リーキーガット症候群を克服しよう
最近、海外でにわかに注目を浴びているのがLeaky Gut Syndrome(リーキーガット症候群)。英語で「漏れている(Leaky) 消化器官(Gut) 症候群Syndrome)」というもので、「腸管壁浸漏症候群」と訳されます。リーキーガットを分かりやすく言えば「腸粘膜のバリア機能が壊れている」状態のことです。ところが、日本の医学界では、リーキーガット症候群は無視されているのか、ウィキペディア日本版にも(1916.9.9現在)掲載されていません。欧米人よりも日本人に多発しているようなのですが、これはいかがしたものでしょう。
リーキーガット症候群は、なんといっても胃腸虚弱で消化不良を起こしやすい体質の方が罹りやすいです。これは日本人の特質です。
・柔らかいものしか口にしなかったり、よく噛まないで丸飲みする傾向がある。これによって、唾液での消化がほとんどなされないし、胃に負担が掛かる。
・胃袋は白人に比べてきゃしゃにできており、消化力が小さい。これは、日本人は古来より動物性タンパク質の摂取が少なく、でんぷん質を単にふやかすだけの仕事しか胃がしてこなかったことによる。
・古来より動物性タンパク質の摂取が少なかったことにより胃酸の出が悪く、これにより食品に含まれる雑菌の殺菌力が完全ではないため、腸に入って雑菌増殖が起きやすい。
・戦後、肉の摂取が急激に増え、胃での消化が不十分にならざるを得ず、小腸に負担がかかり、完全消化が難しくなる。
・肝臓からの胆汁酸(脂肪消化促進)の出が悪かったり、膵臓からの消化酵素(脂肪、たんぱく質の消化酵素)の出が悪かったりして、未消化物が大腸に入っていく。
・肉や脂の未消化物が大腸に入ると、これを餌とする悪玉菌や日和見菌が増殖して腸内環境が変化し、善玉菌の増殖が抑えられる。
以上の経過をたどって、油っこい物や肉を多食すると腸内環境の悪化が進みます。
恒常的な腸内環境の悪化は、よく知られているように、善玉菌の増殖が抑えられて、主に便秘症、まれに下痢を引き起こすだけでなく、悪玉菌が出す毒素によって、吹き出物が出るなど皮膚に炎症を起こします。これらは表に出る症状ですが、皮膚に炎症が起きるということは、皮膚とつながっている腸粘膜にも炎症を起こしている恐れが大です。これは経験的に知られています。加えて、悪玉菌が出す毒素が体内吸収されて全身を巡りますから、様々な臓器、器官をじわじわと痛み付け、あらゆる疾病の発症原因となります。
ここまでのことは、従前から言われていたことなのですが、これよりリーキーガット症候群に関係する事象について説明しましょう。
腸内環境の悪化に伴い、ときにカンジダ菌(これは真菌[カビの一種で細菌とは異なる])の異常増殖を引き起こすことがあります。
カンジダ菌そのものは、ヒトの体表や女性の膣粘膜にも普通に存在する常在菌であり、善玉でもなく悪玉でもない日和見菌で、普段は特に何の影響も与えない菌です。
しかし、善玉菌が減り、細菌叢(そう)が崩れたときなどにカンジダ菌が異常増殖を起こすことがあり、これを日和見感染と呼ぶのですが、カンジタ菌が出す毒素によって、腸粘膜はさらなる炎症を起こします。なお、リーキーガット症候群の人の腸内では、現実にカンジダ菌がのさばっていることが多いようです。
(注:カンジダ菌が異常増殖していることがはっきりしていれば、抗真菌薬をお医者さんで処方してもらうのも一法ですが、副作用が大きいようですし、投薬で一時的に減っても常在菌ですから絶滅させるのは不可能で、腸内環境が改善されないことにはカンジタ菌をおとなしくさせることはできません。)
事ここに至ると、腸粘膜の炎症は大きく進み、腸がただれた状態、つまり、冒頭で言いました「腸粘膜のバリア機能が壊れた状態」になってしまいますから、未消化物(特にたんぱく質)や雑菌がなだれを打って体内に侵入していきます。
これがリーキーガット症候群の始まりです。
