時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

北朝鮮制裁の真の目的(中国は南シナ海を支配しようとしているのか?)

2016-02-29 23:00:17 | 北朝鮮


北朝鮮制裁は中国封じ込め作戦の一環である。

……ということは当然、北朝鮮の専門家は知っていることであり、
この問題について取材するいずれのジャーナリストも気づいているはずなのだが、
主流のメディア(日本の新聞、雑誌、テレビ)は、なぜかこのことに触れようとしない。

仕方がないので、自分で書くことにする。

さて、図1は2011年に防衛省が作成した『中国安全保障2011』から引用したものである。
ここで「第一列島線」という言葉に注目して欲しい。


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「列島線」という概念は冷戦時代の米ソ対立の産物であり、米国人ダレスが打ち出したものだ

このうち
第一列島線はソ連などの国々の軍事力を封じ込めることが大きな目標だった。
冷戦終結後、米国は中国海軍の西太平洋での遠洋訓練に対して割合理性的な姿勢を取ってきた。

ロックリア前米太平洋軍司令官は、
すでに世界大国となった中国海軍が遠洋へ向かうのは「自然な事だ」と述べた。

だが日本は依然として第一列島線を中国海軍の発展を封じ込める「城壁」と見なしており、
「列島線問題」を騒ぎ立て続けている。

http://j.people.com.cn//n/2014/1230/c94474-8829594.html
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上で説明されているように、第一列島線(First Island Chains)は
元々はアメリカが考えた概念で、日本列島~沖縄~フィリピンに沿って米軍基地を置き、
中国・ロシア・ベトナムなどの共産主義国家を封じ込めることを目的としたものだった。


つまり、第一列島線とは、同線を越えて中国軍が活動させないために設けたものであり、
その逆ではない。


現に『中国安全保障2011』は、
近年の中国が第一列島線を越えて軍事演習を行っていることを指摘し、これに危機感を抱いている。



図1をもう一度見て欲しい。
第一列島線と第二列島線との間で実施された軍事演習について言及がされている。

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中国海軍は台湾有事に限定した対米接近阻止能力の構築と実戦化だけではなく、
胡錦濤が述べたように、海洋における米国の軍事的優位に対抗できる海軍力の構築を目指し始めている

中国の海軍戦略と作戦範囲における「近海」の範囲は、
海軍装備の増強の結果、第一列島線を越えて第二列島線にまで拡大しつつあり
加えて「遠海」における機動的な作戦能力の向上も図られている。 

こうした趨勢に人民解放軍は必ずしも明確に説明しているわけではないが、
2006年12月末に発表された『2006年中国の国防』は中国海軍が
「段階的に近海防御の戦略縦深を増大させ、海上の総合作戦能力と核反撃能力を高める」
との方針を示していた。

他方で、米国防省は中国が近海での軍事的危機に際して
第三国の介入を阻止するいわゆる接近阻止・領域拒否(A2AD)能力の向上を図っている
として警戒感を高めている。
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ちなみに、第一列島線は、第二列島線とセットになっているものだ。

第二列島線のラインを見て欲しい。
アメリカ領のグアムをつないでいることに気がつくはずだ。

つまり、列島線とはアメリカを守るために設けた防衛ラインなのである。

レポートでは第一列島線の定義が中国政府・軍によって定義されていないので
アメリカの国防省が作成した文書をもとに線を引いたことが書かれているが、これは当然のことだ。

線を引いているのはアメリカであって中国ではないのだから。

この点を考えても、正確には「列島線」ではなく、
「対中紛争のために設けたアメリカの防衛ライン」であることがわかるだろう。


日本のある保守系シンクタンクは、このことを非常に素直に認めている。

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中国の南太平洋島嶼への接近・工作

中国は、米軍の太平洋正面の包囲環(第一列島線と第二列島線)を打通(突破)する努力と並行して、
第一・二列島線の側面・背後に広がる南太平洋の島嶼国家(パラオ、マーシャル諸島、ナウル、
ソロモン諸島、ツバル、トンガ、フィジー、サモア、パプア・ニューギニア、キリバス、
バヌアツ、ミクロネシア連邦)に接近・工作している。

