薬屋のおやじのボヤキ

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24節気の健康と食養:小雪から大雪まで

2024年11月21日 | 24節気の健康と食養

24節気の健康と食養:小雪から大雪まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 小雪 初候 虹蔵不見(にじ かくれて みえず)虹を見かけなくなる
    次候 朔風払葉(きたかぜ このはを はらう)北風が木の葉を払い除ける
    末候 橘始黄(たちばな はじめて きばむ)橘の実が黄色くなり始める

 立冬の次にやってくる24節気が小雪で、毎年11月22日頃(2024年は11月22日)になります。「冷ゆるが故に雨も雪と也てくだるが故也」とのことで、小雪と言われるのですが、これは中国大陸中心部でのことでしょう。
 ちなみに中国のとある旅行社の説明では、西安(昔の長安)の気候について「温和な気候と自然環境に恵まれた土地であり、原始先住民族が生活するのに理想的な土地でもあった。」と書かれ、
そして、西安の気温が月別に表示されており、平均最低気温を東京と比べると次のとおりとなっています。西安の緯度は紀伊半島の真ん中辺りになりますが、冬はとても寒そうです。
 11月:2.6℃(東京:8.8℃)、12月:-3.1℃(東京:3.8℃)
 このことからすれば、11月下旬には雪が舞うということになるでしょう。

 小雪ともなると、日は日増しに短くなりますし、日射しが弱まり、外気温もぐんと下がってきます。濃尾平野では“伊吹おろし”、関東平野では“からっ風”が吹き荒れるようになり、しぐれる日がでてきますから、とうとう冬が来たな、と実感できるようになります。ちなみに岐阜地方気象台での初霜の観測日は平年で11月20日、小雪の頃になります。
 植物はあらかた葉を落とし、すっかり休眠状態になりますし、動物も冬眠したり、
あまり体を動かさなくなってきます。ヒトも動物ですから冬ごもりの態勢に入り、生体反応は不活発になります。あわせて防寒対策をしっかり取るようになります。

 現代社会においては、常日頃から体をあまり動かさず、寒くなるとよけい体を動かさなくなりますから、体熱生産が落ちて、より寒さを感じるようになります。
 これでは体に良くないです。努めて体を動かしたいものです。
 お勧めなのは、どこでもいつでも簡単にできる膝(ひざ)屈伸運動です。これは、20年以上前からのことですが、女優の女優の森光子さん(故人)が、体力の衰えを感じた72歳のときから、膝屈伸運動を1日150回やられるようになって、ますます若々しく元気になられ有名になったものです。1回に30回やると、けっこう足にきます。小生にはこの回数が限界。でも、これで体が温まります。皆さんにもお勧めします。

 寒さの訪れとともに、食においても体を温めるものが求められます。
 これから冬野菜が旬となり、冬野菜は基本的に体を温める効果がありますから、毎日の食卓にのぼるようにしていただきたいものです。間違っても時期外れの夏野菜は常食されませんようにご注意ください。夏野菜は体の芯を冷やしてしまいます。

 前回の繰り返しになりますが、冬に共通する食養生をまずご説明しましょう。
 冬の食味は「塩味」です。塩っ辛すぎてはいけませんが、おいしいと感ずる程度に塩味をお楽しみください。減塩ブームが出てから久しいですが、その必要は全くありません。
 詳しくは、次の記事をご覧ください。
  立冬から冬、何を食しますか。まずは塩味が重要です。

 次に、「小雪」からの節気の食養生について、特に留意すべき点を記すこととします。
 この時期、急激な冷え込みがくることがあり、まだ体が慣れていませんから、体の芯まで冷えきってしまうことがあります。
 こんなときは、意識して少々塩味をきつくするとよいです。なぜならば、塩ほど体を温めるものはないからです。少し濃い目の味噌汁や豚汁になさるといいでしょう。
 そして、そうした冷え込んだ日の夕食にお勧めなのが、鍋物です。外からも中からも体を温めてくれますからね。

 芋類で一番最後に旬がくる里芋。イカを入れた芋の煮っ転がしが、ことのほか美味いですね。
 また、漢方では、腎陰虚(手足がほてる、頭のふらつきやのぼせ、イライラ、不眠、耳鳴り、口渇、腰がだるい)に、芋類では山芋と並んで里芋が良いとされています。
 これから旬となる里芋を食卓に飾っていただきたいものです。

 冬は、海の幸があれこれ旬になります。何がいいかとなると小生も分かりかねます。
 ここは、魚屋さんに聞いて買うのが一番。
 今年もサンマの水揚げが不漁で、
もう食べられなくて残念です。サンマのはらわたは、けっこううまいのですがね。小生は、はらわたと腹周りの小骨も肉と一緒に口に放り込み、よく噛んで食べるようにしています。また、サンマの骨は冷凍保存しておき、まとめてフライパンで炒って酒の肴にする、これもけっこううまいです。

 果物では、リンゴが本格的に出回っています。前にも書きましたが“リンゴが赤くなれば、医者が青くなる”という言葉があり、それだけ栄養価が高く、抗酸化力があったり、免疫力を付けたり、ということになりましょう。リンゴは平性の食品に分類されていますが、食べ過ぎるとやはり体を冷やすようですから、ほどほどの分量としたいです。
 そして、みかんが旬となります。こちらは温性の食品に分類され、体を冷やすようなことはなさそうです。みかんは風邪に対する抵抗力を付けてくれましょうし、特に皮は漢方では陳皮(チンピ)と呼ばれ、風邪に薬効ありとなっています。みかんの皮を料理に入れたり、漬物に加えたりしていただきたいものです。陳皮は七味唐辛子にも加えられています。

 次回は、「大雪」(12月7日頃)からの健康と食養です。

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24節気の健康と食養:立冬から小雪まで

2024年11月06日 | 24節気の健康と食養

24節気の健康と食養:立冬から小雪まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。

 立冬 初候 山茶始開(つばき はじめて ひらく)
         山茶花(さざんか)が咲き始める
     次候 地始凍(ち はじめて こおる)大地が凍り始める
     末候 金盞香(きんせんか さく)水仙の花が咲く

 霜降の次にやってくる24節気が立冬で、毎年11月7日頃(2024年は11月7日)になります。これより季節は冬となります。
 漢方の世界では、通常の感覚より1か月前倒しされています。
 外気温からすると、“これはおかしい”となりますが、通常の植物は、これがぴったり当てはまります。草は種を残し、木は葉を枯らして立春の頃まで冬眠するのです。
 植物を食べる動物も、この時期は食べられるものが少なくなりますから、生体は休眠状態になり、あまり体を動かさなくなってきます。ヒトも動物ですから、生体反応は活発さが弱まってきます。

 ところが、今日的感覚では、この節気は晩秋として捉えられ、五穀豊穣を迎え、今年採れた穀類、芋類、豆類がわんさと入手できるようになり、それらは皆とてもおいしいです。こうして食欲の秋がまだまだ続きます。
 しかし、五穀豊穣のお祝い、新嘗祭は一つ先の節気、小雪の頃に行われ、神社では今年採れた稲穂が新嘗祭で供えられ、新米が出回るのはもっと先のことです。
 でも、今日では早々に稲刈りが行われ、1節気か2節気早く新米が出回りますし、春夏秋冬、あらゆる農作物が早期育成、早期出荷の傾向にあります。早ければ早いほど高値で売れるという経済活動がこぞってそうさせてしまうのですが、もう少しスローライフで行きたいものですね。
 こうしたこともあって、本来なら立冬の頃は、味が落ちた古米を食べ、冬野菜もまだ出回らず、食材に美味しそうなものはなくて、自然と少食へと向かっていったのでしょうが、現在は立冬の頃に五穀と冬野菜がどっと市場に出ますから、つい飽食してしまいます。

 さて、立冬から季節は冬となり、冬に共通する食養生をまずご説明しましょう。
 冬の食味は「塩味」です。塩っ辛すぎてはいけませんが、おいしいと感ずる程度に塩味をお楽しみください。減塩ブームが出てから久しいですが、その必要は全くありません。詳しくは、次の記事をご覧ください。
  立冬から冬、何を食しますか。まずは塩味が重要です。

 次に、「立冬から小雪まで」の節気の食養生について、特に留意すべき点を記すこととします。
 先ほど申しましたように、今日的感覚では、この節気は晩秋として捉えられ、
食欲の秋がまだまだ続き、無理に食欲を抑えるのは精神的ストレスが溜まりすぎますから、五穀豊穣にしっかりとした感謝の気持ちを持って、有り難くあれこれいただきましょう。感謝の気持ちがあれば、良く味わってゆっくり食べることになりますから、早食いに付きものの過食をけっこう防ぐことができます。

 穀類では、新米の出荷が始まり、御飯をお代わりしたくなりますし、蕎麦(ソバ)も新蕎麦が出回りますから、蕎麦料理もとてもおいしくなります。芋類では、サツマイモは既に出回っていますし、長芋や山芋もこれからが旬です。里芋はもう一つ先の小雪以降が本来の旬となりましょう。立冬の頃は芋がまだ成長中ですからね。
 こうして
出回りだした新物の穀類や芋類を有り難くいただきたいものです。

 これからの時期、海の幸があれこれ旬になります。何がいいかとなると小生も分かりかねます。ここは、魚屋さんに聞いて買うのが一番。
 
果物では、晩生の「富有柿」が終盤となります。そして、リンゴが本格的に出回りだします。前にも書きましたが“柿が赤くなれば、医者が青くなる”という言葉があり、りんごについても同様に言われます。それだけ栄養価が高く、抗酸化力があったり、免疫力を付けたり、ということになりましょうが、毎日ほどほどの量を、ということになりましょう。特に、柿は冷性の食品ですから、食べ過ぎると体を冷やしますので、ご用心なさってください。リンゴは涼性ないし平性ですから、さほど体を冷やすものではないですが、ほどほどにしておきたいものです。