なお、カンジダ菌の異常増殖でなくても、悪玉菌がのさばったり、他の原因でこうした状態を引き起こすことも十分に考えられます。
以上のことは離乳期を過ぎた子供や大人に当てはめられることですが、赤ちゃんの場合は少々事情が異なります。
日本では離乳を急がせ、生後1年もしないうちから離乳食を与えます。この段階では、赤ちゃんは母乳以外の物に対しては消化力が弱く、また、腸壁が不完全ですから、脆弱な腸粘膜からタンパク質など未消化物や雑菌が体内に侵入してしまうのです。
子供や大人にしろ赤ちゃんにしろ、本来は体内に入れてはならない未消化物や雑菌が腸壁からすり抜けて体内に侵入するのが恒常化すれば、どうなるでしょう。
当然に大変なことになります。様々な疾病を引き起こすことになりましょう。
まずは、これはよく知られたことですが、未消化のたんぱく質が食物アレルギーの原因となり、また、アトピー性皮膚炎を起こしたりします。これはアレルギー反応が皮膚へ出た症状ですが、皮膚以外にも体中で様々な炎症を引き起こすことになります。
未消化のたんぱく質(後から述べます雑菌も関係しますが)は、喘息、関節リウマチ、慢性疲労症候群、糖尿病、クローン病(消化管全体に原因不明の炎症や潰瘍が生じ、下痢や腹痛を起こす難病)などを引き起こし、これらの疾患のうち3分の2はリーキーガットが引き金になっていると推測されもしています。
なお、過敏性腸症候群(脳が不安や精神的ストレスを受けると、自律神経を介して腸の運動異常を引き起こし、便秘や下痢を繰り返す)を併発することも多くなります。
次に、腸壁から体内に雑菌が侵入したらどうなるでしょう。
まずは病原菌ですが、これは免疫機構でもっていち早く発見して殲滅しようとしますから、発熱などを引き起こし、ある程度の免疫力があれば撲滅できます。ただし、風邪でもないのに度々熱が出て、だんだん体力が消耗し、免疫力が落ちて病原菌をのさばらせることになり、重病を発症する恐れが出てきます。
単なる雑菌であれば、侵入する数はさほど多くはなく、掃除役の白血球が少しずつ食べてくれて大事に至らないことが多いでしょうが、油断ならないのは莫大な数が生息している腸内細菌です。腸内細菌がなだれをうって体内侵入したらどうなるでしょう。
これに関しては全くと言っていいほど関心が寄せられていないのですが、西原克成氏は、医学界みな、これを見落としていると言っておられます。
(注:2014年6月、順天堂大学の研究グループが、“腸内細菌が血液中に移行することを初めて発見した”と発表し、糖尿病との関わりだけを論文にしていますが、既にその10年前、西原氏は著「究極の免疫力」の中で様々な疾患との関わりを述べておられます。)
西原氏の主張をかいつまんで説明すると、次のようになります。
怖いのは「冷たい物中毒」です。これは、腸粘膜に炎症がなくてもリーキーガットが起きてしまいますから極めて恐ろしいものとなります。
日本食は、伝統的に「冷めた物」が多いです。これに慣れていますから、真夏となると暑さをしのぐために「冷たい物」をバンバン口に入れます。特に、飲み物には氷を浮かべたり、ギンギンに「冷えた物」をがぶ飲みします。いきなりこれをやると、腸が「冷え」に対して拒絶反応を示し、即、下痢となるのですが、繰り返し「冷たい物」や「冷えた物」を腸に入れ込むようになると、腸の温度センサーがバカになり、下痢をしなくなります。
これを通称「冷たい物中毒」といいます。
高度成長期以降の冷蔵庫の急速な普及で、これが日常化してしまいました。
この「冷たい物中毒」の怖いところは、腸管内の細菌(病原菌、雑菌、腸内細菌)が体内侵入を企てたとき、正常な腸温であれば腸壁に数多くいる白血球(免疫細胞)が細菌を全て食い殺してしまうのですが、腸壁が低温になっていますから、白血球の活動力がガクンと落ちており、細菌が腸壁を素通りするのを許したり、白血球が細菌を飲み込んだとしても消化することなく、どこかへ行って吐き出してしまうのです。その結果、体内細胞のあちこちに細菌が巣食うことになってしまいます。これは人によって差異がありますが、特定の臓器や器官に集中することもあります。
