薬屋のおやじのボヤキ

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腸内悪玉菌は悪か?善か? 

2013年03月21日 | 整腸&オリゴ糖の働き

腸内悪玉菌は悪か?善か? 

人と腸内細菌の緊密な共生関係から健康と天寿が決まります。

 先月号で「人と腸内細菌、どちらが主人? 」と疑問を投げかけましたが、さて、どちらでしょうか。
 人は、たったの1個の生命体に過ぎません。1個の卵細胞が単に多細胞化して60兆個(※)になっているだけです。
(※ 2015.11.20追記:最近の研究では37兆個で、こちらのほうが信憑性が高いです。→ 健康は赤血球で決まる
 
これに対して、腸内細菌は、約500種類、百兆個の生命体の連合からなり、数の上で圧倒的な差があります。腸内細菌の総重量は約1.5キロもあり、人と堂々と渡り合えます。

便通 腸内細菌により完全にコントロールされています。
<善玉菌が圧倒的に優勢>
 便は黄褐色で大量に出ます。大腸で停滞する時間も短く、半分程度しか吸収されず、大食しても太りません。
<悪玉菌が圧倒的に優勢>
 便は黒褐色で少量しか出ず、便秘がちで滞留時間は長くなり、食べたものはあらかた吸収されて、少食でも太ります。
 今日の飽食時代には、善玉菌優勢が喜ばれますが、飢餓のときには栄養失調になり困ります。悪玉菌よ、頑張れです。
<善玉・悪玉適正共存>
 人が食べたもの(=腸内細菌の餌)の量が多ければ善玉菌がアクセルを踏み、少なければ悪玉菌がブレーキを掛けて、排便量が調節されましょう。
         
 腸内細菌は、自分たちの食糧の安定確保のため、ごく自然にこれを行なっているだけのことと思われます。といいますのは、小生は一日断食を時々しますが、どんな整腸剤でもってしても、断食翌日は排便が全くありません。
「昨日は何もくれんかったから、今日は絶対に便を出さんぞ。」と、腸内細菌が怒っているのかもしれませんね。

免疫 無菌室で飼育した、腸内細菌を持たない無菌ネズミは、少しでも病原菌が腸に入ると、病原菌が大増殖して死んでしまいます。
 腸内細菌は、自分を守るための免疫物質を作りますし、悪玉菌が常時出している毒も有効に働いて病原菌に対抗しているのかもしれません。
 でも、病原菌を壊滅させることはできず、なかには病原菌が腸壁を潜り抜けて人の体内へと侵入を図ろうとします。
<人に免疫力を伝授>
 腸内細菌が腸壁にいる白血球(免疫細胞)を絶えず刺激して、人に免疫力を付けさせているのが実情です。
「俺たちは異物の生き物だぞ。俺たちが訓練してやるから、自分のことは自分で守れ!」と、毎日人は腸内細菌にしごかれて、病原菌を撃退する力を白血球に付けさせてもらっているのです。

共生 こうして腸内細菌は、安定した餌を得つつ「住みか」の人を延命させ、自分たちの繁栄を築いています。
 利は、人よりも腸内細菌に多い感じがします。
 人は、腸内細菌に従う僕(しもべ)の存在でしょうね。

離別 人は歳を取ると運動能力が落ちると同時に少食になり腸の蠕動運動も弱くなります。よって、便の滞留時間も自ずと長くなります。
 その結果、悪玉菌が優勢になり、便秘しやすくなります。加えて、悪玉菌が出す毒が体内に入り込んで、老化がどんどん加速します。
 無菌室で、腸内細菌を持たない無菌動物を飼育すると、寿命は5割も伸びます。悪玉菌は寿命を縮め、やはり悪です。
 宿主が死んでは、腸内細菌にとっても住みかを失うことになり、都合が悪いと思うのですが、悪玉菌は「不老長寿ということは有り得ん。何十年も住んで、ぼろ家になってしまったわ。そろそろ見切りを付けるか。」と考えるのでしょうね。
 悪玉菌は、さらに毒を出し続け、人の足腰の関節を悪くします。原始時代には、いつも猛獣に狙われていた人であったことでしょう。足腰が悪くなった老いぼれは逃げ遅れ、猛獣の犠牲となります。猛獣は内臓を真っ先に食べ尽くし、その際に、腸内細菌は猛獣の口から侵入し、新たな住みかに安住することができようというものです。