 さて、これからの時期、注意せねばならないのが「ノロウイルス」です。昔は、胃腸風邪と言われることが多かったです。
 通常、11月になってから罹患者数が急上昇し、年が明ける頃からダラダラと減り始め、暑くなった6月には沈静するといった傾向を示します。
 症状としては吐き気・嘔吐や下痢、腹痛などがみられ、発熱は軽度で、多くは1日から2日で改善するものの、ときに長引くことがあります。
 対症医療法的に吐き気を止める薬や下痢止めを使いたくなりますが、これではノロウイルスを胃腸の中で増殖させることになり、逆効果です。出すものは出すしか手がありません。そして、水分補給(白湯)だけにし、食を断つことです。あとは自然治癒力でもってノロウイルスを殲滅(せんめつ)するしかないのです。
 つまり、免疫力が高ければ、感染しても発症しなかったり、軽い発症で終ったり、早く治癒したりするのです。ノロウイルスに対する免疫力は特徴的なものがあり、腸免役が高ければ容易に対応できます。つまり、腸内環境が良ければいいのです。
 これについては、順天堂大学大学院医学研究科(2011年5月10日)の報告があります。その要旨は「介護老人保健施設に入所する高齢者にラクトバチルス カゼイ シロタ株を含む発酵乳を飲用してもらった結果、感染性胃腸炎(ノロウイルスによることを確認)に起因する発熱症状を緩和する効果を確認した」というものです。ざっくばらんに申せば、“ヤクルトを毎日飲んでいるとノロウイルスに感染しても治りが早い”というものです。
 “だからヤクルトを毎日飲むといい”となるのでしょうが、そんなことをしなくても、肉を控えて野菜のおかずを多くするという料理、
そして漬物(植物性の乳酸菌が特に効果的)を毎日食せば、腸内環境はグーンと良くなりますので、これに勝る対処法はないでしょうね。
 なお、ノロウイルスにやられてしまった場合に良く効く漢方薬があります。それは「柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)」です。長引く風邪にも効きますから、冬季は1箱常備されるのをおすすめします。
 巷では、新型コロナがまだ侮れないし、インフルエンザが流行り始めたと大きく報道されていますが、“コロナもインフルもそう騒ぐでない。ノロウイルスと一緒で腸内環境を整えさえすれば大丈夫”なんです。なんせ免疫は主として腸で作られるんですからね。

 次回は、 「小雪」(11月22日頃)からの健康と食養です。

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24節気の健康と食養:霜降から立冬まで

2024年10月23日 | 24節気の健康と食養

(今年の秋はあまりにも暖かく、いや暑くって「霜降」の節気に入っていたことをすっかり忘れており、遅がけの投稿となってしまいました。失礼の段、お許しください。)

24節気の健康と食養:霜降から立冬まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 霜降 初候 霜始降(しも はじめて ふる)霜が降り始める
    次候 霎時施(こさめ ときどき ふる)小雨がしとしと降る
    末候 楓蔦黄(もみじ つた きばむ)もみじや蔦(つた)が黄葉する

 寒露の次にやってくる24節気が霜降で、毎年10月23日頃(2024年は10月23日)になります。前節気の寒露もそうですが、今節気の霜降となると、日本の大半の地域の気候から随分とずれて感じます。10月下旬に霜が降りるとは、です。
 これは、24節気が作られたと言われる中国戦国時代(紀元前3~4世紀)の前の時代も後の時代も現在の西安(昔の長安)辺りが中国の中心地であり、温度差が大きい大陸性気候のその地域の気候でもって命名されたからでしょう。
 ちなみに西安の月別平均最低気温を東京と比べると次のとおりです。
  10月:9.3℃(東京:14.8℃)、11月:2.6℃(東京:8.8℃)
 霜降を過ぎると、朝の気温は日本の大半の地域ではやっと寒露(一つ前の節気)といったところでしょうが、それでも快晴の朝は放射冷却で気温が10度を軽く下回るようになり、秋が深まりつつあるな、と感じます。
 この時期は、後から説明しますが、季節の変わり目に相当するものの、晩秋という捉え方もでき、朝晩はカラッとした大陸の冷たい空気でもって、秋の臓器である肺が痛みつけられる恐れがあります。肺は乾燥を嫌いますから、肺が弱い方は肺に潤いを与えるべく、保湿器を引っ張り出したり、マスク(変なところでコロナ対応が役立ちます)などを着装されるといいでしょう。

 さて、漢方5季(春夏秋冬と土用)の区分では、霜降から立冬までは、季節の変わり目である秋の土用(10月20日頃~立冬の前日まで)と概ね一致します。
 
よって、『24節気の食養:霜降から立冬まで』は、投稿済みの次の記事と大きく重複しますから、先ずはこれをご覧ください。
 
秋の土用は土用食を。先ずは甘味ですが、重労働をするときだけに。

 これに少々補足します。
 秋の土用の頃は、保存食糧の収穫シーズン真っ盛りとなります。日本では米の収穫がそうですか、畑では
サツマイモの収穫が始まり、山では栗の収穫が続いています。
 よって、秋の深まりを感ずると同時に、ますます
食欲が湧いてきます。この時期、食欲煩悩を抑えるのは至難の技ですから、旬のサツマイモや栗をおいしくいただきましょう。
 第一生命の「サラリーマン川柳」に次のものがあります。
 
やせてやる!! コレ食べてから やせてやる!! 栗饅頭之命くりまんじゅうのみこと]
 これは、ダイエットの失敗例ですが、“秋の土用が過ぎ、冬になったら、やせてやる!!” でいいのです。→冬ヤセ、夏ヤセで毒だし!おすすめします1日断食の繰り返し
 このことについては、前々回(秋分)、前回
(寒露)でも申しましたが、四季がある地域に住む動物は、冬の食糧不足と寒さ対策のために、この時期に限って飽食します。ヒトも同じ動物ですから、秋に飽食したくなる体質になっており、大いに食欲の秋を満喫していいのではないでしょうか。ただし、冬になったら腹八分かそれ以下にすべきですが。

 この時期、海の幸もいいですね。前にも取り上げましたが、サンマ、イワシ、サバがおいしい季節です。調理法は塩焼きが一番。これら青背の魚には体にいい油脂(DHAとEPA)がたくさん含まれ、大いに摂るとよいと言われますが、今の日本人は油脂全般にあまりにも摂りすぎですから、旬となって脂の乗った青背の魚は、昔の調理法のとおり十分に脂を切って食べるべきものなのです。油脂はバランスが重要ですから、「足りない油脂を足すのではなく、過剰摂取の油脂を引く」と、心得ておいたほうがいいです。

 果物では、何と言っても柿が旬です。前回(寒露)でも申しましたが、“柿が赤くなれば、医者が青くなる”という言葉があります。それだけ栄養価が高く、抗酸化力があったり、免疫力を付けたり、ということになりましょうが、毎日ほどほどの量を、ということになりましょう。特に、柿は冷性の食品ですから、食べ過ぎると体を冷やしますので、ご用心を。でも、旬のものですから、冷え症の方も少しは食べましょう。体にこもった熱や炎症で生ずる熱を取り去る力が柿にはありますから。

 次回は、「立冬」(11月7日頃)からの健康と食養です。

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24節気の健康と食養:寒露から霜降まで

2024年10月07日 | 24節気の健康と食養

24節気の健康と食養:寒露から霜降まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 寒露 初候 鴻雁来(こうがん きたる)雁が飛来し始める
    次候 菊花開(きくの はな ひらく)菊の花が咲く
    末候 蟋蟀在戸(きりぎりす とに あり)蟋蟀が戸の辺りで鳴く

 秋分の次にやってくる24節気が寒露で、毎年10月8日頃(2024年は10月8日)になります。朝は冷気により寒々とした露がたくさん結ぶようになり、秋もいよいよ本番となります。1年で一番過ごしやすい時期ではないでしょうか。
 
でも、日中に汗をかいて日が落ちるとスコッと肌寒く感じて風邪を引いいてしまう、ということになりやすいですから、十分に用心なさってください。

 さて、前回(秋分)で申しましたが、朝晩の涼しさを感ずると同時に、体のけだるさを感ずるようになることがあります。これが本来の「夏バテ」ですが、最近は「秋バテ」と呼ばれることが多くなりました。その対処の仕方は「夏バテ? 秋バテ?(三宅薬品・生涯現役新聞N0.331)」で解説しましたが、ミネラル不足が原因であることも多いです。
 ミネラルの補給には、まずもって緑黄色野菜や小魚を丸ごといただくということが重要です。前々回紹介しました秋刀魚(サンマ)(今年もチョウ不漁で高価ですが)、前回紹介しましたイワシが旬になっています。焼き魚にして脂を切り、はらわたや骨まで食べるのが理想的です。もっともサンマの場合は骨は硬いですから焼き直す必要がありますが。
 野菜を多く摂ってミネラル不足を解消するのが一番ですが、市場に出回る野菜は昔に比べてミネラルが随分と減っていますから、不十分になりがちです。まだ夏バテ(秋バテ)している方は総合ミネラル剤で不足分を充足させる必要がありましょう。

 本格的な涼しさの訪れとともに食欲がぐんと出てきます。食欲の秋の到来です。馬肥ゆる秋です。前回(秋分)にも申しましたが、四季がある地域に住む動物は、冬の食糧不足と寒さ対策のために、この時期に限って飽食します。ヒトも同じ動物ですから、秋に飽食したくなる体質になっており、大いに食欲の秋を満喫していいのではないでしょうか。
 ただし、冬になったら、そして夏も、腹八分かそれ以下にすべきですが。
 参考までに、飽食して太ったらその後はダイエットして一時的に痩せると健康にとてもいいです。それはどうしてか。「
冬ヤセ、夏ヤセで毒だし!おすすめします1日断食の繰り返し」をご覧ください。

 この時期、小生が魚釣りに行った帰りに時々買い求めるのが「サバの浜焼き」です。サバのうち「マサバ」は日本近海で獲れる代表的なサバの種類。「秋さば」「寒さば」などと呼ばれるように、秋から冬にかけてが脂がのり、美味です。串刺しし、脂を切るため斜めに立てて炭火でじっくりと焼いた「浜焼き」ほど美味しいものはありません。でも、この正統な焼き方はほとんど姿を消してしまい、残念です。味が落ちます。
 ところで、“秋サバは嫁に食わすな”ということわざがあります。2説ありますが、ここは、“サバは非常に痛みやすいものだから食中毒でも起こしたらお腹の子にさわる”ということにしておきましょう。詳しくは、「秋ナスと秋サバは嫁に食わすな!」をご覧ください。

