薬屋のおやじのボヤキ

公的健康情報にはあまりにも嘘が多くて、それがためにストレスを抱え、ボヤキながら真の健康情報をつかみ取り、発信しています。

まともな記事は昔は新聞、今は週刊誌。血圧・コレステロールがそう。

2023年06月07日 | 生活習慣病一般

まともな記事は昔は新聞、今は週刊誌。血圧・コレステロールがそう。

 昔の週刊誌というと、あることないことを面白おかしく、どぎつい内容の記事にし、読者を引き付け、売り上げを伸ばす、というものでして、記事の内容は嘘八百、信用のおけないものでした。その点、新聞はさして面白くない内容の記事だが、かなり信用がおける、というものでした。
 ところが、近年は、若者の新聞離れが進み、読者は中高年ばかりとなり、いかにして購読者をつなぎ留めておくか、これに主眼を置き、あることないことをどぎつく記事にして読者を脅し、恐怖感を抱かせる傾向が強くなった感がします。コロナ騒動が典型的な例でした。これにはうんざりさせられました。

 さて、生活習慣病一般について、「高血圧は危険」とか「高コレステロールは危険」といった特集が、新聞ではときおり組まれているようです(小生は数年前から新聞を読まなくなりましたから、不確かですが)。
 しかし、本来は「血圧は測る必要なし」「血液検査からコレステロールは外すべし」が正しいのでして、「高血圧症」とか「高コレステロール血症」という病名まがいの名称を付けるのは、健康人を病人扱いして、投薬(毒を盛る)でもって医療関係者が銭儲けする以外のなにものでもないのです。
 こうしたことを新聞では一切言わないようなのですが、近年、週刊誌が特集を組んで、これを展開し始めました。
 最近の記事では、週刊現代の次のものです。
 2023.06.02 血圧の大ウソ:「血圧が高くても無理に下げてはいけない」と断言できる「衝撃」の理由
 2023.06.03 アメリカでも問題になった…日本で「高血圧症」の国民が爆増した「衝撃のワケ」

 上の2つの記事をご覧になってください。
 ともに、正しいことを言っていますから。
 少々補足します。
 “「高血圧症」患者”に投薬する降圧剤の販売高ですが、10年ほど前には、世界全体の販売高の5割を日本人が占めているやに言われていました。そして、コレステロール値降下剤は世界全体の販売高の7割を日本人が占めている、と。その後の動向もきっと変わっていないでしょう。
 人口からすれば、アメリカでの販売高が一番大きくていいように思われるのですが、そこは保険制度の違いがあり、アメリカ人の高齢者は生活習慣病を保険対象に加えていない場合が多いのです。こうした高齢者で、どうしても降圧剤が欲しいとなれば、実費で高額な薬を買うしかなく、これはまれなことになり、よって、どれだけも降圧剤は売れないのです。
 日本では公的健康保険でもってあらゆる疾患を等しく対象にしているのに対し、アメリカは民間企業が健康保険事業を運営しており、年齢階層などによって様々なタイプの保険を用意しています。よって、高齢者が「高血圧症」や「高コレステロール血症」の治療薬も保険適用に加えようとすると、バカ高い保険料になってしまうのです。これは、車の任意保険と一緒で、あらゆる損害を全部対象にすればかなりの保険金額になるのに対し、損害のごく一部しか対象としない強制保険はうんと割安になるのと同じです。
 10年ほど前、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉が始まるとき、日本医師会などは米国の健康保険会社進出に恐怖して猛反発したものですが、中高年ともなると健康であっても多くの人は“「高血圧症」患者”、更年期過ぎの女性の多くの人は“「高コレステロール血症」患者”にされてしまう日本ですから、ぜひとも健康保険民営化をしていただきたいものです。
 そうすれば、若い人の健康保険料はうんと安くなりますし、高齢者は毒を盛られることがなくなり、イキイキ元気で暮らせて医者知らず、ピンピンコロリと逝けるのです。もっとも、多くの町医者は廃業を余儀なくされ、製薬会社は倒産となり、一時的に経済的大混乱は起きましょうが。
 しかし、医師会の力は強いですし、製薬会社は官僚の天下り先になっていますから、左様なことは実現しっこありません。ここは、日本人皆が、正しい情報はどこにあるか、個々に自分で判断し、週刊誌でも読んでみようか、と方向転換するしかないでしょう。

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健康には何よりも美肌の腸壁づくり

2021年09月22日 | 生活習慣病一般

健康には何よりも美肌の腸壁づくり

(2015.4.15投稿の記事に、2021.9.22に関連する内容を一部加えて再投稿し直しました。)

 「腸内環境を良くして健康に」と、よく言われますが、「腸内」というと、これは「体内」と同じに感じてしまい、「腸内環境」という言葉は的確な表現ではないと小生は思っています。なお、ここで言う腸は大腸のことです。
 ですから、「腸内環境」に代えて「食物残渣滞留体外環境」とでも言うべきでしょうね。ヒトの消化酵素では体内へ吸収できなかった食物残渣が滞留している場所であり、ヒトの体の外側に位置する空間ですから。
 そうすると、ヒトの体外に生息する腸内細菌が活躍する場というイメージが高まり、ヒトと腸内細菌との共生の重要性が強く認識されることにもなるでしょう。
 しかし「食物残渣滞留体外環境」などという、小難しく長ったらしい言葉はとうてい受け入れられるものではなく、ここは止むを得ず「腸内環境」という言葉を使うことにします。

 さて、ヒトの体の外側から大腸を眺めてみると、どんな姿をしているでしょうか。これは実に興味深いものがあるようです。
 内視鏡外科の先駆者、新谷弘実氏は、こ
の分野の重鎮であり、たぶん世界一の臨床例(著書発刊時で日本人・米国人の胃と腸で合計30万例)をお持ちで、患者がどんな食事をしてきたか、その食歴をヒアリングし、それによって腸壁がどうなっているか(「腸相」の良し悪し)をつぶさに観察なさっておられ、その深い経験から導き出された有意義なお話が、その著書「病気にならない生き方」に載っていますので、それを詳しく紹介することにしましょう。
 なお、先に記事にしました「
胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる(付記:お茶も薬のうち)」と一部重複する部分がありますが、胃と腸(さらには口=咀嚼)は消化器官として一体でとらえる必要がありますので、その点お許しください。
 かなり長い引用の連続となりますが、最後までよろしくお付き合いください。なお、引用に当たっては、本書の後ろの方の頁に書かれたものを一部関連する前の方の頁に入れ込んで編集しています。(以下、引用)

(人相と胃相・腸相)
…人間の顔に人相のよしあしがあるように、胃腸にも「胃相」「腸相」のよしあしがあります。人相はその人の性格が表れるといいますが、胃相・腸相にはその人の健康状態が表れます。…
 体に痛みや不調が生じていない「未病」の人に、「腸相が悪くなるから動物食は控えてください」といっても、素直に忠告に従って実践する人はあまり多くありません。…いちばんの理由は「見えないから」だと思います。
 体の表面に生じた変化には、人は比較的敏感に反応します。たとえば、髪の毛が抜けたり…すれば、大騒ぎでお金も時間もかけて対処します。しかし、自分では見えない腸の中の変化となると、「まあ、痛くなければいいか」と、驚くほどいいかげんな対処で終ってしまうのです。そして病気になってしまってから、後悔することになるのです。…
 しかし、私のように腸の中を知りつくしてしまうと、体の表面の変化よりも中の変化のほうが気になります。…

 健康な人の胃相・腸相はとても美しいものです。胃であれば、粘膜が均一のピンク色で、表面にでこぼこがなく、粘膜下の血管が透けて見えることもありません。また、健康な人の粘膜は透明なので、内視鏡が照らす光に粘液が反射し、キラキラ輝いて見えます。健康な人の腸も、胃の場合と同じようにきれいなピンク色をしています。さらに非常にやわらかく、大きくて均等性のあるひだが見られます。
 人間は誰でも子供のころはきれいな胃相・腸相をもっています。それが日々の食事や生活習慣によって変化していくのです。…

(肉食が腸相を悪くする)
 肉食が腸相を悪くする最大の原因は、食物繊維がなく、脂肪やコレステロールを大量に含んでいることにあります。肉食を続けていると、腸壁がどんどん厚くなりますが、これは食物繊維がないために便の量が極端に少なくなり、その少ない便を排出するために腸が必要以上に蠕動しなければならなくなるからです。つまり、過剰な蠕動運動により腸壁の大部分を構成する筋肉が鍛えられ厚く大きくなってしまうのです。こうして腸はかたく短くなっていきます。
 腸壁が厚くなると、内腔は狭くなっていきます。かたく狭くなった腸の内圧は高くなるのですが、動物性タンパクに加えて脂肪も大量に摂取して腸周辺の脂肪層が厚くなるので、さらに腸壁に圧力がかかります。こうして腸内の圧力が高くなると、中から外に向かって粘膜が押し出されるという現象が起きます。この現象が「憩室」と呼ばれるポケット状のくぼみを作り出します。
 こうなると、ただでさえ量の少ない便は腸の中を進むのがむずかしくなります。その結果、腸の中に長く停滞する「停滞便(宿便)」がたまってきます。その停滞便は腸壁にこべりつくようにたまるのですが、そこに憩室があれば、そのポケット状のくぼみに停滞便が入り込み、さらに排出されにくくなります。
 憩室やひだの間にたまった停滞便は毒素を発生し、その部分の細胞に遺伝子変化を起こさせポリープを作り出します。そしてポリープが生長し、ガン化していくのです。 
 腸相の悪化は、大腸ガン、大腸ポリープ、憩室炎などさまざまな大腸の病気を起こすだけにとどまりません。実際には腸相の悪い人の多くが子宮筋腫、高血圧、動脈硬化、心臓病、肥満、乳ガン、前立腺ガン、糖尿病などのいわゆる生活習慣病を発病しているのです。…

(アメリカ人の腸と日本人の腸の違い)
 私が…ニューヨークに渡り…1967年に(私が開発したのが)「コロノスコープ(大腸内視鏡)」の最初のものです。その後、長い(185cm)スコープが開発されるとすぐに購入、そのスコープを使って、アメリカ人の腸を初めて見たとき、私はその腸相の悪さに驚きました。肉を常食していたアメリカ人の腸は、日本人の腸よりも明らかにかたく、短くなっていたのです。さらに内腔が狭いうえに、まるでところどころ輪ゴムで縛ったようなリング状のでこぼこができていたのです。憩室も多く、そこに停滞便がたまっていることも少なくありませんでした。
 アメリカ人は腸にトラブルを抱えている人が多く、当時は10人に1人はポリープがあるといわれていました。…私はアメリカと日本を2対1の割合で活動してきたため、両国民の胃相・腸相の移り変わりをつぶさに見てきました。
 60年代に入り高度成長を迎えた日本は、アメリカに追いつき追い越せとばかりにあらゆるものをアメリカにならいました。…それまで野菜と魚が中心だった日本の食卓は、…動物性タンパクを中心とする高タンパク・高脂肪食が飾るようになってきました。…
…動物性タンパクをたくさん食べると人間の成長が早くなるということは事実です。…しかし、ここにも動物食の危険な落とし穴があります。それは「成長」はある年齢を超えた時点で「老化」と呼ばれる現象に変わるということです。…お肉を好んで食べている人は、それがあなたの健康を害し、老化を進めているということを覚えておいてください。
 一方アメリカでは、1977年の「マクバガン・レポート」を機に、国家をあげて食事改善が進められてきました。その結果は両国民の腸相に表れています。
 きれいだった日本人の腸相は、食生活の変化とともに年々悪化し、いまではすっかり肉を常食しているアメリカ人の腸相に似てしまったのです。それに対し、アメリカ人のなかでも真剣に自分の健康を考え、高タンパク・高脂肪食を改善した人たちの腸相は、みごとに改善されてきています。その結果、1990年以降は、大腸ポリープやガンの発生率も低下しています。…

(食歴と腸相そして病気との関連)
 私が「食歴」を患者さんたちに聞くようになったのは、スコープを使って胃相・腸相を直接診ることができるようになってから2年ほどたってからです。…
 ガン患者の食歴を調べていくと、動物食(肉や魚、卵や牛乳など動物性の食物)をたくさんとっていたことがわかりました。しかも、早い年齢で発病している人ほど、早くから動物食(特に肉、乳製品)を多く、そしてひんぱんにとっていたことがわかったのです。乳ガン、大腸ガン、前立腺ガン、肺ガンなど、発病したガンの種類はさまざまですが、この傾向だけは同じでした。
 そして、どんなガンを発病した人も例外なく腸相が悪かったのです。…
 食事が原因で起きる病気は、それを食べたからといってすぐに発病するものではありません。しかし体の中では、これまでの食生活が確実に蓄積されています。…
 新谷食事健康法では…「タンパク質が不足しませんか?」と聞かれることがよくあります。でも、心配はいりません。植物食でも、タンパク質は充分にとることができます。…もちろん、植物性タンパクもけっしてよいことではありません…。
…チンパンジーの食事を見ると、その95%は植物食です。…そんなチンパンジーの胃腸を私は内視鏡で見たことがありますが、胃腸を見ているだけでは人間かチンパンジーかわからないほど似ています。そしてなによりも驚いたのは、彼らがとてもきれいな胃相・腸相をしていることです。

(便秘薬は腸相をどんどん悪くする)
…便秘薬を常用している人の腸は、それが化学薬品でも漢方薬や自然のハーブ茶でも、腸壁が真っ黒に変色していくことがわかっています。そして薬を飲めば飲むほど腸の動きは悪くなり、動かなくなっていきます。そして動かなくなると、さらに停滞便が残りやすくなるので、腸相がどんどん悪くなっていってしまうのです。…