健康 悪玉菌に見切られるのは嬉しくありません。「足腰が丈夫であれば健康だ」と言いますが、この言葉は、悪玉菌が人に言わせているのでしょうね。
 腸内環境を改善しましょう。
 もう暫くは善玉菌に頑張っていただき、寿命を延ばしたいと願う小生です。

(本稿は、当店「生涯現役新聞」2006年5月号に一部加筆し再掲したものです。)

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人と腸内細菌、どちらが主人?

2013年03月19日 | 整腸&オリゴ糖の働き

人と腸内細菌、どちらが主人?

腸内善玉菌を元気にし、「宿便」を取れば、健康この上なしです

 断食道場を併設なさっている医院の医学博士、渡辺正・甲田光雄の両院長さんのお話を取り混ぜて(ほぼ共通しますが)ご紹介します。

 誰もが断食に入って何日かすると、普段は毎日快適な便通がある人でも洗面器に一杯の便が出る。現代人は宿命的に「宿便」を抱えている。
              
 時は飽食時代。皆、確実に食べ過ぎである。
 大腸の処理能力を超えた便の元が溜まりに溜まり、腸壁にあるシワのくぼみに入り込み、大腸は大きく膨らんでいる。こうして、何日分もの便の元が大渋滞を起こしている。
 これによって、血管が圧迫されて血液循環が悪化し、大腸の機能が落ち、体内に入ってはいけない物の侵入を許すことになる。
 つまり、悪玉菌が作る有害物質が体内に染み込み生活習慣病を引き起こしたり、未消化のタンパク質が血液中に入り込み、アレルギーやアトピーを誘発する。
 あらゆる病気がこうして起こると言っても過言ではない。

 いやー、びっくり!
 “腸壁を内視鏡で見ると綺麗なものだ。「宿便」なるものはない”というのが通説ですが、断食で便が大量に出るのは本当のようで、「宿便はある」ということになりますね。
 食べ物の胃・小腸での消化吸収は半日程度で終わりますが、大腸を通過するには、丸一日かかります。
 大腸では、人間と共生関係にある腸内善玉菌が人に不可欠な様々のビタミン(ビタミンB群)、免疫物質や、ミネラルを原料とした酵素の生産などを行なってくれています。
 これらが手に入らないと、人間は生きていけません。
 ヒトの細胞は60兆個(※)腸内善玉菌の数は100兆個。数の上でもヒトを上回る菌。
 腸内とは「内なる外」です。
 口から肛門まで、粘膜を境として、人の力が及ばぬ「外界」です。
 上のイラストの黒い部分が体内で、白い部分が体外=外界になります。
 (※2015.11.20追記:最近の研究では37兆個で、こちらのほうが信憑性が高いです。→ 健康は赤血球で決まる

(腸内善玉菌の声)
 腸内は快適で安住できる空間だ。餌探しも不要だ。
 ヒトが俺たちにご馳走を運んでくれる。
 とんでもない物を送り込んで来たら、腸壁を叩いて下痢をさせ、懲らしめてやればよし。
 毎日十分に餌が入ってくるから、腸壁のシワに保存し、明日の楽しみに取っておこう。
 ポンポンに膨らみ、限度が来たなあ。
 腸壁をくすぐってやれ。腸が張ってヒトの食欲が落ちるわ。
 俺たちのご馳走に、最近は、やたらと肉が混ざるなあ。
 お陰で悪玉菌が多くなってしまった。あいつらの大好物だから、しゃあないか。
 それにしても、悪玉菌の糞は臭いなあ。俺たちも元気をなくすぜ。
 おっと、腸壁に傷ができたぞ。あーあ、未消化のタンパク質が腸壁に入り込んでいった。
 アレルギーになっちまっても、オラ知らねえー。
 おっ、断食を始めやがった。
 とうとう餌が底をついた。餌がなくっちゃ、俺たちも生きていけねえ。
 ヒトという生き物は、食べた刺激がねえと便をよう出さん。
 ここんところの断食で全く出しとらん。腸壁を蹴飛ばしてやれ。
 ドンドーン!どうだ、全部出たやろ。腹減ったか。体がよう動くやろ。
 はよ食い物を探しに行けー!

