薬屋のおやじのボヤキ

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歴史に学ぶ胃のいたわりかた(三宅薬品・生涯現役新聞N0.354)

2024年07月25日 | 当店毎月発刊の三宅薬品:生涯現役新聞

当店(三宅薬品)発行の生涯現役新聞N0.354:2024年7月25日発行

表題:歴史に学ぶ胃のいたわりかた

副題:胃は熱いものを欲しがる「溶鉱炉」であることをお忘れなく

(表面)↓ 画面をクリック。読みにくければもう1回クリック。以下同様です。

    

(裏面)瓦版のボヤキ

    下呂温泉「みのり荘」で海鮮炉端焼き

    

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24節気の健康と食養:大暑から立秋まで

2024年07月21日 | 24節気の健康と食養

 24節気の健康と食養:大暑から立秋まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 大暑 初候 桐始結花(きり はじめて はなを むすぶ)桐の実が生り始める
    次候 土潤溽暑(つち うるおうて むしあつし)土が湿って蒸暑くなる
    末候 大雨時行(たいう ときどきに ふる)時として大雨が降る

 小暑の次にやってくる24節気が大暑で、毎年7月23日頃(2024年は7月22日)になります。気温もどんどん高くなって、読んで字のごとく、暑さは大暑でもってピークを迎えるということになりましょうか。特に梅雨のある本州・四国・九州では、例年、梅雨明けしてしばらく経って大暑を迎え、梅雨明け後の1週間、10日は猛暑となることが多いです。今年はまさにそうで、大変な暑さとなりました。

 ところで漢方5季(春夏秋冬と土用)の区分では、大暑から立秋までは、夏の土用(7月19、20日頃~立秋の前日まで)と概ね一致します。
 よって、『24節気の食養:大暑から立秋まで』は、投稿済みの次の記事と大きく重複しますから、先ずはこれをご覧ください。
 夏の土用に何を食べますか。まずは「体の中の水害を防ぐ」ことから。

 これに少々補足します。
 この時期、例年、梅雨明け後の1週間ほどは猛暑にさらされ、かつ、地面の湿り気で湿度も高く、蒸し暑さがとてつもないものとなります。昼間、屋外に長時間いると、熱中症の危険が大です。その時期が過ぎれば、湿度は低下し、少し楽になります。
 昼間、暑い盛りに、体の芯を冷やしてくれるスイカがとてもおいしく感じます。でも、冷蔵庫で冷やし過ぎたスイカの食べ過ぎは「冷たい物中毒」の恐れがあり、要注意です。
 ところで、この時期には、冷蔵庫で異常に冷たくした水や茶、さらには氷を浮かべた飲み物をやたらと口にしたくなります。でも、日本よりもっと暑いアラビアやインドでは真夏は熱い湯や茶を飲むのですし、お隣の中国では若い女性も熱い湯を飲みます。日本では梅雨明け後の1週間ほどは湿度が高く、体に熱がこもって、異常に冷たい物を取りたくはなりますが、可能なかぎり控えたいものです。なんせ胃の仕事は物を溶かす「溶鉱炉」なんですから、胃袋が冷えては働くことができないからです。
 喉が渇いたときの水や茶の飲み方は、当店の生涯現役新聞No.354で「三献の茶」を紹介しました。ご参考になさってください。(
近日アップ)→ 歴史に学ぶ胃のいたわりかた 胃は熱いものを欲しがる「溶鉱炉」であることをお忘れなく

 クーラーが必須となった今日、快適な冷房も長時間あたると、体が冷えすぎてしまい、様々なトラブルが発生します。その対応策は、前々回の「夏至から小暑」の記事で書きました正しい入浴法や、前回の「小暑から大暑」記事で書きました貼るカイロの利用があります。参考になさってください。
 この時期に旬となってくるのが、真夏の果物です。露地物のスイカ、メロンが出回わります。これらは、体に熱がこもる昼間に召し上がると、熱取りとなります。そして、昼食や夕食にはトマト、キュウリ、ナスの生食をぜひ。これらも体の熱取りになります。