(腸内細菌の働き)
 腸内には絨毛と呼ばれる小さな突起がびっしりあるのですが、その絨毛の突起のあいだには善玉菌である乳酸菌が入り込んでいます。この絨毛の中には免疫システムにかかわる白血球やNK細胞…といったものが出てくるのですが、それらは、異種タンパクや細菌、ウイルスやガン細胞などの異物と戦うときに大量のフリーラジカルを出します。乳酸菌はその後始末ともいうべきフリーラジカルの除去に活躍してくれるのです。
 ちなみに、これはまだ私の仮説ですが、善玉菌の不足など何らかの理由で中和されきらなかったフリーラジカルが、非常にデリケートな絨毛に炎症を起こさせ、破壊していったのが潰瘍性大腸炎やクローン病ではないかと考えています。
 一方、悪玉菌は、不消化物などを破壊・崩壊させるような働きをするので、一般的には有害菌だと考えられているのですが、…異常発酵を起こし有害なガスを出させて腸を刺激し、ガスや便の排泄を促していると考えることもできるのです。
 ですから私は、腸内細菌というのは、本当は善悪がそんなにきっぱりと分かれているものではないのではないかと考えています。…
 人間に利益をもたらすものを「善玉菌」、人間に毒になるものをもたらすのが「悪玉菌」…と称するのですが、これはあまりにも身勝手な分類だと思います。…
 人間は悪玉菌を毛嫌いしますが、悪玉菌が増えるような腸内環境をつくり出しているのは、ほかならぬ自分自身です。自分の食生活の乱れや、悪い生活習慣を棚に上げて、微生物を責めることはできません。

(動物性タンパク質:肉と魚の違い、そして油に関して)
…「魚」であっても、過剰摂取が健康被害をもたらすのは同じです。
 ただし、私の臨床データによると、「肉食腸」と「魚食腸」には決定的な違いが一つあります。それは、魚中心の食事をしている人は、どんなに腸相が悪くても、「憩室」ができることはないということです。…
 こうした腸相の違いはどこからくるのでしょう。これは肉と魚、それぞれがもつ「脂肪」の質の違いではないかと、私は考えています。…
 牛や豚や鳥の体温は、人間よりも高い38.5~40度、鶏の体温は…41.5度です。こうした人間よりも高い体温の動物の脂は、その温度でもっとも安定した状態にあるということです。つまり、それよりも体温の低い人間の体内に入ったときには、ベタッと固まってしまう。この脂のベタつきが、血液をドロドロにしてしまうのです。…
 一方魚は…人間よりはるかに低い体温をしています。その脂が体温の高い人間の体内に入ると、…さらさらの液体になります。…魚がもつ脂が血液をサララサにし、悪玉コレステロールを下げるといわれているのは、このためです。…
 油はどのようなものであっても、…できるだけ調理には使わないほうがいいのです。…一般的には、ビタミンAを吸収するには、油を使って料理したほうがいいといわれます。しかし、脂溶性のビタミンの吸収に必要な油の量はごく微量なもの…ですから、…大豆やゴマなど脂肪を有している食物をほんの少し一緒に食べるだけで充分に吸収することができます。

(自然の摂理に従った食生活)
 人間の体はすべてつながっています。たとえば、歯が1本虫歯になっただけでも、その影響は体全体におよびます。充分に咀嚼されなかった食物が胃腸に負担をかけ、消化不良を引き起こし、栄養が充分に吸収されず、体の各所でさまざまな問題が生じるからです。
 (胃薬の常飲で)胃酸の分泌が不十分だと、…食べ物は消化不良の状態のまま腸へと進みます。そのため本来なら腸で消化吸収されるはずの食べ物が、不消化物として腸内に残存してしまいます。…当然のごとく腐敗・異常発酵が起きます。これにより腸内では悪玉菌が異常増殖し、免疫力が低下してしまうのです。
…病院食の…お粥だと最初からどろどろしているので、ろくにかまずに飲み込んでしまいます。そのため、やわらかいはずのお粥は、エンザイム(酵素)が充分に混ざっていないため消化が悪く、よくかんだ普通食のほうが消化がよいという皮肉な結果になるのです。
…よくかむとうことは、病人に限らず消化吸収をスムーズに行うためにとても大切なことです。とくに胃腸に問題ない人も、普段から30~50回はかむように心がけることをお勧めします。…
 肉食動物の「歯」と草食動物の「歯」が違うのは、あなたたちの食べ物はこういうものですよ、という自然の摂理の表れにほかなりません。私たち人間の歯並びにも、そうした自然の摂理はちゃんと組み込まれています。…
 自然の摂理に即した「命のシナリオ」を無視してしまったのは、人間の限りない「欲」です。…よりおいしいものを食べたいという欲を満足させるために、自然の摂理に即した食の範疇からはみ出し、より便利な生活をしたいという欲を満足させるために、さまざまな文明の利器を生み出し、…もっとラクに作物を育てたいという欲は、農薬を作り出し、…。
 いまの人間社会は、そうした自分たちの拡大させつづけてきた「欲」と「便利さ」の代償を、病気というかたちで支払っているのかもしれません。
 でも、
もうそろそろ現在の医学の延長線上に本当の健康はないということに気づいてもよいころです。私たち人間も自然の一部です。…自然の摂理に身をゆだねなければなりません。…みずからに備わった「命のシナリオ」に耳を傾けるということです。
 太っているのに飢餓感を感じるのは、必要な栄養素が足りないからです。下痢をしたり便秘をしたりするのは、体に適さないものを食べているからです。そして、病気になるのは、命のシナリオを無視しているからです。
 ですから、これからの医学は、これまでのように病気を力でねじ伏せていくような医学ではなく、…みずからに備わった自然治癒力を目覚めさせ、命を養っていく医学にシフトしていくべきだと私は考えています。

(新谷食事健康法とは)
 私が提唱している食事法では、基本的には、エンザイムを多く含む食物をよい食物、エンザイムが少ない、またはなくなってしまっている食物を悪い食物と考えます。
 よい胃相・腸相の人たちに共通していたのは、エンザイムをたくさん含むフレッシュな食物を多くとっていたことでした。そしてこのことは、…腸内細菌が活発に働くような腸内環境をつくるのにも役立っていました。
 一方、胃相・腸相の悪い人たちに共通していたのは、エンザイムを消耗する生活習慣でした。お酒やたばこの常用、大食、食品添加物を含んだ食事、ストレスの多い生活習慣、医薬品の使用、これらはすべてエンザイムを消費する行為です。…
 このことからわかるのは、健康を維持するためには、体内のエンザイムを増やす食生活をするとともに、体内のエンザイムを消耗する生活習慣を改める必要があるということです。そしてこのことこそが、私が提唱する「新谷食事健康法」の根幹となっているものなのです。…
 そのためもっともよいのは、ミネラルをたくさん含んだ肥えた土地で化学肥料や農薬を使わずに育てられたものを収穫してすぐに食べるということになります。
 野菜でも果物でも肉でも魚でも、新鮮であれば新鮮であるほどエンザイムの量は多いと思って間違いありません。私たちが新鮮なものを食べたときに「おいしい」と感じるのは、エンザイムがいっぱい詰まっているからなのです。
 しかし人間は、他の動物と違って食材を調理して食べます。煮たり焼いたり、ときには油で揚げたりもします。エンザイムは熱に弱いので、調理すればするほど失われていくことになります。かといって、何もかも「生」で食べることもできません。…食材の選び方、調理の仕方、そして食べ方というものがとても大切になってくるのです。
…健康によい食事を研究している人のなかには、人間も…(野生の動物のように)…すべて生の状態で食べるべきだという人もいます。
 でも私はそうは思いません。なぜなら、健康に生きるためには人が「幸福」であることがとても大切だからです。食事は人間にとってもっとも大きな喜びをもたらすものです。ムリしてまずいものを食べていたのでは健康にはなれないのです。 
 ですから新谷食事健康法では、自然に学びながらも、楽しみながらそれを続けることが何よりも大切だと考えています。
…新谷食事健康法を実践していただくと、約半年ほどでみごとなまでに胃相・腸相が改善され、ガスや便のいやな臭いも軽減されます。 
 そのためのポイントは、…
・植物食と動物食のバランスは、85(~90)対(10~)15とすること
・全体としては、穀物(雑穀、豆類を含む)を50%、野菜や果物を35~40%、動物食は 10~15%とすること
・全体の50%を占める穀物は、精製していないものを選ぶこと
・動物食は、できるだけ人間よりも体温が低い動物である魚でとるようにすること
・食物はどれも精製していないフレッシュなものを、なるべく自然な形のままとるようにすること
・牛乳・乳製品はできるだけとらないこと(乳糖不耐性やアレルギー体質の人、牛乳・乳製品が嫌いな人は、いっさいとらないようにする)
・マーガリンや揚げ物は避けること
・よくかんで少食を心がけること
 自然の摂理と人間の体の仕組みを知って、これらのポイントを守れば、健康に良い食事を楽しみながら続けることはそれほどむずかしいことではありません。…
 …分厚いステーキやチーズやお酒も、たまになら食べても飲んでも大丈夫です。…大切なのは、楽しみながら、正しい食事を長く続けていくことです。
(引用ここまで)

 以上、長々と新谷弘実著「病気にならない生き方」から引用しました。
 新谷食事健康法はポイントが8項目あげられていますが、その詳細は省略します。なお、リンクが貼ってある箇所は別記事で解説していますので参照なさってください。
 ところで、「たまになら食べても飲んでも大丈夫です」とありますが、その頻度はといいますと、引用を割愛しましたが「ほかの95%が健康に留意した食事をしていれば」と表現されていることから推測するに20日に1回といった程度になるかと思われます。
 最後に、引用文中にあった1977年の「マクバガン・レポート」は、その後のアメリカ人の食生活に大きな影響を与えましたので、少々説明しておきます。
 これはアメリカ政府が生活習慣病の急増原因を解明し、根本的な対策を立てるために世界中から学者を集め、7年の歳月をかけて詳細に調査研究された結果です。
 報告書は5000頁にわたる膨大なものですが、原因は間違った食生活にあると結論づけられ、「江戸時代の元禄以前の日本食が最も健康に良い」と、「玄米菜食」が高く評価され、「肉を大幅に減らして、穀類を多く摂るべし」として、栄養の所要量が提示されました。これに対して、アメリカの畜産業界と砂糖業界が猛反発し、その後に紆余曲折はあったものの、現在のアメリカの栄養摂取指針は基本的にはマクガバン報告を踏まえたものになっているようです。
 なお、この食生活改善は大都市、特に東部諸州の大都市で進んでいるようです。
 元禄以前の日本食への回帰を進めているアメリカ人、マクバガン・レポート以前の焼肉オンリーで“霜降牛”の味覚を楽しんでいる日本人。恥ずかしい限りです。
 最後の最後に、新谷弘実氏から読者へのアピールを記して終りとします。

 1996年、それまで「成人病」といわれていた疾患が「生活習慣病」と呼ばれるようになりました。しかし、私は機会があるごとに「これは生活習慣病ではなく、自己管理欠陥病ですよ」といっています。「今夜の焼肉」より「10年後の健康」を選べ!

 

(2021.9.22 補記)
 小池里予、小池英共著「ホリスティック健康学・ホリスティック栄養学入門」(平成18年改訂新版)に、本件に関係した興味ある調査研究報告(1977年「マクバガン・レポート」発表の4年前)の紹介がありましたので、以下に引用します。

 食物繊維の摂取が、病気の発生と深い関係にあることを示す有名な研究データが、1973年に英国人医師バーキッドによって発表されています。それはアフリカ人とイギリス人の“便”を比較したものです。
 その報告によれば、アフリカ人の1日の便の量は、イギリスの4倍にも達し、太く軟らかく、ほとんど臭いがしません。それに比べてイギリス人の便は、硬く圧縮されていて細く、何よりもひどい悪臭がするのです。研究によって、アフリカ人は食べた物をほぼ1日で排泄しているのに対し、イギリス人は平均3日もかかっていることが分かりました。
 当時、アフリカの田舎に住んでいた人々の食事の特徴は「低脂肪・高食物繊維」で、食物繊維はイギリス人の3倍も摂っていました。バーキッドと彼の仲間の医師たちは、食物繊維の摂取と病気との関連を調べ続け、その結果をイギリスの医学雑誌に発表したのです。…
 その中でバーキッドは、現代の欧米社会に多く見られる、心臓病・胆石・大腸がん・虫垂炎・痔・肥満・糖尿病・静脈瘤などの病気は、「食物繊維」を大量に摂っているアフリカ人には、ほとんど発生していないことを明らかにしました。(*ところが同じアフリカ人でも、都会に住み、欧米化した食事を摂っている人々の間には、欧米人並みに“現代病”が蔓延していました。)
 そうした報告に触発された世界中の医師たちのその後の研究によって、バーキッド博士の発表は裏付けられました。大腸内での食物繊維の働きが明らかになり、その重要性が認識されるようになったのです。
(引用ここまで)

 この調査研究における「アフリカ人」は、その当時の「日本人」と読み替えていいでしょう。あれから半世紀経ち、日本人の過半も「同じアフリカ人でも、都会に住み、欧米化した食事を摂っている人々」と同じになってしまったようですね。

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発酵食品「納豆」は日本人の救世主(ビタミンK2-オステオカルシン・リンクからの考察)

2020年02月16日 | 生活習慣病一般

発酵食品「納豆」は日本人の救世主(ビタミンK2-オステオカルシン・リンクからの考察)

 発酵食品「納豆」の効能については、やや批判的に過去記事で述べたものの、最近になってそれに若干の追記(ワルファリンがビタミンK2の働きを阻害)をしました。
参照:過去記事)発酵食品「納豆」に多く含まれるビタミンKの功罪、そしてナットウキナーゼの話題などなど
 その追記は、2019.9.8 発刊「日本人は絶滅危惧民族 ー誤った脂質栄養が拍車ー 」(編著者:奥山治美)を読んだところ、本書の中に、ワルファリン(血液凝固因子を働かなくし血液をサラサラにする薬)やスタチン(コレステロールを下げる薬)のみならず菜種油など数種類の植物性油脂も同様にして「ビタミンK2-オステオカルシン・リンク*を阻害」し、糖尿病などを発症させる危険性がある、つまり、ビタミンK2の働きを阻害することが判明している、ということが詳細に述べられていましたので、とりあえず簡単に補記したところです。
(備考)*オステオカルシンとは、骨の非コラーゲンタンパク質で、ホルモン様作用を持ち、インスリンの分泌を促進するなど多様な作用を有します。また、ビタミンK2依存反応によりカルシウムやリン酸を保持できることにより、大動脈や腎臓での石灰化を抑えています。そして、ビタミンK2とオステオカルシンは密接にリンク(連携)して働きます。
 我々日本人が毎日のように口にする菜種油などの植物性油脂の大半に、かなりの毒性があるというのにはビックリさせられたのですが、どうやらこれは本当のことのようです。
 このことに関しては、最近、本書の要旨を幾つかに分けて紹介しました。
脂肪摂取基準P/S比は真逆。動物脂肪を増やし、植物油を減らすべし。
水素添加植物油脂はトランス型脂肪酸以外の毒物により食用に不適です
菜種油、水素添加植物油など数種類の植物油脂は有害作用を示す(総論及び用語解説)
菜種油、水素添加植物油など数種類の植物油脂は有害作用を示す(各種研究報告編)
 
