分けて、「冷え」と「低体温」について、述べてきました。
 “あまりにオーバーな。これは、薬屋のおやじのおどしだ!”と、うがった見方をしないでくださいね。ちゃんとした根拠に基づくものでして、主として、西原克成先生の「究極の免疫力」(講談社インターナショナル)や安保徹先生の「体温免疫力」(ナツメ社)を元にしています。そして、何よりも、数は多くないですが、当店のお客様の臨床例で、どれだけかの裏付けが取れています。

 ここで話を別のところへ振りますが、皆さん、糖尿病のことは、よくご存知でしょう。
 「高血糖」がずっと続くことを糖尿病と言い、放置しておくと様々な合併症が出てしまい、そうなってしまってからでは手の施しようがない、恐ろしい病気であることを。
 その糖尿病は昔からあり、その対処法がおおむね確立していますから、皆が注意するようになり、「高血糖」にならないようにと、生活習慣を見直すようになってきています。
 当然にして、健康診断では、血糖値が測定され、基準値も明確に示されています。
 ところが、「低体温」については、皆さん、無頓着です。
 健康診断でも、たとえ検温したとしても、その数値は無視されます。
 これは、
「冷え性」は昔からあったのですが、それは単なる体質であって、病気ではないとして扱われてきたことが落とし穴になって、医学界は、本腰をあげての対処法を研究してこなかったですから、どうしてもそうなってしまうのです。
 よって、「冷え性」体質の人は、“体を温め、冷やさないようにしていれば、何とかなる”で済まされていました。実際、多くの人は、それで何とかなりました。
 しかし、昭和30年代後半の高度成長によって、「冷蔵庫」が普及し、多くの人が「冷たい物中毒」になって(本件に関しては「 アトピーも本質的な原因について考える(その2) 」の記事
で詳細に説明していますから、それをご覧ください。)、これによって「低体温」の人が多くなり、また、その程度もひどくなる傾向にあります。
 “体を温め、冷やさないようにしていれば、何とかなる”では済まされないほどに。
 加えて、真新しい病気のアトピーや花粉症、前からある喘息やリウマチの患者の急増、訳の分からぬ難病の発生、そしてガン。これらの患者は皆、「低体温」なのです。
 なお、これらの病気は、病気が元で「低体温」になったのではなく、「低体温」だから、こうした病気になったのです。

 ですから、「高血糖」と同様に、「低体温」についても「正しく恐れる」必要があるのです。
 「高血糖」そのものが「糖尿病」と呼ばれるように、「低体温」そのものも、単なる「冷え性」ではなくて、「冷え病」なり「低体温病」とでも呼ばれるべき病気なのです。そして、これを放置すれば、様々な合併症を生ずるようになるのも、糖尿病と同じです。
 こうした認識が欠如しているのは、パソコン・ソフトの「ワード」で、「ひえしょう」と打ち込んで漢字変換すると「冷え性」しか出てきませんから、「冷え症」という症名が一般人に、まだ認知されていないことは明らかです。
 これは、「低体温」を無視し続けてきた日本医学界の大きな責任でしょう。また、そうした医学界ですから、前段に挙げました、様々の目新しい疾病の治療法が、いつになっても見出せないでいるのです。
 もっとも、我々相談薬局・薬店は、そうであるからして飯が食っていけるのでして、今日の日本医学界は、我々にとっては“実に有り難い存在”です。
 また、そうした現実に気が付かれた方が少しずつ増えてきて、我々を頼ってくださだいますので、その期待を決して裏切らないよう、絶えず切磋琢磨し、より正しく、より分かりやすく、より安心していただけるカウンセリング能力を高めていかねばなりません。
 こうして、我
々相談薬局・薬店の責任は、ますます重くなってきていますから、心してかからねばならないのは当然のことです。
 こと「冷え」に関しても、更なる調査研究と臨床解析を、個々の店ごとに、そして、仲間の勉強会に持ち寄って積み重ね、的確な治療法の確立を目指していかねばなりません。