こうなると、体内細胞で生み出されるエネルギーを寄生した細菌が横取りし、だんだん低体温になっていき、様々な疾患を発症することにつながっていくのです。
以上のことが重なり合ってリーキーガット症候群が起こると考えられるのですが、人には自然治癒力があって腸粘膜の修復をしようとしますし、腸内細菌群も自力で当初の細菌叢の復元を図ろうとします。
ところが、腸内細菌叢の復元を大きく妨げるものが2つあります。それは抗生物質と防腐剤です。
まず、抗生物質ですが、ある抗生物質は特定のある病原菌を叩くようには作られていますが、病原菌も腸内細菌もともに細菌ですから薬物に対する基本的生体反応は同じであり、腸内細菌は何千、何万種類もありますから、ある抗生物質によって強くダメージを受ける腸内細菌も少なからずいます。よって、抗生物質が強い効き目を示したり、あるいは長期間服用すると、腸内細菌のうち何種類かは数を減らしたり、死滅してしまって腸内細菌叢(そう)に崩れを起こします。一度大きくバランスを崩した腸内細菌叢は容易には回復しません。というのは、一人のヒトの腸内にいる細菌は何百種類も生息していて群をなして棲み、互いにライバル関係にもありますから、大きく数を減らした種は容易には元の数まで復元できないからです。加えて、細菌叢は離乳期に概ね完成し、ヒト皆、同一ではなく、各人個性的に形成され、いったん形成された腸内細菌叢に、どこかで培養した同一種の生きた腸内細菌を入れ込んでも、“余所者は先住者によって食べつくされる”のでして、定着することはないからです。
次に防腐剤ですが、これは腐敗防止のため加工食品、惣菜、弁当などに含まれるのが常です。防腐剤は、細菌を殺したり増殖を防いだりする化学薬品ですから、腸内細菌全般にも同様に働きかけます。もっとも、濃厚な防腐剤が入った加工食品ばかりを毎日食べることはないですから、腸内細菌が全滅することはないですが、腸内細菌が十分に増殖するのを大なり小なり妨げるのが防腐剤一般に言えることです。
防腐剤の他に漂白剤などの食品添加物も害は弱くなりましょうが類似した作用を及ぼす可能性があります。また、残留農薬も問題となりましょうが、残留農薬は通常極めて薄い濃度ですから、ヒトの体内細胞にアレルギーを起こさせることはあっても、腸内細菌に直接的に作用を及ぼすことは少ないと思われます。
ここまで、リーキーガット症候群が起こる幾つかの原因を挙げてきました。原因が分かれば対処法も決まってきます。それら原因をまず列記することにしましょう。
・よく噛まないで丸飲みする傾向がある
・胃酸の出が悪い
・膵臓からの消化酵素(脂肪、たんぱく質の消化酵素)の出が悪い
・動物性タンパク質や脂肪の摂取が過剰
・腸内環境の悪化が進む
・冷たい物中毒
・抗生物質と防腐剤
まずは、こうした原因にしっかり対処することです。
・食べ物はよく噛んで丸飲みしない。「一口30回噛む」を目標にゆっくり食事する。
・胃酸の出を良くするには食塩が必須で、減塩しない。
・膵臓からの消化酵素(脂肪、たんぱく質の消化酵素)の出が悪いから、動物性タンパク質や脂肪の摂取を少なくする。
・腸内環境を改善するために野菜中心の食事にする。
・冷たい物中毒にならないよう、努めて体温より高いものを口に入れる。
・抗生物質と防腐剤を極力避ける。
こうした対処をしても、リーキーガット症候群がグングン改善することは期待薄でしょうから、何か改善を促す方法を取らねばなりません。
通常言われているのが、腸内環境の改善で、次の3つが勧められています。
・ビフィズス菌、乳酸菌、納豆菌など腸内細菌と同種あるいは類似種を補給する