中国の南太平洋島嶼への接近・工作の目的は、
①米国・米軍の太平洋正面の中国に対する包囲環(第一列島線と第二列島線)の打破、
②中国沿岸地帯の経済中枢を防衛するためのバッファーゾーンの拡張、
③米国の対中軍事拠点のグアムの無力化、
④米国とオーストラリアの分断、および
⑤南米航路のシーレーンの防衛などが考えられる。

http://j-strategy.com/series/tf1/1716
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上のサイトは中国が太平洋の国家を中国化させようとしていると騒いでいるが、
現状、太平洋上の島々を保護(つまり事実上の植民地国に)しているのはアメリカだ。

なぜアメリカの安全保障が日本の安全保障であるかのように重要視し、騒ぎ立てているのか。
その理由は定かではないが、
少なくとも日本の軍が本当は誰を守ろうとしているのかは想像がつく。


北朝鮮の「事実上の長距離弾道ミサイル」にしても、困るのはアメリカであって日本ではない。

なぜ、日本からグアムまでを攻撃できる中距離弾道ミサイル「ムスダン」が
「事実上のミサイル」よりメディアで軽い扱いをされているのか、考えてみて欲しい。



核実験や「事実上のミサイル」にばかり過剰反応して、
事実上どころか本物の中距離弾道ミサイルの所有・使用禁止を日本が要求しないのは、なぜか?


ムスダンではアメリカ本土を攻撃できない。
これが答えと言っても良いのではないだろうか?


ちなみに長距離弾道ミサイルも核もアメリカに対して備えたものである。
核攻撃の対象は米軍基地であり、それは日本や韓国にあるものも含まれるだろうが、
当然、ほとんどの米軍基地はアメリカ本国にある(考えてみれば当たり前の話だが)


なぜアメリカの安全保障を日本が肩代わりしてやらなければならないのか?
そのために日本の真の安全保障がないがしろにされているのか?

この国の軍が実際にはアメリカの予備軍として使用されていることぐらい、誰でも気がつくことである。

私のような「一応」左翼の人間でさえ、
日本の自衛隊がアメリカの他衛隊としていいように利用されていることについて怒りを覚えている。

当然、右翼の方々は私のような傍流左翼以上に怒り心頭に発していてもいいはずなのだが、
実際にメディアでご活躍されている方々は、沖縄の基地化を強行しようとする自民党を称えている。
ネトウヨもまたしかり。

彼らが何を考えているのか、私にはさっぱりわからない。
あるいは何も考えていないのだろうか?いや、そんなことはあるまい。

これ以上、日本人が犬のように使われるのも、犬のように媚を売るのも耐えられない。
というぐらいのプライドは当然、持っているはずである。



さて、列島線がアメリカの防衛線であり、日本もまた数年前まで
第一列島線を越えて中国軍が活動することについて危機感を抱いていた。

ここまで話を進めたが、最近、中国が南シナ海を軍事化しようとしているという報道が目立っている。

例えば、中国が西沙諸島に対地空ミサイルを配備したことをもって、
「南シナ海」の平和を乱そうとしていると主張する。次は朝日新聞の社説である。

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[朝日新聞] 南シナ海問題 軍事拠点化は許されぬ (2016年02月19日)

南シナ海の島で、射程200キロのミサイルが空に向かって、にらみを利かせている。

これはきわめて危うい事態である。

パラセル(西沙)諸島で中国軍が地対空ミサイルを配備したことがわかった。
スプラトリー(南沙)諸島での埋め立てを含め、南シナ海での最近の中国の行動は無責任すぎる。

中国はただちにミサイルを撤去すべきである。南シナ海をこれ以上、緊張の海にしてはならない。

スプラトリーと同様にパラセルも、中国とベトナムなどが領有権を争っている。
しかし中国は徐々に支配海域を広げ、1974年までに全域を占拠した。

ミサイルの現場とみられるのはパラセル最大の島、ウッディ(永興)島だ。
50年代から中国が実効支配しており、他国から脅かされる状況ではない。

中国政府は自らの領土と主張し、「防御施設を配備する権利がある」としている。
だが、ミサイル配備は明らかに防御目的ではなく、周辺国や航空機に強い脅威を与えるものだ。

http://shasetsu.seesaa.net/article/434001376.html
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朝日の理屈を借りれば、日本が尖閣諸島付近で
海自の軍艦を航行させるのも周辺国や航空機に強い脅威を与えることになる。


日本が実効支配している日本列島内に自衛隊の基地を建設したり軍事演習を行うことは、
朝日の言い分に従えば、とてつもない脅威になるはずだが、特に朝日はこれを非難していない。




