薬屋のおやじのボヤキ

公的健康情報にはあまりにも嘘が多くて、それがためにストレスを抱え、ボヤキながら真の健康情報をつかみ取り、発信しています。

菜種油、水素添加植物油など数種類の植物油脂は有害作用を示す(各種研究報告編)

2019年12月30日 | 正しい栄養学

菜種油、水素添加植物油など数種類の植物油脂は有害作用を示す(各種研究報告編)

 2019.12.19に投稿した「脂肪摂取基準P/S比は真逆。動物脂肪を増やし、植物油を減らすべし。」のなかで、「菜種油、水素添加植物油など数種類の植物油が、VK2-オステオカルシン・リンクを阻害して、糖尿病などを増やす」、「いまだ原因物質は特定されていませんが、その未知微量因子の毒性は極めて強いものがあり…」と紹介し、2019.12.12に投稿した「水素添加植物油脂はトランス型脂肪酸以外の毒物により食用に不適です」のなかで、「(水素添加植物油脂にあって)VK2-オステオカルシン・リンクを阻害する原因物質としては、植物油の水素添加の過程で副生するジヒドロビタミンK1が特定されており…」と紹介しました。
 そして、「菜種油、水素添加植物油など数種類の植物油」とは具体的にどんな油なのか、については2019.12.30に投稿した「菜種油、水素添加植物油など数種類の植物油脂は有害作用を示す(総論及び用語解説」で紹介しました。
 本稿では、こうした植物油がどのように有害作用を示すのか、について、引き続き下記の参考文献から幾例かを紹介することとします。
(備考)本稿で、幾つも専門的な用語が出てきますが、その用語解説は前稿の後段で示しましたので、参照なさってください。

参考文献:2019.9.8 発刊「日本人は絶滅危惧民族 ー誤った脂質栄養が拍車ー 」
<裏表紙:糖尿病 慢性性腎炎 骨折 脳・心血管病 認知症 少子化の予防を目指して>
(日本脂質栄養学会 食品油脂安全性委員会 糖尿病生活習慣病予防委員会 編著者:奥山治美)
※この「日本脂質栄養学会」は信用が置けるか否かですが、これについては下記の記事で小生の受け止め方を書いています。ポイントとなるのは「利益相反開示」です。
 久しぶりに本を買い、食の見識を新たにする

(参考:本書の巻頭における「書評」富山大学名誉教授浜崎智仁より抜粋) 
「植物だから安心・安全・体に優しい」とは単なる迷信だ。植物にはありとあらゆる毒があり、食べられる物は限られており、「野菜(あるいは果物)」と称し区別されているくらいだ。ちなみに「野動物」という言葉はない。動物の肉が安全なためだ。また和漢薬の大部分は植物由来で、いわばその毒性を利用して薬としている。(2019年7月)

 これより、菜種油、水素添加植物油など数種類の植物油がどのように有害作用を示すのか、について、数多くの研究報告の中から小生の独断と偏見で数項目を抜粋し、それを紹介することにします。

(P.33)脳卒中易発症性ラットに対する寿命短縮作用
 この分野は、油脂の長期投与の結果を評価する研究から始まった。…このラットの系統に種々の油脂を10%含む普通飼料(油脂含量は24%E(エネルギー%)であり、日本人の平均的な油脂摂取量27%Eより少ない)を離乳期から自由摂取させると、生存期間(寿命)に大きな差が認められた。…大豆油や菜種油を部分水素添加するとトランス脂肪酸とジヒドロビタミンK1が作られるが、このジヒドロビタミンK1はVK2-オステオカルシン・リンクを阻害するので…、これが寿命短縮活性の本体の一つであると解釈できる。

(P.40)脳卒中易発症性ラットの寿命を短縮する因子ーージヒドロビタミンK1および未同定の有害因子
 菜種粕は家畜や養鶏、養殖漁業などのタンパク源として重要である。しかしその毒性のため、有害物質の含量を大幅に下げたといわれるダブルロー型菜種(カノーラ菜種)の場合でも、家畜などに与えうる菜種粕の量には上限が定められている。
…(有害作用を示す物質の候補は幾つかあるが)これらのどれが…作用を示しているのか、あるいは複数の成分が相乗的・相加的に働いている結果かもしれない。多くの生薬・天然物の場合は、成分を分けてゆくと活性がみられなくなることがある。有効成分が確定していない場合の毒性学的な扱いは、単純ではないかもしれない。しかし、多年にわたって異なる企業で、また異なる国で生産された菜種油に共通の毒性が認められる以上、菜種油を一つの物質としてその栄養評価を行うことができる。