 大暑が過ぎた頃に「土用の丑」の日がやってきます。この日に鰻を食べると滋養が付き、夏病みしないと言われます。中国や韓国では、概ね「土用の丑」と同じ頃、その前後10日の日の3回を「三伏」*といい、1年で一番暑い時期とされ、肉料理で滋養をつける習慣があります。韓国料理の「参鶏湯」が有名です。これについては、当店新聞2016年8月号で紹介したところです。
(注)*「三伏」とは、正確には次のようになります。
 夏至から数えて3番目の庚(かのえ)の日から「初伏」が始まり、夏至から4番目の庚の日から「中伏」が始まる。そして、立秋以後の最初の庚の日から「末伏」が始まり、初伏、中伏、末伏の総称が「三伏」となる。初伏と末伏はそれぞれ10日間と日数が決まっているが、中伏の日数は年によって異なる。夏至から立秋までの間に、庚の日が4回ある場合、中伏は10日間、5回ある場合は20日間となり、「三伏」の期間は年によって30日間となったり40日間となったりする。

 寝苦しさが一番ひどくなるのもこの時期です。敷布団が背中にぴったり張り付いて、暑くって汗をかき、熟睡できません。
 よって、女房はこの時期、畳の上で寝ています。
 小生も以前はそうしていましたが、1段レベルアップして本格的な「平床寝台&硬枕利用」を2015年10月から実行しています。
厚手のベニヤ板と木枕を使い、下図のようにして寝るのです。

           

 「人は病の器」と言われるほどにたくさんの病気を抱えているのですが、背骨と首骨を正してあげると、一見無関係と思われる部位の様々な病気が治癒してしまうことがけっこうあります。整体治療がその良い例ですが、寝方一つでそれが十分に期待できるとのことで、小生も実行しているのですが、これに慣れるまでが大変です。1年は掛かりました。興味がお有りな方は、次の記事をご覧ください。
 なんと腰痛も解消!背骨と首骨を正す西式健康法「平床寝台&硬枕利用」

 次回は、「立秋」(8月8日頃)からの健康と食養です。

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夏の土用に何を食べますか。まずは「体の中の水害を防ぐ」ことから。

2024年07月18日 | 漢方五季の食養

夏の土用に何を食べますか。まずは「体の中の水害を防ぐ」ことから。 

 夏の土用の入りは7月19、20日頃で、2024年は7月19日です。そして夏の土用は、立秋の前日までの19日間ほど続きます。夏は、立夏に始まり、土用の入り前日までで、立秋からは秋になります。なお、土用は、各季節の変わり目を指し、年に4回訪れます。
 中医学(漢方)では、このように季節区分がなされているのですが、梅雨のない中国の中心部では、これでピッタシなんでしょうね。
夏の土用の入りの時期は、夏至からすでに約1か月経ち、日が昇るのが遅くなり、沈むのも早くなり、秋へ移らんとする季節だと。
 でも、24節気の大暑が7月23日頃で、暑さのピークとされている上に、日本では、この頃に本格的な梅雨明けとなり、猛暑となります。特に、本格的な梅雨明け後の1週間か10日間は、高温多湿の酷暑となります。
 ここに、中国中心部と日本とで、年平均気温が同じぐらいの地域であっても、夏の土用の季節感は、全く異質なものとなります。よって、夏の土用の健康対策も、中医学(漢方)のそれをダイレクトに採択することはできないでしょう。

 ところで、土用は、先に言いましたように、年に4回訪れ、春夏秋冬の4つの季節の間に、季節の変わり目として入っています。
 
その土用の時期は、たいていは“土”に“用”がある時期で、つまり、耕地を掘り返すことが多くなります。小生の百姓生活の経験から、そのように思われます。
 
なぜに季節の変わり目を土用と言うのか、それを明確に解説されたものを見かけないのですが、土用の季節は「土を掘り返すことで湿気を多く浴びることが多い時期であるから、体調に注意しなければならない」との言い伝えが日本国内に数多くあります。
 また、「土用の期間中
は、土の中に神様がいるから、毎日土を掘り返してはならぬ。定められた特定の日にしなさい。」という習慣も日本国内にあるようです。これは、上の言い伝えと同義でしょう。
 よって、こうしたことから、小生思うに、24節気なり季節区分や土用の設定は、そもそも農業暦から来ているのですから、“土”に“用”があるから「土用」なのだと理解してよいと考えます。そして、土用に注意すべきことは「湿気」であると。これは、農作業をするなかで、土を掘り返している最中にしゃがみこむと、むっとした嫌な湿気を強く感じますから、よく理解できます。