ところで、地図をもう一度みてほしい。
西沙諸島と南沙諸島は確かに同じ南シナ海にあるが、地理的には大きく隔たっている。

つまり西沙諸島で中国が何をしようとしても南沙諸島に何か影響を与えることはない。

これは中国専門家も言及していることである。以下にスプートニクの記事を挙げる。


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ここ数週間、南シナ海における中国の一連の軍事行動が西側メディアの注意を引いている。
あるケースでは明らかな情報操作と恐怖を煽る試みが見られた。

たとえばウディ島における戦闘機配備に関する報道がそうだ。

また、カルテロン岩礁へのレーダー建設は、
なるほど新規建設ではあるが、以前から予想されていたことに過ぎない。

南シナ海情勢の推移を戦略技術分析センターのワシーリイ・カシン研究員が分析する。


スプラトリー諸島の行き過ぎた軍事化を避ける
という約束を中国が破っていると非難する根拠は今のところない。
兵器の配備は今のところ中国が以前から確実に管理しているパラセル諸島に限られている。


中国の地域支配の中心であるウディ島に長距離地対空ミサイルHQ9が配備されたほか、
この数か月で島内の飛行場に追加の格納庫が建設され、そこにJ11戦闘機やJH7A爆撃機が配備された。

ウディ島に中国戦闘機が配備されること自体は新しいことではない
飛行場建設は1990年。90年代から時折小規模のJ7戦闘機グループが派遣されてはいた。

ただ、飛行部隊が常駐することはなかったし、そのためのインフラもなかった。
戦闘機は一時的に前線配備され、のち大陸ないし海南島のメインの基地に帰っていった。


おそらく今回もそれと同様のことなのだろう。
ただ、インフラ拡充により、前線配備の条件がより好適になっている。
また、2種類の航空機が配備されたということも、前線配備説を裏付ける。

タイプの異なる、そしてともに重量級である戦闘機が
ウディ島に配備されると、物流が困難になり、島のさらなる発展が阻害される。

ウディ島に中国の戦闘機が派遣されることは
何も目新しいことではないのである。


ウディ島には群島における中国の行政上の中心もあるし、
多くの重要なインフラがあり、それらは保護しなければならないのだ。



スプラトリー諸島については、今のところ、中国のあらゆる行動が、
問題になるような水準の軍事化は進行していない
、ということを物語っている。

諸島は周辺海域の船や航空機による哨戒を補助するのに使われるのだろう。
つまり、諸島で給油や、乗組員の休養を行うのである。通信や諜報情報のハブになることも予想される。

軍事的観点からは、諸島に大規模な軍部隊および兵器を配備しても、実益はない。

スプラトリーは大陸からも海南島からもあまりに隔たっており、
紛争勃発の際にはすぐに島内の戦力は孤立させられてしまう。


遠すぎてすぐに助けに行けないのである。

周辺における中国軍の潜在力を代表するのは船舶たちである。諸島に強力な電波基地があり、
無線技術手段があれば、有事の際に中国艦隊は膨大な優位性を得ることになるだろう。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/opinion/20160228/1691051.html#ixzz41YGa06XD

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遠すぎて軍事化する意味がない。

よく考えれば誰でも気がつくことであるが、気づかないのか、
あるいは気づかせまいとしているのか、メディアはこのことに触れようとしない。

それどころか、西沙諸島の領土紛争と南沙諸島の紛争を同一のものとみなし、
「許されぬ」といきまいているのが現状だ。

アメリカはマーシャル諸島との間で領土問題を抱えており、
この問題の島(ウェーク島)は軍の戦闘機の中継地点になっているが、
これを理由にアメリカが太平洋を支配しようとしていると主張することは出来ないだろう。

仮にそのようなことを主張すれば、荒唐無稽極まりないと笑われて終わりだ。
ところが、これが中国になると誰もが真実と決めて疑わないのである。


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最近、米国は南中国海で中国が「軍事化」を推し進めていると頻繁に騒ぎ立て、
永興島(英語名ウッディー島)にミサイルを配備したと非難し、
南沙諸島でレーダー施設を建設したと報告している。

では、南中国海を「軍事化」しているのは一体誰か?
数多くの事実が物語っているように、それは他ならぬ米国だ。

(文:張軍社・海軍軍事学術研究所研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

第1に、南中国海で中国が「軍事化」を推し進めていると非難する米国は、
明らかに泥棒が他人を泥棒呼ばわりしているようなものだ。

近年、米国は南中国海周辺地域で軍事力配備を強化し続け、
フィリピンの軍事基地8カ所の使用権を獲得し、
シンガポールで沿海戦闘艦や対潜哨戒機など海空軍事力を強化し続け、
軍艦や戦闘機を頻繁に派遣して南中国海で武力を誇示している。