  この4本の記事は、いずれも長文で、全部読んでいただくには時間もかかりますし、難解な部分も多いですから、次のとおり当店のお客様向けに分かりやすく簡潔に当店新聞で2回にわたり紹介しましたので、これをお読みいただければと思います。

  

 

 さて、菜種油などの植物性油脂を断つことは不可能な現代の食生活において、我々はどう対処したらいいかというと、通常、十分に足りていると言われているビタミンK2ですが、これをたっぷり摂取するほかないということになりましょう。
 そして、本書にも、ビタミンK2を多く摂っている人は幾つかの疾患に罹りにくいというデータが載っていました。また、ネット検索でも見つかりました。
 それを以下に紹介することとしますが、ビタミンK2の働きが阻害されるとどうなるか、これを図示したものが本書にありますので、まずそれをご覧ください。

 このようにビタミンK2はとても重要な働きを担っているのでして、それが阻害される食生活をしているのですから、ビタミンK2の積極的な摂取により(これでもってジヒドロVK1や未知微量因子の毒性から十分に逃れられるものではありませんが)、どれだけかは(あるいは、かなりの)毒消しが期待され、本来のビタミンK2の働きをけっこう発揮させて様々な生活習慣病の予防や改善に効果が出ようというものです。

 まず、オランダで行われたコホート研究(特定の要因と疾患の発生の関連を長期にわたり観察する研究のこと)での、ビタミンK1・K2摂取量と総死亡率・心疾患死亡率の相関(下図)です。ここでは、ビタミンK1・K2摂取量を3群に分けています。ビタミンK総量(K1+K2)では、(低)221μg/日未満、(中)221~311μg/日、(高)311μg/日超となります。オランダ人は、日本人のビタミンKの摂取量(男:平均227μg/日、女:平均213μg/日:平成25年国民健康・栄養調査)に比べると20%ほと多いですが、これは体格差による食事量の差であって、日蘭大差なしと捉えていいでしょう。
 なお、ビタミンK1は植物性食品から、K2は動物性と発酵食品から摂取され、その比率は下図からして9:1といったところでしょう。ビタミンK2の摂取は、オランダ人は主としてチーズと卵黄から、日本人は主として納豆と卵黄から、ということでイーブンではなかろうかと思われます。なお、腸内細菌もビタミンK2を作ってくれますが、その量は調べても分かりませんでした(一説には必要量の半分とありますが、多分さほど多くはないでしょう)
(備考)日本人のビタミンK1・K2に区分した摂取量データが見つかりませんでしたので、食品別消費量からの推測で、日蘭大差なしと解釈しました。また、生理学上、体内でビタミンK1はK2に一部変換されるとのことですが、他のコホート研究の結果らしても、たいして変換されない感がします。
 ついでながら、厚労省が発表している
日本人の食事摂取基準(2015年版)では、ビタミンKの摂取目安量は150μg/日とされていますが、これでは不足し、500μg/日(納豆1パック相当)摂るべきという学者もいらっしゃいます。
 随分と前置きが長くなりましたが、下図をご覧ください。

 ここで注目されるのは、ビタミンK2摂取と心疾患死亡率(右図:冠疾患)の相関が、統計学的にはっきりと有意性を示す形(p=0.005)で現われ、ビタミンK2摂取が低い群に対して高い群は、心疾患死亡率の相対危険度は0.4(つまり6割も死亡率が落ちる)と出ていることです。これが、総死亡率の相対危険度0.75に大きく寄与していると思われます。
 なお、高低両群のビタミンK2平均摂取量はたぶん倍半分といった差でしょう。
 この他にネット検索して分かったのですが、岐阜大学のチームが1992年に開始したコホート研究「高山スタディ」(対象者:高山市民 男性1万3,355人、女性1万5,724人)のなかで、納豆の摂取と血管性疾患の相関を調査し、2016年に発表しています。
 聞き取り調査により、納豆の摂取量を4群に分けて、両端の高摂取群と低摂取群を比較したところ、次の結果が得られたとのことです。
 心血管疾患:納豆の高摂取群は低摂取群より25%死亡リスクが低い。
 脳卒中:納豆の高摂取群は低摂取群より32%死亡リスクが低い。
 (前者:p=0.0004、後者:p=0.0004で、ともに統計学的にはっきりと有意性を示す)
 これらの調査結果からして、少々オーバーな表現にはなりますが、日本人は“毎日納豆を食べていれば血管性疾患は逃げていく”ということになりましょうか。
 参考までにビタミンK2の多い食品を本書から引用し、紹介します。


 次に、
ビタミンKの摂取が、がんにどの程度効果があるかを調べたドイツがん研究センターのコホート研究があります。その結果の主だったものは下図のとおりですが、がん全般にビタミンK1は全く効果がなかったものの、K2が効果を発揮するがんとして、肺がんと前立腺がんの2種類があることが判明しています。(なお、効果なしと判明した一例として大腸がんが図示されています。)
 特に注目されるのは、肺がん死亡率が統計学的に有意性を示す形(p=0.02)で現われ、ビタミンK2摂取が低い群に対して高い群は、肺がん死亡率の相対危険度(ハザード比)は0.4(つまり6割も死亡率が落ちる)と出ていることです。ドイツで第1位の肺がんですから、これが全がん死亡率の低下(約3割)に大きく貢献していると思われます。



 3つ目が、糖尿病に関するもので、ビタミンK2を大量摂取させた場合に、インスリン指標とオステオカルシン活性がどう変化するかをみたものです。標本数は少ないですが、統計学的有意性を示しています。
(注1)インスリン感受性(SI):インスリンの働きの強弱
(注2)カルボキシル化オステオカルシン(cOC)は正常に働くことができるオステオカルシン(OC)のことで、骨ホルモンとも呼ばれ、様々な働きがあり、インスリン分泌促進作用もあります。それに対して、低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC)は正常な機能を持たず、ビタミンK2欠乏によって生じます。

 左図:ビタミンK2大量摂取により、インスリン感受性(SI)が大きく向上し、また、インスリン感受性とインスリン分泌能の積(DI)も向上する。
 右図:ビタミンK2大量摂取により、正常に働くオステオカルシン(cOC)が大きく増え、正常な機能を持たないオステオカルシン(ucOC)が減ずる。

 4つ目が、骨密度に及ぼす影響を調べたもので、骨粗鬆症と診断された閉経後の女性を4群に分け、ビタミンD3摂取群、ビタミンK2摂取群、ビタミンD3+K2摂取群、乳酸カルシウム摂取群を2年間追跡した結果が次のように出ています。なお、ビタミンD3、K2ともに骨粗鬆症の治療薬であり、併用により相乗効果が認められます。

 

 いかがでしょうか。ここまで、血管性疾患、がん、糖尿病、骨粗鬆症の4項目についてビタミンK2高摂取の効果について紹介しました。
 摂取量は十分に足りていると言われているビタミンKですし、また、ビタミンKは体内においてK1→K2変換でき、腸内細菌もK2を作ってくれるとも言いますが、そうであったとしても、ビタミンK2を十分に摂取すると血管性疾患に罹りにくい、肺がんと前立腺がんに罹りにくい、糖尿病に罹りにくい、骨密度が上がる、という統計学的有意性を持つ研究報告が、このように数多く出ています。
 どうやら、これは、不足するはずがないビタミンK2が必要量体内に存在していても、菜種油など数種類の植物性油脂が「ビタミンK2-オステオカルシン・リンクを阻害」し、結果的にビタミンK2不足を招いている、と捉えていいのではないでしょうか。
 そうしたことから、日本人は納豆を積極的に食べるべし、ということになりましょう。
 発酵食品「納豆」は日本人の救世主、そう言っても過言ではないでしょう。

 さて、我が家では、夫婦で本書を読んで以来、納豆が食卓に乗ることが多くなりました。女房も、納豆は、らしい調理が不要で、1品おかずを少なくできると喜んでいます。
 なお、納豆の臭いと糸引きが苦手という方は、刻みネギなどの薬味の他に、大根おろしを少し加えてかき混ぜれば、より臭いが減じますし、糸引きは完全消滅します。さらに、これにビタミンK2がけっこう多い生卵を混ぜてはどうでしょうか。
 皆さんのご家庭でも今日から積極的に納豆をお召し上がりになってください。

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痛風と上手に付き合う方法は「ビールでも飲んでみるか」だそうです

2020年01月15日 | 生活習慣病一般

痛風と上手に付き合う方法は「ビールでも飲んでみるか」だそうです

 関節に特有の痛みでありながら、リュウマチは女性に多く、痛風は男性に多い。特に、痛風はほぼ全部が男性の疾患です。
 となれば、男性ホルモンが直接なり間接的に働いて、不要物である尿酸の排出が滞るからだろうと推測できるのですが、そのシステムは全く未解明です。

 動物において、もう少し絞り込んで哺乳類において、不要物である尿酸はどう処理されるかというと、体内酵素である尿酸オキシダーゼによって体に有用なアラントイン(皮膚の傷薬になる)に変換されてから排出されます。
 ところが、類人猿にはこの酵素が働いていないのです。

 ということは、痛風は類人猿の、それもオスに特有の疾患という、なんとも摩訶不思議な病ということになります。類人猿は、霊長類(サル)のなかで尻尾がないという大きな特徴があり、進化(この言葉はあまりふさわしくないですが)の過程で、あれこれ退化しつつある、哀れな存在に思えてしまいます。大半の動物が持っているビタミンC合成酵素も、類人猿はじめ霊長類の一部は喪失しているのですからね。

 こうした退化は、類人猿に特有の食性や生活環境によるところが大きいと思われるのですが、大型類人猿は、小型の類人猿(テナガザル)と分かれてから、一部食性を変えてきていると思われ、それに適応すべく、それなりの対応をしているやに思われます。
 ところが、ヒトはさらに大きく食性を変化させ、それによって、様々なトラブルを抱え込むようになったと推測されます。三大栄養素と言われる「炭水化物、脂肪、たんぱく質」は、類人猿のなかでヒトに特有の栄養素と言えます。小型の類人猿はこれを一切口にしませんし、大型の類人猿にあっても少々食すだけですから、ヒトにとっても三大栄養素は本来の食性から離れた、いまだ代替食糧と言えましょう。
 よって、テナガザルの食性(葉っぱ、花、甘くもない果物だけ)に戻せば、食が原因する様々なトラブルが解消するということになりましょうか。

 しかし、これは到底不可能です。特に「肉」という“麻薬”性の美食にはまってしまった、飽食時代の現代人にとっては、テナガザルの餌ばかりを食わされる毎日を過ごすくらいなら死んだほうがまし、となりましょう。
 
こと痛風に関しては、美食家がなりやすい感がしますからね。
 美食の素となるのは、たんぱく質が分解されて生ずる窒素化合物であるアミノ酸であり、これがエネルギー源として使われ、ヒトにおいては最終産物は尿素になるというも、一部は尿酸に変換されるのではなかろうか、あるいは尿素の存在が尿酸の産生を促すのではないか、これは単なる憶測にすぎないのですが、否定しきることはできないでしょう。

 でも、痛風になる方は美食家のごく一部です。たいていの方はスムーズに体外排泄してしまいます。関節において析出して結晶化するほどに尿酸を抱え込むという異常は、単に排出システムの故障として片づけてしまうことは安易すぎる感がします。そこには尿酸を有効活用しようという生体反応が働いているかもしれません。現に尿酸は強力な抗酸化物質であり、何らかの形でこれが体内で有効に働いているかもしれないからです。

 ここまで推測や憶測ばかりで物を言ってまいりましたが、こと痛風に関しては現代医学も暗中模索の状態にあり、痛風の改善には、逆転の発想でもせねば収まりがつかないかもしれません。
 “俺の体には尿酸がたんと要るんだ。飲んじゃいかんというプリン体が多いビールで晩酌するか。”というのも一法でしょう。要は析出して結晶化するほどに尿酸が濃くならないように水分補給でもしっかりすればいいでしょうからね。論文によっては、ビールのプリン体は痛風のリスクを高めないとありますし。

 このことについては、「武田邦彦(中部大学)」さんの音声ブログ「楽しい人生を送るヒント:痛風の時にはビールを飲む」で、ご自身の経験を踏まえて、かなり詳しく語られています。痛風持ちの方はぜひお聞きになってください。上手にビールを飲めば、痛風を瞬時に治せることも多いようですよ。

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リーキーガット症候群を克服しよう

2016年09月10日 | 生活習慣病一般

リーキーガット症候群を克服しよう

 最近、海外でにわかに注目を浴びているのがLeaky Gut Syndrome(リーキーガット症候群)。英語で「漏れている(Leaky) 消化器官(Gut) 症候群Syndrome)」というもので、「腸管壁浸漏症候群」と訳されます。リーキーガットを分かりやすく言えば「腸粘膜のバリア機能が壊れている」状態のことです。ところが、日本の医学界では、リーキーガット症候群は無視されているのか、ウィキペディア日本版にも(1916.9.9現在)掲載されていません。欧米人よりも日本人に多発しているようなのですが、これはいかがしたものでしょう。

 リーキーガット症候群は、なんといっても胃腸虚弱で消化不良を起こしやすい体質の方が罹りやすいです。これは日本人の特質です。
・柔らかいものしか口にしなかったり、よく噛まないで丸飲みする傾向がある。これによって、唾液での消化がほとんどなされないし、胃に負担が掛かる。
・胃袋は白人に比べてきゃしゃにできており、消化力が小さい。これは、日本人は古来より動物性タンパク質の摂取が少なく、でんぷん質を単にふやかすだけの仕事しか胃がしてこなかったことによる。
・古来より動物性タンパク質の摂取が少なかったことにより胃酸の出が悪く、これにより食品に含まれる雑菌の殺菌力が完全ではないため、腸に入って雑菌増殖が起きやすい。
・戦後、肉の摂取が急激に増え、胃での消化が不十分にならざるを得ず、小腸に負担がかかり、完全消化が難しくなる。
・肝臓からの胆汁酸(脂肪消化促進)の出が悪かったり、膵臓からの消化酵素(脂肪、たんぱく質の消化酵素)の出が悪かったりして、未消化物が大腸に入っていく。
・肉や脂の未消化物が大腸に入ると、これを餌とする悪玉菌や日和見菌が増殖して腸内環境が変化し、善玉菌の増殖が抑えられる。