 気象は、これも前回(秋分)にも申しましたが、カラッとした大陸の空気が入り込むことが恒常化し、空気は乾いています。秋の臓器は肺で、肺は乾燥を嫌います。肺に潤いを与えてあげねばなりません。それには、食が大いに関係します。もっとも重要なのが「辛味」で、これが肺を潤してくれます。詳しくは、「立秋は秋の入り、五味を上手に秋食に取り入れましょう。まずは辛味が重要です。」をご覧ください。
 畑では露地物のピーマンやシシトウの収穫がピーク終盤となり、これからの時期は昔であればピリッと辛いピーマンやシシトウが多くなったのですが、今はすっかり品種改良されてしまい、これら皆、辛くないものばかりになりましたから、残念です。食卓に乗った料理には、唐辛子なり胡椒を気持ち多めに振りたいものです。
 また、これから旬となったショウガが採れはじめますから、料理に使いたいものです。
 そして、これも前回(秋分)で申しましたが、秋はカレーライスの季節です。この時期、辛いカレーライスがますますおいしく感じられます。でも、過ぎたるは及ばざるが如しでして、激辛は度が過ぎて肺を痛めつけることになりますから、ほどほどになさってください。
 ところで、カレーに入れる肉は、鶏、豚、牛、羊といったものがあげられますが、お年寄りの場合は牛、できれば羊がおすすめです。というのは、肉に含まれるカルニチンの量がこの順番でぐんと多くなるからです。カルニチンは、エネルギー代謝向上のほか「脳力」アップにとてもいいものです。詳しくは別立てブログの『アミノ酸誘導体「カルニチン」に意外な効能あり、それは「脳力」アップ』をご覧ください。

 果物では、梨、ブドウ、イチジクが終りかけ、これから旬となるのが柿です。
 “柿が赤くなれば、医者が青くなる”という言葉がありますが、トマトやリンゴも同様の言い方がされます。それだけ栄養価が高く、抗酸化力があったり、免疫力を付けたり、ということになりましょうが、毎日ほどほどの量を、ということになりましょう。特に、柿は冷性の食品ですから、食べ過ぎると体を冷やしますので、ご用心を。でも、旬のものですから、冷え症の方も少しは食べましょう。体にこもった熱や炎症で生ずる熱を取り去る力が柿にはありますから。

 次回は、「霜降」(10月23日頃)からの健康と食養です。

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24節気の健康と食養:秋分から寒露まで

2024年09月21日 | 24節気の健康と食養

24節気の健康と食養:秋分から寒露まで

24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 秋分 初候 雷乃収声(かみなり すなわち こえを おさむ)
            雷が鳴り響かなくなる
    次候 蟄虫坏戸(むし かくれて とを ふさぐ)
            虫が土中に掘った穴をふさぐ
    末候 水始涸 (みず はじめて かる)
            田畑の水を干し始める

 白露の次にやってくる24節気が秋分で、毎年9月23日頃(2024年は9月22日)。これより夜が昼より長くなるのですから、秋も本番となります。そして、「暑さ寒さも彼岸まで」と言います。(秋の彼岸:秋分の日を中日(ちゅうにち、おちゅうにち)といい、その前後3日間、計7日を言います。)
 過ごしやすい季節の到来です。
でも、朝晩は肌寒く感じ、風邪を引きやすくなってきますから、用心なさってください。 

 さて、前回(白露)で申しましたが、朝晩の涼しさを感ずると同時に、体のけだるさを感ずるようになることがあります。これが本来の「夏バテ」ですが、最近は「秋バテ」と呼ばれることが多くなりました。その対処の仕方は「夏バテ? 秋バテ?(三宅薬品・生涯現役新聞N0.331)」で解説しましたが、ミネラル不足が原因であることも多いです。なお、今年は猛暑が9月20日まで延々と続きましたから、その傾向が強く、警戒が必要です。
(参照 
今年は「秋バテ」がひどくなりそう(三宅薬品・生涯現役新聞N0.355)

 ミネラルの補給には、まずもって緑黄色野菜や小魚を丸ごといただくということが重要です。前回紹介しました秋刀魚(サンマ)が旬の真っ只中となり、新鮮なものならミネラルたっぷりのはらわたも美味しく食べられます。しかし、サンマはここ何年か不漁続きで、今年ははしりはいいものの引き続き不漁の見込みで、なんともなりませんが。
 サンマのほかに、秋はイワシが旬になっています。脂の乗ったイワシの丸干しを焼いて、脂を切って、丸ごと全部食べるのがベストです。ミネラル補給にとてもいいです。なお、青背の魚の脂(オメガ3)が体にいいからといって、残さず脂を全部摂るのは考えものです。油脂の摂取はバランスが重要で、高レベルでバランスを取るのではなく、低レベル(少ない摂取量)でバランスを取りたいものです。
 野菜を多く摂ってミネラル不足を解消するのが一番ですが、市場に出回る野菜は昔に比べてミネラルが随分と減っていますから、不十分になりがちです。夏バテ(秋バテ)した方は総合ミネラル剤で不足分を充足させる必要がありましょう。

 夏バテ(秋バテ)が解消すると、本格的な涼しさの訪れとともに食欲が出てきます。食欲の秋の到来です。馬肥ゆる秋です。
 四季がある地域に住む動物は、冬の食糧不足と寒さ対策のために、この時期に限って飽食します。ヒトも同じ動物ですから、秋に飽食したくなる体質になっており、大いに食欲の秋を満喫していいのではないでしょうか。
 ただし、冬になったら、そして夏も、腹八分かそれ以下にすべきですが。
 参考までに、飽食して太ったら、その後はダイエットして、一時的に痩せると健康にとてもいいです。それはどうしてか。「
冬ヤセ、夏ヤセで毒だし!おすすめします1日断食の繰り返し」をご覧ください。

 これからの気象は、秋雨前線が終わり、カラッとした大陸の空気が入り込むことが恒常化し、空気は乾いてきます。秋の臓器は肺で、肺は乾燥を嫌います。肺に潤いを与えてあげねばなりません。それには、食が大いに関係します。もっとも重要なのが「辛味」で、これが肺を潤してくれます。詳しくは、「立秋は秋の入り、五味を上手に秋食に取り入れましょう。まずは辛味が重要です。」をご覧ください。
 この時期、露地物のピーマンやシシトウの収穫がピークとなり、ピリッと辛いピーマンやシシトウが求められるのですが、すっかり品種改良されてしまい、これら皆、辛くないものばかりになりましたから、残念です。食卓に乗った料理には、唐辛子なり胡椒を気持ち多めに振りたいものです。また、これから旬となるショウガが採れはじめます。
 そして、秋はカレーライスの季節です。この時期、辛いカレーライスがますますおいしく感じられます。でも、過ぎたるは及ばざるが如しでして、激辛は度が過ぎて、逆に肺を痛めつけることになりますから、ほどほどになさってください。

 果物では、梨が終りかけ、ブドウはマスカット系が旬となり、イチジクが今しばらく続いています。食味は梨が寒性で食べ過ぎると体を冷やしますが、ブドウとイチジクは平性で、さほど体を冷やすものではないです。食欲の秋ですから、食後に何かこうした旬の果物を少々いただきたいものです。
 これからの時期、体を冷やす(寒性の食べ物)ことで有名なのが「秋ナス」です
。“秋ナスは嫁に食わすな”ということわざがあります。2説ありますが、ここは、姑が秋ナスの調理を嫁に任せて諭した言葉、“もうじき、お腹に子が宿るじゃろうよ。秋ナスは体を冷やしてしまうから、子にさわる。食べるのは遠慮しときなされ。”ということにしておきましょう。
 詳しくは、秋ナスと秋サバは嫁に食わすな!をご覧ください。

 次回は、「寒露」(10月8日頃)からの健康と食養です。

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24節気の健康と食養:白露から秋分まで

2024年09月06日 | 24節気の健康と食養

 24節気の健康と食養:白露から秋分まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 白露 初候 草露白(くさの つゆ しろし)草に降りた露が白く光る
    次候 鶺鴒鳴(せきれい なく)鶺鴒(せきれい)が鳴き始める
    末候 玄鳥去(つばめ さる)燕が南へ帰って行く

 処暑の次にやってくる24節気が白露で、毎年9月7、8日頃(2024年は9月7日)になります。大気が冷えてきて露が多くでき、白色となることから、白露と呼ばれます。
 残暑を感ずることは大幅に減り、乾いた涼しい風が吹き、秋になったことを実感できるようになります。また、白露から秋分にかけて夜は一晩ごとに涼しくなるとも言われ、本格的な秋の訪れを感ずるようになります。

 この時期になりますと、時に朝晩の急な冷え込みがありますから、風邪や下痢から身を護るため、身体を露出した服装は避けたほうがいいことになりましょう。
 一方で、日中は35℃を超えるような猛暑日もあり、今年はその傾向が強いようで、熱中症対策もおろそかにできません。→熱中症と夏ばての原因は一緒(三宅薬品・生涯現役新聞N0.295)
 そうした日には、まだまだ冷たい物が欲しくなることが多いです。冷蔵庫で冷やし過ぎた飲食物の摂取は、再々記事にしていますが、「冷たい物中毒」の恐れがあり、要注意です。暑いときは暖かいお湯がおすすめなのは当店新聞で解説したとおりです。→ 暑い時期はお湯を飲むべし(三宅薬品発行の生涯現役新聞N0.271)

 さて、朝晩の涼しさを感ずると同時に、体のけだるさを感ずるようになることがあります。これが本来の「夏バテ」ですが、最近は「秋バテ」と呼ばれることが多くなりました。その対処の仕方は「夏バテ? 秋バテ?(三宅薬品・生涯現役新聞N0.331)」で解説しましたが、ミネラル不足が原因であることも多いです。

 ミネラルの補給には、まずもって緑黄色野菜や小魚を丸ごといただくということが重要です。前回(処暑)紹介しました、そろそろ旬になる魚、秋刀魚(サンマ)が白露の頃から本格的に出回ります。スタミナ食にもなるサンマですから、この時期大いに食していただきたいですし、新鮮なものであれば、はらわた、これはミネラルたっぷりですから、これも食べていただきたいです。ところで、サンマはここ何年か不漁続きで、今年は初水揚げで豊漁だったもの沖合の魚群分布は昨年より少ない見込みとのことで、今年も期待できず残念です。
 なお、市場に出回る野菜は昔に比べてミネラルが随分と減っていますから、夏バテした方は総合ミネラル剤をお飲みになることをおすすめします。

 涼しさの訪れとともに食欲もだんだん出てきます。食欲の秋の到来です。
 前回(処暑)紹介しましたが、
野菜では立秋以降が旬となるカボチャが一押しです。保存が利き、栄養価が高いですから、大いに食していただきたいです。
 それ以外の野菜となると、皆、夏野菜の類となりますが、ピーマンやシシトウがピークとなります。これも前回説明しましたが、秋には辛味の食材を大いに食していただきたいですから、ピリッと辛いシシトウなどが求められます。

 果物も夏物の晩生のものとなりますが、この時期に多く出回るものがあります。
 梨は旬が続いており、食味は寒性で、体を冷やしますから、食べすぎには注意したいですが、体を潤してくれますから、この時期の食後のフルーツに最適でしょう。
 イチジクは旬が長く、秋果の最盛期となり、まだ多く出回っています。女性ホルモン様成分を含むことから更年期障害にいいですし、食物繊維は不溶性と水溶性の両方ともたっぷり含まれ便秘にいいです。一言で申せば「女性保健薬、それはイチジク」なのです。