南中国海でのターゲット性の高い合同軍事演習や合同巡航に
同盟国やパートナーを再三引き込み、地域の緊張を誇張している。

フィリピン、ベトナムなど東南アジア諸国に武器・装備を売り込んでいる。

イージス艦や戦略爆撃機、対潜哨戒機を中国の南沙(英語名スプラトリー)諸島および
西沙(英語名パラセル)諸島の近海空域に派遣し、あからさまな威嚇を行っている。


第2に、中国が限定的な防御施設を配備するのを非難する米国は、後ろめたい盗人のようなものだ。
南中国海諸島は古来中国固有の領土であり、中国には自らの合法的権益を維持する権利がある。

中国が自らの領土に限定的な防衛施設を配備するのは、国際法の与える主権国としての
自衛権の行使であり、軍事化とは無関係であり、完全に正当かつ合法だ。

第3に、南中国海における中国の建設活動をいわれなく非難するのは、
米国のダブルスタンダードを浮き彫りにしている。

中国が自らの領土で建設活動を行うのは、完全に自らの主権の範囲内の事だ。
中国が防衛のために駐屯し、すでに完成した灯台および近く完成する気象観察予報、
漁船緊急避難施設などは、中国が南中国海最大の沿岸国として
国際社会に提供する公共サービスであり、全く軍事施設ではないのに、米国は度々非難している。

一方、フィリピンやベトナムによる侵略・占領した
中国の南沙諸島での飛行場や港湾の建設、武器・装備の配備といった
明らかな軍事行為に対しては、米国は見て見ぬふりをしている。


http://j.people.com.cn/n3/2016/0225/c94474-9021046.html
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中国が南シナ海全域を自国の領土としていると非難する人間の多くは、
ベトナムや台湾も西沙諸島、南沙諸島を自国領と主張していることに触れようとしない。



特に台湾は本土からかなり離れた地域にある西沙諸島、南沙諸島を自国の領土だと主張している。
しかも、南沙諸島に至っては一島を占領し、すでに軍事拠点にしている。

常識的にいえば、これは中国以上に野心的な行為なのだが、朝日はこれを取り上げない。
なお、中国は南沙諸島の礁に人工島を建設はしても島を占領しようとせず、二国間の協議をもって
解決しようとしている。これは明らかに西沙諸島のそれとは異なるアプローチだ。


本来、距離的に離れており、別々のアプローチが取られている2つの地域を無理やり結びつけ、
西沙諸島と同じように南沙諸島も武力で奪おうとしているぞと脅しをかける。

こういうのは、客観的に言って、アジテーション(扇動)と呼べるものであろう。


太平洋を中国艦隊が自由に往来する日

この記事に至っては、中国が太平洋すら支配しようと言わんばかりの内容になっている。

同記事は、
「もともと中国軍の最大課題は台湾の「武力解放」だ。海軍の戦略思想も「近海防衛」、
 すなわち日本の本州、沖縄から南シナ海を結ぶ「第1列島線」の内側を支配し、
 極東米軍の機能を低下させることだった。」と説明するが、実際には逆である。

日本やアメリカが列島線という名の檻の中に中国を閉じ込めようとしてきた。

ラインを超えることはあっても、中国はアメリカが許容する範囲内で活動しているに過ぎない。

ところが、朝日のようなメディアは、これすらぬるいと判断し、
中国が檻の中で歩き回ることですら「許されぬ」と鼻息を荒げている。
(もっとも、この態度すら、後述のアメリカの地政学的戦略を受けてのものであるわけだが)

台湾の武力解放など、親中派の馬英九が台湾総統になったこともあり、
中国と台湾との間の関係改善が急速に進んでいた当時を思えばありえない話であり、
現に、2016年現在、中国が台湾を侵攻しようとしたことなどないのだが、
朝日は、かくも中国の脅威を煽りたて、読者に危機感を抱かせようと画策する。

もはや新聞社というよりは、プロパガンダ機関といって差し支えない。

太平洋戦争の中、朝日新聞は自発的に「日本は連戦連勝だ」という記事を大量に書き上げ、
国民を欺きながら戦意を煽っていたが、今の朝日は、まさに戦時の体質そのものである。