 以上の経過をたどって、油っこい物や肉を多食すると腸内環境の悪化が進みます。
 恒常的な腸内環境の悪化は、よく知られているように、善玉菌の増殖が抑えられて、主に便秘症、まれに下痢を引き起こすだけでなく、悪玉菌が出す毒素によって、吹き出物が出るなど皮膚に炎症を起こします。これらは表に出る症状ですが、皮膚に炎症が起きるということは、皮膚とつながっている腸粘膜にも炎症を起こしている恐れが大です。これは経験的に知られています。加えて、悪玉菌が出す毒素が体内吸収されて全身を巡りますから、様々な臓器、器官をじわじわと痛み付け、あらゆる疾病の発症原因となります。

 ここまでのことは、従前から言われていたことなのですが、これよりリーキーガット症候群に関係する事象について説明しましょう。
 腸内環境の悪化に伴い、ときにカンジダ菌(これは真菌[カビの一種で細菌とは異なる])の異常増殖を引き起こすことがあります。
 カンジダ菌そのものは、ヒトの体表や女性の膣粘膜にも普通に存在する常在菌であり、善玉でもなく悪玉でもない日和見菌で、普段は特に何の影響も与えない菌です。
 しかし、善玉菌が減り、細菌叢(そう)が崩れたときなどにカンジダ菌が異常増殖を起こすことがあり、これを日和見感染と呼ぶのですが、カンジタ菌が出す毒素によって、腸粘膜はさらなる炎症を起こします。なお、リーキーガット症候群の人の腸内では、現実にカンジダ菌がのさばっていることが多いようです。
(注:カンジダ菌が異常増殖していることがはっきりしていれば、抗真菌薬をお医者さんで処方してもらうのも一法ですが、副作用が大きいようですし、投薬で一時的に減っても常在菌ですから絶滅させるのは不可能で、腸内環境が改善されないことにはカンジタ菌をおとなしくさせることはできません。)

 事ここに至ると、腸粘膜の炎症は大きく進み、腸がただれた状態、つまり、冒頭で言いました「腸粘膜のバリア機能が壊れた状態」になってしまいますから、未消化物(特にたんぱく質)や雑菌がなだれを打って体内に侵入していきます。
 これがリーキーガット症候群の始まりです。
 なお、カンジダ菌の異常増殖でなくても、悪玉菌がのさばったり、他の原因でこうした状態を引き起こすことも十分に考えられます。

 以上のことは離乳期を過ぎた子供や大人に当てはめられることですが、赤ちゃんの場合は少々事情が異なります。
 日本では離乳を急がせ、生後1年もしないうちから離乳食を与えます。この段階では、赤ちゃんは母乳以外の物に対しては消化力が弱く、また、腸壁が不完全ですから、脆弱な腸粘膜からタンパク質など未消化物や雑菌が体内に侵入してしまうのです。

 子供や大人にしろ赤ちゃんにしろ、本来は体内に入れてはならない未消化物や雑菌が腸壁からすり抜けて体内に侵入するのが恒常化すれば、どうなるでしょう。
 当然に大変なことになります。様々な疾病を引き起こすことになりましょう。
 まずは、これはよく知られたことですが、未消化のたんぱく質が食物アレルギーの原因となり、また、アトピー性皮膚炎を起こしたりします。これはアレルギー反応が皮膚へ出た症状ですが、皮膚以外にも体中で様々な炎症を引き起こすことになります。
 未消化のたんぱく質(後から述べます雑菌も関係しますが)は、喘息、関節リウマチ、慢性疲労症候群、糖尿病、クローン病(消化管全体に原因不明の炎症や潰瘍が生じ、下痢や腹痛を起こす難病)などを引き起こし、これらの疾患のうち3分の2はリーキーガットが引き金になっていると推測されもしています。
 なお、過敏性腸症候群(脳が不安や精神的ストレスを受けると、自律神経を介して腸の運動異常を引き起こし、便秘や下痢を繰り返す)を併発することも多くなります。

 次に、腸壁から体内に雑菌が侵入したらどうなるでしょう。
 まずは病原菌ですが、これは免疫機構でもっていち早く発見して殲滅しようとしますから、発熱などを引き起こし、ある程度の免疫力があれば撲滅できます。ただし、風邪でもないのに度々熱が出て、だんだん体力が消耗し、免疫力が落ちて病原菌をのさばらせることになり、重病を発症する恐れが出てきます。
 単なる雑菌であれば、侵入する数はさほど多くはなく、掃除役の白血球が少しずつ食べてくれて大事に至らないことが多いでしょうが、油断ならないのは莫大な数が生息している腸内細菌です。腸内細菌がなだれをうって体内侵入したらどうなるでしょう。
 これに関しては全くと言っていいほど関心が寄せられていないのですが、西原克成氏は、医学界みな、これを見落としていると言っておられます。
(注:2014年6月、順天堂大学の研究グループが、“腸内細菌が血液中に移行することを初めて発見した”と発表し、糖尿病との関わりだけを論文にしていますが、既にその10年前、西原氏は著「究極の免疫力」の中で様々な疾患との関わりを述べておられます。)

 西原氏の主張をかいつまんで説明すると、次のようになります。

 怖いのは「冷たい物中毒」です。これは、腸粘膜に炎症がなくてもリーキーガットが起きてしまいますから極めて恐ろしいものとなります。
 日本食は、伝統的に「冷めた物」が多いです。これに慣れていますから、真夏となると暑さをしのぐために「冷たい物」をバンバン口に入れます。特に、飲み物には氷を浮かべたり、ギンギンに「冷えた物」をがぶ飲みします。いきなりこれをやると、腸が「冷え」に対して拒絶反応を示し、即、下痢となるのですが、繰り返し「冷たい物」や「冷えた物」を腸に入れ込むようになると、腸の温度センサーがバカになり、下痢をしなくなります。
 これを通称「冷たい物中毒」といいます。
 高度成長期以降の冷蔵庫の急速な普及で、これが日常化してしまいました。
 この「冷たい物中毒」の怖いところは、腸管内の細菌(病原菌、雑菌、腸内細菌)が体内侵入を企てたとき、正常な腸温であれば腸壁に数多くいる白血球(免疫細胞)が細菌を全て食い殺してしまうのですが、腸壁が低温になっていますから、白血球の活動力がガクンと落ちており、細菌が腸壁を素通りするのを許したり、白血球が細菌を飲み込んだとしても消化することなく、どこかへ行って吐き出してしまうのです。その結果、体内細胞のあちこちに細菌が巣食うことになってしまいます。これは人によって差異がありますが、特定の臓器や器官に集中することもあります。
 こうなると、体内細胞で生み出されるエネルギーを寄生した細菌が横取りし、だんだん低体温になっていき、様々な疾患を発症することにつながっていくのです。

 以上のことが重なり合ってリーキーガット症候群が起こると考えられるのですが、人には自然治癒力があって腸粘膜の修復をしようとしますし、腸内細菌群も自力で当初の細菌叢の復元を図ろうとします。
 ところが、腸内細菌叢の復元を大きく妨げるものが2つあります。それは抗生物質と防腐剤です。
 まず、抗生物質ですが、ある抗生物質は特定のある病原菌を叩くようには作られていますが、病原菌も腸内細菌もともに細菌ですから薬物に対する基本的生体反応は同じであり、腸内細菌は何千、何万種類もありますから、ある抗生物質によって強くダメージを受ける腸内細菌も少なからずいます。よって、抗生物質が強い効き目を示したり、あるいは長期間服用すると、腸内細菌のうち何種類かは数を減らしたり、死滅してしまって腸内細菌叢(そう)に崩れを起こします。一度大きくバランスを崩した腸内細菌叢は容易には回復しません。というのは、一人のヒトの腸内にいる細菌は何百種類も生息していて群をなして棲み、互いにライバル関係にもありますから、大きく数を減らした種は容易には元の数まで復元できないからです。加えて、細菌叢は離乳期に概ね完成し、ヒト皆、同一ではなく、各人個性的に形成され、いったん形成された腸内細菌叢に、どこかで培養した同一種の生きた腸内細菌を入れ込んでも、“余所者は先住者によって食べつくされる”のでして、定着することはないからです。
 次に防腐剤ですが、これは腐敗防止のため加工食品、惣菜、弁当などに含まれるのが常です。防腐剤は、細菌を殺したり増殖を防いだりする化学薬品ですから、腸内細菌全般にも同様に働きかけます。もっとも、濃厚な防腐剤が入った加工食品ばかりを毎日食べることはないですから、腸内細菌が全滅することはないですが、腸内細菌が十分に増殖するのを大なり小なり妨げるのが防腐剤一般に言えることです。
 防腐剤の他に漂白剤などの食品添加物も害は弱くなりましょうが類似した作用を及ぼす可能性があります。また、残留農薬も問題となりましょうが、残留農薬は通常極めて薄い濃度ですから、ヒトの体内細胞にアレルギーを起こさせることはあっても、腸内細菌に直接的に作用を及ぼすことは少ないと思われます。

 ここまで、リーキーガット症候群が起こる幾つかの原因を挙げてきました。原因が分かれば対処法も決まってきます。それら原因をまず列記することにしましょう。
よく噛まないで丸飲みする傾向がある
・胃酸の出が悪い
・膵臓からの消化酵素(脂肪、たんぱく質の消化酵素)の出が悪い
・動物性タンパク質や脂肪の摂取が過剰
・腸内環境の悪化が進む
・冷たい物中毒
・抗生物質と防腐剤

 まずは、こうした原因にしっかり対処することです。
・食べ物はよく噛んで丸飲みしない。「一口30回噛む」を目標にゆっくり食事する。
・胃酸の出を良くするには食塩が必須で、減塩しない。
・膵臓からの消化酵素(脂肪、たんぱく質の消化酵素)の出が悪いから、動物性タンパク質や脂肪の摂取を少なくする。
・腸内環境を改善するために野菜中心の食事にする。
・冷たい物中毒にならないよう、努めて体温より高いものを口に入れる。
・抗生物質と防腐剤を極力避ける。

 こうした対処をしても、リーキーガット症候群がグングン改善することは期待薄でしょうから、何か改善を促す方法を取らねばなりません。
 通常言われているのが、腸内環境の改善で、次の3つが勧められています。
・ビフィズス菌、乳酸菌、納豆菌など腸内細菌と同種あるいは類似種を補給する
 腸内の善玉菌が不足していると考えられるので、これら生菌を口から補給するとよいと言われますが、ほとんどは胃酸で死滅しますし、腸に届いたとしても、先に書きましたように定着することは望めません。ただし、これら補給された菌は腸内細菌の餌になり、活力を高めたりしますから、まずまずの効果は期待できます。なお、最新情報では、近親者の便を肛門から挿入して腸内細菌叢を入れ替えるという方法が米国で行なわれ始めたようで、一定の効果が出ているようですが、これが日本に導入されるのはきっと随分先のことでしょう。
・腸内細菌と同類の細菌群により作られた発酵生成物を補給する
 発酵食品のほか、いわゆる「酵素」と呼ばれる健康飲料もこれに該当します。発酵生成物は腸内細菌の活力を高め、善玉菌を増殖させますから、毎日摂取するのが望ましいです。ただし、留意点が幾つかあります。
 何事も度が過ぎるとマイナス効果しか生まれませんから、大量摂取は避けねばなりません。特に「酵素」と呼ばれる健康飲料は過発酵を抑えるために砂糖が濃厚に加えられていますから、炎症を起こした腸粘膜を痛めつけます。そして、動物性の発酵食品(乳製品など)は日本人には体質的に合いませんから避けたほうが無難です。これは、日本人は古来より動物性食品に馴染んでおらず、特に乳の摂取は皆無であったことによります。なお、米国においても、これは未確認情報ですが、リーキーガット症候群には乳製品は避けたほうがいいと聞き及んでいます。
・腸内細菌の餌となる食物繊維の積極的な摂取
 食物繊維にもいろんな種類があります。野菜の繊維質が一般的なものですが、これは不溶性で主として大腸下部の細菌の餌になります。水溶性の食物繊維(寒天に多い)は主として大腸上部の細菌の餌になります。他には、水溶性であって、特殊な食物繊維としてオリゴ糖があります。ブドウ糖などの単糖類が数個程度つながった多糖類の総称をオリゴ糖といいます。乳由来のガラクトースを含むガラクトオリゴ糖には問題がありますが、植物由来のブドウ糖だけがつながったフラクトオリゴ糖はヒトの体にやさしいばかりでなく、腸内善玉菌全般のかっこうの餌となり、活力もつけてくれるすぐれものです。
 そのフラクトオリゴ糖を毎日積極的に摂取したいです。なお、これの過剰摂取は初期に下痢する程度で何ら問題ありません。フラクトオリゴ糖は、タマネギやゴボウにある程度含まれますが、その3倍も含むのがヤーコン芋です。
 “軌跡の健康野菜”と呼ばれるヤーコンです。葉は食後過血糖の防止に極めて効果的ですし、芋は整腸作用が抜群です。まだまだマイナーな野菜ですから市場に出回ることは少なく、かつ、保存性が悪いですから冬場しか入手できませんが、加工食品なら年間を通じて入手可能です。ヤーコン芋を搾って作られた「100%ヤーコンジュース 野菜毎日」がそうです。入手先は、次のところです。
http://www.ya-con.com/list/list.php?mode=DETAIL&idno=45
 毎日1本お飲みになってはいかがでしょうか。なお、畑があったり、借りられるようでしたら、ご自分でヤーコンを栽培なさってみてください。芋を冷蔵庫で保管すればかなり長期間もちそうです。
 ヤーコン栽培については、小生
の別立てブログをご覧ください。
 ヤーコンおやじのブログ  「
さあ皆さん、ヤーコンの栽培を始めましょう