 冒頭で紹介しました両先生によれば、時々断食し、飽食を止めれば「快腸で健康この上なし」となるとのことですが、「分かっちゃいるけど止められない」食欲煩悩の塊の人間です。どだい無理な話になっちゃいます。

(腸内善玉菌の声の続き)
 俺たちに元気がないとヒトが察知してか、近年、応援部隊を送り込むようになった。
 ヒトは俺たちによく似た生きた奴を送り込もうとするが、たいていは胃酸で死んでしまう。生菌整腸剤というやつだ。でも、それでいいのだ。
死菌に利用価値がある。これを分解精製すれば、俺たちの滋養強壮剤の出来上がり。
 しかし、俺の体質に合わず、あまり効かんときもあるが。
 最近は、死菌を粉々に砕いた粉末やドリンクも来るようになった。さらに、俺たちによく似た菌を培養し、その生成物のエキスをくれることもある。これは、手間がかからん高級ドリンクだ。フルパワーを発揮できる。悪玉菌の糞もドンドン出したるぜえー。
 ヒトはけっこう賢い生き物だな。見直した。
(当店では、ここに紹介しました整腸剤など各種お取り扱いいたしております。)

<コラム:ミネラル豆知識>
 マグネシウムで排便
 日本人はマグネシウムの摂取が不足しがちです。穀類(ただし白米は玄米の10分の1)、豆類、海藻に多く含まれるほか、緑色野菜(葉緑素の核がマグネシウム)に多く含まれています。
 マグネシウムは、大腸内で水分を集める作用を持ち、排便を促進してくれます。玄米食がお通じを良くするのは食物繊維が多いことのほか、マグネシウムが多いからです。
 マグネシウムは、ストレス、過食、高血糖が続くと、尿から大量排泄されてしまいます。くれぐれもご用心をなさってください。

(本稿は、当店「生涯現役新聞」2006年4月号に一部補足し、再掲したものです。)

関連記事:2013.3.21 腸内悪玉菌は悪か?善か?

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第1の栄養素はオリゴ糖と考えるべき。ヤーコン芋にご注目を。

2011年01月07日 | 整腸&オリゴ糖の働き

第1の栄養素はオリゴ糖と考えるべき。ヤーコン芋にご注目を。

 現代人にとって“生活習慣病の救世主”と言える「オリゴ糖」について、4回シリーズで取り上げることとします。
 
栄養素は、炭水化物から始まって最後の6番目に「食物繊維」が掲げられていますが、「食物繊維」に勝る栄養素が「オリゴ糖」(これもヒトの消化酵素では消化できず、腸内善玉菌の餌になるもので、「食物繊維」の1種にされています)でして、飽食時代の今日にあっては、これを、「食物繊維」から切り離して、真っ先に挙げるべきでしょう。
 なお、近年、厚生労働省は、栄養素の第1に、欧米と同様にたんぱく質を掲げ、3番目に炭水化物を、それに類似する食物繊維を4番目にしているようです。
 さて、私がこだわりをもっているところの「オリゴ糖」を際立って多く含んでいる食品が、「ヤーコン芋」です。従前、オリゴ糖高含有の両横綱と言われていた、ゴボウ、タマネギの何と3倍も含んでいます。アンデス原産で、近年、国内各地で少しずつ栽培されるようになった「健康野菜の王様」です。