上図は、アメリカが想定した中国封じ込め作戦の図である。
これを見るだけでも第一防衛ラインの上に基地を敷設しようとしているのが見て取れるが、
あわせてアメリカの戦略として重要な南シナ海の無人化計画について説明しなければならない。

無人化計画(No-Man’s Sea)というのは、アメリカが
自軍の対艦兵器能力を利用して、中国の近海を相互排他地域にさせるというものだ。

東シナ海、南シナ海の地域を不安定にし、各国が利用できないようにする。

これが無人化計画である。
それを踏まえた上で、先に引用した人民網の記事を改めて読めば、
なぜアメリカが自国の領土と全く関係ない地域で自軍のイージス艦を航行させたり、
戦略爆撃機を飛ばしたり、関係国内に米軍基地を設けたり、
アメリカ製の兵器を売却し、相手国の軍拡に協力しているかがハッキリとわかるだろう。


第一防衛ラインの枠内に中国政府・軍の動きを封じ込め、
かつ同ライン内を不安定化させることで中国が動けないようにする。


これがアメリカ合衆国が今、中国に対して取っている戦略である。

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THAADの韓国配備に中国は反対

韓国で第7回中韓外務当局ハイレベル戦略対話に出席した
張業遂外交副部長(外務次官)が16日、新華社の取材に応じた。人民日報海外版が伝えた。

張副部長は「現在朝鮮半島情勢は非常に複雑で敏感だ。中国側は一貫して
朝鮮半島の非核化実現、平和・安定維持、対話と協議を通じた問題解決を堅持している。

中国側は安保理が早急に新たな力強い決議を採択することを支持する。
制裁自体が目的ではなく、やはり対話と交渉を通じて問題の根本的解決法を見出す必要がある」
と述べた。

また
「米韓がミサイル防衛システム『THAAD』の韓国配備について
 協議入りしたと発表したことに、中国側は重大な懸念を表明する。

 THAADが韓国に配備されれば、地域の緊張が激化し、
 中国の戦略・安全保障上の利益が損なわれ、地域の他の国々の安全保障上の利益も損なわれる。
 中国側はこれに明確に反対する。
 関係国が中国側の懸念を重視し、慎重に事を運ぶことを望む」と表明した。

http://j.people.com.cn/n3/2016/0217/c94474-9017837.html

THAAD配備で進む米日南軍事一体化

新たな冷戦体制構築の危機

朝鮮の核実験、人工衛星打ち上げを口実とした
南朝鮮への高高度迎撃ミサイル(THAAD)配備問題をめぐって、周辺国の対立が顕在化している。

南朝鮮の国防部は7日、THAADの南朝鮮配備について
米・南間で公式協議を始める計画を初めて明らかにした。

米・南は朝鮮の人工衛星打ち上げを「弾道長距離ミサイルの実験」だと事実を歪曲し、
「THAAD配備は、あくまでも北の脅威に対応するためのものだ」と強弁している。

しかし米国のミサイル防衛(MD)の中核を担う
THAADは、中国、ロシアに対する軍事的圧力を目的とするものだ。

「北の脅威」というカモフラージュを利用した、
アジア覇権を狙う米国主導の米日南の軍事一体化がいっそう加速している。


中国、ロシアをけん制

米国の多層的な MDシステムの一層を成すTHAADは、
1000キロメートル先の弾道ミサイルの動きを補足し、着弾体勢に入った終末段階で打ち落とすという。

朝鮮半島は地形上北南間の縦深が短いため、高高度迎撃体系であるTHAADは、
北のミサイルを打ち落とすには不適切だという「無用論」が以前から指摘されてきた。


南朝鮮へのTHAAD配備は、米・日・南のMDシステムの統合を促し、3カ国の軍事一体化を深化させる。

THAADの核心技術である、高性能X バンドレーダー「AN/TPY-2」の最大探知距離は12000キロメートル。

南朝鮮西部海岸に設置された場合、朝鮮半島北部を越えて、瀋陽や莱蕪などの
ミサイル基地や北京を含む中国の幅広いエリアとロシアの一部までの監視が可能となる。


日本にもすでに、京都や新潟に高性能レーダーが配備されている。
しかしその観測範囲は北京には及ばない。

日本と米国のMDシステムは、軍事情報交換のためのネットワークLINK16を通じて繋がっている。
南朝鮮国防部は今年1月の大統領府業務報告で、
南朝鮮も今年中にLINK16に加わって米・日との連結・連動を行うとしている。