 海産物では、秋刀魚(サンマ)の他にカツオがあります。三陸沖で捕れる戻りカツオが旬となります。北の豊かなプランクトンを食べて肥え、脂がのっていて美味しいです。カツオのタタキが一般的ですが、薬味をたっぷり添えたいです。刻みネギ、ミョウガ、青シソに、おろしショウガとおろしニンニクです。具沢山といわれるほどに薬味をたっぷり添えると、美味しくもあり、野菜もたっぷり摂取できるというものです。うちでは、こうした食べ方をしています。

 またまた前回の繰り返しになりますが、立秋以降、体は秋モードに変化しています。その秋は、五臓では肺の季節。肺が活動的になります。その肺が好む味が辛味です。詳しくは「立秋は秋の入り、五味を上手に秋食に取り入れましょう。まずは辛味が重要です。」をご覧ください。
 この時期、まだまだ暑いですが、辛味が利いた熱いカレーライスを食べるのもいいです。汗をかくほどに熱いカレーライスは、冷えた胃を温めてもくれますから、初秋の料理としては効果的です。そして、料理には意識的に唐辛子を振っていただきたいです。

 次回は、「秋分」(9月23日頃)からの健康と食養です。

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24節気の健康と食養:処暑から白露まで

2024年08月22日 | 24節気の健康と食養

 24節気の健康と食養:処暑から白露まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 処暑 初候 綿柎開(わたの はな しべ ひらく)綿を包む萼(がく)が開く
    次候 天地始粛(てんち はじめて さむし)ようやく暑さが鎮まる
    末候 禾乃登(こくもの すなわち みのる)稲が実る

 立秋の次にやってくる24節気が処暑で、毎年8月23日頃(2024年は8月22日)になります。「処」とは、身を隠す、終えるという意味と「次」という意味があります。よって、処暑とは、「暑さもその身を隠そうとし、秋の気配を感じるが、秋でありながら残暑もあり、その暑さが夏に次ぐ」という意味になります。

 8月15日のお盆から1週間が過ぎただけですから、「“ひところに比べて早朝は涼しくなった”と感ずるものの、まだまだ残暑厳しい日も訪れます。でも、空気がますます乾いてきますので、幾分過ごしやすくなったのを実感できます。」となるのは、例年のことですが、今年は秋雨前線が停滞しそうで、本来の処暑の訪れは当分先になりそうな気配がします。早く平年並みになってほしいものです。

 「大暑から立秋まで」、「立秋から処暑まで」の記事でも書きましたが、今年はまだまだ蒸し暑い日が多いですから、注意点を再々掲します。
 
昼間、暑い盛りに、体の芯を冷やしてくれるスイカがとてもおいしく感じます。でも、冷蔵庫で冷やし過ぎたスイカの食べ過ぎは「冷たい物中毒」の恐れがあり、要注意です。
 そして、快適な冷房も長時間あたると、体が冷えすぎてしまい、様々なトラブルが発生します。その対応策は、前々回の「夏至から小暑」の記事で書きました正しい入浴法や、前回の「小暑から大暑」記事で書きました貼るカイロの利用があります。参考になさってください。(引用ここまで)

 “ホット”な(少々古くなりましたが)情報を一つ紹介します。
 「暑い時期はお湯を飲むべし:漢方医学の本場、中国人たちが教えてくれています」
 こう題して2017.8.25発行の当店「生涯現役新聞」で記事にしました。中国人、特に女性は、日本人のように冷たい水や氷入りの水は飲まず、お湯しか飲まないという習慣が身についているというものです。これは理にかなったもので、臨床実験も紹介しています。冷蔵庫で冷やしたペットボトルのミネラルウオーターは必ずポットで熱くして飲みましょう。

 まだまだ残暑厳しい日もありますから、食事が淡白なものになりがちで、スタミナを付けたいです。野菜では立秋以降が旬となるカボチャ、そして今では年中出回っていますが枝豆が栄養価が高いですから、大いに食していただきたいです。
 海産物では、そろそろ旬になる魚、秋刀魚(サンマ)が出回り始めます。ここ何年か不漁続きですが、今年は初漁が思いがけない豊漁とのことで、どれだけか期待できそうです。
 小生が子供の頃は秋になれば魚といえばサンマでした。毎年豊漁続きで、安くて美味しい。これからの時期、脂が乗っておいしくなってくるサンマです。
 よく焼いて脂を切って食べる、というのがサンマの食べ方です。青背の魚の脂が体にいいからと、脂を切ってしまってはもったいないと考えるのは間違いです。他の油、霜降り牛など四足の脂、てんぷら油などを、昨今はあまりにも摂り過ぎているから、オイルバランスが崩れているのでして、これらをうんと減らし、サンマの脂も切るべきなのです。なんせ現代は戦前の約20倍もの油脂を取っているのですからね。
 ここで、小生が行っている、こだわりのサンマの食べ方を紹介しましょう。
 焼いたサンマをキッチングペーパーを敷いた皿に載せ、少しでも脂を吸わせます。箸で背と腹の境を少し開いて醤油を注します。最初に食べるのは、サンマの腹の部分です。はらわたがけっこううまい。腹周りの小骨、周りの肉もはらわたと一緒に口に放り込み、よく噛んで食べます。なお、消化にいいように大根おろしをたっぷり用意しておき、サンマと大根おろしを交互に口に運びます。
 はらわたが嫌いな方であっても、肝は小さいですが、少なくともこれだけは食べていただきたいものです。はらわた、特に肝はミネラルたっぷりですからね。
 また、サンマの骨は冷凍保存しておき、まとめてフライパンで炒って酒の肴にする、これもけっこううまいです。食べないのは頭と尻尾だけ。食べられる所は全部食べるという「一物全体」、なるべくそうしてほしいものです。

 中国では、処暑に内臓を取り去ったアヒルを丸ごと野菜と煮込んで食べる風習があります。季節の変化が感じられる時期でもあり、秋の臓器である「肺」を潤し、血を補い、熱を取り去り、弱った脾(胃)を元気にするのが、アヒルとされていることによるものです。また、鴨(カモ)の肉を処暑に食べるという風習もあるようです。なお、漢方五行論では、秋の肉は鶏となっていますから、同じ鳥類のアヒルなり鴨がいいということになりましょう。
 これでもって
滋養をつけ、夏バテを防止しようという意味もあります。
 前回も書きましたが、「夏負け」と「
夏バテ」の違いについて、もう一度説明しておきましょう。暑さ真っ盛りの時期に体調を崩すのが「夏負け=暑気当たり」で、涼しくなってから体がおかしくなるのを「夏バテ」といい、対処の仕方が大きく違います。
 詳しくは、「何でも“夏バテ”にされては困りもの。暑気当たり=“夏負け”とは区別して対処しましょう。」をご覧ください。

 また、前回にも書きましたが、立秋以降しばらくすれば朝の涼しさを感ずるようになり、体は秋モードに急速に変化してきています。
 秋は、五臓では肺の季節。肺が活動的になります。その肺が好む味が辛味です。詳しくは、「立秋は秋の入り、五味を上手に秋食に取り入れましょう。まずは辛味が重要です。」をご覧ください。
 立秋の頃から本格的に収穫できるようになっているのがピーマンやシシトウで、昔はけっこう辛いものが混じっていました。最近はシシトウの一部にそうしたものが若干ある程度になってしまい、少々残念ですが、辛味のある野菜を大いに食していただきたいです。
 なければ意識的に唐辛子を振っていただきたいですし、この時期、熱いカレーライスを食べるのもいいです。汗をかくほどに熱いカレーライスは、冷えた胃を温めてくれますから、初秋の料理としては効果的です。なお、季節は秋ですから、先ほど言いましたようにチキンカレーがおすすめです。

 果物では、梨が旬となり、出回り始めます。梨の食味は寒性で、体を冷やしますから、食べすぎには注意したいですが、体を潤してくれますから、この時期の食後のフルーツに梨は最適でしょう。
 また、イチジクが旬となり、出回り始めます。イチジクにはポリフェノールが多く、活性酸素を消してくれ、様々な生活習慣病の予防になります。また、女性ホルモン様成分を含むことから更年期障害にいいですし、食物繊維は不溶性と水溶性の両方ともたっぷり含まれ便秘にいいです。一言で申せば「女性保健薬、それはイチジク」なのです。ぜひお召し上がりください。

 次回は、「白露」(9月7、8日頃)からの健康と食養です。

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24節気の健康と食養:立秋から処暑まで

2024年08月07日 | 24節気の健康と食養

 24節気の健康と食養:立秋から処暑まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 立秋 初候 涼風至(すづかぜ いたる)涼しい風が立ち始める
    次候 寒蝉鳴(ひぐらし なく)蜩が鳴き始める
    末候 蒙霧升降(ふかき きり まとう)深い霧が立ち込める

 大暑の次にやってくる24節気が立秋で、毎年8月7日頃(2024年は8月7日)になります。立秋の日は夏至の日に比べて約1時間も日が短くなります。
 でも、立秋の日の気温は概ねピークにあり、岐阜の平年値は次のとおりです。
  平均気温のピーク (8月  5日) 28.9度 
  最高気温のピーク (8月5~7日) 34.0度 
  最低気温の
ピーク (8月3~6日) 25.2度 

 これでは、とても秋が来たという感じはしないのですが、梅雨はとっくに過ぎ、地面が乾いて湿気が減り、湿度がけっこう低くなりますから、蒸し暑さからは随分と開放されます。
 
とは言うものの、今年は連日すさまじい猛暑に襲われ、ひどい熱帯夜が続き、かつ、ときおり軽い夕立が逆効果になって蒸し暑さは和らいでくれません。少々うんざりします。
 でも、毎年確実に言えるのは、日が昇るのが夏至に比べて約30分遅くなりますから、早起きの人には“一頃に比べて早朝は涼しくなった。そろそろ秋が来るか”と感じられることでしょう。
 そうは言っても、日中はまだまだ猛暑日の連続でしょうから、立秋以降の挨拶言葉は“残暑お見舞い申し上げます”となりますが、お盆前までは真夏と捉えたほうがいいでしょうね。

