時事解説「ディストピア」

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小倉紀蔵氏は和田春樹と一緒

2015-05-21 22:14:25 | 北朝鮮
右翼には右翼向きの、左翼には左翼向きの意見を用意し、
どちらのメディアでも活動できるように上手く立ち回る学者。


下斗米伸夫氏や酒井啓子氏について、前の記事でそう評価したわけだが、
実は、北朝鮮問題についても、似たような学者がいる。


その中の一人は和田春樹氏で、彼に関しては色々な人から批判されているので、
ここではあえて書かないが、もう一人、最近目立ち始めた人物として小倉紀蔵氏がいる。


最近、藤原書店から『北朝鮮とは何か―思想的考察』という本が出版された。

そこでは、北朝鮮報道についての批判も書かれているのだが、
こう言っては何だが、小倉氏がやってることは和田氏の二番煎じだ。


慰安婦問題に対する態度がまさにそれで、次のように言っている。


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<「独善」に陥るな> 道徳の束縛が行き過ぎる最大の罪は、事実の見方が独善的になることです。日韓対立の核心は慰安婦問題ですが、日本は河野談話などで「戦時における女性の人権蹂躙(じゅうりん)」という普遍的問題と位置づけ、謝罪してきました。日本に植民地時代の歴史を正視するように迫る韓国側はこの事実も直視すべきですが、それを拒むゆえに事態が混迷しています。

 一方、日本側は韓国が問題をグローバルな観点から提起している意味をよく考える必要があります。韓国は1987年の民主化実現と冷戦崩壊を受け、グローバル化、IT産業化、文化輸出でめざましく成長しました。国民こぞって特定の目標に突進する、朱子学の影響が強い一元的社会の強みが発揮されたといえるでしょう。

http://d.hatena.ne.jp/ujikenorio/20141030/p5

この問題について、ゲストとして出演していた
小倉紀蔵教授(京都大学大学院)がコメントを求められていた。

彼が語ったことの概要は、以下のとおりである。

・検証の過程を今回明らかにしたことは、大変良いことだと思う。

・慰安婦問題など国際問題は、双方が100%満足するということはありえない。

・そのような中でお互いへの接点を少しでも見出そうと、
 この20年間、日韓両国の政府は非常に努力をしてきた。

・努力をしてきたのは河野氏など日本側だけでなく、
 日本との接点を探るべく韓国政府も懸命に努力をした。

しかしそれをぶち壊してきたのが、
 韓国にいる慰安婦の運動体と、パク・クネだ。


・パク・クネは日本を不道徳の塊であるかのように吹聴して回っているが、
 これは日本を侮辱しているだけでなく、韓国も侮辱している。

・なぜならば、この20年間努力をしてきた韓国政府が全くの無能であった、
 と言うに等しいからだ。

・パク・クネの告げ口外交は、韓国人に誇りを持たせるようなものではなく、
 むしろ韓国人を辱めている。


・韓国人が未だに事大主義から脱していないことを、
 世界中に知らせているようなものだからだ。


このことに対しては、日本の嫌韓派ではない人達、
 韓国を理解しようとする人達でさえ、本当に怒っている。


・この番組に出演したのは、私自身も大変に憤っているからだ。

http://blog.goo.ne.jp/willow1972/e/e93984a5d2121dddd251a8f755eea18b
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あえて言おう。私は怒っていない。


そもそも、パク・クネはニュー・ライトという
日本は良いこともしたんだお!という親日派知識人に味方する政治家であり、
ガチガチの反日主義者ではない。


そのため、彼女が就任してしばらくは、
独裁者の孫とA級戦犯の孫、仲良くしようぜという雰囲気があった。


ところが、国内世論に逆らえずに慰安婦問題に対して
もともとは「仲良くしようぜ」派であり、日本から好評価されていた李明博が
一転して民族主義的な行動をとったように、彼女も反日(笑)的な態度を取るようになった。


要するに、パク・クネは腹の中では日本との軍事同盟の強化を優先したいのだが、
国内の声がうるさくて、仕方なく文句を言っているわけで、むしろ消極的なのである。


韓国政府の消極的な態度に対して、積極的に運動を行ってきたのが
韓国国内の市民団体(特に女性団体)であり、彼らと慰安婦本人が協力して、
今日までの社会世論を形成してきた。韓国の反日(笑)の推進者は慰安婦本人でもあるわけだ。



そもそも、日本がこの20年間、必死に解決に向けて努力してきたなどというのは
真っ赤なウソだろう。少なくとも、安倍政権以降は、まったくその気が無い。


小倉は和田春樹と同様、日本のアジア女性基金活動を高評価しているが、
これは当の慰安婦本人から否定された活動だ(日本の法的責任を回避するものなので)


「日本政府は謝ろうとしたのに韓国の民間団体がその好意を踏みにじったんだ!」
という言い分はネトウヨの決まり文句で、和田春樹、大沼保昭、下村満子などの
同プロジェクトの関係者が失敗の責任を他国に転嫁した際に述べた言葉を繰り返している。


つまり、小倉の言い分はネトウヨを調子付かせるだけの詭弁であり、
実際、この20年間、慰安婦の声に日本政府は一切耳を傾けてこなかったのだから、
今日の今日まで、慰安婦にむけて国家賠償を行うことを拒否してきたのではないか?




小倉は2000年代は嫌韓はさほどなかったかのように語るが、とんでもない話だ。

嫌韓は、少なくとも2004年に『嫌韓流』という本が売れたように、ずっと前からあったし、
そもそも韓国人を差別する風潮は戦前からあったもので、急に降ってわいたものではない。


こういうデタラメを韓国研究者が語る。これこそが怖いのである。



小倉の藤原書店から出版された本は、実は某左翼サイトで絶賛されているのだが、
私は前に彼の北朝鮮論を読んだ時、そのどっちつかずでいて、微妙にズレた論調に
なんとも言えない気分になった。和田春樹の著作を読んだような気分。
(北朝鮮を弁護しているのか非難しているのかよくわからない中途半端な本ということ)


佐藤優現象というのは、存外、どこにでもあるのかもしれない。
それでメシが食えるのだから本人は良いのだろうが、読者にとっては迷惑な話である。


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