腸内の善玉菌が不足していると考えられるので、これら生菌を口から補給するとよいと言われますが、ほとんどは胃酸で死滅しますし、腸に届いたとしても、先に書きましたように定着することは望めません。ただし、これら補給された菌は腸内細菌の餌になり、活力を高めたりしますから、まずまずの効果は期待できます。なお、最新情報では、近親者の便を肛門から挿入して腸内細菌叢を入れ替えるという方法が米国で行なわれ始めたようで、一定の効果が出ているようですが、これが日本に導入されるのはきっと随分先のことでしょう。
・腸内細菌と同類の細菌群により作られた発酵生成物を補給する
発酵食品のほか、いわゆる「酵素」と呼ばれる健康飲料もこれに該当します。発酵生成物は腸内細菌の活力を高め、善玉菌を増殖させますから、毎日摂取するのが望ましいです。ただし、留意点が幾つかあります。
何事も度が過ぎるとマイナス効果しか生まれませんから、大量摂取は避けねばなりません。特に「酵素」と呼ばれる健康飲料は過発酵を抑えるために砂糖が濃厚に加えられていますから、炎症を起こした腸粘膜を痛めつけます。そして、動物性の発酵食品(乳製品など)は日本人には体質的に合いませんから避けたほうが無難です。これは、日本人は古来より動物性食品に馴染んでおらず、特に乳の摂取は皆無であったことによります。なお、米国においても、これは未確認情報ですが、リーキーガット症候群には乳製品は避けたほうがいいと聞き及んでいます。
・腸内細菌の餌となる食物繊維の積極的な摂取
食物繊維にもいろんな種類があります。野菜の繊維質が一般的なものですが、これは不溶性で主として大腸下部の細菌の餌になります。水溶性の食物繊維(寒天に多い)は主として大腸上部の細菌の餌になります。他には、水溶性であって、特殊な食物繊維としてオリゴ糖があります。ブドウ糖などの単糖類が数個程度つながった多糖類の総称をオリゴ糖といいます。乳由来のガラクトースを含むガラクトオリゴ糖には問題がありますが、植物由来のブドウ糖だけがつながったフラクトオリゴ糖はヒトの体にやさしいばかりでなく、腸内善玉菌全般のかっこうの餌となり、活力もつけてくれるすぐれものです。
そのフラクトオリゴ糖を毎日積極的に摂取したいです。なお、これの過剰摂取は初期に下痢する程度で何ら問題ありません。フラクトオリゴ糖は、タマネギやゴボウにある程度含まれますが、その3倍も含むのがヤーコン芋です。
“軌跡の健康野菜”と呼ばれるヤーコンです。葉は食後過血糖の防止に極めて効果的ですし、芋は整腸作用が抜群です。まだまだマイナーな野菜ですから市場に出回ることは少なく、かつ、保存性が悪いですから冬場しか入手できませんが、加工食品なら年間を通じて入手可能です。ヤーコン芋を搾って作られた「100%ヤーコンジュース 野菜毎日」がそうです。入手先は、次のところです。
http://www.ya-con.com/list/list.php?mode=DETAIL&idno=45
毎日1本お飲みになってはいかがでしょうか。なお、畑があったり、借りられるようでしたら、ご自分でヤーコンを栽培なさってみてください。芋を冷蔵庫で保管すればかなり長期間もちそうです。
ヤーコン栽培については、小生の別立てブログをご覧ください。
ヤーコンおやじのブログ 「さあ皆さん、ヤーコンの栽培を始めましょう」
次に、リーキーガット症候群による様々な炎症(アレルギー反応を含む)を軽減するために、オメガ3系脂肪酸(青背の魚、亜麻仁油、シソ油、エゴマ油)の補給が良いと言われることが多いです。
これは、摂取オイルバランスの崩れ(多価不飽和脂肪酸のうちオメガ3系脂肪酸の摂取不足)から言われることですが、他の脂肪酸(飽和脂肪酸:肉の脂やバター、一価不飽和脂肪酸:オリーブ油など、多価不飽和脂肪酸のうちオメガ6系:一般的な植物油)をあまりにも多く摂取しているから問題になるのでして、油脂全般の摂取を大きく減ずるほうが、様々な炎症を抑える効果が大きいです。