 さて、日本の「夏の土用」は、入りが本格的な梅雨明けと概ね重なり、1週間か10日は蒸し暑さが猛烈にひどくなります。中国中心部では、蒸すことはなくても、この時期に大暑が来ますから猛烈な暑さになり、暑さという面では一致し、やたらと水分を取りたくなりましょう。
 ところで、漢方の世界では、土用は脾(ひ)の季節です。脾は「消化吸収の要となり、水分代謝を調節する役割を担う働き」を指し、脾に密接な臓器は胃とされています。
 このことは、春の土用でも夏の土用でも他の土用でも同じです。
 よって、「消化吸収・水分代謝」に気を付けなけねばならないのは、先の春の土用と同じです。対処の仕方にどれだけかの違いが出てくるだけです。

 先ずは、梅雨以降、「湿熱」で「脾=胃」が弱っていますから、胃に負担がかからないよう、よく噛んで食べるのが第一となり、この時期にはエネルギー消耗が少ないですから腹八分としたいものです。なお、食欲も落ちていますから、おいしく食べられるものを少しずつあれこれ食べるのが良いということになりましょう。
 また、梅雨時以上に「冷たい物」を口にしたくなりますが、決して「冷たい物」を摂らないことです。その昔には、「冷(さ)めた物」も摂りすぎには要注意、と言われました。つまり、常温状態の「冷めた物」であっても胃腸に差しさわりがあると言っていたのでして、ましてや冷蔵庫で異常に冷やした「冷たい物」となったら論外なのです。
 うちでは梅雨後半からこの時期にかけて「むしシャブ」をやることが多いです。様々な野菜と茸を中心にして、豚肉を少々乗せます。「胃」に負担を掛けず、「胃」を温めるという、「胃」に優しい料理です。食事中に汗をかきますが、日中に汗をほとんどかくことがない女性に特におすすめします。こうでもして汗をかかねば健康を維持できませんからね。

 次に、水分代謝ですが、この時期は「体の中の水害を防ぐ」という感覚でもって、「入りを絞り、出すを放つ」ぐらいの対処が必要でしょう。
 もっとも、水分補給なしで大汗をかけば脱水症状を引き起こし、熱中症になってしまいますから、暑いなと感じたらチビチビと水分補給する必要があります。
 さて、水分補給ですが、この時期、気化熱の放散がままならず、「湿熱」が体内にこもってしまい、冷蔵庫が普及した今日にあっては、「よく冷えた飲み物」でもってダイレクトに体の芯を冷やしたくなります。
 さあ、こうなると大変。「脾=胃」が、びっくり仰天!
 一気に大量の冷水を補給すると、「体の中で水害が起きてしまう」と心得えてください。限度を超えた冷水は、「脾=胃」の処理能力を超えてしまい、何ともなりません。ましてや、昭和の高度成長以降は「異常に冷たい物」が容易に「胃の腑」に入ってくるようになったのですから、大変なことになります。
 これが頻繁に繰り返されると「冷たい物中毒」になってしまいます。
「冷たい物中毒」がいかに恐ろしいものであるかは、まだ十分には認識されていないようです。
(参照→暑くなった5月半ば、“冷たい物中毒”から脱却するチャンス!
 かといって、何らかの形で体を冷やさないことには体に熱がこもってしまいます。
 さてどうしたものか。
可能であれば、日中に「水風呂」に入ることですし、夜の入浴時には、前後にたっぷりと冷水シャワーを浴びることです。
 こうして体の表面の熱を取り、体の芯からは決して熱を取らないことです。

 日本では、暑くて暑くてたまらない、今のような時期には「冷たい物」で水分補給するのが一般的ですが、漢方の本場、中国では「暑い時期はお湯を飲むべし」という習慣が身に付いています。かえってそのほうが喉の渇きが収まりますし、しっとり汗をかいて体熱を放散してくれるのです。もっと暑いアラビアでも「暑い時期は熱いものを飲む」のですし、インドでもそうです。
(参考記事)暑い時期はお湯を飲むべし(三宅薬品・生涯現役新聞N0.271)

