薬屋のおやじのボヤキ

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24節気の健康と食養:立夏から小満まで

2024年05月04日 | 24節気の健康と食養

 24節気の健康と食養:立夏から小満まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 立夏 初候 蛙始鳴(かわず はじめて なく)蛙が鳴き始める
    次候 蚯蚓出(みみず いづる)蚯蚓が地上に這出る
    末候 竹笋生(たけのこ しょうず)筍が生えて来る

 穀雨の次にやってくる24節気が立夏です。毎年5月5日頃(2024年は5月5日)になります。立夏は夏の始まりです。
 野山では既に新緑真っ盛りになり、天気がいいと日中は汗をかき、暑さを感ずるほどになります。この時期は新暦ではまだ春ですが、紫外線が強くなってジリジリとした太陽光線で日焼けするようになりますから、季節はもう夏として実感できましょう。
 人の体は、新陳代謝を活発にする春の態勢から、元気よく動き回る夏の態勢へと生理変化します。春:肝の季節(厳密には春の土用:脾の季節を経由)から夏:心の季節への生理変化です。
  これを踏まえた夏の食養生法を下記の記事で紹介しています。参照なさってください。
  
立夏は夏の入り、五味を上手に夏食に。先ずは「心」が求める苦味です。

 なお、以下の記事は、その一部を重複して紹介します。
 ここでは、夏の始まりである立夏から小満までの養生について、まず、この時節として特徴的なものを一つ紹介することにしましょう。
 中国伝統医学(中医学)では、「立夏からの養生は、当然のことながら心に重きを置きます。気温がだんだん上がるにつれ、人は心理的に落ち着かなくなります。したがって、立夏の節気は心を静めるように調節すべきです。心を穏やかにし、常に微笑を忘れず、怒りを抑え、自分の心が穏やかになること、例えば趣味を楽しんで情緒を養い、心を伸びやかに保つことです。また、適度な昼寝をするのも体の健康に良いです。」と言っています。
 9月始まりの中国に対して日本の場合は4月始まりですから、日本ではこうした季節特有の生体反応に適切に対処させられるほか、新年度が始まって特に新入社員は生活環境の激変による異常な心の反応にも対応を迫られ、尋常ではない緊張感、不安感に襲われることも多くなります。その結果、日本では五月病が発生するのです。
 その対処法については、「日本に特有の五月病、その予防法・改善法」に詳細を記しましたから、そちらをご覧になってください。

 この時期、朝はすがすがしさを満喫できます。起きたら外へ出てお日様に当たり、簡単な健康体操をしてみませんか。前回「穀雨」のときにもお勧めしましたラジオ体操あたりが一番ですが、少なくとも次の“体操とは言えないほどの体操”であっても、精気がみなぎってきますよ。
 それは、西原克成先生が推奨しておられる「深呼吸=鼻呼吸体操」です。
 これの効果には、おまけがあります。女性の尿漏れ改善にも効果が大有りです。


(備考)西原先生の著「究極の免疫力」(P.127)の原文は、次のとおりです。
 「…腰を伸ばして姿勢を正し、バンザイをして唇と尿道と肛門をぴたりと閉鎖し、上下の歯を1ミリ開けて、横隔膜を頭側につりあげ、同時に胸一杯に肺を拡大します。…呼気のときには、横隔膜をゆるめて重力にしたがっておろすだけです。」

 なお、これも前回に書きましたが、朝日に当たると「幸せホルモン」セロトニンの分泌が促され、精神が安定し、気分が穏やかになり、幸福感が湧き上がってきます。
(参照)「幸せホルモン」セロトニンと「睡眠ホルモン」メラトニンを十分に出す生活習慣を

 食養について、立夏から小満までの特徴的なものを2つ紹介することにしましょう。
 一つは
フキが旬です。市場では既に4月から出回っていますが、これからが本当の旬です。フキは初夏を代表する野菜で、その苦味が心を癒してくれます。おおいに食したいものです。なぜ苦味がいいかは、のちほど説明します。
 もう一つが露地物のイチゴです。立夏を過ぎると熟し始め、小満の頃にピークを迎えます。暑い日は、まだ体が十分に順応できず、体に熱がこもりがちになりますから、体を冷やしてくれる果物が欲しくなります。それに最適なのが旬のイチゴです。

 フキ以外にこの時期に入手が容易な露地もの野菜で旬のものとなると、エンドウは終わりがけとなっていますが、レタスがあります。レタスは通年出回りますが、本来は初夏が旬のものです。夏野菜は、できれば生食するのが望ましいですから、暑くなれば野菜を生で食べたいものです。