ちなみに、植物油やバターなど調理用油脂の日本人の摂取量は戦前の約20倍になっていますし、昔は脂の乗った青背の魚は焼くときに脂(オメガ3系)を切っていたのですから、これを見習いたいものです。
なお、これによって、脂肪消化酵素を出す膵臓の負担が大きく軽減されますし、腸内環境の悪化(未消化脂肪の大腸への流入)を防ぐこともできます。
さらには、免疫力を増強する必要があると言われます。
腸管で作られる白血球(免疫細胞)はリンパ球で、全リンパ球の60~70%を占めると言われるほどに、数多くのリンパ球が防衛線を張っています。先ほど説明しましたように、腸管表面の粘膜から進入しようとする病原菌、雑菌、腸内細菌を水際で殲滅する必要があります。また、侵入した菌をマクロファージで直ちに食い殺してもらう必要があります。
そのためには、たしかに腸の免疫機能を高めねばなりませんが、これは容易なことではありません。なぜならば、リーキーガット症候群になっている方は低体温傾向にあり、白血球の活力が低下しているからです。
加えて、砂糖の過剰摂取はマクロファージをはじめ白血球の活力を大きく低下させますから、酵素飲料の過剰摂取はこの点でも問題を生じやすくします。
リーキーガット症候群の方がときどき発熱するのは、体温を上げて白血球の活力を高めようとする自然治癒力の現れであり、低体温からの脱却しか方法はないと思われます。これについては後述します。
他には、総合ミネラル剤の摂取が重要とも言われます。これは補助的なものではありますが、無視できないものでしょう。
現代人の食事からすると、一般的にマグネシウム、亜鉛が欠乏しています。これらは新陳代謝や免疫機能維持に不可欠です。なお、ミネラル摂取はバランスが重要ですから、ミネラル単品ではなく総合ミネラルとするとよいです。
ところで、ミネラル吸収は腸内環境が良くないと不十分となります。びどい便秘症の方などは総合ミネラル剤を飲んでもほとんど吸収されませんから、腸内環境を整えるのを先行させねばなりません。
なお、玄米食はミネラル豊富ですからおすすめしますが、炊き方に注意してください。
→ 玄米VS白米論争
水分補給についても注意すべき事項があります。
お茶(緑茶、紅茶)は胃腸の粘膜を荒らしますから、飲んではなりません。
→ 胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる(付記:お茶も薬のうち)
コーヒーも同様です。砂糖の入った清涼飲料水も避けるべきです。
生水を常温で、できれば体温より高い温度で飲むのが基本ですが、おすすめしたいもは「柿葉茶」です。柿葉にはビタミンCが濃厚に含まれ、煮出しても柿葉のビタミンCは壊れませんし、胃腸を刺激することもないです。
さて、リーキーガット症候群から脱出するために最も重要なのは、先に申しました低体温からの脱却です。これは、一筋縄ではなんともいかない難しい問題ですが、これがクリアできれば一気に治癒に向かうことでしょう。
様々な生活習慣の見直しから総合的に取り組むしかないですが、幾つかの方法を提案させていただきます。
・入浴習慣
2、3時間程度の効果しかないでしょうが、体の芯を温めることができます。
「温め、浅め、長く」湯船に浸かるのがよいです。そして、湯上がりには冷水シャワーを浴び、皮膚を引き締めて熱を逃がさないようになさってください。
→ 入浴法あれこれ、自分に最も合った方法を探しましょう
→ 始めましょう、冷水シャワー。万病に効果あり。ただし、夏を過ぎても毎日実行。
※ 入浴と同様の効果が出るものに貼るカイロがあります。お腹を温めるツボに貼るカイロのミニサイズを下着の上から貼るといいです。「環跳」というツボで、立ったときにお尻の両脇にできるくぼみです。お腹から離れた場所にありますが、お腹に一番効くツボです。温まりすぎて気分が悪くなるようでしたら、取り外します。(※2016.9.14挿入追記)