(P.34)カノーラ菜種油が大豆油にくらべ、オメガ6/オメガ3比が低いにもかかわらず種々の有害作用を示すという動物実験の結果は、国内の複数の研究室、カナダ保健省の研究所(Health Canada)のほか、韓国やブラジルなど複数の研究室から報告されている…。報告されている主な有害作用として、脳卒中、腎障害、血小板数の減少、男性ホルモン低下、糖尿病発症、骨粗しょう症促進、脳機能(行動パターン)の変化などがある。…(コレステロール低下剤の)スタチンの副作用と驚くほど似ているが、スタチンとこれら数種の植物油脂に共通の作用メカニズムが存在するからである…。

(P.37)カノーラ菜種油と水素添加大豆油の有害作用は、VK2-オステオカルシン・リンクの重要な役割ーー数種の植物油は、このリンクを阻害して多くの有害作用を示す
 ビタミンK2(VK2)を補酵素とする酵素は、オステオカルシン(骨髄)やマトリックスGlaタンパク(軟組織)をγ-カルボキシル化して組織に蓄積する。これらのタンパクは、十分に活性化されるとカルシウムやリン酸を保持し、組織の石灰化(異所骨形成)を抑える。
 マウスをあらかじめ異なる油脂を含む餌で飼育し、脚部(異所)に骨形成タンパク(BMP)を含む徐放性カプセルを移入した(資料19)。VK2-オステオカルシン・リンクが働いている大豆油群では異所骨形成は抑えられているが、カノーラ菜種油と水素添加大豆油ではそのリンクが阻害されており、異所骨形成が4倍ほどに増えていた。実際、オステオカルシンの活性型/不活性型の比は、大豆油群に比べカノーラ菜種油と水素添加大豆油で有意に低かった。

(P.41)カノーラ菜種油の毒性とそのインパクトーー毒性学的評価
 カノーラ菜種油の毒性成分は未同定である。また水素添加大豆油の中の有害物質はジヒドロビタミンK1のほかにも存在する可能性がある。このような場合、カノーラ菜種油として、また水素添加大豆油として毒性評価をすることになる。すなわち動物に与える用量を下げてゆき、脳卒中易発症性ラットの寿命を短縮しない無毒性量から耐容一日摂取量(TDI値)を求め、現在、日本人が平均的に摂取している量がTDI値の何倍にあたるかを求めることにした。
 最近、植物油脂の精製過程で副生する3-MCPD(3-モノクロロプロパンジオール)という物質の毒性(腎臓、精巣)について、国際的な専門家会議(FAO(国連食糧農業機関)/WHO世界保健機関))で議論され、わが国の省庁もそれに参加している(資料22)。動物実験における無毒性量から不確定係数を乗じ、耐容一日摂取量(TDI値)が求められ、現在の摂取量(暴露量)がTDIの何倍になっているかという比が、安全性・毒性の指標として使われる。

(P.36)高オレイン酸植物油脂の脳卒中促進作用と精巣毒性
 …脳卒中易発症性ラットのモデルでは予想に反し、高リノール酸(多価不飽和脂肪酸)型の紅花油やひまわり油に比べ、高オレイン酸(一価不飽和脂肪酸)型の紅花油やひまわり油が、寿命を大幅に短縮した(Okuyama H,2007)。一方、オレイン酸含有量の高いカノーラ菜種油に比べ、バターやラードのようなオレイン酸含有量が高い動物性脂肪には寿命短縮作用がみられないことから、これら植物油の高オレイン酸型への転換(変異原物質による処理後の選別による)に付随して、脳卒中促進因子が生成した可能性が高い。この点で、遺伝子組み換え(農薬耐性)により得られた高オレイン酸大豆油の動物に対する安全性については興味がもたれていた。
 最近、El-Kholyら(2015)が成熟雄SDラットへの65日の給餌試験の結果を報告した。実験条件が明確に記述されておらず疑問点がいくつかあるが(資料18)、高オレイン酸大豆油の精巣毒性が明確に示されている点で興味深い。遺伝子組み換え高オレイン酸大豆は安全性が確保されたという国の判断から、わが国では流通が承認されている。食用油としては流通しているかどうかわからないが、安全性に関する基礎研究(動物への給餌実験)がほとんどなされていない。この報告(El-Kholy 2015)でオリーブ油の栄養効果は、他の研究結果から予測されるものと合わず、産業界から独立している研究者による再現性のチェックが必要と考える。残念ながら、高オレイン酸大豆油は安全性研究用にも入手できていない。現在の法律では、加工食品に混ぜられた高オレイン酸大豆油はその旨の表示が必要とされないので、日本人がこれをどの程度摂取しているかは、わからない。

(P.74)数種の植物油脂による精巣機能障害
 カノーラ菜種油や水素添加植物油は…脳卒中易発症性ラットでは精巣テストステロン含量を半減させ、血漿テストステロンレベルを有意に下げた(資料56)。仔(二世代目)の生存率にも影響することが明らかになり(Tatematu K,2004)、カノーラ菜種油や水素添加植物油が環境ホルモン作用を持っていた。その影響(摂取量/許容一日量の比)は、いわゆる最強の環境ホルモンといわれているダイオキシン(四塩化物体)より、二桁ほど高いと計算されているが(資料22)、関連する企業・行政・学会はこれらの報告を無視したままである。