 「大暑から立秋まで」の記事で書きましたが、立秋以降もしばらくは暑さ真っ盛りの状況にありますから、その時期の注意点を再掲します。
 
昼間、暑い盛りに、体の芯を冷やしてくれるスイカがとてもおいしく感じます。でも、冷蔵庫で冷やし過ぎたスイカの食べ過ぎは「冷たい物中毒」の恐れがあり、要注意です。
 そして、快適な冷房も長時間あたると、体が冷えすぎてしまい、様々なトラブルが発生します。その対応策は、前々回の「夏至から小暑」の記事で書きました正しい入浴法や、前回の「小暑から大暑」記事で書きました貼るカイロの利用があります。参考になさってください。(引用ここまで)

 梅雨後半から立秋過ぎまでのしばらくの間は蒸し暑さや猛暑で食事が淡白なものになりがちです。よって、この時期、スタミナが切れてきます。これも「大暑から立秋まで」で書きましたが、滋養が付く鰻や肉類を時折食べたいものです。

 中国や韓国では、概ね「土用の丑」と同じ頃、その前後10日の日、計3回を「三伏」(*)といい、肉料理で滋養をつける習慣があります。3回目の「三伏」は立秋の頃となり、中国では立秋には「とろ火でよく煮込んだ肉や骨付き肉を食べるがよい」とされています。これでもって滋養をつけ、夏バテを防止しようというものです。また、暑い盛りに熱い物を食べるのは、冷えた胃腸を元気にすること、汗をかいて老廃物を排出すること、といった面でも大事なこととされています。
(注)「三伏」とは、正確には次のようになります。夏至から数えて3番目の庚(かのえ)の日から「初伏」が始まり、夏至から4番目の庚の日から「中伏」が始まる。そして、立秋以後の最初の庚の日から「末伏」が始まり、初伏、中伏、末伏の総称が「三伏」となる。初伏と末伏はそれぞれ10日間と日数が決まっているが、中伏の日数は年によって異なる。夏至から立秋までの間に、庚の日が4回ある場合、中伏は10日間、5回ある場合は20日間となり、「三伏」の期間は年によって30日間となったり40日間となったりする。

 ここで、「夏負け」と「夏バテ」の違いについて説明しておきましょう。暑さ真っ盛りの時期に体調を崩すのが「夏負け=暑気当たり」で、涼しくなってから体がおかしくなるのを「夏バテ」といい、対処の仕方が大きく違います。詳しくは、「何でも“夏バテ”にされては困りもの。暑気当たり=“夏負け”とは区別して対処しましょう。」をご覧ください。

 さて、先にも書きましたが立秋以降しばらくすれば朝の涼しさを感ずるようになります。そうなると、体は秋モードに急速に変化していきます。
 秋は、五臓では肺の季節。肺が活動的になります。その肺が好む味が辛味です。詳しくは、「立秋は秋の入り、五味を上手に秋食に取り入れましょう。辛味が重要です。」をご覧ください。
 立秋の頃から本格的に収穫できるようになるのがピーマンやシシトウで、昔はけっこう辛いものが混じっていました。最近はシシトウの一部にそうしたものが若干ある程度になってしまい、少々残念ですが、辛味があるから初秋からの野菜である、と言えるのが本来のピーマンやシシトウです。
 もう一つ、立秋の頃に収穫のピークとなるのがカボチャで、収穫後1週間か10日置くと甘味も増して美味しくなり、この時期にふさわしい野菜です。漢方では、カボチャは「陰陽にかたよらず両者を補益する平補の食品」とされ、体に熱がこもるでもなく、冷やしもしないという、この時期に胃腸にやさしい食品で、栄養価も高く、滋養も付きますから、大いにお召し上がりください。
 他にこの時期に収穫が本格化するものにオクラがあります。オクラに特有のネバネバ物質はペクチンとムチン。胃腸の粘膜を保護し、消化を促し、便秘を解消するといった効果があります。この時期、「冷たい物中毒」で荒れた胃腸
粘膜の修復に効果的でしょう。
(2018.8.9追記:ムチンにはこのような効果はないことが判明しましたので削除します。)

 果物では、ぶどうが旬となります。漢方では、ブドウは「血を補い、気を補う作用がある。性は平(体を温めも冷やしもしない)」とあり、これからの時期に最適です。
 また、桃が旬となります。漢方では、桃は「体を潤し、胃腸を整え、血を巡らし、老廃物を排泄する」とあり、性は微温(体を少々温める)で、冷え症の女性には最適な果物となります。

 次回は、「処暑」(8月23日頃)からの健康と食養です。

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24節気の健康と食養:大暑から立秋まで

2024年07月21日 | 24節気の健康と食養

 24節気の健康と食養:大暑から立秋まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 大暑 初候 桐始結花(きり はじめて はなを むすぶ)桐の実が生り始める
    次候 土潤溽暑(つち うるおうて むしあつし)土が湿って蒸暑くなる
    末候 大雨時行(たいう ときどきに ふる)時として大雨が降る

 小暑の次にやってくる24節気が大暑で、毎年7月23日頃(2024年は7月22日)になります。気温もどんどん高くなって、読んで字のごとく、暑さは大暑でもってピークを迎えるということになりましょうか。特に梅雨のある本州・四国・九州では、例年、梅雨明けしてしばらく経って大暑を迎え、梅雨明け後の1週間、10日は猛暑となることが多いです。今年はまさにそうで、大変な暑さとなりました。

 ところで漢方5季(春夏秋冬と土用)の区分では、大暑から立秋までは、夏の土用(7月19、20日頃~立秋の前日まで)と概ね一致します。
 よって、『24節気の食養:大暑から立秋まで』は、投稿済みの次の記事と大きく重複しますから、先ずはこれをご覧ください。
 夏の土用に何を食べますか。まずは「体の中の水害を防ぐ」ことから。

 これに少々補足します。
 この時期、例年、梅雨明け後の1週間ほどは猛暑にさらされ、かつ、地面の湿り気で湿度も高く、蒸し暑さがとてつもないものとなります。昼間、屋外に長時間いると、熱中症の危険が大です。その時期が過ぎれば、湿度は低下し、少し楽になります。
 昼間、暑い盛りに、体の芯を冷やしてくれるスイカがとてもおいしく感じます。でも、冷蔵庫で冷やし過ぎたスイカの食べ過ぎは「冷たい物中毒」の恐れがあり、要注意です。
 ところで、この時期には、冷蔵庫で異常に冷たくした水や茶、さらには氷を浮かべた飲み物をやたらと口にしたくなります。でも、日本よりもっと暑いアラビアやインドでは真夏は熱い湯や茶を飲むのですし、お隣の中国では若い女性も熱い湯を飲みます。日本では梅雨明け後の1週間ほどは湿度が高く、体に熱がこもって、異常に冷たい物を取りたくはなりますが、可能なかぎり控えたいものです。なんせ胃の仕事は物を溶かす「溶鉱炉」なんですから、胃袋が冷えては働くことができないからです。
 喉が渇いたときの水や茶の飲み方は、当店の生涯現役新聞No.354で「三献の茶」を紹介しました。ご参考になさってください。(
近日アップ)→ 歴史に学ぶ胃のいたわりかた 胃は熱いものを欲しがる「溶鉱炉」であることをお忘れなく

 クーラーが必須となった今日、快適な冷房も長時間あたると、体が冷えすぎてしまい、様々なトラブルが発生します。その対応策は、前々回の「夏至から小暑」の記事で書きました正しい入浴法や、前回の「小暑から大暑」記事で書きました貼るカイロの利用があります。参考になさってください。
 この時期に旬となってくるのが、真夏の果物です。露地物のスイカ、メロンが出回わります。これらは、体に熱がこもる昼間に召し上がると、熱取りとなります。そして、昼食や夕食にはトマト、キュウリ、ナスの生食をぜひ。これらも体の熱取りになります。

 大暑が過ぎた頃に「土用の丑」の日がやってきます。この日に鰻を食べると滋養が付き、夏病みしないと言われます。中国や韓国では、概ね「土用の丑」と同じ頃、その前後10日の日の3回を「三伏」*といい、1年で一番暑い時期とされ、肉料理で滋養をつける習慣があります。韓国料理の「参鶏湯」が有名です。これについては、当店新聞2016年8月号で紹介したところです。
(注)*「三伏」とは、正確には次のようになります。
 夏至から数えて3番目の庚(かのえ)の日から「初伏」が始まり、夏至から4番目の庚の日から「中伏」が始まる。そして、立秋以後の最初の庚の日から「末伏」が始まり、初伏、中伏、末伏の総称が「三伏」となる。初伏と末伏はそれぞれ10日間と日数が決まっているが、中伏の日数は年によって異なる。夏至から立秋までの間に、庚の日が4回ある場合、中伏は10日間、5回ある場合は20日間となり、「三伏」の期間は年によって30日間となったり40日間となったりする。

 寝苦しさが一番ひどくなるのもこの時期です。敷布団が背中にぴったり張り付いて、暑くって汗をかき、熟睡できません。
 よって、女房はこの時期、畳の上で寝ています。
 小生も以前はそうしていましたが、1段レベルアップして本格的な「平床寝台&硬枕利用」を2015年10月から実行しています。
厚手のベニヤ板と木枕を使い、下図のようにして寝るのです。

           

 「人は病の器」と言われるほどにたくさんの病気を抱えているのですが、背骨と首骨を正してあげると、一見無関係と思われる部位の様々な病気が治癒してしまうことがけっこうあります。整体治療がその良い例ですが、寝方一つでそれが十分に期待できるとのことで、小生も実行しているのですが、これに慣れるまでが大変です。1年は掛かりました。興味がお有りな方は、次の記事をご覧ください。
 なんと腰痛も解消!背骨と首骨を正す西式健康法「平床寝台&硬枕利用」

 次回は、「立秋」(8月8日頃)からの健康と食養です。

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24節気の健康と食養:小暑から大暑まで

2024年07月05日 | 24節気の健康と食養

 24節気の健康と食養:小暑から大暑まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
小暑 初候 温風至(あつかぜ いたる)暖い風が吹いて来る
   次候 蓮始開(はす はじめて ひらく)蓮の花が開き始める
   末候 鷹乃学習(たか すなわち わざを なす)鷹の幼鳥が飛ぶことを覚える