 立夏から心の季節になりますから、5つの味「五味」についても頭に置いといてください。漢方では、五臓のバランスを整えるため、夏は<主・苦味、従・辛味、添・甘味>この三味の組み合わせを最適としています。料理は、この三味を頭に置いて行っていただきたいものです。
 立夏から小満までの初夏にふさわしい料理としては、やはりフキの煮物でしょう。少々甘味をつけ、辛味としては山椒の若葉がベストです。

 次回は、「小満」(5月20日頃)からの健康と食養です。

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立夏は夏の入り、五味を上手に夏食に。先ずは「心」が求める苦味です。

2024年05月04日 | 漢方五季の食養

立夏は夏の入り、五味を上手に夏食に。先ずは「心」が求める苦味です。

 5月5日頃が立夏(2024年は5月5日)で、この日から夏に入ります。
 “春たけなわ”なんてとんでもない。春はとっくに過ぎています。4月16日頃に終わっていて、立夏の前日までは「春の土用」です。
 これは、中医学(漢方)の捉え方ですが、人の健康を考えると、これが正解でしょう。
 季節を単に外気温だけで判断しては間違いの元です。というのは、人を含め動物のみならず生き物は、日照時間などで季節を先取りし、生体反応を示すからです。
 春夏秋冬は、通常考える時期より約1か月前倒しして始まり、ほぼ真ん中で終わってしまって、その後の半月強は季節の変わり目と考えましょう。
 さて、夏は、立夏から始まり、7月19日頃(大暑の約4日前)で終わります。そして、7月20日頃の「夏の土用の入り」から8月7日頃(立秋の前日)までが「夏の土用」となります。
 ところで、梅雨がない地域が大半の中国大陸に対して、日本は北海道を除いて梅雨があります。夏(立夏から)が始まって1か月少々で梅雨入りし、夏の土用の入り頃まで続きます。この梅雨時の健康法となると、中国大陸の主要部の夏とはけっこう様相を異にしますから、それとはどれだけか違った健康法を取らねばならないでしょう。
 これについては、別ページで示しましたので、そちらを参考になさってください。
  梅雨時の健康法は「湿熱」疾病と「冷たい物中毒」の合併症からの脱却

 ここからは一般的な夏について解説します。
 
立夏を過ぎれば、屋外で仕事をするとなると、日中は大変な暑さを感じ、かなりの汗をかきます。これが正常です。汗はかきたいものです。老廃物は、尿として全てを排出するのは不可能でして、汗腺からしか排出できないものもあるからです。
 そして、夏は早々に日が昇り、日が落ちるのも遅く、活動時間が長くなります。夏至は夏のほぼ真ん中に位置することから、当然にそうなります。
 そうなると、血液循環が他の季節よりずっと多くなりますから、心臓の活動が必然的に高まります。つまり、夏は心臓の季節なのです。
 心臓はそれを心得ていて、活発に働いてくれるものの、炎天下での重労働が続けば、当然にオーバーヒートしてしまいますから、心臓を労わってあげねばなりません。
 特に、現代人は飽食がもとで動脈硬化を起こしていることが多く、血圧が高めの傾向にありますから、心臓は年中疲労気味で、要注意です。

 そこで、本題の夏食ですが、漢方の世界では五味に注目します。酸味、苦味、甘味、辛味、塩味の5つです。これは、季節(春、夏、土用、秋、冬の5つ)と、主要臓器(肝、心、脾、肺、腎の5つ)に、それぞれ対応しています。春は酸味で肝、夏は苦味で心、土用は甘味で脾、秋は辛味で肺、冬は塩味で腎です。なお、脾は消化の要で、胃と考えていただいてけっこうです。
 さて、夏は心の季節で、心臓が重要な働きをしますから、心臓を労わるために心が求める苦味を補ってあげる必要があります。
 近年、大変注目されるようになった沖縄の苦瓜「ゴーヤ」、まだ時期は早いですが夏にベストな食材となります。それ以外に苦いものなら何でもけっこうです。例えば立夏頃に旬となるフキがあります。
 なお、半世紀前(小生が子供の頃)のキュウリは頭のほうが苦かったのですが、近年は品種改良されて全然苦くありません。キュウリは単に体を冷やすだけの野菜になってしまい、実に残念です。もっとも、そう思うのは小生が年を食ったからの話で、子供の頃はキュウリの
頭のほうは苦くて食いたくないと捨てていましたが、これは、子供の場合は心臓も若くて元気ですから格別に苦味を求めず、そういう反応を示すのでして、現代の子供も通常は同様な嗜好を示します。これが正常です。もし、子供が苦いものが美味しいと言い出したら、心配せねばなりません。この子の心臓は老けてしまったんだと。