個別に運用されていた情報ネットワークが米・日・南の間で構築されれば、
朝鮮だけでなく中国など周辺国の軍事情報がリアルタイムで共有されることになる。

ゆえに、中国とロシアはTHAADの配備を自国への脅威と見なし、
北東アジアにおける軍事的緊張と核軍拡競争を触発するとして強く反対している。

中国の王毅外相は12日、ロイター通信のインタビューに対し、
THAADのカバー範囲、特にXバンドレーダーの観測範囲は、
 朝鮮半島の防衛ニーズをはるかに超えて、アジア大陸の奥深くまで到達する。
 これは中国の戦略的安全利益を直接損なうばかりか、この地域のその他の国の安全利益も損なう。
 いかなる国も朝鮮半島核問題を口実に中国の利益を侵害することを断固反対する

とTHAAD配備に強い反対姿勢を示している。

THAADが南朝鮮に配備されれば有事の際、
米国の核前哨基地と化した南朝鮮は中国の攻撃目標になりえる。
THAAD配備は朝鮮半島に核戦争の危機をもたらす重大な危険性をはらんでいるのだ。

http://chosonsinbo.com/jp/2016/02/23suk/
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さて、ようやく北朝鮮への制裁と中国封じ込め計画との関連性について語ることになる。

上の記事を読めばわかるように、北朝鮮への日米韓の強硬姿勢は
実際には中国に対する強い封じ込めとして機能する。


①近隣諸国に武器を売却し、②関係悪化を促し、③地域を不安定にさせることで
中国の封じ込めの手段にさせる。このやり口は南シナ海でのそれと同じものだ。


もともと、アメリカは第一防衛ライン以内に中国や北朝鮮を封じ込めることに専念してきたのだが、
近年は、第一防衛ライン以内にも自軍や同盟国軍の戦闘機や軍艦を侵入させ威嚇を行っている。


これは秘密の挑発行為ではない。

北朝鮮や中国は、このアメリカの行為を公然と非難し、
これに対する対抗手段として中国は対地空ロケット、北朝鮮は核兵器を配備しているのだが、
彼らの主張を日本のメディアがことごとくシャットダウンをしているので知らないだけだ。


逆を言えば、それだけ日本と言う国は事実上の全体主義国だというわけである。


我々は「全体主義国とは、ナチス・ドイツやスターリン政権下のソ連のように
警察や軍が民衆を監視し、逆らう人間はことごとく処刑される国だ」と教えられている。

だが、本当の全体主義国は、むしろ逆で、
国家ではなく産業が民衆に娯楽化したナショナリズムを提供し、
徹底的に甘やかすことで外の世界が見えないようにしているのである。



この記事のはじめのほうで私は如何に日本がアメリカの奴隷のように使われているかを
徹底的に暴露し、非難したが、こういう怒りをマスメディアが示しているだろうか?

むしろ逆で、冷静に考えれば日本にとって一文の得にもならない衝突を煽りたて、
結果的にはアメリカ合衆国が利益を得るような行動を取るよう日常的に鼓舞してはいないか?

本来の民族主義者は、中国や北朝鮮と関係改善をし、双方の安全保障を確立させた上で、
アメリカに対して「アジアから出て行け」と語るぐらい気骨のある人物であるはずだ。

ところが、日本の右翼は「日本人の誇り」をやたらと強調する割には、
むしろアメリカの意のままに沖縄の基地化を進めようとするわ、
TPPを推進しようとするわ、中国や北朝鮮に対して自発的に強硬姿勢をとるわと
アメリカの基本戦略である「アジア人同士を争わせる」を忠実に実行している。

日本の右翼は、武士道をやたらと称えるが、
これもよく観察すると、主君に忠実に仕えようとする意思を礼賛しているように見える。



とすると、どこまで行っても、連中は日本人の誇り=下っ端の誇りと捉えているように感じる。

日本と韓国の争いは、どちらがより有能な下っ端であるかを競っているかにすぎない。
こういうのを韓国では事大主義というらしいが、同じ儒教の国か、日本もまた似た性質を持っている。


こういう情けない性質を「文化」と称して受け継いでいくのもまた自由ではあるが、
私としては、とてもじゃないが、そのような国や人物を日本、日本人として認めたくはない。


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