 本題の夏の土用の食事ですが、これも、基本は春の土用と同じです。
 五味に注目してください。脾が欲しがるものは、甘味でしたよね。それに塩味を足し、辛味を添えれば満点です。避けねばいけないのが酸味で、苦味はほどほどであれば気にすることはないというものです。
 夏の土用といえば、鰻(うなぎ)の蒲焼です。土用丑(うし)は、皆さんご存知のとおり。この鰻の蒲焼ですが甘味があります。どの鰻屋さんも秘伝のタレに甘味を入れていますが、漢方では肉は甘味の食品としていますから、甘味の塊のようなものです。
 そして、タレは醤油などの塩味がたっぷり付いています。大汗をかけば塩分を失いますから、適度の塩味が求められます。
 鰻の蒲焼に必ず添えられるのが、山椒です。これは辛味です。
 漢方食学から評価すれば、この三味の組み合わせは、満点の調理法となります。
 加えて、柔らかくて消化しやすいですから、この時期に気を付けたい「消化吸収」にもってこいの料理です。
 日本料理には、こうした漢方食学の五味が、知らず知らず生かされているものが多いのですが、味覚という面からも、三味の組み合わせはとてもうまくできています。

 残りの2味は酸味と苦味で、酸味を避け、苦味はほどほどに、ということになります。
 先に、苦味について申しましょう。この時期の苦味の代表は、ビールです。苦味はほどほどにした方がよいですから、ビールは嗜む程度に止めたいものです。冷えたビールのがぶ飲みは、先に書きました「体の中の水害」どころか「大洪水」と心得た方が良いでしょう。ちなみに、西欧では猛暑にならないこともあって、ガンガンに冷えたビールを飲むことは決してしませんし、氷を浮かべた水というものもありません。

 最後に酸味ですが、その前に、「食い合わせ」というものがあって、「てんぷらとスイカ」がよく知られています。この組み合わせは胃に負担がかかり、消化不良を起こしやすいですから、特にこの時期に問題となる「食い合わせ」の一例です。
 この「食い合わせ」に「鰻と梅干」というものがあります。これは理由が分からんから間違いだと言われるのですが、漢方食学の五味の理論からすれば、土用には酸味を避ける必要があるから梅干は控えなさいとなって、皆が一度は食べたくなる鰻は夏の土用の時期ですから、これで正しいのです。
 この理論に従って、「春は酸味が必要だから梅干を食べ、春の土用は酸味を控えるために梅干を食べるのを止め、夏はほどほどであれば良いから小梅を食べ、夏の土用は再び梅干を食べるのを止める。」というのが正解かというと、決してそうではありません。
 何ごともバランスの問題でして、夏の土用に酸味を抑えすぎると、これを欲しがる肝臓が弱るでしょうし、甘味(肉を含む)が必要だからといっても、度が過ぎれば、これを欲しがっている胃とてトラブルを起こすに決まっています。
 特に、飽食時代の今日の日本人にあっては、血液がドロドロになっていますから、血液をサラサラにしてくれる梅干は年中欠かせないですし、また、その酸味の主成分であるクエン酸はエネルギー回路を円滑に回すのに欠かせない有機酸ですから、梅干は土用の時期であっても食べたいものです。朝に1粒で良いですからね。
 それに上乗せして、昼食に鰻丼と梅干では、酸味の摂り過ぎと考えたいです。
 つまるところ、今日の日本において「酸味を避ける」とは、調理する上で土用には「酢を控え目にする」という配慮を働かせれば良いでしょう。
 例えば、酢の物は日本料理に付き物ですが、土用には酢を控え、春には強くするといった配慮です。老舗の高級料亭では、このように季節によって味付けを変えておられるようです。

(備考)2011.7.20投稿、2015.7.22微修正、2016.7.17一部追記。2018.7.19一部追記。2024.7.18一部追記。以下、毎年日にち改訂。

五行配当表
(下図) 各ブロックの端に味が表記されています。
     
 「水」・「冬」のブロックの左端が味の「鹹」ですが、塩のことです。

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24節気の健康と食養:小暑から大暑まで

2024年07月05日 | 24節気の健康と食養

 24節気の健康と食養:小暑から大暑まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
小暑 初候 温風至(あつかぜ いたる)暖い風が吹いて来る
   次候 蓮始開(はす はじめて ひらく)蓮の花が開き始める
   末候 鷹乃学習(たか すなわち わざを なす)鷹の幼鳥が飛ぶことを覚える