 次に、リーキーガット症候群による様々な炎症(アレルギー反応を含む)を軽減するために、オメガ3系脂肪酸(青背の魚、亜麻仁油、シソ油、エゴマ油)の補給が良いと言われることが多いです。
 これは、摂取
オイルバランスの崩れ(
多価不飽和脂肪酸のうちオメガ3系脂肪酸の摂取不足)から言われることですが、他の脂肪酸(飽和脂肪酸:肉の脂やバター、一価不飽和脂肪酸:オリーブ油など、多価不飽和脂肪酸のうちオメガ6系:一般的な植物油)をあまりにも多く摂取しているから問題になるのでして、油脂全般の摂取を大きく減ずるほうが、様々な炎症を抑える効果が大きいです。
 ちなみに、植物油やバターなど調理用油脂の日本人の摂取量は戦前の約20倍になっていますし、昔は脂の乗った青背の魚は焼くときに脂(オメガ3系)を切っていたのですから、これを見習いたいものです。
 なお、これによって、脂肪消化酵素を出す膵臓の負担が大きく軽減されますし、腸内環境の悪化(未消化脂肪の大腸への流入)を防ぐこともできます。

 さらには、免疫力を増強する必要があると言われます。
 腸管で作られる白血球(免疫細胞)はリンパ球で、全リンパ球の60~70%を占めると言われるほどに、数多くのリンパ球が防衛線を張っています。先ほど説明しましたように、
腸管表面の粘膜から進入しようとする病原菌、雑菌、腸内細菌を水際で殲滅する必要があります。また、侵入した菌をマクロファージで直ちに食い殺してもらう必要があります。
 そのためには、たしかに腸の免疫機能を高めねばなりませんが、これは容易なことではありません。なぜならば、リーキーガット症候群になっている方は低体温傾向にあり、白血球の活力が低下しているからです。
 加えて、砂糖の過剰摂取はマクロファージをはじめ白血球の活力を大きく低下させますから、酵素飲料の過剰摂取はこの点でも問題を生じやすくします。
 リーキーガット症候群の方がときどき発熱するのは、体温を上げて白血球の活力を高めようとする自然治癒力の現れであり、低体温からの脱却しか方法はないと思われます。これについては後述します。

 他には、総合ミネラル剤の摂取が重要とも言われます。これは補助的なものではありますが、無視できないものでしょう。
 現代人の食事からすると、一般的にマグネシウム、亜鉛が欠乏しています。これらは新陳代謝や免疫機能維持に不可欠です。なお、ミネラル摂取はバランスが重要ですから、ミネラル単品ではなく総合ミネラルとするとよいです。
 ところで、ミネラル吸収は腸内環境が良くないと不十分となります。びどい便秘症の方などは総合ミネラル剤を飲んでもほとんど吸収されませんから、腸内環境を整えるのを先行させねばなりません。
 なお、玄米食はミネラル豊富ですからおすすめしますが、炊き方に注意してください。
  → 玄米VS白米論争

 水分補給についても注意すべき事項があります。
 お茶(緑茶、紅茶)は胃腸の粘膜を荒らしますから、飲んではなりません。
  → 胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる(付記:お茶も薬のうち) 
 コーヒーも同様です。砂糖の入った清涼飲料水も避けるべきです。
 生水を常温で、できれば体温より高い温度で飲むのが基本ですが、おすすめしたいもは「柿葉茶」です。柿葉にはビタミンCが濃厚に含まれ、煮出しても柿葉のビタミンCは壊れませんし、胃腸を刺激することもないです。

 さて、リーキーガット症候群から脱出するために最も重要なのは、先に申しました低体温からの脱却です。これは、一筋縄ではなんともいかない難しい問題ですが、これがクリアできれば一気に治癒に向かうことでしょう。
 様々な生活習慣の見直しから総合的に取り組むしかないですが、幾つかの方法を提案させていただきます。
・入浴習慣
 2、3時間程度の効果しかないでしょうが、体の芯を温めることができます。
 「温め、浅め、長く」湯船に浸かるのがよいです。そして、湯上がりには冷水シャワーを浴び、皮膚を引き締めて熱を逃がさないようになさってください。
 → 入浴法あれこれ、自分に最も合った方法を探しましょう
 → 始めましょう、冷水シャワー。万病に効果あり。ただし、夏を過ぎても毎日実行。
 ※ 入浴と同様の効果が出るものに貼るカイロがあります。お腹を温めるツボに貼るカイロのミニサイズを下着の上から貼るといいです。「環跳」というツボで、立ったときにお尻の両脇にできるくぼみです。お腹から離れた場所にありますが、お腹に一番効くツボです。温まりすぎて気分が悪くなるようでしたら、取り外します。(※2016.9.14挿入追記)

・軽い運動
 ラジオ体操、膝屈伸など短時間でいいですから、一区切りついたときに体を動かす癖付けをしてください。筋肉運動は発熱を伴いますから体温上昇になります。
 → 森光子さん健康法「膝屈伸1日150回」
 → どこでもできる、体が温まる「8の字書き体操」

ミニ断食のすすめ
 胃腸を元気にしてあげれば、消化吸収もはかどり、必要な栄養素が得られて代謝が進み、体温上昇に一役買ってくれます。
 そのためには、まずは胃腸を休ませてあげる必要があります。
 1日3食に、おやつ、夜食まで取っていると、胃腸が休まる暇がありません。
 毎日、連続して十数時間、食を断つと胃腸は大休止することができ、元気が出てきます。つまり、朝食を抜くことです。
 → 
朝食有害論の歴史的推移=皆が健康な時代は古今東西「朝食抜き」

 朝食抜きが無理なくできるようになれば、今度は昼食も抜く1日1食に挑戦なさってください。より長時間、胃腸を休ませてあげられ、胃腸の元気さが高まります。
 そして、これは1日2食の場合もそうですが、1週間か10日に1回、1日断食を組み込むことです。これでますます胃腸は元気になることでしょう。
 なお、1日断食は、水しか飲まない完全断食ではなく、澄まし汁断食であったり、青汁断食(※次項で説明)であったり、先に紹介した「100%ヤーコンジュース」断食であっても、同等の効果が得られ、完全断食よりもうんと楽に1日が過ごせますから、ぜひ取り入れてください。また、塩分を摂取すると、より楽になりますから、梅干を十分な白湯とともにおあがりになるとよいです。
 断食時には水分補給が欠かせませんが、先ほど述べましたようにお茶やコーヒーは厳禁で、柿葉茶をおすすめします。
 → 家庭でできる断食健康法に取り組んでみませんか

ヒト本来の食性に帰る
 これが低体温から脱却し、あらゆる難病を治癒する最善の方法と思われます。
 太古の昔、原始人の食性は「生菜食」であったと考えられます。決して狩猟採集で肉を食っていたわけではありません。
 各種生野菜(葉物と根菜)を1日1、2回摂るだけのものですが、生野菜をいくらよく噛んでも野菜の繊維が胃壁・腸壁を荒らしますから、ミキサーなどですり潰し、はじめは布でこした青汁を飲みます。慣れてきたら、すり潰したものをそのまま飲むというものです。
 → 生菜食の是非について考える。完全生菜食で信じられない健康体に!
 完全生菜食に切り替えるのは非常に難しいですが、1日2食の昼食代わりにしたり、1日1食に取り入れたりするのも効果的でしょう。
 ただし、これを急ぎ取り入れると一時的に低体温を加速します。一番の原因は、腸内細菌がまだ生菜食に適応した細菌叢を形成していないからです。冬場は慎重に少しずつ体を慣らしていく必要がありましょう。

 こうした幾多の生活習慣の見直しをせねばリーキーガット症候群の改善は望めないと思われますが、生菜食の導入以外のものであっても、気長に少しずつ体を慣らしていかないと、思わぬ障害がでることが多いですから、くれぐれも慎重に効果を確認しながら少しずつお進めなさってください。

 最後になりますが、本稿は極めて長文となり、また、所々でリンクを張りましたから、お読みいただく方に随分とお時間を取らせ、誠に申し訳ありません。
 なお、小生はまだリーキーガット症候群の方の臨床例を持っておらず、他の症例からの推測で物を申しております。よって、ここに示しました幾多の生活習慣改善法のうち、どれが特に重要なのかは、よくわかりません。その点、ご容赦ください。
 皆様には最後までお読みいただきまして有り難うございました。リーキーガット症候群を患っておられる方々の一日も早い改善をお祈りいたしております。

 参考記事:ミトコンドリアと放射能そして冷え性(冷え症)・低体温症
 関連記事:胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる(付記:お茶も薬のうち)

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生活習慣病の危険度を確率論から考える

2015年09月07日 | 生活習慣病一般

生活習慣病の危険度を確率論から考える

 無料健康相談を積極的に受けるようになって1年が経ちますが、高血圧に関しての相談が最も多く、次いでコレステロール、アトピー、精神疾患の順です。
 これは、小生のブログやHPの記事がそうしたものを多く取り上げているからでしょう。
 さて、その中で気になる相談がけっこうあります。それは、あまりに心配性で、ちょっとしたことを悪く悪く考えてしまい、それが不安感を助長し、それでもって自ら病を呼びこんでしまいそうになる、という方が少なからずおみえになるのです。当店のお客様にもそうした方はあるのですが、ネット相談ではそれが顕著です。

 そうなる原因は、その方本人の性格、何事も過敏に捉えてしまうという気性によるところが大きいと思われるのですが、その方を責めるわけにはまいりません。こうした方は真面目な方が多く、全くの犠牲者なのですから。
 本当の原因は、「世の中が一丸となって生活習慣病の危険性を煽り立てている」という現状、これが悪質極まりないものであるからであり、政府、厚労省、医師会、製薬・健食メーカー、薬局・薬店ほかあらゆる健康関連分野の輩が連合し、また野合し、利を得ようとしているからです。
 本質論としては、これは「資本主義経済は無駄から成り立っている」ということに尽きるのですが、「ウソであろうと何であろうと、とにかく新たな需要を作り出せば新たな供給が生まれ出て、経済は自ずと膨張してくれ、もって国民全体が金銭的に豊かになる」という良さそうな一面があるものの、実質的には「だまされて無駄な支出ばかりさせられ、金銭的に困窮する」ということになってしまうのです。

 さて、この世の中を生きていくには、様々な危険を抱え込まなくてはなりません。
 例えば、車を運転すれば交通事故を起こす危険がありますし、歩道を歩いていても巻き込まれたりします。年間の交通事故死は10万人当たり約3人です。これを含め建設現場をはじめとする不慮の事故ともなると一桁上になり10万人当たり約31人になります。
 この数字を見て、「道路交通は危険極まりない、建設現場などは危険極まりない、よって、絶対に車に乗ってはならない、絶対に建設労働してはならない」などと言えるのでしょうか。
 過去に年間の交通事故死が1万人を超え、10万人当たり約10人という時代がありました。警察をはじめとする関係機関が積極的に様々な安全対策を展開し、今ではピーク時の3分の1程度に減っています。この数字をどう捉えるかです。10人なら「危険」で3人なら「安全」などとは決していえるものではなく、高度文明社会の道路交通の恩恵を受けようとすれば、10人は「容認できない」が3人なら「容認する」といったところでしょう。
 つまり、様々な危険の危険性というものは、容認できるか容認できないかという判断がなされるだけのものであって、安全か否かを論ずるものではないということを、まず押さえておかねばならないでしょう。
 極端な例をあげれば、地球への隕石落下で人が死ぬ危険があるから、その危険を回避するためには地下深くで生活せねばならない、というのは妥当かどうかですが、誰もがその危険性は容認し、無防備で地上生活しましょう、ということになります。

 福島の原発事故による放射能汚染については、現在、随分とゆるい基準で運用されていますが、放射能の危険性については、事故前は次のようでした。
 
日本の被曝の限度は「1年1ミリシーベルト」と決まっていますが、これは国際的にもほとんどの国と同じです。そして、国立がんセンターが「1年1ミリシーベルトの被曝は、日本人全体では1年で8,000人の致命的発がんや重篤な遺伝性疾患を発症する恐れがある」というデータを出しています。ということは、10万人当たり6人程度のことであれば、容認しようという合意がなされているということです。
 それが、事故後には一桁上、あるいはそれ以上になっても容認しようという考え方に変えられています。つまり、被災地福島では10万人当たり100人が死ぬなり大病を患っても我慢しようというものです。
 小生の私見としては、これはとてもじゃないが容認できない、あまりにも乱暴すぎる、と思うのですが、その理由は、先に統計データを示した交通事故死や不慮の事故死の数値と比較して桁が違うし、何よりも被曝による発症は50歳未満の働き盛りの方や若者・子どもに集中することがはっきりしているからです。

 次に、日本人の原因別死因の統計データを見てみましょう。平成25年の厚労省発表の生活習慣に関わるものとしては、10万人当たりで、がん290人、心疾患156人、脳血管障害94人、腎不全20人の順になっています。
 10万人当たり100人、200人という数値は見過ごせないもので、容認できそうにありませんが、統計の数値というものは平均値ですから、老若男女で大きく異なる場合があります。こと原因別死因に関しては、人は例外なく皆、死にますから、高齢となってピンピンコロリと逝ってしまわれた方の死亡診断書は老衰ではなく、心疾患や脳血管障害とされることが多くて、あまり意味のない数値になってしまいます。
 そこで、年齢階層別に10万人当たりの死亡者数を見てみることにしましょう。厚労省の発表資料で、それが表になっているのは少々古いデータですが、平成23年の年齢階層別5大死因です。<10万人あたり:人(小数点以下四捨五入)>

 年齢階層   がん 心疾患 脳血管障害 不慮の事故 自殺 肺炎
 40~44  31  14   10    16  26  ?
 45~49  59  22   16    19  30  ?
 60~64 323  81   50    56  ?  43
 75~79 997 380  261   129  ? 228
 

 さて、この数値をどう評価するかです。40歳代の場合は、働き盛りでこれから子どもに高等教育をつけさせねばならず、大いに稼がねばならない年代の方たちです。
 交通事故死や放射能被曝の限度「1年1ミリシーベルト」のように1桁の数値であれば容認できましょうが、それより数値が少々大きくなって、「容認する」と言えるかどうか、判断に迷うところがあります。
 しかし、不慮の事故でかなりの人数が死んでいるのですが、これについては容認するというのが一般的な感覚でしょう。となると、どっこいどっこいの数値である心疾患や脳血管障害も容認してよいことになりましょうか。
 容認できそうにないと思われるのは、がんと自殺の2つになりますし、自殺一歩手前まで追い詰められた人は過剰なストレスでがんに罹りやすいでしょうから、この年代の人たちには、自殺に追いやられないようにする心的フォローや経済的支援を官民一丸となって行うべし、ということになりましょう。
 還暦過ぎの60~64歳となると、40歳代の3、4倍なり8倍となりますし、後期高齢者の仲間入りした75~79歳ともなると、一桁上の数値となりますが、これは容認できる数値か否か。小生の思いとしては、還暦過ぎであれば子が働き盛りの年代に入っており、後期高齢者ともなれば孫が社会人になろうとしているのですから、年寄りは生きていても大して役に立たず、容認してよい数値であり、一向に問題ない。

