薬屋のおやじのボヤキ

公的健康情報にはあまりにも嘘が多くて、それがためにストレスを抱え、ボヤキながら真の健康情報をつかみ取り、発信しています。

ビタミンは腸で作られる!それは腸内細菌の働きによるものです。腸内環境を良くしましょう。

2011年09月18日 | 正しい栄養学

ビタミンは腸で作られる!それは腸内細菌の働きによるものです。腸内環境を良くしましょう。

 神経のビタミンと言われるビタミンB12。不足すると、末梢神経障害を起こし、鬱(うつ)、物忘れという脳の障害まで引き起こすことが分かっています。
 さて、このビタミンB12について、
一流製薬メーカーのT社の薬局・薬店向け情報誌の中で、「ビタミン大百科」と題する記事に、次のように書かれていました。

 “ビタミンB12は植物には存在せず、動物性の食材からしか摂取できない唯一のビタミン。魚や肉が苦手な人は、薬やサプリメントなどで補給するのが望ましいでしょう。”

 はたして、これは本当でしょうか。たしかに、野菜の中には全く含まれていません。
 ただし、品種改良された「マルチビタミンB12かいわれ」(かいわれ=大根の幼芽)には含まれていますし、そして、海苔(のり)にはビタミンB12がちゃんと含まれています。 
 ビタミンB12は、1日にマイクログラム単位で必要とするだけで、体内には3桁上のミリグラム単位で備蓄されていますから、完全な植食性、ベジタリアンで通しても、B12かいわれや海苔を時々食べれば、ビタミンB12欠乏にはならないのでしょうね。
 ところが、欧米においては、ベジタリアンにビタミンB12欠乏が時々見られるようです。
 日本のようなB12かいわれや海苔がない食生活ですから、有り得ることですが、でも、全員が全員そうはならないから、これまた不思議なことです。
 一方、肉や魚を食べる人でも、胃がない方にビタミンB12欠乏が現れることがあります。

 ここで、ビタミンB12の一般的な吸収のされ方を説明しましょう。
 ビタミンB12は、胃液中のペプシン(タンパク質分解酵素)で分解されやすいです。
 よく噛んで唾液が十分に出ると、唾液中のハプトコリンがビタミンB12とくっ付いて、胃で分解されず、無事に十二指腸へと運んでくれます。ここで、運び屋のハプトコリンが膵液によって分解され、代わりに胃で分泌された内因子というものと結合し、回腸(小腸の末端で大腸に近い所)に入ったところで吸収されます。少々複雑ですが、唾液と胃の分泌物が出ないと、ビタミンB12は吸収されないのです。
 ですから、胃がない人は、内因子が分泌されませんから、ビタミンB12欠乏が心配されます。でも、そうならない方が多いですから、これまた不思議なことです。
 もう一つ言えるのは、よく噛まずに丸飲みする人は、唾液不足で、ビタミンB12が胃で分解されてしまい、ビタミンB12欠乏が心配されます。そして、ビタミンB12製剤を飲んでも、唾液と絡まないから、大半が胃で分解されてしまうのではないか、となります。(ビタミンB12の1日所要量は2.4μgに対し、製剤投与量は通常1500μgと多いのは、そのためと考えられます。)

 こうしたことから、ビタミンB12は、一般的な吸収のされ方以外の、何か特別な方法でも吸収されているのではないか、と考えないと腑に落ちません。
 一つは、ビタミンB12製剤の飲み方にあるのですが、一部の製剤は、舌下に挟んで溶かすことによって、舌の粘膜から直接吸収されます。となると、食品中のビタミンB12も、一部は舌の粘膜から直接吸収されていると考えてもいいのではないでしょうか。

 さて、B12かいわれも海苔も食べないベジタリアンであっても、ビタミン12欠乏にならない人が大多数です。これはどうしたことでしょう。全く摂取しなくても、ビタミン12欠乏にならないということは、体内で合成されねばなりません。
 