 このヤーコン芋は、イノシシが食べず、サルが食べます。山間地では、芋は動物の食害が多いようですが、不思議なことに、芋を探し当てる名人のイノシシは見向きもしないとのことです。(注:一部地域ではイノシシによる食害があるとのことです。)
 これは、ヤーコン芋には澱粉が全く含まれていないことによると考えられます。
 澱粉を最も好む動物は、ヒトとイノシシ・ブタです。優れた澱粉消化酵素を大量に分泌できる能力を持っていることからも、それは推し量られます。
 よって、澱粉がないヤーコン芋がヒトの世界に広まらなかったのも当然です。
 じゃあ、サルがヤーコン芋を食べるのはなぜか。
 よく分かりませんが、サルとヒトは近い種で、食性が似ていて、消化器官が類似していますから、「はらぐあい」が悪くなれば、整腸剤になるものを自然界の中から動物的勘によって探し出したのではないでしょうか。
近年は、自然が荒らされて、サルたちも、おかしな物を食べざるを得なくなっていることでしょうからね。

 ヒトも同様で、飽食を満喫し、油脂や動物性たんぱく質をあまりにも過剰に摂取している現代の日本人です。「はらぐあい」がおかしくなっているのは、間違いないことです。
 「私はそんなことありません。毎朝、快適なお通じがあります。」と、おっしゃる方であっても、ウンチをした後、トイレットペーパーなしでは済まないでしょう。
 でも、自然界では、その動物に最適な食生活が保たれている場合は、排便の後、肛門は全く汚れていません。スパッと便が切れて、肛門の回りに便が付かないのです。
 ヒトも、本来はそうあるべく出来ています。でも、誰一人そうは参らない。
 やはり、大なり小なり「はらぐあい」がよくないのです。

 さて、ヒトがヤーコン芋を食べるようになったのは、随分と昔からのことですが、最近までアンデスの原住民だけでした。それも、澱粉の多いジャガイモなどとは違って、主食にすることはなく、副食なり果物として少々食べるだけのことです。
 そのヤーコンが、近年、特に日本で広まったのは、カロリー源としてではなく、サルと同様に「はらぐあい」を良くするためです。
 ヤーコン芋を毎日のように食べていると、確実に「はらぐあい」が良くなります。
 大量のウンチが出るようになります。それも、くさくないウンチが。
 どんな整腸剤よりも優れていると言えましょう。

 この「はらぐあい」、少し高級な言葉を用いれば「腸内環境」、これを改善する必要性が、近年、声高に叫ばれています。
 あらゆる生活習慣病にとどまらず、アトピーや難病の治療にもなることが、だんだん分かってきたからです。

 ヒトは、ヒト本体のみでは生きていけません。様々なヒト常在菌と共生することによって、はじめて円滑な生命活動が可能になるのです。
 特に、腸内においては、主役はヒトではなく、「腸内善玉菌」です。食べ物の消化吸収、免疫力の向上、有用物質の生成など、極めて大きな働きをしてくれています。
 この腸内善玉菌を増やし、活性化してくれるのが、オリゴ糖であり、食物繊維であり、発酵食品であるのです。

 これらの中で、近年特に注目されるようになったのが、オリゴ糖です。市販されるよになって久しいですが、今は、健康食品としては、あまり人気がないようです。
 今日のオリゴ糖の主な利用先は家畜用でして、これを家畜の離乳食に配合することで、下痢を防止し、丈夫な家畜に育成するために重宝されているようです。また、ブラジルでは、離乳後も餌としてオリゴ糖を与え続けると生育が良くなることから、安く手に入るヤーコン芋を家畜に食べさせるようになったとのことです。
 配合飼料ばかり食わされて「はらぐあい」が悪くなっている日本の家畜にもぜひ食べさせたいものです。
 なお、ヤーコン芋をペットフードに混ぜて、犬や猫に食べさせると、健康が保たれ、便の臭いが少なくなるとのことです。当然のことでしょうね。