 ここまで、「冷え」に関して、5回にわたって、一部脱線しながら、また、ボヤキつつ、長々と説明してまいりましたが、皆様方には、最後までご精読くださいまして、深く感謝申し上げます。
 最後に、本稿をお読みいただきました皆様方におかれましては、繰り返しになりますが今日から早速、次のとおり生活習慣を改善していただいて、より健康になられますことを願って、本稿を閉じることとします。

 庭ではフキノトウが食べごろを迎え、春の足音が近づいて参りましたが、今年は、例年以上に、まだまだ寒さが続きそうな気配です。
 皆様方には、この機会に体温をお測りいただき、「低体温」傾向にある方は、花粉症に関するブログ記事の中で紹介しました諸対策を取っていただきたいですし、また、恒久的な対策として、本稿の「その2」で紹介しました生活習慣を取り入れていただきたいです。
 なお、「高血糖」というものは、完全には改善されず、「飽食生活」に戻れば、ぶり返してしまうのと
同様に、「低体温」も、また、完全には改善されず、「冷たい物中毒」に戻れば、ぶり返してしまうのは必至です。ともに、生活習慣病であることから、その改善も悪化も、同じような経緯をたどることになってしまいます。
 もう一つ、書き加えさせていただきますが、糖尿病を発症させる大きな要因として、「低体温」が元で膵臓の機能が低下し、インスリンの分泌が悪くなって起きると、西原克成先生はおっしゃっておられます。つまり、糖尿病までもが、「冷たい物中毒」と無縁でないということです。「低体温」を「正しく恐れ」て、積極的に生活習慣全般の見直しに取り組まれ、イキイキ元気な健康生活を長く長く楽しんでください。

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花粉症改善は低体温からの脱却で。体の芯を温め、免疫の暴走を止めることです。

2011年02月16日 | 冷え・アレルギー

花粉症改善は低体温からの脱却で。体の芯を温め、免疫の暴走を止めることです。

 花粉症とは、「免疫機構が、花粉という、どおってことのないゴミを、大増殖する病原菌か何かと勘違いして猛然と襲いかかり、鼻水やくしゃみでもって吹き飛ばし、体内侵入を防ごうとする」防御反応です。
 これを、花粉に対するアレルギーとして捉え、出したくて仕方がない鼻水やくしゃみを、薬でもって出させなくするという対症療法で治療しようとするのが、現代医学です。
 これでは、毎年、花粉症に悩まされることになり、根本治癒にはなりません。

 どうしたら、よいでしょうか。
 免疫機構を正常化するしかありません。しかし、これは、一筋縄では、まいりません。
 なぜならば、いったん冒頭の防御反応が起きると、免疫機構はこれを記憶しており、易々とは花粉を単なるゴミ扱いに切り替えてくれないからです。
 免疫機構の正常化は、じっくりと時間を掛けて体質改善するしか方法がないです。
 その方法は、低体温からの脱却が基本となります。
 このブログのアトピーに関するところで述べたのと同じ原因(
冷蔵庫文化」による「冷たい物中毒」 )で、低体温になることによって、花粉症も発症するからです。

 今年は、昨年の猛暑の影響で、全国的にスギ花粉が大飛散すると予想されています。花粉症の方にとって最悪の年になるかもしれません。
 今から、根気よく、体質改善=低体温からの脱却を図ってください。特に花粉が飛び出したら、念入りに対処する必要があります。
 本格的な体質改善法は、このブログの「冷え」に関するところで詳細に述べますが、今の時期、応急的に体質改善する方法をいくつか紹介しましょう。

<ぬるめの風呂で半身浴>
 最低20分は浸かりたいです。上半身が寒くなったら、ぬれタオルを肩に掛け、掛け湯しつつ、時々タオルをぬくめ直します。腰と足をぬくめれば、体内血流が良くなり、体の芯がぬくまって、免疫機構が正常に近付きます。ただし、胸までお湯に浸かると、体表血流を良くしてしまい、効果が半減してしまいます。