 夏至の次にやってくる24節気が小暑で、毎年7月7日頃(2024年は7月6日)になります。
 気温もどんどん高くなって、この先、大暑でもってピークを迎えるというのが、中国中心部の気候で、梅雨はありません。中国で梅雨があるのは、長江下流域とその西方の中国南部だけです。北海道を除き、全国的に梅雨がある日本ですから、中国とは季節の捉え方が随分と変わったものとなります。
 芒種の頃から始まる長丁場の梅雨は例年だと今頃は約3分の2が終わって、残すは約3分の1となり(今年は梅雨入りが遅れ、半分終って残り半分といったところ)、残りの期間は、ほぼこの節気の期間と一致します。ジメジメ感、蒸し暑さともにピークに達します。
 長雨で外に出られず、室内で椅子に腰かけたまま、という姿勢をとり続けて、猫背になり、肩こり・首のこりが起きやすい時期でもあります。そんなとき、腰かけたままで隙間時間にすぐできる、とっておきの体操があります。“空に向かってボート漕ぎ”といった感じの簡単な体操で、所要時間60秒ほど。やってみてください。
 → 「猫背、肩・首こり」全解消!医師考案の"凄い体操"
  ( 医学博士池谷敏郎氏考案の
「脱・E.T.体操」:東洋経済オンライン2023.5.6) 

 夏至が過ぎたとはいえ、昼の長さはまだまだとても長く、それによって活動時間も長くなり、夏:心の季節ということもあって、心臓の働きは活発になります。人の体は、夏:心の季節に十分に対応していることでしょう。
 
これを踏まえた夏の食養生法を下記の記事で紹介しています。ご参照ください。
  
立夏は夏の入り、五味を上手に夏食に。先ずは「心」が求める苦味です。

 ここでは、小暑から大暑までの養生について、前々回の芒種や前回の夏至とかなり重複しますが、夏の季節として特徴的なものを紹介することにしましょう。
 昼間がとても長いですから、その分活動量が増え、心臓も長時間働かされます。よって、エネルギー代謝をスムーズにしてあげる必要があります。
 芒種の頃から旬となっているのがタマネギです。これといった栄養価はないものの、特有の刺激臭「硫化アリル」がビタミンB1を活性化させ、これによってエネルギー産生回路を円滑に回す、つまりスタミナ食になりますから、心臓にとって実に望ましい食品といえます。旬のタマネギを大いに食したいものです。
 つの味「五味」についても頭に置いといてください。漢方では、五臓のバランスを整えるため、夏は<主・苦味、従・辛味、添・甘味>この三味の組み合わせを最適としています。料理は、この三味を頭に置いて行っていただきたいものです。
 この頃から旬となるのがゴーヤです。苦味食材の代表です。おおいにゴーヤ料理を食していただきたいものです。なお、ゴーヤの苦味が苦手な方は、味噌料理とすれば、かなり苦味を隠せます。
 ゴーヤの出回りはまだ早いですが、露地ものピーマンは旬となり、これも苦味食材です。ゴーヤは体を冷やす方向に働きますが、ピーマンは体の芯を温める方向に働きますから、冷房にあたる人の場合、ピーマンは最適なものとなりましょう。

 次に、梅雨時の養生について説明します。これの詳細な解説は、次をご覧いただくとして、ここでは簡潔に要点を述べます。
  梅雨時の健康法は「湿熱」疾病と「冷たい物中毒」の合併症からの脱却
 梅雨時は「湿熱」で「脾=胃」が弱っていますから、胃に負担がかからないよう、油っこいものを避け、よく噛んで食べるのが第一となります。また、この時期、通常はエネルギーの消耗が少ないですから腹八分とし、食欲も落ちてきますから美味しく食べられるものを少しずつあれこれ食べるのが良いということになりましょう。
 そして、梅雨の晴れ間には少しはお日様に当たりたいものです。骨を丈夫にする活性化ビタミンDは皮膚で太陽光線により作られるのですからね。特に朝日を浴びるのは重要です。というのは、「幸せホルモン」セロトニン、「睡眠ホルモン」メラトニンを体内で十分に作るには先ずは朝日を浴びるに限るからです。これについては「
セロトニンとメラトニンを十分に出す生活習慣を」で解説しましたのでご覧になってください。

 この時期になりますと、晴れた日の屋外は、蒸し暑さがとてつもないものとなります。長時間屋外にいると体に熱がこもってしまいます。熱中症の危険が大です。
 よって、この時期は旬が盛りとなったキュウリ、トマト、ナスを生食で毎日いただくと良いです。これら夏野菜は体の芯を冷やしてくれる力があり、これは生食に効果があります。ただし、熱をかけると冷やす効果は大きく落ちてしまいます。

 ところで、中国中心部においても、小暑の節気には雨が比較的多く、現代の中医学では「蒸し暑くうだって、食欲がなくなる。こういうときは、粥そして野菜と豆をとろ火で煮込んだスープなど温かくて柔らかい食事をとり、生ものや冷たいものを避けるべし。暑さしのぎに果物を食べるのもよいが、胃腸の負担を考えて適量にすること。」と言われています。
 こうしたことからも、この時期、「胃腸が弱っているな」と感じられたら、夏野菜の生食は控え、お粥や野菜煮込みスープがいいでしょう。なお、肉もどれだけか食べたいとなれば、豚肉の細切れを入れた野菜たっぷりの蒸しシャブ料理がおすすめです。我が家ではこれからの時期、ときどき夕食に登場します。汗をかきながらの蒸しシャブはなかなかいいものです。
 そして、食後のデザートとして冷蔵庫で冷やした「ニッキ味の寒天菓子」です。寒天は水溶性・不溶性の両方の食物繊維の塊ですから、腸内環境改善に最適です。そして、ニッキは漢方で言う「桂枝(けいし)または桂皮(けいひ)」で、健胃、整腸、食欲不振、胃もたれ、消化不良などに効くし、おだやかな発汗・発散作用もありますから、今の時期にピッタリです。

 蒸し暑さが高まれば、現代では職場に快適な冷房が入ります。すると、体が冷えすぎてしまい、様々なトラブルが発生しだすのもこの時期です。その場合は、前回の「夏至から小暑」の記事でも書きましたが、正しい入浴法がとても効果的です。
 それを再掲しましょう。
 温めの湯に長く浸かり、汗が出だしたら体の芯が十分に温まったことでしょうから、湯上がりに冷水シャワーを気持ちいい程度に浴びます。すると、皮膚がしまり、熱を閉じ込めてくれます。ただし、いきなり全身に冷水を浴びると心臓麻痺を起こしそうになりますから、先ずは手足だけ、次に下半身だけ、といった具合に少しずつ体を慣らしてください。
 初めて冷水シャワーに挑戦なさる方は、次の記事を参照ください。
 今がチャンス!始めましょう、冷水シャワー。万病に効果あり。ただし、夏を過ぎても毎日実行。

 入浴以外の冷房病対策として、貼るカイロの利用があります。つぼは「環跳(かんちょう)」で、ここに貼るカイロ(ミニサイズがいいでしょう)を貼ります。「環跳」は、立ったときにお尻の両脇にできるくぼみ(肛門をキュッと締めると、よりくぼむ)です。ここに下着の上からカイロを貼ると、その温もりが体の奥へ伝わりやすくなります。腰痛、下痢、生理通、頻尿、お腹の冷えにも効果的です。
 そして、体が冷えた方におすすめの食材は「ニラ」です。ニラは漢方では別名を「起陽草」といい、この時期の体を温める代表的な食材です。
 また、夕食で汗をかくのもいいです。先におすすめしましたお粥や野菜煮込みスープあるいは蒸しシャブなどいかがでしょうか。

 次回は、「大暑」(7月23日頃)からの健康と食養です。

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24節気の健康と食養:夏至から小暑まで

2024年06月20日 | 24節気の健康と食養

 24節気の健康と食養:夏至から小暑まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 夏至 初候 乃東枯(なつかれくさ かるる)夏枯草(うつぼぐさ)が枯れる
    次候 菖蒲華(あやめ はな さく)あやめの花が咲く
    末候 半夏生(はんげ しょうず)烏柄杓(からすびしゃく)が生える

 芒種(ぼうしゅ)の次にやってくる24節気が夏至で、毎年6月21日頃(2024年は6月21日)になります。
 気温もどんどん高くなって、この先、小暑そして大暑でもってピークを迎えるというのが、中国中心部の気候で、梅雨はありません。中国で梅雨があるのは、長江下流域とその西方の中国南部だけです。北海道を除き、全国的に梅雨がある日本ですから、中国とは季節の捉え方が随分と変わったものとなります。
 芒種の頃から夏至、小暑、大暑と3つ先の節気までの1か月半(今年は梅雨入りが遅れて夏至の頃から1か月)ジメジメとし、気温も梅雨明け後にグーンと上がり、まるで季節感が違いますから、日本における対処法は異なったものとなります。

 芒種から夏至そして小暑までは昼の長さは1年で最も長くなる時期です。よって、活動時間はとても長くなり、夏:心の季節ということもあって、心臓の働きも活発になります。人の体は、夏:心の季節に十分に対応していることでしょう。
 
これを踏まえた夏の養生法を下記の記事で紹介しています。参照なさってください。
  
立夏は夏の入り、五味を上手に夏食に。先ずは「心」が求める苦味です。

 ここでは、夏至から小暑までの養生について、前回の芒種とかなり重複しますが、夏の季節として特徴的なものを紹介することにしましょう。
 昼がとても長くなりますから、その分活動量が増え、心臓も長時間働かされます。よって、エネルギー代謝をスムーズにしてあげる必要があります。
 芒種の頃から旬となるのがタマネギです。タマネギにはこれといった栄養価はないものの、特有の刺激臭「硫化アリル」がビタミンB1を活性化させ、これによってエネルギー産生回路を円滑に回す、つまりスタミナ食になりますから、心臓にとって実に望ましい食品といえます。旬のタマネギを大いに食したいものです。
 つの味「五味」についても頭に置いといてください。漢方では、五臓のバランスを整えるため、夏は<主・苦味、従・辛味、添・甘味>この三味の組み合わせを最適としています。料理は、この三味を頭に置いて行っていただきたいものです。

 次に、夏至の頃には既に(今年はやっと)梅雨入りしており、梅雨時の養生について説明します。これの詳細な解説は、次をご覧いただくとして、ここでは簡潔に要点を述べます。
  梅雨時の健康法は「湿熱」疾病と「冷たい物中毒」の合併症からの脱却
 梅雨に入ると「湿熱」で「脾=胃」が弱ってきますから、胃に負担がかからないよう、油っこいものを避け、よく噛んで食べるのが第一となります。また、この時期、通常はエネルギーの消耗が少ないですから腹八分とし、食欲も落ちてきますから、美味しく食べられるものを少しずつあれこれ食べるのが良いということになりましょう。
 そして、梅雨の晴れ間には少しはお日様に当たりたいものです。骨を丈夫にする活性化ビタミンDは皮膚で太陽光線により作られるのですからね。特に朝日を浴びるのは重要です。というのは、「幸せホルモン」セロトニン(これは「睡眠ホルモン」メラトニンに変化)を体内で十分に作るには、先ずは朝日を浴びるに限るからです。これについては「セロトニンとメラトニンを十分に出す生活習慣を」で解説しましたのでご覧になってください。
 しかし、晴れた日の屋外は、蒸し暑さが相当なものとなります。体に熱がこもることもありましょう。軽い熱中症です。よって、この時期は旬が盛りとなったキュウリを毎日いただくと良いです。体の芯を冷やしてくれる夏野菜の一番手として登場するのがキュウリです。