(P.77)血中テストステロンレベルと病気との関係
 カノーラ菜種油や水素添加植物油は、VK2-オステオカルシン・リンクを阻害して血漿や精巣のテストステロンレベルを大幅に低下させた(資料56)。この阻害が人でも起こっている可能性は、血清テストステロンレベルと癌死亡、心血管病死および総死亡との間に負の相関があることからも明らかである(資料60)。…
 米国退役軍人の追跡調査では、血清テストステロンのレベルが下がるにつれて、生存率が低下することが示されている(Shores MM,2006)。かつて男性のほうが心血管病は多いので、テストステロンの高値は心血管病の危険因子であると考えられたことがある。しかし、逆であった。数種の植物油脂やコレステロール低下剤のスタチン、血液凝固抑制剤のワルファリンなどによるVK2-オステオカルシン・リンクの阻害が、テストステロン産生を抑制し、多くの病気の発症を促進していると解釈しても矛盾はない(資料20)。

(P.113)オリーブ油の毒性について
 …オリーブ油に関してはさらに壁(国際オリーブ協会)が厚く、安全性の問題がマスクされています。脳卒中促進作用がカノーラ菜種油と同程度に強い(Ratnayake WM,2000a;2000b:Tatematu K,unpublished)、発癌促進効果が異常に強い(Onogi N,1996、資料88)などの有害作用が報告されており、そのメカニズムもVK2-オステオカルシン・リンクの阻害と関連付けられます。
…オリーブ油学者がこれら既報の有害作用を無視し、本書で否定しているコレステロール低下作用を標榜することは、科学的ではありません。そして、オリーブ油消費の高い国・地域に、人口減少が激しく…、認知症有病率が高く…、低体重出生児が多いのです…。ただし、これらは菜種油消費国の日本にも共通しており、これまでの誤った脂質栄養指導が主因の一つです。

(P.98)有害作用を示す数種の植物油脂に対する対策
 …一時も早く、日本脂質栄養学会の推奨する脂質栄養への方向転換が必要であることを理解されるよう切望する。企業や油糧種子輸出国の利益追求の強大な圧力があると推測されるが、すでに欧米では着実に対策が進んでいるように見える。
 化石燃料を再生可能エネルギーに変える努力が世界的になされている。脳卒中促進・環境ホルモン作用などを示す数種の植物油脂をバイオ燃料やプラスチックなど工業用に転用する。先進国ドイツやフランスでは、消費菜種油の63%がバイオディーゼル用に使われている(Wikipedia,2018)。そして米国では、菜種油をプラスチック原料とする工場の規模拡大を目指している(Arnason R,2019
)…。日本の場合、飼料としての粕が必須であれば、独、仏でみられるような有害な植物油脂を食用ではなく非食用へ展開することが、人口減少国に転落しない一つの要因であると解釈できる。
(引用ここまで)

 いかがでしょうか。随分と恐ろしい「数種類の植物油脂」(市場流通規模からすると過半の油脂が、となります)です。
 ところで、本書は、その表題が「日本人は絶滅危惧民族 ー誤った脂質栄養が拍車ー」となっており、研究報告の資料解析に、その多くを「少子化、不妊、自殺率上昇など」に費やしています。これについては本書を購入してご覧いただくとして、本書のまとめの最後で次のようにくくっています。前稿と重複しますが、ここに再掲し、本書の紹介をこれにて閉じることとします。

 …本書では、「植物油脂/動物性脂肪の摂取比率を上げ、コレステロール摂取量を減らす」という過去半世紀に国際的に権威のある機関から発信されている誤った脂質栄養指導が、“こころ”と“からだ”を障害する結果となり、少子化、人口減少の一因となっているとする医療仮説を提起した。…われわれの医療仮説は、因果関係を示す多くのメカニズム研究とそれに合う観察医療(臨床)に基づいているが、ランダム化比較試験のデータがないことから仮説とした。しかしこの医療仮説以外に、少子化、人口減少をもたらしうる自然科学的要因は報告されていない。ストレス仮説があるとしても、その定量性と実験的根拠に乏しい。
 …本書で提唱する脂質栄養の実践においては、おおきなコスト増を伴うわけではない。①有害作用のメカニズムが分かった数種の植物油脂を食用ではなく工業用に転用し、②安全性の高いことが明らかにされている植物油の供給を増やし、③誤った脂質栄養学で食環境から避けられるようになった動物性脂肪を、過剰摂取(肥満)にならない範囲で食用に利用することである。…

コメント    この記事についてブログを書く
« 菜種油、水素添加植物油など... | トップ | 二十四節気をさらに3分割し... »

コメントを投稿

正しい栄養学」カテゴリの最新記事