 ここまでのデータを冷静に判断すると、「生活習慣病の危険度は確率論から言って、何ら問題にならず、容認できるもの」ということになるのではないでしょうか。
 そう騒ぐものじゃない、ということになります。
 ただし、これは「死」という統計データからだけの判断であって、生活習慣病の発症により重篤な後遺症を抱えて生きていかねばならないという苦汁を味わされるという危険度、これが重要な問題になるのですが、残念ながら、これに関するちゃんとした統計データは見つかりませんでした。
 そこで、周りの人たちや当店のお客様の罹患、これは統計上全く有意なものではありませんが、これを思い起こしてみますと、40歳代の脳血管障害というと、くも膜下出血が多いようですが、たいていはお亡くなりになるか完全復帰するかであって、重篤な後遺症を抱えるケースは少ない感がします。40歳代の方がこれ以外の生活習慣病で重篤な後遺症になったという話はほとんど聞いたことがありません。
 問題になるのは、高齢者の場合、心疾患・脳血管障害といった疾患で寝たきりになることです。これらは昔と違って、直ぐに救急出動しましすし、救命治療も発達しましたから、重篤な後遺症で苦しめられるのです。また、不慮の事故(転んで骨折したなど)で身体障害に苦しむことになります。
 こうした高齢者の重篤な後遺症や身体障害は深刻な問題ではありますが、その最大の原因は、日本では医師も家族も社会復帰のためのリハビリはそこそこにして寝たきりを多く作ってしまい、加えてやたらと延命治療をしたがることにあって、欧米とは全く違うところにあります。寝たきりを作らない欧米に対して安易に寝たきりを作ってしまう日本です。これが老人医療・介護費用を膨大にしてしまう最大の原因ではないでしょうか。
 ここのところを押さえないで、生活習慣病の後遺症は大変だから早期発見・早期治療・そして予防だ、と騒いでいるように思われます。
 医療制度が発達した今日ですから、年寄りは長生きし、たいていの人は生活習慣病を患って死ぬことになるのが当たり前の世の中になりました。老衰死を望もうとしたら、還暦後はその後の30年以上にわたって毎日しっかり運動し毎日粗食に耐え続けねば叶わないでしょうし、これほど便利になった世の中ではそれは不可能でしょう。ですから、年寄りは生活習慣病でいずれはそうなると覚悟し、そうなったときにはしっかりとリハビリして家族に少しでも迷惑をかけないように生き切るしかないのです。
 生活習慣病とその重篤な後遺症を素直に受け入れて、どう生き切るか、その啓蒙活動をすべきであって、いたずらに重篤な後遺症の危険を煽るのはお門違いです。

 最後に40歳代の働き盛りの方にアドバイス申し上げます。
 小生もその年代には体を壊すのではないかと自分でも心配になるほどにがむしゃらに働き、接待や付き合いで暴飲暴食もしました。当時は成人病検診と言いましたが、毎年のように要精密検査の赤紙が貼り付けられていることが多かったです。でも、今ほどに危険性を煽るような世の中ではなかったですから、「成人病のどこが怖い」と全部無視しました。職場の多くの人もそうした捉え方をしていたように思います。
 今日では、精密検査を無視すると勤務評定に影響し、昔のような横着はできないようですが、要精密検査と判定されて、それでもって最悪の事態が訪れる確率は10万人当たりの人数を鑑みるに「容認できる」範囲にあると言えるのではないでしょうか。
 そして、念のため、万一に備えて、家族が路頭に迷わないよう、生命保険にしっかり入っておけば、十分な安心が買えるというものです。
 その後、年を食って定年を迎える時期になって、生活環境が変わるのを機会に生活習慣を見直しても遅すぎることはないでしょう。
 徹夜して仕事ができるのは40歳代までです。50歳を超えると体力は目に見えて落ち、やりたくてもやれなくなります。体の衰えを実感するのが50歳です。やるべきことは生活習慣病など気にせず、50歳前にやっておくことです。働き盛りの40歳代の方、今しばらくは大いに働いて大いに稼いでください。悔いを残さないために。

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骨休めの正月3が日。内臓にも骨休めを!

2014年01月01日 | 生活習慣病一般

骨休めの正月3が日。内臓にも骨休めを!

 あけましておめでとうございます。今年も小生のこのブログをご愛読くださいますようよろしくお願い申し上げます。

 さて、正月3が日は、“食っちゃ寝、食っちゃ寝”と、体の骨休め。たいていはこうなりましょう。でも、1日中家の中にいては頭がぼんやりするから、初詣に行こうか、買い物に行こうか、外食しようか、と精々1日1回ちょっと出かけるくらい。主婦の方も、お節は買い込んであるし、簡単に雑煮はできるし、夜は鍋にでもすればいい、と料理に手がかかりません。
 体をどれだけも動かさずに、食べる方はいつも通り。いや、和菓子だ、ケーキだ、ミカンだ、と間食がいつもよりぐんと多くなりがちです。こうして、腹も空かないのに1日3度の食事を摂り、飽食を超えて過食となります。
 そこで、3年前に「 お正月は高血糖にご注意 」と題して、カロリーオーバーに留意されるよう、記事を書きました。実際問題、定期検査で正月過ぎに高血糖になって、お医者さんから血糖値を下げるお薬を処方される方がけっこういらっしゃるのです。

 ところが、正月3が日は、何も高血糖だけのことではありません。1年365日、飽食生活の毎日ですから、内臓諸器官は酷使され、疲れ果てています。
 内臓たちだって、年に1回は骨休めをしたいでしょう。彼らが物を言うとすれば、「私も正月3が日は休ませてほしい。あんた、3日間、何も食べないでくれ!」となります。
 よって、正月3が日は断食! こうされる方も世の中にはいらっしゃいます。
 小生も、本来なら模範を示してそうせねばならないのですが、残念ながら、5代目の主であるがゆえに正月には一族郎党が集い、3が日とも“晩餐会”を催さねばならず、立場上、そういうわけには参りません。と言い訳させていただきます。
 そこで、小生はどう対処するかというと、ほぼ10年になる1日1食生活を貫徹することがまず第一となります。夕食のみの1日1食です。これは可能です。また、客人に用意した和菓子とミカンには日中は手を付けず、“晩餐会”のデザートとしていただくことにします。
 そして、苦しいほどには食べないこととします。これは、11月半ばに2日間断食を行い、以前はそのような食べ方をしていましたが、断食後は過食を戒め、満腹どまりにできるようになりましたから、可能でしょう。できることなら1日1食であっても夕食は腹八分で止めねばいかんのですが、そうそう口の卑しさには勝てそうにありませんし、我慢すればグルメ・ストレスでかえって体を害する恐れもありましょうから、それは無理というもの。(と開き直ってしまい、申し訳ありません。)
 いずれにしても、内臓たちへの骨休め3が日の供与をいつかせねばなりません。小生の場合は後日へ繰り延べとしますが、今までにやったことがない3日間断食への挑戦です。
 でも、寒い時期の断食は体が冷えて応えますから、これは暖かくなってからにしましょう。となると、いつ実行できることやら。けっこう勇気が要りますから、
昨年と同様に11月になるかも。

 さて、内臓たちを代弁して、皆さん方に申し上げたいのは、正月3が日くらいは、少なくとも空腹感を大いに味わってほしいことです。
 たいていの方は1日3食で、時が来たら義務的に食事をしておられます。毎日決まった時間に1日3度食事を取って初めて健康でいられる、と思っておられます。

 これは、とんでもないことで、特に朝食が問題です。「朝食なんて取るな」です。一昔前までは世界中が「 朝食抜きの1日2食 」で、重労働も難なくこなしていたのですからね。
 これによって、内臓諸器官が大休止でき、リフレッシュできるのです。胃腸が格段に丈夫になりますし、肝臓の解毒機能が十分に発揮されるようになりますし、腎臓や皮膚からの老廃物の排泄もスムーズに行われるのです。おまけに免疫力もアップします。
 「腹が減っては戦ができぬ」と申しますが、正月3が日は「戦(いくさ)」をすることはないでしょうから、腹を十分に空かし、内臓たちに骨休めの時間を作ってあげましょうや。
 おっと、そうなると「空腹感との戦い」がでてきますね。でも、これは「脳」だけのことであって、内臓たちには一時の骨休めになりますから、ここは食欲煩悩を抑え込みましょう。

 さらに、正月3が日を何もせずにゴロゴロしているようであれば、朝食抜きに止まらず、昼食抜きまたは夕食抜きにも挑戦なさってはいかがでしょうか。なんせ紀元前の中国は「 遅めの昼食のみの1日1食 」でしたからね。
 これは、食欲煩悩との壮絶な戦いを強いられることになりますが、日頃の飽食・過食を戒めるための「苦行」として、やってみる価値が大いにあると思われます。
 この「苦行」に挫折しそうになったら、体を動かすことです。外に出て早歩きしたり、体操したりなさってみてください。案外、体は動くものですし、空腹感を紛らすことができます。日頃の運動不足解消にもなりますしね。
 そうすれば、「空腹こそ最大のご馳走」ということを改めて実体験できます。こうしたことは久しくなかったのではないでしょうか。何を食べても美味しく感じます。正月3が日、どんな美味しい料理であっても、“食っちゃ寝、食っちゃ寝”では、決して美味しくは感じないでしょう。

 さあ、皆さん、1年365日毎日、「大きな空腹感を感じてからはじめて食事を取る」という食生活をこの正月から始めてみませんか。
 「一年の計は元旦にあり」と申しますから、今までの飽食・過食生活を今一度見直し、これからの食生活をよくよく考えられてはいかがでしょうか。

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屋台骨がゆらいできた、あなたの体も耐震補強を!骨・関節を動かし、コラーゲンなどの補給

2013年01月22日 | 生活習慣病一般

屋台骨がゆらいできた、あなたの体も耐震補強を!骨・関節を動かし、コラーゲンなどの補給

 安倍政権は、正月開けに緊急経済対策を打ち出し、補正予算を含めて総額20兆円でもって景気浮揚を図ろうとしています。これは、昨年に自民党が立てた国土強靭化計画、10年間で200兆円の公共投資の第1弾ということになりましょうか。
 先の東北大震災の教訓を踏まえ、来る南海地震などに備えての耐震補強なり代替ルートづくりのための“強靭化”とは、うまいネーミングを考え付いたものですが、実質は旧来の自民党が行なっていた土建屋への金のばら撒きにしかすぎないでしょう。
 バブル崩壊以降、どれだけ公共投資しても景気浮揚につながることはなかったのですし、いたずらに国債発行残高を増やしてきただけでしたから、今回の緊急経済対策にしろ国土強靭化計画にしろ、後々に大きなツケを残すのは必至です。

 今から12年前、小泉政権は、聖域なき構造改革の着実な実施を進めるべく、政策の基本骨格として“骨太の方針”を打ち出しました。2001年の第1弾は、有名な郵政民営化と国債発行30兆円以下の2本柱です。
 このときは、たしか30兆円以下に押さえ込むことができず、少々はみ出したようですが、経済財政諮問会議でもって、無駄の削減をギリギリまでやったと記憶しています。
 それに比べると、民主党政権の“事業仕分け”は、なんとお粗末であったことか。思い出すだけでもうんざりします。
 いずれにしても、12年前には、もうこれ以上に国債残高を増やさない、そうしないことには将来国の財政が破綻してしまうし、孫末代に大きな負担を強いることになる、そうしたことから“骨太の方針”が示されたわけですよね。
 もっとも、政策内容からは“骨太”のイメージが沸いてこないのですが、“屋台骨がぐらついてきた日本をちゃんと腰の据わったしっかりしたものに建て直していく”という意味では“骨太”といえるでしょう。

 さて、“骨太”と“強靭化”は、言葉の上では同じですが、中身を覗いてみると、全く正反対なものになっています。国債発行を減らすのか、増やすのか、これが逆になっていますからね。ついでながら、“骨太の方針”の第7弾は、第1次安倍政権の「美しい国へのシナリオ」です。こうしてみると、何だか言葉遊びをしているだけで、表面(づら)と中身が全く合っていない感がします。
 時の政権とは、政治とは、往々にしてこうしたもので、あてにはならないものでしょうね。
 そして、もはや政治には何も期待できなくなってしまった、といったところでしょう。
 自分のことは自分で何とかし、政治に頼らないで生きていくしかなさそうです。

 世の中のことはこれくらいにして、中高年になってきた自分の健康を考えてみましょう。
 こちらも、自分の健康は自分で何とかし、医者に頼らないで生きていくしかないです。
 今の世の中、暮らしを政治に頼っていると、生活がままならなくなってしまいます。それと同様に、健康を医者に頼っていると、薬漬けにされて、ますます健康を害してしまいます。
 政治と同様に、医療も世界最悪の状態にあるからです。特に、生活習慣病にあっては、医者に何もしてもらわない方が健康になれます。これは断言できます。
 そもそも生活習慣病とは、“生活”の“習慣”が原因して起きる”病”ですから、“生活”の“習慣”を改めれば“自然治癒”するのです。読んで字の如しです。

 生活習慣病の中で、そのトップに上げられるのが“体の骨格”の弱りです。
 表題にしました「屋台骨がゆらいできた、あなたの体も耐震補強を」が、真っ先にあげられましょう。関節の弱りによる膝痛・腰痛を訴える人が近年急増していますし、転んで骨折し寝たきりになるお年寄りも多くなってきています。
 その“体の骨格”の弱りを是正するには、それこそ文字通り“骨太の方針”でもって、少食にしてスリム化し、その上で、人体“強靭化計画”を推進せねばなりません。
 お医者さんへ行けば、関節痛であればヒアルロン酸注射、骨が脆ければ骨密度を高める薬が処方されますが、これでもってしても何ら効果が出るものではありません。
 何よりも、真っ先に“生活”の“習慣”を改めるべきです。
 少々痛むのを我慢してでも、体を動かすに限ります。
 いたわって大事にし、動かさないようにしていると、弱った部分は使われることがないですから、どんどん退化して、ますます弱くなってしまいますからね。
 逆に、動かしてやれば、あちこちに荷重がかかり、その圧迫力・引っ張り力によって細胞が目覚め、新陳代謝が促進され、新たな細胞が生まれ、組織が若返ってくるのです。
 体の骨格を形成する関節、骨、腱、筋肉といったもの皆、使うことによってはじめて若さが保てるのです。