 それにしても、もったいない話ですね。
 従前のどんな食品よりもずっとたくさんオリゴ糖を含んでいる、これほどすばらしい「ヤーコン芋」を動物の餌にし、人間様があまり食さないとは。
 大いにヤーコン芋を食べていただきたいものです。
 当店(薬屋)は、幸い広い畑がありますから、可能な限りヤーコンを作付けし、お客様に差し上げています。
 畑があるなり、家庭菜園が確保できる方は、ぜひ栽培なさってください。(栽培法や料理法は私の別立ブログ「ヤーコンおやじのブログ」をご覧ください。
 それが不可能なら買うしかありませんが、通信販売なら「ヤーコンドットコム 三井ヘルプ」がおすすめです。加工食品に良い物が有りますし、私も時々利用しています。

 <以下、 “栄養素「オリゴ糖」の不思議(その1)” に続く。> 

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栄養素「オリゴ糖」の不思議(その1):ヒトの消化酵素では分解不能。善玉菌のご馳走に。

2011年01月07日 | 整腸&オリゴ糖の働き

栄養素「オリゴ糖」の不思議(その1):ヒトの消化酵素では分解不能。善玉菌のご馳走に。

 厚生労働省は、「オリゴ糖」を栄養素として認定していません。食物繊維なり炭水化物の中に含めてしまっています。
 少しばかりややこしいのですが、同省の「食事摂取基準」では、食物繊維と炭水化物は別のものとしていますが、同省の「栄養表示基準」では、食物繊維は炭水化物に含まれ、食物繊維を除く炭水化物は、糖質と言っています。
 糖質とは何かと言うと、ブドウ糖などの単糖類、しょ糖(砂糖)などの二糖類、澱粉(ブドウ糖がたくさん繋がった多糖類)の総称で、ヒトの消化酵素によって消化吸収されるものを指します。なお、これ以外に、酢などの短鎖脂肪酸が加わったり、アルコールが除かれたりしますが、話がややこしくなりますから、一先ずこれらは除外しておきましょう。
 次に、糖質を除く炭水化物、つまり食物繊維とは何かと言うと、植物の細胞膜など、ヒトの消化酵素によって消化吸収されないものを指します。
 これに「オリゴ糖」を含めてしまっています。

 さて、「オリゴ糖」とは何かと言うと、定義の仕方がいろいろありますが、栄養学的観点からは、二糖類と多糖類の中間に入る、数個から10個程度のブドウ糖が繋がった化合物を言います。この「オリゴ糖」は、水溶性で、砂糖の3割程度の甘みがありますが、ヒトの消化酵素では残念ながら、というよりは幸いにして、消化吸収されないものです。
 何でこんな中途半端な糖を特定の植物、ゴボウやタマネギそしてヤーコン芋といった植物がその生体内にたくさん作っているのか、このあたりが摩訶不思議で面白いところなのですが、これは、きっと、保存性に優れた不溶性の多糖類(澱粉)を作る能力が獲得できなかったからでしょう。
 特に、ヤーコン芋の場合は、どの植物よりも格段に「オリゴ糖」を含有しており、その形状は「芋」ですから、本来なら澱粉を作るべきところでして、これは、きっと進化途上にある芋であって、きっと遠い将来には、その形状からしても、澱粉が多いサツマイモと同じ姿になろうとしていることでしょう。