しかし、ヒトにはビタミンB12合成酵素はないです。じゃあ、どうやって合成するのか。
 これをやってくれるのは、プロピオン酸生産菌という腸内細菌です。腸内環境が良好であれば、プロピオン酸生産菌の働きも活発になり、ビタミンB12をドンドン作ってくれるのです。ビタミンB12の摂取がゼロでも、腸内細菌がちゃんと吸収しやすい形のビタミンB12を作ってくれるのです。ベジタリアンでビタミンB12欠乏となる方は、穀物に偏って野菜不足で腸内環境が悪化しているか、たまたまプロピオン酸生産菌が少ないからでしょう。

 こうしてみると、腸内環境を良好に保つことが非常に重要であることが分かります。
 このことは、単にビタミンB12だけではありません。腸内細菌は、何と、
ビタミンB1、2、6、そして、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ナイアシンというビタミンB群、さらにビタミンKを合成する能力を持っており、頼もしい限りです。
 腸内細菌で合成できないビタミンは、抗酸化ビタミンのA、C、Eといったところで、数少ないです。蛇足になりますが、腸内細菌が抗酸化ビタミンを作らないのは、彼らは酸素がない環境で生きているから、これらを必要としないからでしょう。

 参考までに、ヒトが体内で作れるビタミンは、紫外線が皮膚に当たったときにできるビタミンDだけです。これは実に簡単に必要量が出来てしまいます。夏であれば、1日1回、指1本を5分間直射日光にさらすだけで良いようです。家の中に閉じこもりっ放しでなければ、不足することは絶対にないです。

 最後に栄養学について、一言申しておきましょう。
 ビタミンB12たっぷりの焼肉をもりもり食べても、よく噛まなければ、胃で分解されてしまい、そして、腸内環境も悪化して、プロピオン酸生産菌が働かず、ビタミンB12欠乏になり、また、腸内細菌は、その他のビタミンも作ってくれません。また、ミネラルの吸収率も悪くなりますから、必要な栄養素の摂取量だけを考える栄養学に従っていると、大変な目に遭うことになりますよ。
 何よりも、肉の多食は悪玉菌が大発生して各種生活習慣病の元になるのですから、極論すれば、腸内環境の改善だけに専念していれば、栄養学を考える必要は一切ないことになるのです。


コメント (4)    この記事についてブログを書く
« これが現代医療の実態: “対... | トップ | 各種ミネラルの吸収はどこで... »

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
 公的な健康情報に誤りや嘘がいかにも多いです。←同感です。 (千葉 康之)
2013-04-30 10:57:46
 すごく興味のある内容でした。
URLに記したものは昨年4月1日から始めたFacebookですが、だれに何を言う事もなくコメントを頂く方が増えています。
 
 これは皆さんが健康に関して非常に興味を持っている事の表れだと思い、紀元前にヒポクラテスの提唱した”医食同源”を現代によみがえらせる事を科学的証明に基づき発信しています。
返信する
質問 (福地)
2016-08-31 21:48:48
古い記事についての質問で恐縮しますがご容赦ください。
以下①②の趣旨の記載があります。

①かいわれも海苔も食べないベジタリアンは、全員がビタミンB12欠乏症になるわけではない。

②胃を全摘した人は、全員がビタミンB12欠乏症になるわけではない。

これが正しいとすると、腸内細菌が合成するビタミンB12を吸収していることが、その理由だと思います。

①②をどうやって確認されたのでしょうか?

ご回答いただければ幸いです。
返信する
ビタミンB12欠乏症 (薬屋のおやじ)
2016-09-01 08:30:27
①②ともにwikipediaに「欠乏症が現れる」とか「欠乏症になることがある」と書かれていますし、手持ちの文献にはないですが、そうした内容の記述があった文献を読んだ記憶があります。
そうしたことを踏まえて記事にしたところです。
なお、「マルチビタミンB12かいわれ」や海苔を全く食べない、完全生菜食の方々が幾人も生き生き元気に暮らしておられるのは事実で、甲田光雄氏の著に幾例も紹介されています。
返信する
Unknown (福地)
2016-09-01 11:23:31
薬屋のおやじ様
早速コメントしてくださり、大変感謝しております。
ありがとうございまいた!
返信する

コメントを投稿

正しい栄養学」カテゴリの最新記事