<下腹部と背中に使い捨てカイロを>
 半身浴と同様の効果が期待できます。その日の気温に応じて、普通サイズかミニサイズか使い分けてください。なお、低温やけどにご注意を。ちょっとでも熱いなと感じたら、一時外してください。温まりすぎて気分が悪くなるようでしたら、取り外します。
(2016.9.24挿入追記)
※ 貼る位置について、次の方法もあります。
 お腹を温めるツボに貼るカイロのミニサイズを下着の上から貼るといいです。「環跳」というツボで、立ったときにお尻の両脇にできるくぼみです。お腹から離れた場所にありますが、お腹に一番効くツボで、間接的に胃にも効果的です。(挿入追記ここまで) 

 

<体内エネルギーの生産向上>
 軽い運動をすれば、エネルギーが熱となり、血液をぬくめてくれます。言うは易し行い難しの運動ですが、ひざ屈伸をゆっくり30回行えば、これだけで効果が出ます。これを、手が空いたときに1日何回も。はじめは、筋肉が痛くて、20回もできないでしょうが、無理せず、だんだん回数を増やしてください。10回が限度という方は、エネルギー回路がうまく働いていない恐れがありますから、その回路に必須のクエン酸、つまり梅干しを毎日1粒は補給してください。

<冷たい物は絶対に口にしない>
 胃腸を冷やせば、体の芯が冷えるに決まっています。免疫機構が異常に反応し、症状をひどくします。喉が渇いたら熱いお茶を少しだけ飲む、食事は熱い物だけにする、と良いです。気温が低い日は、昼に熱いうどんかソバ、夜は鍋物がおすすめです。

<腹八分で、体を温める食品を>
 満腹にすると、血液が消化器系統へ集中し、免疫系統への血流がおろそかになります。努めて腹八分に、出来たら腹七分に。可能なら、もっと少なくしても良いです。動物は、病気したら、飲食を断ちますから、少しはこれを見習いたいものです。
 そして、食品選びが重要です。体を温める食品を取り、体を冷やす食品は避けたいです。「温冷食品表」は、ネット検索すれば出てきますが、全ての食品がきれいに温冷に区分けされるものでもなく、また、調理法で変わってきますから、下記の基本的なことを重視してください。
・ 肉は「温」ですが、偏食すると腸内環境を悪くし、かえって免疫バランスを大きく崩す元になり、花粉症改善には逆効果になります。
・冬野菜は、皆「温」です。火を通せば、より「温」に。キュウリ、トマト、ナスなどの夏野菜は皆「冷」ですが、火を通せば「冷」はかなり殺せます。でも、冷蔵庫が普及する以前の時代には、冬や春にはこれらは食べませんでした。やはり、旬の物を食べたいですね。
・熱帯産の果物は極端な「冷」。北で採れるリンゴも「冷」。つまり、果物は皆「冷」。朝の果物ジュースは最悪です。どうしても食べたいなら、煮たり蒸したりして火を通せば、「冷」はかなり殺せます。
・「しょうが湯」を飲むと体がぬくまりますが、これは「乾燥しょうが」を用いているからで、「生しょうが」は解熱作用が強く、だめです。火を通しても「冷」はあまり殺せません。
・牛乳、コーヒー、そしてこの時期に集中するチョコレートも「冷」です。なお、日本人の90~95%の人は乳糖不耐性(乳糖消化不能)で、牛乳はトラブルの元になるだけですから、飲まない方がよいです。

<助っ人、滋養強壮生薬「刺五加(しごか)」>
 極寒の地、シベリア産の薬用人参「刺五加」(別名:エゾウコギ)は、体をぬくめる王様です。これを配合した漢方薬が花粉症の強力な助っ人になります。小生の妻も娘もひどい花粉症ですが、これのお陰で症状がうんと改善されますから、皆さんにも、おすすめ!

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