 さて、栄養にならない食物繊維ですが、日本国厚生労働省は世界に先駆けて、これを栄養素として認定しました。随分前のことですが、ご立派です。(ろくな行政しかやらない同省ですが、まれに良いことをします。)
 食物繊維は腸内環境を改善し、ヒトを健康にしてくれるからですが、皆さんご存知のとおり、腸内善玉菌が食物繊維を餌にし、腸内善玉菌はヒトとの共生関係にあるからです。
 その食物繊維の大半は、植物の細胞膜でして、ブドウ糖やその他の物質が複雑に強く結合しており、彼ら善玉菌であっても、容易には分解できず、相当な時間がかかります。
 草食動物、例えばウシは反芻(はんすう)胃に、こうした善玉菌を住まわせていて、彼らが嫌気性発酵を行い、短鎖脂肪酸を作り出し、これを宿主のウシが栄養にしています。
同じ草食動物でもウマの場合は後腸発酵となり、大腸で同様なことが行われています。
 ヒトの属する霊長類(サル)にあっても、コロブス類は食物繊維を前胃発酵させていますし、ゴリラは不完全ながらもけっこう後腸発酵させています。ゴリラが巨漢なのは、そのために大腸を大きくしたとしか考えられません。なお、ゴリラは後腸発酵が不完全なゆえに糞食することがあります。ヒトは、ゴリラほど大きくありませんが、チンパンジーより大きく、かなり大腸が大きいですから、どれだけかは後腸発酵できているのは確かです。

 やっと、ここで本題の「オリゴ糖」の栄養化の話に入ります。
 もうしばらくお付き合いください。
 動物の消化器官の内に住む善玉菌にとって、宿主が消化できない「オリゴ糖」は、食物繊維に比べ、その単純な構造からして容易に分解できる物質です。彼ら善玉菌のご馳走になること請け合いです。真っ先に分解し、彼らの栄養にするでしょう。
 そうなれば、彼ら善玉菌はイキイキして活性化するでしょうし、大きく増殖するに決まっています。そして、食物繊維の分解もはかどるに違いありません。
 つまり、腸内環境が大改善されるのです。

 さて、食物繊維と同様なのですが、「オリゴ糖」も、彼らによって分解されると、単糖類のブドウ糖にされるのではなく、酪酢、酢酸、乳酸などの短鎖脂肪酸に変性されます。
 草食動物は、これらの短鎖脂肪酸をブドウ糖の代わりにして、エネルギー源にしています。ヒトにあっても、これらは最終的にエネルギー源になります。
 これが共生関係の面白いところでして、善玉菌は自分が生きていく上で必要な量以上に有用物質を作り出し、宿主に家賃として支払っているのです。そして、宿主は、その多大な恩恵にあずかっているのです。
 「オリゴ糖」たっぷりのヤーコン芋を食べると、即効的に腸内環境が改善されるのは、短時間で短鎖脂肪酸が腸内にたくさん作られるからなのです。そして、宿主のヒトは、天然醸造の酢の類を知らず知らず、ただで手に入れているのです。

<以下、栄養素「オリゴ糖」の不思議(その2)へ続く>

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栄養素「オリゴ糖」の不思議(その2):母乳に含まれているオリゴ糖が、腸内善玉菌のご馳走に

2011年01月07日 | 整腸&オリゴ糖の働き

栄養素「オリゴ糖」の不思議(その2):母乳に含まれているオリゴ糖が、腸内善玉菌のご馳走に

 胎児は母親の血液を通して栄養を得ていますが、誕生後の赤ちゃんは母乳で全ての栄養をまかないます。その母乳の最大の成分が乳糖で、唯一のエネルギー源になります。この乳糖は、哺乳動物の母乳に共通していますが、赤ちゃんしか消化吸収できません。離乳年齢に達すると、その消化酵素を失うのです。
 ただし、ヒトにあっては、太古より動物の乳を飲んでいる民族は、離乳後もその消化酵素を失うことなく、大人になっても消化吸収が可能な能力を遺伝的に獲得しています。
 ちなみに、古来から日本列島に住んでいた民族は、そうした習慣がなかったので、その能力は獲得できていません。今日の日本人の大人で乳糖を消化できる能力を持つ人は、大陸の遊牧民族の末裔と思われ、残念ながら5~10%に過ぎず、牛乳を飲む価値はどれだけもないのです。