 夏至の次にやってくる24節気が小暑で、毎年7月7日頃(2024年は7月6日)になります。
 気温もどんどん高くなって、この先、大暑でもってピークを迎えるというのが、中国中心部の気候で、梅雨はありません。中国で梅雨があるのは、長江下流域とその西方の中国南部だけです。北海道を除き、全国的に梅雨がある日本ですから、中国とは季節の捉え方が随分と変わったものとなります。
 芒種の頃から始まる長丁場の梅雨は例年だと今頃は約3分の2が終わって、残すは約3分の1となり(今年は梅雨入りが遅れ、半分終って残り半分といったところ)、残りの期間は、ほぼこの節気の期間と一致します。ジメジメ感、蒸し暑さともにピークに達します。
 長雨で外に出られず、室内で椅子に腰かけたまま、という姿勢をとり続けて、猫背になり、肩こり・首のこりが起きやすい時期でもあります。そんなとき、腰かけたままで隙間時間にすぐできる、とっておきの体操があります。“空に向かってボート漕ぎ”といった感じの簡単な体操で、所要時間60秒ほど。やってみてください。
 → 「猫背、肩・首こり」全解消!医師考案の"凄い体操"
  ( 医学博士池谷敏郎氏考案の
「脱・E.T.体操」:東洋経済オンライン2023.5.6) 

 夏至が過ぎたとはいえ、昼の長さはまだまだとても長く、それによって活動時間も長くなり、夏:心の季節ということもあって、心臓の働きは活発になります。人の体は、夏:心の季節に十分に対応していることでしょう。
 
これを踏まえた夏の食養生法を下記の記事で紹介しています。ご参照ください。
  
立夏は夏の入り、五味を上手に夏食に。先ずは「心」が求める苦味です。

 ここでは、小暑から大暑までの養生について、前々回の芒種や前回の夏至とかなり重複しますが、夏の季節として特徴的なものを紹介することにしましょう。
 昼間がとても長いですから、その分活動量が増え、心臓も長時間働かされます。よって、エネルギー代謝をスムーズにしてあげる必要があります。
 芒種の頃から旬となっているのがタマネギです。これといった栄養価はないものの、特有の刺激臭「硫化アリル」がビタミンB1を活性化させ、これによってエネルギー産生回路を円滑に回す、つまりスタミナ食になりますから、心臓にとって実に望ましい食品といえます。旬のタマネギを大いに食したいものです。
 つの味「五味」についても頭に置いといてください。漢方では、五臓のバランスを整えるため、夏は<主・苦味、従・辛味、添・甘味>この三味の組み合わせを最適としています。料理は、この三味を頭に置いて行っていただきたいものです。
 この頃から旬となるのがゴーヤです。苦味食材の代表です。おおいにゴーヤ料理を食していただきたいものです。なお、ゴーヤの苦味が苦手な方は、味噌料理とすれば、かなり苦味を隠せます。
 ゴーヤの出回りはまだ早いですが、露地ものピーマンは旬となり、これも苦味食材です。ゴーヤは体を冷やす方向に働きますが、ピーマンは体の芯を温める方向に働きますから、冷房にあたる人の場合、ピーマンは最適なものとなりましょう。

 次に、梅雨時の養生について説明します。これの詳細な解説は、次をご覧いただくとして、ここでは簡潔に要点を述べます。
  梅雨時の健康法は「湿熱」疾病と「冷たい物中毒」の合併症からの脱却
 梅雨時は「湿熱」で「脾=胃」が弱っていますから、胃に負担がかからないよう、油っこいものを避け、よく噛んで食べるのが第一となります。また、この時期、通常はエネルギーの消耗が少ないですから腹八分とし、食欲も落ちてきますから美味しく食べられるものを少しずつあれこれ食べるのが良いということになりましょう。
 そして、梅雨の晴れ間には少しはお日様に当たりたいものです。骨を丈夫にする活性化ビタミンDは皮膚で太陽光線により作られるのですからね。特に朝日を浴びるのは重要です。というのは、「幸せホルモン」セロトニン、「睡眠ホルモン」メラトニンを体内で十分に作るには先ずは朝日を浴びるに限るからです。これについては「
セロトニンとメラトニンを十分に出す生活習慣を」で解説しましたのでご覧になってください。