 ここで必要になってくるのが、若々しい組織をつくるための原材料です。
 大半のものが体内で再合成可能ですが、加齢とともにその力が低下してきますから、外から補給する必要があります。
 関節の三大栄養素が、コンドロイチン、グルコサミン、コラーゲンです。まずは、これを口から補給する必要があります。なお、ヒアルロン酸が大人気ですが、これはグルコサミンから容易に再合成可能ですから、あえて補給する必要はありません。

        
             
 なお、お医者さんがヒアルロン酸注射しかできないのは、一言で言えば、口から補給するものは“単なる栄養”であって、保険の対象にならないからです。
 ですから、質の良いコンドロイチン、グルコサミン、コラーゲンをバランス良く配合したものを選びたいものです。
 次に、骨の栄養素は、カルシウムとビタミンDであると言われていますが、これは間違いです。まず、カルシウムですが、これを幾ら補給しても、運動して骨に荷重をかけてやらないと骨に吸着しませんし、カルシウムは案外足りているからです。次に、ビタミンDですが、お日様に少し当るだけで体内合成できますから、補給の必要はないです。
 なお、お医者さんが処方する薬は、造骨を促進するものですが、これも全く同様にして運動しないことには意味はありません。
 骨に必要なのは、コラーゲンです。骨は、鉄筋コンクリートと同じです。

       

 鉄筋コンクリートは、鉄筋が少ないと、幾らセメントを貼り付けても脆いものになります。骨の鉄筋に相当するのがコラーゲンで、しっかりしたコラーゲンが出来ると、カルシウムがきれいに張り付き、丈夫な骨になるのです。
 ですから、質の良いコラーゲンを選びたいものです。
 そして、質の良いコラーゲンですと、あまり運動しなくても丈夫な骨を作ってくれるようです。そうした報告事例がありますし、当店のお客様でもそうした方がいらっしゃいます。
 最後に、腱、筋肉ですが、これもコラーゲンが主要な成分となっています。
 ですから、質の良いコラーゲンを選んで補給したいです。
 そして、腱や筋肉も負荷をかけて動かしてあげることが重要です。特に、腱はストレッチによって弾力を持ってきますから、ゆっくり十分に体の曲げ伸ばしをされるとよいです。

 中高年に指しかかると、どうしても“屋台骨”がゆらいできて“耐震補強”が必要になりますから、こうした“骨太の方針”でもって“強靭化計画”をお進めなさってください。
 その中で、最も肝腎で全ての組織が必要とするコラーゲンは、信頼のおけるメーカーの高品質のものを選択したいです。

関連記事:2012.3.13 “骨へんに豊”と書いて何と読みますか?

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中高年女性のアイドル三羽烏(血圧降下剤・高脂血症剤・精神安定剤)

2012年11月05日 | 生活習慣病一般

中高年女性のアイドル三羽烏(血圧降下剤・高脂血症剤・精神安定剤)

 更年期以降の女性が、体調が思わしくないと感じて、お医者さんにかかると、検査された上で、たいてい次の3点セットで薬が処方されます。

1.血圧降下剤 
 体に不安を感じている状態で血圧を測ると、その緊張から血圧が20程度は上がってしまいます。よって、高血圧と診断され、薬が処方されるのです。
 そうでなくても、「白衣性高血圧」といって、医院で測ってもらうと、身構えてしまい、同様の結果になりなりがちです。
2.高脂血症剤
 更年期に差し掛かれば、コレステロール値は上がります。血液検査すれば、基準値を超えることが多くなります。よって、脂質異常症状と診断され、薬が処方されるのです。
3.精神安定剤
 更年期はホルモンバランスが崩れます。これによって、精神状態が不安定になります。よって、精神安定剤が処方されます。なお、自覚症状が不眠だけであれば、精神安定剤の一種である睡眠導入剤が処方されます。

 この3点セットに何かいい名前はないかと思い、考え付いたのが見出しの「中高年女性のアイドル三羽烏」です。
 中高年女性は、これらの薬を飲み続けつつ、定期検診を受け、「異常なし」の判定をいただいて、「自分は健康だ」と安心されます。この3つの薬は、生涯の友であり、死ぬまで頼りになる「アイドル」として位置づけられることでしょう。
 また、処方するお医者様にとっても安定した収入源となる「アイドル」でしょうから、「中高年女性の生涯の友三羽烏」よりも、「中高年女性のアイドル三羽烏」とした方が…皮肉を込めて…ふさわしいでしょうね。

 さて、当ブログの読者から相談を受けました。かかりつけのお医者様から「中高年女性のアイドル三羽烏」を処方されているが、飲み続けていいのか、という質問です。
 「もう、いりません」と言えば角が立つし、飲み続けては健康を害するのではないかと不安になるし…といったところでしょう。

 もっとも簡単な方法は、「いただいたお薬はきちんと飲んでます」と言いながら、全部捨ててしまうことです。ずるがしこいお年寄りがよく採る方法です。
1.血圧降下剤について
 血圧計を買ってきて、自宅で、精神的にも肉体的にも安静な状態のときに計測するのです。これが正しい血圧です。これで、上が150(後日追記:控え目に150と言いましたが、本当は180)までなら、全然心配いりません。
 (詳細は、このブログのカテゴリー「高血圧」の記事をご覧ください。)
 なお、医学書などには、「家庭の血圧計は数値が低く出がちだから20足すこと」などと書いてありますが、そんないい加減な血圧計は不良品であって医療機器の許可がおりる訳がなく、決してこのような高血圧患者を作らんとする策略にはまってはなりません。
 ところで、何かで緊張し、血圧が異常に高くなることが往々にしてあります。そうしたときの備えとして血圧降下剤を持っていると安心できますから、全部は捨てずに少量持っているといいでしょうね。

2.高脂血症剤について
 更年期以降の女性は飲む必要は全くありません。飲めば毒になるだけのことです。
 全部捨ててしまいましょう。
 (詳細は、このブログのカテゴリー「脂質異常症」の記事をご覧ください。)

3.精神安定剤について
 精神安定剤は即効性です。これを毎日飲み続けるのは、完全な精神病患者だけであって、一般の人は、「お守り」として持っているだけとすべきです。
 当店では、市販薬の精神安定剤をお売りすることがあるのですが、「効能書き通りに飲んではダメです」と、お話しています。ストレスなり精神不安なりに、まずは自力で立ち向かって、どうにもならないときに助けを借りるだけにしておかないと、精神力はどんどん落ちてしまうからです。
 なお、ストレスなどへの立ち向かい方は、真っ向から受け止めるだけではなく、うまくいなすという方法や別のものに注意を向けるという方法
もありますから、ケースバイケースで対応することになります。
 このことについては、このブログのカテゴリー「ストレス解消法」、「心にやすらぎを」やその前後カテゴリーの記事をご覧ください。)

 「中高年女性のアイドル三羽烏」に対しては、以上のような対応をすべきでしょう。
 そして、1か月、2か月が経って、何ら体の変調が感じられないとなれば、お医者さんに、こう言えばいいでしょう。
 「ここのところ、運動を心がけたり楽しいことがいろいろ続いて、体調が良くなりましたし、定期検診の結果もさほど悪くないようですから、血圧降下剤と高脂血症剤は、しばらくの間、なしにしていただけませんでしょうか。精神安定剤もまだ残っていますし。」
 ウソも方便です。お医者さんにとって、処方箋料が入らなくて残念でしょうが、患者さんが元気になってくれれば嬉しいでしょうから、プラスマイナスゼロでしょうし、今後も定期検診には来てくれると思うでしょうから、「じゃあ、今回は薬を出さないでおきましょう。」とすんなり行くのではないでしょうか。なお、その後は、定期検診も「行くのを忘れていました。」とでも言って、行ったり行かなかったりにすればいいのです。
 上手にお医者さんを使うことにしましょうよ。

 ところで、ご相談を受けた読者さんは、和漢薬「命の母」を飲んでお見えですが、これはホルモンバランスを整えてくれる、副作用のない薬ですから、飲み続けても問題ないです。もっとも、即効性はありませんから、効き始めるまでに1か月はかかるものと思ってください。そして、体調がよくなったら、飲む必要はないです。
 滋養強壮薬(健康食品を含む)も同様の飲み方で良いです。
 マルチビタミンを飲んでおみえですが、ビタミンはまず欠乏することはなく、不足するのはミネラルですから、マルチミネラルに切り替えられた方がよいです。

 以上、ご相談に対する回答とさせていただきます。

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「人類1年暦」からヒトの健康を見直してみませんか

2012年07月07日 | 生活習慣病一般

「人類1年暦」からヒトの健康を見直してみませんか

 地球1年暦というものがあります。これを元にして生物1年暦を作ってみました。(クリックして、まずそれをご覧になってみてください。)
 これでは、あまりにスケールが大き過ぎて、ピンとこない面がありますので、人類が誕生してから今日までを1年のカレンダーにした「人類1年暦」を新たに作りました。
 これを眺めながら、大昔の生活を思い描き、あなたの生活を振り返ってみてください。

人類の誕生         365万年前   1 月 1 日
(1万年を1日としたいために、こう設定しました。)

石器の発明         260万年前    4月15日
(前期旧石器時代の始まり)

火を初めて使用      70数万年前   10月15日
(諸説あるなかで一番確実性が高そうなもの)

中期旧石器時代       35万年前   11月27日

火の日常的使用     12.5万年前   12月19日12時

後期旧石器時代        5万年前   12月27日
(これ以降、少しずつ石器が高度化)

最後の氷河期の終了   15,000年前   12月30日12時

農耕の始まり        11,000年前  12月30日22時

新石器時代         10,000年前  12月31日  0
(農耕が本格化し、精巧な石器を作って耕作)
  

ヒプシサーマルの到来   7,000年前    12月31日  7時 
(最温暖期、海面3~5m上昇)

古代文明の発生       5,500年前    12月31日11 
ヒプシサーマルの終了)

鉄器の発明          2,500年前   12月31日18 

アメリカ大陸の発見        520年前   12月31日22時45分

産業革命の始まり        250年前   12月31日23時24分

明治維新             145年前   12月31日23時39分

電灯の普及(81%)        87年前   12月31日23時48分

第2次大戦終戦          67年前   12月31日23時50分

白黒テレビの普及(79%)    50年前   12月31日23時53分

冷蔵庫の普及(90%)      42年前   12月31日23時54分

エアコンの普及(63%)     22年前   12月31日23時57分

携帯電話の普及          7年前    12月31日23時59分
(単身世帯で60%)

 いかがでしょうか。1万年が1日、417年が1時間、6.94年が1分に相当します。

 多少とも人類社会に動きが出だしてきたのは、後期旧石器時代に入ってからで、1年が残り5日となった12月27日。そして、人類が高度な道具を作るようになった新石器時代は、大晦日になってからで、古代文明の発生は、その日のお昼です。
 科学技術を大発展させることになった産業革命の始まりは、今年も残すところ36分。
 家電製品“三種の神器”の普及は残りの数分で、携帯電話の普及は最後の1分です。

 1年365日のうち、毎日のんびりだらだら過ごして、ぼつぼつ仕事に取り掛かり始めたのが仕事納めの日からで、大晦日になって人力道具作りがあわただしくなり、そして、人力に頼らず蒸気の動力を使うようになり始めたのは最後の36分間。それ以降は、あまりにも目まぐるしく発展して、とても付いていけない世の中になってしまった。

 小生は、そんな感想を持ちました。これでは、ヒトの生理機能が順応できるわけがなく、心身ともにおかしくなってしまうのは必然ではないでしょうか。
 たったの1万年前に人類は原始時代に別れを告げただけなのですからね。

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肥満に課税=脂肪税、ポテトチップ税etc.世界的に広がりをみせています

2011年11月10日 | 生活習慣病一般

肥満に課税=脂肪税、ポテトチップ税etc.世界的に広がりをみせています
(最新更新 2022.11.16 前回更新2019.12.12)

 2011年10月1日、デンマークで「脂肪税」が導入されました。飽和脂肪酸を2.3%以上含む食品が対象で、バターやチーズがその対象となります。課税基準が2.3%と半端な数値になっているのは、乳製品を狙い撃ちしたからです。
 デンマークでは、20年以上前から、バターやチーズの取り過ぎが生活習慣病の原因であるからとして、年々消費量を控えてきており、バターは最盛期の5分の1程度までに減ってきているものの、ここ10年は横ばいで推移しており、まだまだ摂取過多であるとして、課税に踏み切ったとのことです。
 税金というものは、日本でも同様ですが、取れるところから取る、というのが原則になっており、デンマーク政府は、これにより約22億クローネ(300億円強)の税収を見込んでいるとのことです。国民の健康は建前、増税が本音といったところのようでもあります。
 デンマーク政府の公式見解では、飽和脂肪酸の摂取量を減らして国民の健康を改善すれば平均寿命が3年延びるとのことですし、また、飽和脂肪酸の取り過ぎで国民の4%が早死にしているとのことです。これも、いささか信憑性が疑われますが。
 ですが、健康を損なうようなものは、タバコがいい例ですが、どんどん課税するのも、手でしょうね。ヘビースモーカーの小生は、それにじっと耐えていますが。
(2018.10.11追記:デンマークの脂肪税は導入1年後の2012年に廃止に追い込まれました。その理由は、食品価格が高騰して近隣国に国民が買い物に行くようになってしまい、期待した効果が得られなかったからとのことです。)

 デンマークに先立つこと1か月。ハンガリーでは、9月1日から、脂肪だけでなく、糖分や塩分の多い食品にも課税する制度が施行になりました。通称「ポテトチップ税」と呼ばれるもので、他にアイスクリーム、ソフトドリンク、スナック菓子などが課税対象です。
 ハンガリー政府の説明では、肥満を防止し、国民の健康増進のためとのことですが、これは建前であって、本音は財政再建のための増税のようでもあります。