 汗をかきますから、毎日入浴したいですね。
 でも、長湯すると体が熱くなってしまうからと、烏の行水で終わっていまっている方が多いようです。
 しかし、胃腸がけっこう冷えていることが多く、長湯して体の芯まで温めたいです。そのためには、のぼせそうになる前にあがり、冷水シャワーをたっぷり浴びましょう。これで体にこもった熱が取り除けます。
 なお、この時期から冷房が入り、そうした環境で丸1日仕事をなさる方は、体の芯が冷え切っていることが多いです。そうした方も、この入浴法がベストで、温めの湯に長く浸かり、汗が出だしたら体の芯が十分に温まったことでしょうから、湯上がりに冷水シャワーを気持ちいい程度に浴びます。すると、皮膚がしまり、熱を閉じ込めてくれます。
 いずれの場合も、初めて全身に冷水を浴びると心臓麻痺を起こしそうになりますから、先ずは手足だけ、次に下半身だけ、といった具合に少しずつ体を慣らしてください。
 初めて冷水シャワーに挑戦なさる方は、次の記事を参照ください。
 今がチャンス!始めましょう、冷水シャワー。万病に効果あり。ただし、夏を過ぎても毎日実行。

 なお、冷房で体が冷える方は、日中は貼るカイロをお尻の両脇(「気をつけ」の姿勢を取ったとき凹む位置)あるいは下腹部に貼られるといいでしょう。これで、特にお腹が温まり、結果、全身を温めてくれます。下痢症の方にもお勧めの方法です。

 次回は、「小暑」(7月7日頃)からの健康と食養です。

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24節気の健康と食養:芒種から夏至まで

2024年06月04日 | 24節気の健康と食養

 24節気の健康と食養:芒種から夏至まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 芒種 初候 螳螂生(かまきり しょうず)螳螂が生まれ出る
    次候 腐草為蛍(くされたる くさ ほたると  なる)
             腐った草が蒸れ 蛍になる
    末候 梅子黄(うめの み きばむ)梅の実が黄ばんで熟す

 小満の次にやってくる24節気が芒種(ぼうしゅ)で、毎年6月5、6日頃(2024年は6月5日)になります。言葉のいわれは「芒(のぎ=籾殻にあるトゲのような突起)ある穀類、稼種する時なり」からきています。
 これを早とちりしたのか、“現在の日本においては少々遅いと言われていますが、稲や麦など芒のある穀物の種まきをする季節とされてきました。”とか“実際には現在の種まきはこれよりも早い。”とか解説されているものが目立つのですが、「稼種」の「稼」は「
①穀物を植える、栽培」「 ②みのり、取り入れた穀物」と2つの意味があり、芒種の場合は後者の意味で使われているのです。つまり「この頃に、秋に播いた麦類の実が稔って刈り入れが行われる」というものです。なお、芒種の一つ前の節気である小満は、麦の実が次第に充実してきた様を言っていますし、24節気の発祥地は中国大陸中心部でして、穀類といえば米ではなく小麦ですから、このように解釈すべきです。

 気温もどんどん高くなって、この先、夏至、小暑と気温は上がり続け、大暑でもってピークを迎えるというのが、中国大陸中心部の気候で、梅雨はありません。中国で梅雨があるのは、長江下流域とその西方の中国大陸南部だけです。
 北海道を除き、全国的に梅雨がある日本ですから、中国とは季節の捉え方が随分と変わったものとなります。日本では、芒種の頃から1か月半、3つ先の節気である大暑の頃までジメジメとし、気温も梅雨明け後にグーンと上がり、まるで季節感が違いますから、対処法は自ずと異なったものとなります。

 芒種から梅雨入りまでのしばらくの間は、夏至(次にやってくる節気)に近いこともあって、昼の長さは1年で最も長くなる時期です。よって、活動時間は長くなり、夏:心の季節ということもあって、心臓の働きも活発になります。人の体は、夏:心の季節に十分に対応していることでしょう。
 
これを踏まえた夏の養生法を下記の記事で紹介しています。ご参照ください。
  
立夏は夏の入り、五味を上手に夏食に。先ずは「心」が求める苦味です。

 ここでは、芒種から夏至までの養生について、まず、梅雨入り前の特徴的なものを紹介することにしましょう。(今年は例年より梅雨入りが遅れそうで有り難いです。)
 昼が長くなりますから、その分活動量が増え、心臓も長時間働かされます。よって、エネルギー代謝をスムーズにしてあげる必要があります。
 芒種の頃から旬となるのがタマネギです。タマネギにはこれといった栄養価はないものの、特有の刺激臭「硫化アリル」がビタミンB1を活性化させ、これによってエネルギー産生回路を円滑に回す、つまりスタミナ食になりますから、心臓にとって実に望ましい食品といえます。旬のタマネギを大いに食したいものです。
 同じ頃に旬となってくるニンニクも、薬効成分アリシンが同様な働きをしますから、これも料理に取り入れたいものです。
 つの味「五味」についても頭に置いといてください。漢方では、五臓のバランスを整えるため、夏は<主・苦味、従・辛味、添・甘味>この三味の組み合わせを最適としています。料理は、この三味を頭に置いて行っていただきたいものです。

 次に、梅雨入り後の養生について説明します。これの詳細な解説は、次をご覧いただくとして、ここでは簡潔に要点を述べます。
  梅雨時の健康法は「湿熱」疾病と「冷たい物中毒」の合併症からの脱却
 梅雨に入ると、「湿熱」で「脾=胃」が弱ってきますから、胃に負担がかからないよう、油っこいものを避け、よく噛んで食べるのが第一となります。また、この時期、通常はエネルギーの消耗が少ないですから腹八分とし、食欲も落ちてきますから、美味しく食べられるものを少しずつあれこれ食べるのが良いということになりましょう。
 そして、梅雨の晴れ間には少しはお日様に当たりたいものです。活性化ビタミンDは皮膚で太陽光線により作られるのですからね。
 慢性的に血液中の活性化ビタミンDになっている日本人と思われます。骨を丈夫にするほか、新型コロナやインフルエンザなど感冒の感染症にも効果があるビタミンDです。ネットニュース(2023.6.5)で東京慈恵会医科大学の調査結果が流れましたが、そのプレスリリースは次のとおりです。ご覧になってください。
  98%の日本人が「ビタミン D 不足」に該当   

 また、朝日に当たると「幸せホルモン」セロトニンの分泌が促され、精神が安定し、気分が穏やかになり、幸福感が湧き上がってきますから、おすすめします。なお、リズミカルな運動を併せて行うと、よりいっそうセロトニンの分泌が促進されますので、日が昇るのが早くなったこの頃ですから、早起きして散歩を5分でも、できれば15分、最大30分、少々早足で行なうとよいです。ラジオ体操でもいいです。
 前季におすすめした「冷水シャワー」。皆さん、始められましたか。湯上がりにたっぷり冷水シャワーを浴びると、気分まで爽快となり、精神的ストレスも流しとってくれますよ。免疫力も高まり、風邪も引きにくくなります。

 ところで、精神的ストレスといえば、「五月病」を罹った方で6月になっても尾を引いている人も少なからずいらっしゃいますし、近年は新社会人に「六月病」なるものも現れるようになりました。どちらも「精神の高ぶりや心の落ち込み」という交感神経の緊張状態がずっと続いていると考えてよく、これが延々と続くと、そこから脱却できず、鬱病になったり、心の病が深刻なものになりかねません。
 そうした方々は、交感神経の緊張を緩め、副交感神経を優位にしてあげる方策、つまり精神をリラックスさせる何らかの手立てをとっていただきたいです。
 ネットニュースで、実に簡単でこれはいいなあ、というものを見つけましたので、それを紹介しておきましょう。
(2018.6.5配信『何かだるい梅雨の隠れ疲労 放置すると「夏うつ」に』 奥田弘美 精神科医(精神保健指定医)・産業医・労働衛生コンサルタント)
 軽く目を閉じて、鼻先を出入りする空気の流れをじっくり感じる「呼吸瞑想」(マインドフルネス瞑想の一種)を数分行うだけでも交感神経系の緊張を緩める効果が期待できます。空気が鼻孔から入っていき、また鼻孔から出ていく。呼吸瞑想では、この感覚を目を閉じてひたすら感じていくだけでOKです。何か思考や関係ないことが浮かんだら、「思考した」「考えた」と気づいて、また呼吸の感覚に意識を戻します。座禅のように無になろうと頑張る必要は全くありませんので、電車でもオフィスでも自宅でも一人になれる空間があればどこでも可能です。目まぐるしい外界の刺激からシャットダウンされますので、心が落ち着きやすくなるため筆者もしょっちゅう実践しています。ぜひ気軽に試してみてください。

 次回は、「夏至」(6月21日頃)からの健康と食養です。

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24節気の健康と食養:小満から芒種まで

2024年05月20日 | 24節気の健康と食養

 24節気の健康と食養:小満から芒種まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 小満 初候 蚕起食桑(かいこ おきて くわを はむ)蚕が桑を盛んに食べ始める
    次候 紅花栄(べにばな さかう)紅花が盛んに咲く
    末候 麦秋至(むぎの とき いたる)麦が熟し麦秋となる

 立夏の次にやってくる24節気が小満で、麦の実が次第に充実してきた様がいわれです。毎年5月21日頃(2024年は5月20日)になります。
 野山は新緑が過ぎ、万物が次第に成長し、一定の大きさに達してくる頃となります。
 陽気が盛んになり、日中は汗をかき、暑さを感じます。紫外線がこれから一年で一番強い時期となり、ジリジリとした太陽光線で日焼けします。
 季節は完全に夏として実感できましょう。
 人の体は、新陳代謝を活発にする春の態勢から、元気よく動き回る夏の態勢へと完全に生理変化しています。春:肝の季節(厳密には春の土用:脾の季節を経由)から夏:心の季節への生理変化です。
  これを踏まえた夏の養生法を下記の記事で紹介しています。参照なさってください。
  