 年を食って高齢者になった小生ほどの年齢に至らなくても、厄年を過ぎればたいていは苦味を求めるようになります。これは、心臓の弱りもありますが、胃が疲れると苦味が健胃薬として効くことも一因しています。先の子供の例もストレスから来る胃の弱りが原因かもしれません。あるいはその両方かも? そうなると恐ろしいことです。
 いずれにしても、年を重ねると苦味の強いものを求める傾向が出てきます。
 特にこの時期、暑さと発汗の両方から、晩酌には苦味の利いたビールがことの他うまいと感じます。(ただし、冷えたものは厳禁。このブログの「暑くなった5月半ば、“冷たい物中毒”から脱却するチャンス!」を参照ください。)

 かと言って、苦味のあるものばかり摂取していると、食味が偏りすぎて、苦味を嫌う肺にダメージを与えます。そのために肺を守る辛味を加える必要があります。そして、甘味をどれだけか添えるとベストです。何事もバランスが肝要ですからね。
 夏は<主・苦、従・辛、添・甘> この三味の組み合わせを知っておいてください。
 ビールのツマミには、第1にピリッとしたものを、第2に甘味のあるものを、ということになります。ここで言う甘味は饅頭やケーキではありません。それは直ぐ後で述べます。

 この三味を組み合わせたお勧め料理で真っ先に挙げられるのが、皆さん良くご存知の、そうです、ゴーヤチャンプルということになります。
 ゴーヤの苦味、コショウなり唐辛子の辛味、そして隠し味としてみりんで甘味を添えると、コクが出て美味しくなること請け合いです。
 なお、漢方の味学では、豚肉や卵など動物性たんぱく質を甘味食材と考えます。
 よって、夏は、甘味は添えるだけのものですから、豚肉や卵はスタミナが付くからといってドッサリ入れるのではなく、脇役の存在とすべきでしょう。
 なお、ビールのツマミにサラミやビーフジャーキが合いますが、これらは甘味食材ですから、ちょっとだけにすると良いです。

 4つ目の味である酸味は、この時期、ほどほどであれば何ら問題ありません。
 夏に避けねばならないのが、最後に残った5つ目の塩味です。
 塩気が多いと心臓に悪いです。というのは、塩は体温を上げる力を持っていますから、塩分を摂りすぎると、夏季は内外から体熱を上げることになり、熱が体にこもってしまうからです。
 汗をかいて塩分が抜けますから、体は塩気を求めたくなりますが、調理は少々薄味ぎみ(ただし、減塩のし過ぎはかえって問題がでますから、塩辛くない程度であれば特に問題なし)にしたいものです。薄味では我慢できない(ある程度塩味が利いたものが欲しい)という方には、天然塩で味付けなさってください。天然塩に含まれる“にがり”
の苦味が心臓に良いですから、少々塩気が多くてもその害を打ち消してくれましょう。

 夏は<主・苦、従・辛、添・甘>三味の組み合わせを意識しながら、酸味で変化をつけ、塩味を控え気味にするという調理をしていただければ、健康的な食生活となりましょう。
 なお、夏野菜が旬の食材として登場してきます。大いに食していただきたいものです。どれも体を冷やす食品で、内にこもった熱を取ってくれます。
 ただし、クーラーの利いた職場で長く仕事をなさっておられる方は、体が冷えていることでしょうから、夏野菜は生食せず、火を通して、冷を弱めてお召し上がりください。
 また、冷えを強く感ずるようなら、体温を上げてくれる塩味を利かせるのも手です。

 こうした冷え症体質の方は、体内温度が低い低体温症のことが多いですから、ぬるめの湯に長く浸かり、体内温度を上げてあげましょう。そして、湯上がりには冷水シャワーで皮膚を引き締め、体熱を逃がさないようにします。
 暑くなってきたこの時期からの健康法として、どなたにもおすすめなのが「冷水シャワー」です。湯上がりにたっぷり冷水シャワーを浴びると、気分まで爽快となり、精神的ストレスも流しとってくれますよ。→ …始めましょう、冷水シャワー。万病に効果あり。… 

(追記)
 ところで、夏は長いです。そこで、「24節気」ごとの健康と食養について紹介しています。併せてお読みいただければ幸いです。
 24節気の健康と食養:立夏から小満まで
 24節気の健康と食養:小満から芒種まで

 24節気の健康と食養:芒種から夏至まで
 24節気の健康と食養:夏至から小暑まで
 24節気の健康と食養:小暑から大暑まで
 24節気の健康と食養:大暑から立秋まで(夏の土用)