 この両国の食品税は西欧各国へも飛び火しそうな勢いで、フランスでは糖分の高い飲料に2011年に砂糖入り飲料1缶に対し0・01ユーロ(約1円)と低額ですがソーダ税が導入されていますし、英国ではデンマーク方式が検討されているとのことですし、また、アイルランドはデンマーク方式の課税を近く実施するとのことです。一方、米国においては、この類のものは州税となり、州によっては検討に入ったところもあるようです。

 税以外の規制も近年各国で始まっています。
 特に子供の肥満防止対策として多く見られます。シンガポールでは学校内売店で揚げ物や炭酸飲料の販売を制限し、韓国では同じく高カロリー・低栄養の食品販売を禁止しましたし、米国の幾つかの州では自動販売機に入れるものを規制しているようです。
 また、台湾では“おまけ付き”ファーストフードが過熱気味で、“おまけ”が禁止になり、同様なことは、米国サンフランシスコ市でも行政指導されているとのことです。

 これらの食品とは趣が変わりますが、マーガリン類の規制が世界的に進んできています。マーガリンとは、そもそもはバターの代用品として開発されたもので、常温では液体の植物油を人工的に水素添加して合成した“半固形プラスチック”です。
 水素添加時に、基本的には自然界には存在しない「トランス型脂肪酸」ができてしまい、これを分解できる微生物は限られますし、ヒトの体内酵素では、その分解はかなり難儀なようです。なお、これは、例外的に反芻動物の胃で微生物によって作られ、牛肉や牛乳にどれだけか含まれていますが、ウシであれば、その体内酵素での分解は容易なことでしょう。
 このトランス型脂肪酸は、通常存在するシス型と形状を異にしますから、細胞の部品として使いにくく、体内脂肪として蓄えられる傾向にあるようですが、一部は細胞の部品として使われて欠陥のある細胞ができてしまう恐れがあり、糖尿病の原因になったり、脳細胞が正常に働かなくなったり、アトピーの原因になるとの研究報告もあります。(2022.11.16追記:この段落での危険性の主張は確たるエビデンスはなく、2019.12.12追記のなかで紹介した副生物が原因しているかもしれません。)
 脂肪酸の重要な働きは、正常な細胞膜を形成することにあるのですから、トランス型脂肪酸であっては、異常が起きるのも当然のことでしょう。
 さて、その規制ですが、これもデンマークでは、含有量の表示義務と、高含有のものは販売禁止になっています。米国、カナダでも表示を義務付けています。
 自主規制としては、韓国の製菓メーカーなどが「トランス型脂肪酸ゼロ化」を宣言し、米国ではマクドナルドにその動きが出ています。
 なぜ製菓メーカーやファーストフードかと言いますと、マーガリンを精製したショートニングを使うと、食感が良く、日持ちするという大きな利点がありますし、フライがからりと揚がるからです。それ以外に、アイスクリームやチョコレート、パン、ドレッシングと広範囲に汎用されているのが、トランス型脂肪酸なのです。

 バターにはハエがたかっても、マーガリンにはハエはたかりません。ハエは“プラスチックなんぞ食えるか!”と、ちゃんと知っているのです。
 この「トランス型脂肪酸」こそ、タバコと同様に高い率の課税をすべきでしょうね。
(2013.11.8追記)
 米国食品医薬品局(FDA)は、トランス型脂肪酸を食品に用いることを原則禁止とする規制案を提示。60日間の猶予を置いて施行する見込み。理由は、心筋梗塞などの心疾患の発生リスクが高い。
2016.9.9追記:その後、施行が引き伸ばされ、2018年までに全廃するとのこと。)
(2014.4.19追記)
 日本では規制されていませんが、メーカーによってはトランス型脂肪酸がごく微量のマーガリンが開発(2019.12.12追記:このころからパーム油などに代替され始めたようです)されています。ただし、マーガリンは化学工業的に水素添加された脂肪酸ですから、体に悪影響を及ぼす懸念があります。
(2019.12.12追記)
 最近ではマーガリンの主成分は水素添加植物油脂(トランス脂肪酸を数%から十数%含有)から熱帯油脂(トロピカルオイル=パーム油など)に切り替えられましたが、水素添加植物油脂は、ショートニング(マーガリンの純度を高めたのもの。さっくり感やパリッとした食感を出すのに好都合で、菓子類製造に利用されることが多い)としてその後も使われています。
 その後、トランス脂肪酸そのものの害は恐れられていたほどのことはないことが分かってきたものの、植物油脂を化学的に水素添加するときにジヒドロビタミンK1(ビタミンK1の変性物)が副生し、これに強い毒性があることが判明しました。
 このことに関して、記事にしましたのでご覧ください。
 水素添加植物油脂はトランス型脂肪酸以外の毒物により食用に不適です

(2018.10.12追記)
 以上紹介しました世界各国のその後の状況は分からないところが多いですが、どれだけかは追記するなどして訂正しました。
 それ以外の最近の状況で、ネットニュースで取り上げられているものを以下に紹介しますが、脂肪課税は少なく、砂糖課税が多いようです。
 ノルウェーは砂糖税を既に1922年から導入しており、これは、ぜいたく品に対する課税で税収を増やすことが目的でしたが、現在では、政府は子供の肥満を抑えることに有効性を認めているようです。そして、最近、食品製造業者に製品中の砂糖を大幅に減らすよう働きかけ、最大80%の砂糖をカットする業者も現れたとのことです。
 メキシコでは、思い切った砂糖課税により、初年度の2014年には課税対象となる飲料の消費量が12%減少したとのことです。
 イギリスでは、2016年6月に「砂糖は新しいたばこだ」と言われるようになり、2018年4月から
砂糖を多く含む飲料(特に炭酸飲料)に約5億2000万ポンド(約820億円)の砂糖税を課すという制度が実際に導入されたとのことです。

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高尿酸血症、痛風は野菜食を。美食(高たんぱく質)のたたりですから。

2011年09月05日 | 生活習慣病一般

高尿酸血症、痛風は野菜食を。美食(高たんぱく質)のたたりですから。

 高尿酸血症、これが高ずれば「痛風」を発症します。
 圧倒的に男性に多く、30代、40代の男性の3割、成人男子の25%が、高尿酸血症と
言われています。
 この状態が恒常化すると、腎臓病に罹りやすくなります。
 
尿酸にナトリウムイオンがくっ付いて尿酸ナトリウムの結晶ができ、これが腎臓内に沈着し、間質性腎炎になり、ろ過機能が低下し、腎不全へと進む恐れがあります。
 また、尿酸ナトリウムの結晶が腎臓から尿路に落ち込んで成長し、尿路結石を起こしやすくなります。尿路が詰まれば、激痛が起きます。
 そして、皆さんご存知のとおり、痛風の発症です。
 指先は、一般に低温になっていますから、血液中の尿酸ナトリウムが結晶化しやすく、関節内にたまりやすいからです。これは、個人差があって、「無症候性高尿酸血症」の場合は、尿酸値が非常に高くても、痛風を発症しません。これは、血液が酸性に傾き、尿酸ナトリウムの結晶ができにくいからですが、酸性の血液は、痛風にならなくても、あらゆる臓器を痛めつけますから、かえって健康を害します。
 なお、痛風は、足の親指の関節に起きやすいのですが、これは、大きな力が加わることが多く、炎症を起こしやすいからです。

 ところで、高尿酸血症や痛風を起こす動物は、まずヒト以外には見当たりません。
 肉食動物や雑食動物は、動物性食品(たんぱく質)を大量に摂ることによって、体内で大量にできる尿酸をアラントインという有用物質に変換する「尿酸酸化酵素」を働かせ、尿酸値を低く抑えています。
 なお、アラントインは、皮膚や粘膜の傷を速やかに修復する薬になるもので、ヒトが髭剃り後に使う男性化粧品や痔の薬に配合されることが多いです。
 これは、獲物を捕まえたり、昆虫を食べるときに、皮膚や粘膜に傷ができやすいですから、まことに好都合です。
 ところが、
サルの仲間の霊長類で、専ら植食性となった者達は、動物性食品を摂ることをしなくなったがために、この「尿酸酸化酵素」を必要としなくなりました。よって、その遺伝子に少しずつ傷が付いてきて、今では使い物にならない状態になっています。
 チンパンジーもそうなっています。そのチンパンジーは、今はときどき動物狩りを行っていますから、血液中の尿酸値が上がってきています。そうなると、痛風を発症する危険性があります。樹上を渡り歩く彼らにとっては、これは致命傷になります。
 どうすれば良いでしょうか。チンパンジーは賢い動物ですから、腹痛に効く薬草などを何種類か知っていますから、痛風に効く薬も発見したのです。
 それは、蟻(アリ)です。
 ですから、ヒトもチンパンジーと極めて近い種ですから、痛風となったら、蟻を食べれば良いのです。蟻の体液に薬効があり、現に、中医学(漢方)で使われています。
(追記:日本では、蟻の漢方薬は生産されておらず、中国からの輸入となりますが、中小製薬会社しか取り扱いがないようで、今では入手が困難なようです。)

 ところが、近代医学では、この生物学的知見(これを知っている医学者は少ないですが)を無視して、尿酸には「抗酸化力」があり、体内で有効に働いているなどと言います。
 たしかに、尿酸を化学実験すれば、そうした効果が出るに決まっています。しかし、体内で作られる抗酸化物質は、尿酸より桁違いに優れたSODなどが働いており、尿酸の効果は誤差範囲のものとなります。
 また、高尿酸血症の原因物質は「プリン体」であるから、これを多く含む食べ物は控えなさいと言われます。もっとも、最近では、体内で作られるプリン体は、その4倍にもなるから、
さほど気にしなくて良いなどど言われ出しましたが。

 こうした、間違った医学に従っていると、治るものも治りません。
 高尿酸血症を防ぐには、我々ヒトも、専ら植食性となった霊長類の子孫ですから、極力動物性食品を控えることです。そして、過食しないことです。
 これは、高尿酸血症が、特に、30代、40代の男性に多いことを裏付けています。脂っこいものを酒の肴にして腹いっぱい美食するという「ごっつぉう病」が、そうさせるのですからね。
 「精進料理」にして、腹八分が基本となります。
 これは、あらゆる生活習慣病に共通の食事基準です。

 さて、痛風の発作に悩まされておられる方となると、これだけでは、なかなか対処できません。お医者さんから生活指導されていますように、果糖の摂り過ぎに注意したり、水分の十分な補給が必要です。
 そして、痛風はアレルギーの1種ですから、アレルギー改善が根本的な治療法となります。なぜ、アレルギーかと言いますと、どってことない尿酸ナトリウムという単なる異物を、白血球がこれを病原菌と勘違いして総攻撃を加え、それがために炎症が生じるのが痛風だからです。
 一旦アレルギー症状を起こすと、それは花粉症と同様に、改善するのはなかなか難しいです。第1に必要となるのは、低体温症からの脱却です。体の芯が温まれば、免疫系統が正常化し、白血球は単なる異物には攻撃しなくなるからです。
 詳細は、左サイドバーの「冷え、アレルギー」の記事をご覧ください。

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景気と健康に大きな相関あり。〇〇が回らねば悪くなる一方ですからね。

2010年12月24日 | 生活習慣病一般

景気と健康に大きな相関あり。〇〇が回らねば悪くなる一方ですからね。
(最新更新 2013.12.21)

 景気は金回りで、健康は酸素が回るかどうかで、決まります。
 100年に1回と言われる大不況から、大企業は立ち直ったやに見えますが、製造業においては、中小下請け企業は切り捨てられ、仕事が回って来ず、つまり、金が回らなくなって、廃業・倒産に追い込まれています。そして、消費は低迷し、日本経済は萎縮し、硬直する一方です。
 GDP(国内総生産)がわずかずつ増えており、そのようなことはないと、政府は言うのですが、国民の高い貯蓄率に支えられて、国債の乱発という財政出動で金回りを作り出し、体面を取り繕っているだけで、これも限界が見えてきました。
 こうして、日本経済は厳冬期に入り、硬直してしまって、金回りを良くする有効な施策を打たねば、やがてご臨終を迎えるのは必至でしょう。

 経済は、このように金回りで決まるのに対して、人の健康は、酸素の回り具合で決まります。人は、ご臨終ともなると、たとえ心臓がまだ動いていても、呼吸が止まり、酸素が全く回らなくなり、全身の筋肉が少しずつ硬くなって、やがて死後硬直を迎えるのです。
 生きているうちにも、硬直は始まっています。
 まず、筋肉に十分な酸素が供給されないと、筋肉は硬くなります。力仕事をした翌日は筋肉が硬くなって痛いです。これは、筋肉に十分な酸素が供給されなかったことによって、乳酸が発生して硬直したからです。(2013.12.21訂正:下線は誤り。筋肉にできた微細な傷が原因のようです。)

 また、中高年に多い腰痛は、その80%が、酸素供給不足による筋肉の硬直が原因していると言われています。
 でも、これは、日頃使っていない筋肉を適切に動かす体操によって、改善が可能です。
 次に、動脈硬化です。これは血管の硬直です。歳とともに血管の硬直が進んでいきます。これは避けることができません。いずれは極度に硬直し、ご臨終となり、全身硬直に至るのです。
 でも、血管の硬直が実年齢以上に進むと、たいていは内臓はまだ元気を保っているのですが、循環器系の病気が発生し、心臓病、脳梗塞、そしてボケで苦しむことになります。
 これは、部分的な動脈硬化によって、心臓の血管が詰まったり、脳の大小の血管が詰ることによるものです。血管が詰れば、酸素が供給されなくなりますから、当然にして大きな障害が発生するのです。
 部分的な動脈硬化を防止するには、どうしたら良いでしょうか。
 これは、たいてい
飽食が原因しています。飽食によって、余った栄養を血管壁に貯蔵している状態を作り出しているのです。
 これを改善するには、血管壁に貯蔵された栄養を食べ尽くすしかありません。絶食するなり、腹八分の食生活を持続しつつ、毎日、かなりの運動をするしかありません。
 しかし、運動というものは、口では言えても、実行はきわめて困難です。ここは、美食・飽食生活を捨てて、質素な食生活にするしかなさそうです。

 しかし・・・またまた「しかし」ですが・・・そのような食生活に切り替えると、どうなるでしょうか。動脈硬化の進行を防ぐことができ、あなたの健康は改善され、元気を取り戻すことができましょう。しかし、贅沢な食事をしなくなるのですから、世の中の金回りが悪くなり、日本経済がより硬直し、あなたの身に降りかかってきて、苦しむことになります。
 難しい選択を迫られることになってしまいますね。

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