立夏は夏の入り、五味を上手に夏食に。先ずは「心」が求める苦味です。

 なお、以下の記事は、その一部を重複して紹介します。
 ここでは、小満から芒種までの養生について、まず、この時節として特徴的なものを紹介することにしましょう。
 この時期、当地岐阜の日最高気温は平年値で夏日となり、日最低気温は15度を超えます。よって、暑さと発汗の両方から、よく冷えた飲み物が欲しくなり、冷蔵庫からそれを取り出してがぶ飲みしたくなります。しかし、これは厳禁。このブログの「暑くなった5月半ば、“冷たい物中毒”から脱却するチャンス!」を参照ください。

 暑くなってきたこの時期からの健康法として、おすすめなのが「冷水シャワー」です。
 湯上がりにたっぷり冷水シャワーを浴びると、気分まで爽快となり、精神的ストレスも流しとってくれますよ。
 → …始めましょう、冷水シャワー。万病に効果あり。… 
 これは五月病そしてこれから先に現れてくることがある六月病にも有効です。

 小満から芒種までの食養について、特徴的なものを2つ、これは一つ前の節気、立夏のときと同じですが、ここでも重複して紹介することにします。
 引き続きフキが旬です。市場では既に4月から出回っていますが、立夏からが本当の旬です。フキは初夏を代表する野菜で、その苦味が心を癒してくれますから、おおいに食したいものです。なぜ苦味がいいかは、のちほど説明します。
 もう一つが露地物のイチゴで、小満の頃にピークを迎えます。体がまだ暑さに十分に順応できず、体に熱がこもりがちになりますから、体を冷やしてくれる果物が欲しくなります。それに最適なのが旬のイチゴでしょう。

 立夏から心の季節になりますから、5つの味「五味」についても頭に置いといてください。漢方では、五臓のバランスを整えるため、夏は<主・苦味、従・辛味、添・甘味>この三味の組み合わせを最適としています。料理は、この三味を頭に置いて行っていただきたいものです。
 小満から芒種までの初夏にふさわしい料理としては、立夏に引き続き、やはりフキの煮物でしょう。少々甘味をつけ、辛味としては山椒の若芽がベストです。

 次回は、「芒種」(6月5、6日頃)からの健康と食養です。

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24節気の健康と食養:立夏から小満まで

2024年05月04日 | 24節気の健康と食養

 24節気の健康と食養:立夏から小満まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 立夏 初候 蛙始鳴(かわず はじめて なく)蛙が鳴き始める
    次候 蚯蚓出(みみず いづる)蚯蚓が地上に這出る
    末候 竹笋生(たけのこ しょうず)筍が生えて来る

 穀雨の次にやってくる24節気が立夏です。毎年5月5日頃(2024年は5月5日)になります。立夏は夏の始まりです。
 野山では既に新緑真っ盛りになり、天気がいいと日中は汗をかき、暑さを感ずるほどになります。この時期は新暦ではまだ春ですが、紫外線が強くなってジリジリとした太陽光線で日焼けするようになりますから、季節はもう夏として実感できましょう。
 人の体は、新陳代謝を活発にする春の態勢から、元気よく動き回る夏の態勢へと生理変化します。春:肝の季節(厳密には春の土用:脾の季節を経由)から夏:心の季節への生理変化です。
  これを踏まえた夏の食養生法を下記の記事で紹介しています。参照なさってください。
  
立夏は夏の入り、五味を上手に夏食に。先ずは「心」が求める苦味です。

 なお、以下の記事は、その一部を重複して紹介します。
 ここでは、夏の始まりである立夏から小満までの養生について、まず、この時節として特徴的なものを一つ紹介することにしましょう。
 中国伝統医学(中医学)では、「立夏からの養生は、当然のことながら心に重きを置きます。気温がだんだん上がるにつれ、人は心理的に落ち着かなくなります。したがって、立夏の節気は心を静めるように調節すべきです。心を穏やかにし、常に微笑を忘れず、怒りを抑え、自分の心が穏やかになること、例えば趣味を楽しんで情緒を養い、心を伸びやかに保つことです。また、適度な昼寝をするのも体の健康に良いです。」と言っています。
 9月始まりの中国に対して日本の場合は4月始まりですから、日本ではこうした季節特有の生体反応に適切に対処させられるほか、新年度が始まって特に新入社員は生活環境の激変による異常な心の反応にも対応を迫られ、尋常ではない緊張感、不安感に襲われることも多くなります。その結果、日本では五月病が発生するのです。
 その対処法については、「日本に特有の五月病、その予防法・改善法」に詳細を記しましたから、そちらをご覧になってください。

 この時期、朝はすがすがしさを満喫できます。起きたら外へ出てお日様に当たり、簡単な健康体操をしてみませんか。前回「穀雨」のときにもお勧めしましたラジオ体操あたりが一番ですが、少なくとも次の“体操とは言えないほどの体操”であっても、精気がみなぎってきますよ。
 それは、西原克成先生が推奨しておられる「深呼吸=鼻呼吸体操」です。
 これの効果には、おまけがあります。女性の尿漏れ改善にも効果が大有りです。


(備考)西原先生の著「究極の免疫力」(P.127)の原文は、次のとおりです。
 「…腰を伸ばして姿勢を正し、バンザイをして唇と尿道と肛門をぴたりと閉鎖し、上下の歯を1ミリ開けて、横隔膜を頭側につりあげ、同時に胸一杯に肺を拡大します。…呼気のときには、横隔膜をゆるめて重力にしたがっておろすだけです。」

 なお、これも前回に書きましたが、朝日に当たると「幸せホルモン」セロトニンの分泌が促され、精神が安定し、気分が穏やかになり、幸福感が湧き上がってきます。
(参照)「幸せホルモン」セロトニンと「睡眠ホルモン」メラトニンを十分に出す生活習慣を

 食養について、立夏から小満までの特徴的なものを2つ紹介することにしましょう。
 一つは
フキが旬です。市場では既に4月から出回っていますが、これからが本当の旬です。フキは初夏を代表する野菜で、その苦味が心を癒してくれます。おおいに食したいものです。なぜ苦味がいいかは、のちほど説明します。
 もう一つが露地物のイチゴです。立夏を過ぎると熟し始め、小満の頃にピークを迎えます。暑い日は、まだ体が十分に順応できず、体に熱がこもりがちになりますから、体を冷やしてくれる果物が欲しくなります。それに最適なのが旬のイチゴです。

 フキ以外にこの時期に入手が容易な露地もの野菜で旬のものとなると、エンドウは終わりがけとなっていますが、レタスがあります。レタスは通年出回りますが、本来は初夏が旬のものです。夏野菜は、できれば生食するのが望ましいですから、暑くなれば野菜を生で食べたいものです。

 立夏から心の季節になりますから、5つの味「五味」についても頭に置いといてください。漢方では、五臓のバランスを整えるため、夏は<主・苦味、従・辛味、添・甘味>この三味の組み合わせを最適としています。料理は、この三味を頭に置いて行っていただきたいものです。
 立夏から小満までの初夏にふさわしい料理としては、やはりフキの煮物でしょう。少々甘味をつけ、辛味としては山椒の若葉がベストです。

 次回は、「小満」(5月20日頃)からの健康と食養です。

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24節気の健康と食養:穀雨から立夏まで

2024年04月18日 | 24節気の健康と食養

24節気の健康と食養:穀雨から立夏まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 穀雨 初候 葭始生(あし はじめて しょうず)葦が芽を吹き始める
    次候 霜止出苗(しも やんで なえ いづる)霜が終り稲の苗が生長する
    末候 牡丹華(ぼたん はな さく)牡丹の花が咲く

 清明の次にやってくる24節気が穀雨です。毎年4月20日頃(2024年は4月19日)になります。穀雨の語源は「春雨降りて百穀を生化すればなり」と言われたことによるようです。百穀といっても中国のことですから麦が中心で、秋に種をまいた麦類の生長を助ける雨のことで、麦は穂が出て実を着けるようになる、というものです。

 なお、穀雨の季の終わり頃に八十八夜がやってきます。立春を起算日(第1日目)として88日目で、5月2日頃になり、次の節気である立夏の3日ほど前になります。
 八十八夜は日本独自の雑節の一つで、「♪夏も近づく八十八夜…」の唱歌で有名ですが、「八十八夜の別れ霜」と言われるように、山間地では遅霜が発生する最終の時期になります。そして、この
日に摘んだ茶葉は上等なものとされ、茶摘を行うイベントが催されるようになりました。

 穀雨を過ぎれば新緑真っ盛りで、日によっては汗をかき暑さを感ずるほどになります。歌にあるとおり「夏も近づく」という感覚に至ります。
 実はこの時期は「春の土用」に当たります。「春の土用」は、
穀雨の3日ほど前から立夏の前日までです。春と夏の季節の変わり目である「春の土用」です。
 よって、『
24節気の食養:穀雨から立夏まで』は、投稿済みの次の記事と大きく重複しますから、これをご覧ください。
 春の土用がやってきました。食事の内容も変えたほうが良いです。

 この記事で触れなかったことについて、ここで記すこととします。
 この時期は、目まぐるしく「肝」→「脾」→「心」と働きの中心が移る「脾(=消化吸収の要)」の時期に当たり、また、年度替りしたばかりですから、心身ともにあわただしくなっています。
 こうしたことから、精神も不安定となり、人によっては挫折感を味わったり、落ち込んだりと、五月病の前触れ症状が出てくることが多くなり、朝起きて“今日は出勤したくないなあ”という滅入った気分になることも往々にしてあることでしょう。
 これは、五月病の黄信号かもしれません。
 そこで、お勧めなのがラジオ体操です。朝の日射しを浴びながら、ラジオ体操を第1だけでいいですから、都合のいい時間にマイペースで行ってみてください。
 これによって「幸せホルモン」セロトニンの分泌が促され、精神が安定し、気分が穏やかになり、幸福感が湧き上がってきます。
(参照)
「幸せホルモン」セロトニンと「睡眠ホルモン」メラトニンを十分に出す生活習慣を 

 食養に関して、旬の野菜を一つ紹介します。
 この時期に入手が容易な露地物の野菜となると、その代表は、何と言っても「絹さや
エンドウ」です。皆さんも旬のエンドウをお召し上がりください。
 エンドウは晩秋に発芽し、小さな草で冬越しした、たくましい野菜です。暖かくなってグングン生長し、花を咲かせ、気候が平年並みであれば、ちょうど概ねこの期間中に収穫できます。ただし、絹さやエンドウの実り方は4月の気温と日照に大きく左右されますし、ピーク時に気温が高くなりすぎると一気に食べ頃のものばかりとなり、アッという間に終わってしまい、栽培農家泣かせの作物です。もし、生鮮野菜売り場に山積みになっていましたら、ぜひ買ってあげてくださいね。

 次回は、「立夏」(5月5日前後)からの健康と食養です。

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