 母乳に含まれる、もう一つの糖が「オリゴ糖」で、これは、大人と同様に赤ちゃんも消化吸収できません。完全な栄養食の母乳であるはずなのに、なぜ、こんな不要物が入っているのでしょうか。
 それは、腸内細菌の餌にするためとしか考えられません。
 赤ちゃんの腸内細菌は、まだ未熟な状態にあり、これを育ててあげねばならず、ヒトと共生する腸内細菌ですから、彼らにも栄養を与える必要があるのです。全ての栄養が母乳だけですから、母乳に彼らの栄養素も入っているに違いないです。
 母乳の不思議は未解明な部分が多いのですが、新たな発見がされる度に、理にかなった仕組みになっていることが分かり、赤ちゃんに乳糖が最高のエネルギー源になるのと同様に、共生する腸内細菌にとって「オリゴ糖」が最高のご馳走になっているのです。

 一口に「オリゴ糖」と言っても、様々なタイプがあり、動物に由来する「ガラクトオリゴ糖」や植物に由来する「フラクトオリゴ糖」などがあります。母乳に含まれる「オリゴ糖」は前者ですし、健康野菜の王様「ヤーコン芋」に含まれる「オリゴ糖」は後者です。
 赤ちゃん時代は前者だけで良いのでしょうが、離乳後はきっと後者も腸内細菌のご馳走になることでしょう。
 そのあたりを研究されたデータがあり、腸内ビフィズス菌には両者ともに高い効果があるものの、腸内乳酸菌にとっては、それぞれの出自に由来する「オリゴ糖」でないと効果がないことが分かっています。
 世界一の長寿村として有名なコーカサス地方では発酵乳製品を常食し、前者の「オリゴ糖」が腸内細菌全般のご馳走になって、腸内環境が非常に良い状態が保たれているから、長寿なのでしょう。一方、南米アンデスの高地もコーカサス地方に劣らない長寿村であることが判明しました。ここでは、健康野菜の王様「ヤーコン芋」を常食しており、後者の「オリゴ糖」でもって、同様な効果が発揮されていると考えられるのです。
 さて、我々日本人の大半は、ごく最近になって発酵乳製品をどれだけか食べるようになっただけですから、その体質は、南米アンデスの原住民に近く、後者の「オリゴ糖」に優位性があることでしょう。

 とにもかくにも、「オリゴ糖」は、腸内細菌の最高のご馳走になるのでして、これによって、腸内細菌が大増殖し、イキイキと活性化されるのは間違いないことなのです。
 ただし、未消化物(大半の日本人の場合は、牛乳中の乳糖を含む)や食物繊維の分解も進みますので、副産物のガスが発生し、音を伴った「屁」が度々出るようになるのが難点ですが、腸内環境が高い状態で安定すると、これが少なくなります。なお、この「屁」の臭いは、無臭とは言えませんが、さほど気にならない臭いですからご安心を。

<以下、栄養素「オリゴ糖」の不思議(その3)へ続く>

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栄養素「オリゴ糖」の不思議(その3):コレステロール正常化、ミネラル吸収アップまでも

2011年01月07日 | 整腸&オリゴ糖の働き

栄養素「オリゴ糖」の不思議(その3):コレステロール正常化、ミネラル吸収アップまでも

 ヤーコン芋の主成分が「フラクトオリゴ糖」と分かった頃、約20年前のことですが、明治製菓(製薬メーカーでもあります)が「フラクトオリゴ糖」の薬理作用を詳しく研究しました。
 その結果を概説しますと、
(1) 腸内善玉菌のビフィズス菌を増やし、悪玉菌を減らす。
(2) 腸内環境を健全にし、便秘を改善し、整腸効果がある。
(3) ヒトの消化酵素では消化されず、大腸で細菌により分解され、有機酸が生成され
  る。そのカロリーは、砂糖の半分と、低カロリーである。
(4) 虫歯菌では分解不能であり、虫歯になりにくい。
(5) コレステロールを正常化する効果がある。
(6) 大腸が有機酸によっ酸性環境になり、ミネラルの吸収が高まる。
と、いった内容になっています。