 この時期になりますと、晴れた日の屋外は、蒸し暑さがとてつもないものとなります。長時間屋外にいると体に熱がこもってしまいます。熱中症の危険が大です。
 よって、この時期は旬が盛りとなったキュウリ、トマト、ナスを生食で毎日いただくと良いです。これら夏野菜は体の芯を冷やしてくれる力があり、これは生食に効果があります。ただし、熱をかけると冷やす効果は大きく落ちてしまいます。

 ところで、中国中心部においても、小暑の節気には雨が比較的多く、現代の中医学では「蒸し暑くうだって、食欲がなくなる。こういうときは、粥そして野菜と豆をとろ火で煮込んだスープなど温かくて柔らかい食事をとり、生ものや冷たいものを避けるべし。暑さしのぎに果物を食べるのもよいが、胃腸の負担を考えて適量にすること。」と言われています。
 こうしたことからも、この時期、「胃腸が弱っているな」と感じられたら、夏野菜の生食は控え、お粥や野菜煮込みスープがいいでしょう。なお、肉もどれだけか食べたいとなれば、豚肉の細切れを入れた野菜たっぷりの蒸しシャブ料理がおすすめです。我が家ではこれからの時期、ときどき夕食に登場します。汗をかきながらの蒸しシャブはなかなかいいものです。
 そして、食後のデザートとして冷蔵庫で冷やした「ニッキ味の寒天菓子」です。寒天は水溶性・不溶性の両方の食物繊維の塊ですから、腸内環境改善に最適です。そして、ニッキは漢方で言う「桂枝(けいし)または桂皮(けいひ)」で、健胃、整腸、食欲不振、胃もたれ、消化不良などに効くし、おだやかな発汗・発散作用もありますから、今の時期にピッタリです。

 蒸し暑さが高まれば、現代では職場に快適な冷房が入ります。すると、体が冷えすぎてしまい、様々なトラブルが発生しだすのもこの時期です。その場合は、前回の「夏至から小暑」の記事でも書きましたが、正しい入浴法がとても効果的です。
 それを再掲しましょう。
 温めの湯に長く浸かり、汗が出だしたら体の芯が十分に温まったことでしょうから、湯上がりに冷水シャワーを気持ちいい程度に浴びます。すると、皮膚がしまり、熱を閉じ込めてくれます。ただし、いきなり全身に冷水を浴びると心臓麻痺を起こしそうになりますから、先ずは手足だけ、次に下半身だけ、といった具合に少しずつ体を慣らしてください。
 初めて冷水シャワーに挑戦なさる方は、次の記事を参照ください。
 今がチャンス!始めましょう、冷水シャワー。万病に効果あり。ただし、夏を過ぎても毎日実行。

 入浴以外の冷房病対策として、貼るカイロの利用があります。つぼは「環跳(かんちょう)」で、ここに貼るカイロ(ミニサイズがいいでしょう)を貼ります。「環跳」は、立ったときにお尻の両脇にできるくぼみ(肛門をキュッと締めると、よりくぼむ)です。ここに下着の上からカイロを貼ると、その温もりが体の奥へ伝わりやすくなります。腰痛、下痢、生理通、頻尿、お腹の冷えにも効果的です。
 そして、体が冷えた方におすすめの食材は「ニラ」です。ニラは漢方では別名を「起陽草」といい、この時期の体を温める代表的な食材です。
 また、夕食で汗をかくのもいいです。先におすすめしましたお粥や野菜煮込みスープあるいは蒸しシャブなどいかがでしょうか。

 次回は、「大暑」(7月23日頃)からの健康と食養です。

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血圧降下剤、厚労省・医師会の闘い(三宅薬品・生涯現役新聞N0.353)

2024年06月25日 | 当店毎月発刊の三宅薬品:生涯現役新聞

当店(三宅薬品)発行の生涯現役新聞N0.353:2024年6月25日発行

表題:血圧降下剤、厚労省・医師会の闘い

副題:メタボ検診での高血圧受診勧奨基準が変更され、160に緩和

(表面)↓ 画面をクリック。読みにくければもう1回クリック。以下同様です。

   

(裏面)瓦版のボヤキ

    後期高齢者4人、30年ぶりのマージャン

   

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