・軽い運動
ラジオ体操、膝屈伸など短時間でいいですから、一区切りついたときに体を動かす癖付けをしてください。筋肉運動は発熱を伴いますから体温上昇になります。
→ 森光子さん健康法「膝屈伸1日150回」
→ どこでもできる、体が温まる「8の字書き体操」
・ミニ断食のすすめ
胃腸を元気にしてあげれば、消化吸収もはかどり、必要な栄養素が得られて代謝が進み、体温上昇に一役買ってくれます。
そのためには、まずは胃腸を休ませてあげる必要があります。
1日3食に、おやつ、夜食まで取っていると、胃腸が休まる暇がありません。
毎日、連続して十数時間、食を断つと胃腸は大休止することができ、元気が出てきます。つまり、朝食を抜くことです。
→ 朝食有害論の歴史的推移=皆が健康な時代は古今東西「朝食抜き」
朝食抜きが無理なくできるようになれば、今度は昼食も抜く1日1食に挑戦なさってください。より長時間、胃腸を休ませてあげられ、胃腸の元気さが高まります。
そして、これは1日2食の場合もそうですが、1週間か10日に1回、1日断食を組み込むことです。これでますます胃腸は元気になることでしょう。
なお、1日断食は、水しか飲まない完全断食ではなく、澄まし汁断食であったり、青汁断食(※次項で説明)であったり、先に紹介した「100%ヤーコンジュース」断食であっても、同等の効果が得られ、完全断食よりもうんと楽に1日が過ごせますから、ぜひ取り入れてください。また、塩分を摂取すると、より楽になりますから、梅干を十分な白湯とともにおあがりになるとよいです。
断食時には水分補給が欠かせませんが、先ほど述べましたようにお茶やコーヒーは厳禁で、柿葉茶をおすすめします。
→ 家庭でできる断食健康法に取り組んでみませんか
・ヒト本来の食性に帰る
これが低体温から脱却し、あらゆる難病を治癒する最善の方法と思われます。
太古の昔、原始人の食性は「生菜食」であったと考えられます。決して狩猟採集で肉を食っていたわけではありません。
各種生野菜(葉物と根菜)を1日1、2回摂るだけのものですが、生野菜をいくらよく噛んでも野菜の繊維が胃壁・腸壁を荒らしますから、ミキサーなどですり潰し、はじめは布でこした青汁を飲みます。慣れてきたら、すり潰したものをそのまま飲むというものです。
→ 生菜食の是非について考える。完全生菜食で信じられない健康体に!
完全生菜食に切り替えるのは非常に難しいですが、1日2食の昼食代わりにしたり、1日1食に取り入れたりするのも効果的でしょう。
ただし、これを急ぎ取り入れると一時的に低体温を加速します。一番の原因は、腸内細菌がまだ生菜食に適応した細菌叢を形成していないからです。冬場は慎重に少しずつ体を慣らしていく必要がありましょう。
こうした幾多の生活習慣の見直しをせねばリーキーガット症候群の改善は望めないと思われますが、生菜食の導入以外のものであっても、気長に少しずつ体を慣らしていかないと、思わぬ障害がでることが多いですから、くれぐれも慎重に効果を確認しながら少しずつお進めなさってください。
最後になりますが、本稿は極めて長文となり、また、所々でリンクを張りましたから、お読みいただく方に随分とお時間を取らせ、誠に申し訳ありません。
なお、小生はまだリーキーガット症候群の方の臨床例を持っておらず、他の症例からの推測で物を申しております。よって、ここに示しました幾多の生活習慣改善法のうち、どれが特に重要なのかは、よくわかりません。その点、ご容赦ください。
皆様には最後までお読みいただきまして有り難うございました。リーキーガット症候群を患っておられる方々の一日も早い改善をお祈りいたしております。
参考記事:ミトコンドリアと放射能そして冷え性(冷え症)・低体温症
関連記事:胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる(付記:お茶も薬のうち)