 ここで、注目されるのが、(3)と(6)の有機酸(=短鎖脂肪酸)です。
 オリゴ糖はブドウ糖が幾つか繋がってできていますが、ヒトの消化酵素の類であれば、ブドウ糖に分解されるのでしょうが、腸内細菌の消化酵素の場合は、酪酸、乳酸、酢酸などの有機酸に分解されるのです。これは水溶性ですから、大腸で水分吸収されるときに体内に入り込み、細胞内のエネルギー回路で消費され、つまりカロリーとして計算されることになるのです。
 高血糖に注意しなければならない方には、これは朗報で、フラクトオリゴ糖をたっぷり含む「ヤーコン芋」を食べていただきたいものですね。ただし、食べ過ぎると、初めのうちは下痢することがありますので、ご注意ください。
 なお、これらの有機酸は、大腸の粘膜細胞の栄養になるとのことです。ウシなどの草食動物や一部の霊長類は、有機酸を主たるエネルギー源にしていますので、大いに有りうることです。そうなれば、大腸の粘膜が健全化され、大腸の働きが正常化すると考えられます。

 次に、ミネラルの吸収の高まりです。古典的栄養学では、ミネラルは小腸で吸収され、大腸では水分が吸収されるだけで、ミネラル吸収はほとんどないとされています。特に、カルシウムの小腸内吸収について詳しく研究されていて、そのような仕組みは大腸にはないので、こうした考え方が支配的になっています。鉄についても同様で、小腸内吸収が難しいから、摂取した鉄分は1割しか吸収されないとされています。
 しかし、多少とも化学を齧ったことがある小生は、常々これに疑問を持っていました。
 例えばカルシウム剤を飲んだとします。これは、強酸の胃酸によってイオン化、つまり水に溶けた状態になることでしょう。そして、十二指腸で膵液などで中和されることによって、カルシウムはイオンの状態を保てなくなり、カルシウム原子が寄り集まってコロイド状態にならざるを得ません。そのコロイド状のカルシウムが小腸の働きで一部が溶解されて吸収され、残りの多くが大腸内で長く滞留します。そして、大腸内の環境が酸性であれば、コロイド状のカルシウムの溶解が始まり、イオン化されて水溶液となり、大腸の水分吸収の働きによって自然と体内に吸収されようというものです。
 明治製菓の研究成果は、これを裏付けることになりましょう。

 また、当店(薬屋:三宅薬品)では、多くのお客様に総合ミネラル剤をお勧めし、飲んでいただいているのですが、大半の方に想定された効果が認められるものの、2~3割の方には全く効果が出ません。そうした方の食生活や便通の状態を聞いてみますと、皆さん、腸内環境が非常に悪いことが判明しました。つまり、良好な腸内環境の目安となる「酸っぱいにおいであまり臭くないウンチ」が全く出ていないのです。大腸で有機酸が生成されていないのです。
 こうしたことからも、ミネラルの吸収は、大腸が有機酸による酸性環境の下にあれば、大きく進むと考えて良いのです。
 20年も前に、こうしたことが分かっているのですから、栄養学も大幅に書き直していただきたいものです。
 なお、このことについては、明治製菓の研究以外にも、同様な結果が数多く報告されており、今や常識になっていることを申し添えておきます。

 ここまで、オリゴ糖に関して、4回にわたって長々と説明してまいりましたが、皆様方にはご精読賜りまして深く感謝申し上げます。
 これを機に、皆様方がオリゴ糖に興味をお持ちいただき、ヤーコン芋、これが入手できなければ、タマネギやゴボウを努めてお召し上がりいただきたいです。
 そうすれば、健康増進に大いに役立つこと請け合いです。
 なお、ヤーコン芋のすごさについては、小生の別立てブログ「ヤーコンおやじのブログ」の中で、重い糖尿病が完治した例「ヤーコン芋で糖尿病が奇跡的に完治」などを詳しく紹介していますので、覗いてみてください。
 

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