五行配当表
(下図) 各ブロックの端に味が表記されています。
     
 「水」・「冬」のブロックの左端が味の「鹹」ですが、塩のことです。

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ほどよくわがままに生きる(三宅薬品・生涯現役新聞N0.351)

2024年04月25日 | 当店毎月発刊の三宅薬品:生涯現役新聞

 

当店(三宅薬品)発行の生涯現役新聞N0.351:2024年4月25日発行

表題:ほどよくわがままに生きる

副題:小笠原文雄医師の新刊「大往生のこつ」。その前書きを紹介します

(表面)↓ 画面をクリック。読みにくければもう1回クリック。以下同様です。

   

(裏面)瓦版のボヤキ

    詐欺にひっかかる人、ひっかからない人

   

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24節気の健康と食養:穀雨から立夏まで

2024年04月18日 | 24節気の健康と食養

24節気の健康と食養:穀雨から立夏まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 穀雨 初候 葭始生(あし はじめて しょうず)葦が芽を吹き始める
    次候 霜止出苗(しも やんで なえ いづる)霜が終り稲の苗が生長する
    末候 牡丹華(ぼたん はな さく)牡丹の花が咲く

 清明の次にやってくる24節気が穀雨です。毎年4月20日頃(2024年は4月19日)になります。穀雨の語源は「春雨降りて百穀を生化すればなり」と言われたことによるようです。百穀といっても中国のことですから麦が中心で、秋に種をまいた麦類の生長を助ける雨のことで、麦は穂が出て実を着けるようになる、というものです。

 なお、穀雨の季の終わり頃に八十八夜がやってきます。立春を起算日(第1日目)として88日目で、5月2日頃になり、次の節気である立夏の3日ほど前になります。
 八十八夜は日本独自の雑節の一つで、「♪夏も近づく八十八夜…」の唱歌で有名ですが、「八十八夜の別れ霜」と言われるように、山間地では遅霜が発生する最終の時期になります。そして、この
日に摘んだ茶葉は上等なものとされ、茶摘を行うイベントが催されるようになりました。

 穀雨を過ぎれば新緑真っ盛りで、日によっては汗をかき暑さを感ずるほどになります。歌にあるとおり「夏も近づく」という感覚に至ります。
 実はこの時期は「春の土用」に当たります。「春の土用」は、
穀雨の3日ほど前から立夏の前日までです。春と夏の季節の変わり目である「春の土用」です。
 よって、『
24節気の食養:穀雨から立夏まで』は、投稿済みの次の記事と大きく重複しますから、これをご覧ください。
 春の土用がやってきました。食事の内容も変えたほうが良いです。

 この記事で触れなかったことについて、ここで記すこととします。
 この時期は、目まぐるしく「肝」→「脾」→「心」と働きの中心が移る「脾(=消化吸収の要)」の時期に当たり、また、年度替りしたばかりですから、心身ともにあわただしくなっています。
 こうしたことから、精神も不安定となり、人によっては挫折感を味わったり、落ち込んだりと、五月病の前触れ症状が出てくることが多くなり、朝起きて“今日は出勤したくないなあ”という滅入った気分になることも往々にしてあることでしょう。
 これは、五月病の黄信号かもしれません。
 そこで、お勧めなのがラジオ体操です。朝の日射しを浴びながら、ラジオ体操を第1だけでいいですから、都合のいい時間にマイペースで行ってみてください。
 これによって「幸せホルモン」セロトニンの分泌が促され、精神が安定し、気分が穏やかになり、幸福感が湧き上がってきます。
(参照)
「幸せホルモン」セロトニンと「睡眠ホルモン」メラトニンを十分に出す生活習慣を 

 食養に関して、旬の野菜を一つ紹介します。
 この時期に入手が容易な露地物の野菜となると、その代表は、何と言っても「絹さや
エンドウ」です。皆さんも旬のエンドウをお召し上がりください。
 エンドウは晩秋に発芽し、小さな草で冬越しした、たくましい野菜です。暖かくなってグングン生長し、花を咲かせ、気候が平年並みであれば、ちょうど概ねこの期間中に収穫できます。ただし、絹さやエンドウの実り方は4月の気温と日照に大きく左右されますし、ピーク時に気温が高くなりすぎると一気に食べ頃のものばかりとなり、アッという間に終わってしまい、栽培農家泣かせの作物です。もし、生鮮野菜売り場に山積みになっていましたら、ぜひ買ってあげてくださいね。

 次回は、「立夏」(5月5日前後)からの健康と食養です。

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春の土用がやってきました。食事の内容も変えたほうが良いです。

2024年04月15日 | 漢方五季の食養

春の土用がやってきました。食事の内容も変えたほうが良いです。

 24節気の穀雨(4月20日頃)の3日ほど前に春の土用に入り、立夏(5月5日頃)の前日までの18日間程度が春の土用です。春と夏の季節の変わり目です。
 2023年は、4月16日~5月4日までが春の土用となります。
 この時期、野山は新緑で覆われだし、春本番がやってきたと感ずるのですが、ゴールデンウイークには暑さを感ずるほどの日がありますから、やはり、季節の変わり目と捉えるべきでしょう。特に農作業においては、この時期に夏野菜の苗の植え付けが集中的に行われ、好天であればたっぷりと汗をかくことが多いです。でも、雨が降れば気温がグンと下がり、小寒い日もあります。

 漢方の世界では、季節の変わり目である土用は、春夏秋冬を問わず、脾(ひ)の季節です。五臓(肝、心、脾、肺、腎)のうちの脾で、これは、脾臓を意味するものではなくて「消化吸収の要となり、水分代謝を調節する役割を担う働き」を指します。強いて臓器に当てはめれば「膵臓」となりますが、その膵臓は脾臓の隣にあり、近代になってから細かく臓器を命名する中で、本来は「脾臓」と命名すべきものを「膵臓」としてしまったのでしょう。なお、脾に密接に関係する腑と呼ばれる臓器(腑:胆、小腸、胃、大腸、膀胱)は胃ですから、脾は胃と捉えていただいても良いです。

 春の土用は、体感する寒暑の差が激しく、「消化吸収・水分代謝」に気を付けなければならない季節となります。
 なお、年に4回訪れる土用の時期は、農作業において土を掘り返すことが多くなり、土中の湿気を浴びて、水分代謝を難しくすることにもなります。
 こうしたことからも、土用は、脾の季節になっているのです。

 季節の変わり目、つまり土用に体調を崩しやすいのは、脾が担っている「消化吸収・水分代謝」が円滑に行われないからです。
 その原因の一つとして、春は本来なら少食・断食の季節なのですが、その春に飽食したがために脾や胃が弱っているところへ、暖かくなり活動的となって食欲が増し、脾や胃に負担がかかり過ぎたことが挙げられます。
 よって、消化に負担がかかるものを避け、湿気を取り除くことが第一になります。つまり、食べ物は良く噛んで食べ、体を動かし、ほどほどに汗をかき、水分補給は控えめにせねばなりません。

 脾の働きを良くするための食べ物はとなると、これは、年中言えることですが、第一に、この時期の旬のものを優先して食べることです。
 特に、大自然が育んでくれた天然の野草、山菜は、あれこれ少しずつ食べたいものです。各種ミネラルをはじめ有用な物がぎっしり詰まっています。ただし、灰汁(あく)の強いものが多く、同じものを一度に大量に食べるのは控えねばなりません。

 脾が欲しがるものは、甘味です。でも、砂糖をなめるのは禁物。使っても粗製糖を少々です。ほのかな甘味のあるものをメインにしたいです。ご飯(米)も甘味食材です。良く噛めば甘味が感じられますよね。
 でも、甘味が強すぎると腎を痛めますから、腎が求める塩味を少々足しこみます。これに辛味を添えれば、より良くなります。なお、苦味は、ほどほどであれば気にすることはありません。
そして、春に必要であった酸味は、脾(特に胃)に負担をかけますから控えめにする必要があります。甘夏や夏みかんを食べるのは、これで終わりにしたいです。
 
 今回も五味(ごみ)を登場させましたが、これは日本料理の調理法の基本になっています。隠し味と呼ばれるもので、甘い料理や菓子には塩味を少々足し込み、ピリッとするワサビ、ショウガなどがさりげなく添えられています。
 こうすれば、砂糖をあまり使わなくても甘味が引き立ち、とても美味しい料理が出来上がるのです。味覚が鋭敏であれば自然に臓器が欲しがる味を求め、それを美味しく感ずることになるのです。 
 前回と同様に、春の土用には、こうした調理法を頭において、食事を作っていただけると、体全体の臓器のバランスを整えることができます。
 土用の三味は、<主:甘味、従:塩味、添:辛味>です。
 なお、力仕事を毎日行い、ご飯をもう1杯おかわりしたい方は、おかずにキムチでもいかがでしょうか。
これで土用の三味が調います。ところで、キムチに多少の酸味がありますが、酸味ゼロでは臓器のバランスも崩れますから、少しはあってよいのです。

五行配当表
(下図) 各ブロックの端に味が表記されています。
     
 「水」・「冬」のブロックの左端が味の「鹹」ですが、塩のことです。

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