時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

北朝鮮がミサイルを飛ばしてくると騒いでいるけれど・・・

2016-01-31 00:00:06 | 北朝鮮
数日前から北朝鮮がミサイル実験を行うというデマを米韓日が飛ばしているが、
こういう動きは核実験と人工衛星の発射の違いを理解していないからこそ出来るのだと思う。

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日本が迎撃ミサイルを配備

日本が防衛省に迎撃ミサイルを配備しました。                                 

AP通信によりますと、防衛省は、北朝鮮のミサイル発射準備の兆候が現われたことで、
29日金曜、防衛省に迎撃ミサイルを配備しました。

日本の消息筋2名は匿名で、記者団に対し、
「北朝鮮のミサイル施設での活動の活発化は、おそらく来週以降、
 北朝鮮がミサイル実験を行う可能性があることを示している」と述べました。

これらの消息筋はこのミサイル実験に備え、
自衛隊が完全な警戒態勢にあることを明らかにしました。


防衛省はさらに、日本海に展開しているイージス艦に対して、
北朝鮮の弾道ミサイルを迎撃できるようにするための破壊措置命令を出しています。

日本のイージス艦は、複数の標的を同時に追跡、破壊することができ、
SM-3迎撃ミサイルを搭載しており、核弾頭を破壊するために設計、製造されています。

日本は東京近郊にも、PAC3を配備しており、北朝鮮のミサイル攻撃の可能性に備えています。

北朝鮮の4回目の核実験後、東アジアでの緊張が再度激化しています。
北朝鮮は1月6日、水爆実験に成功したと発表しました。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61909
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北朝鮮に限ったことではないが、核実験と人工衛星発射は目的が全く異なる。

前者の場合、自国の軍事力および科学力の示威のために行うが、
後者は、より実用的な理由(例えば気象の予測)で行われる。



北朝鮮の場合、核実験は
国外に向けては、
軍事演習や経済制裁に固執し、平和条約締結を望まないアメリカに対する不満の意思であり、
国内に向けては、
核の威力を見せることで、核を基軸とする防衛に切り替え、
 余剰軍費を経済発展のためのものへと転化させる
という意思を示す。

他方で、人工衛星発射は、気象観測のために行われる。

金正恩政権以降、同国の農業は従来の集団形式を改め、より少人数のグループを単位とし、
各々に経営の自由を与え、余剰農産物は各自が好きに売却してもよいとする制度へと代わった。

この部分的な自由主義・至上主義の認可が功を奏し、また科学技術の発展もあいまって、
旱魃などの天災が起きたにも関わらず、北朝鮮の農産物の生産高は年々向上している。

北朝鮮の食糧事情は現在、国際連合食糧農業機関(FAO)の食糧支援とあわせれば、
国民を養っていけるレベルにまで回復しており、逆を言えばこの点を指摘しない人間は
意図的に事実を歪曲しようとしているか、単に無知かのどちらかだと言えよう。

とはいえ、都市・農村部の格差も踏まえれば未だ問題点の一つとなっており、
そのため、より効率的な生産技術・品種改良、加えて精度の高い気象観測が求められている。

この気象観測のために、当然ながら気象衛星の打ち上げが必然になってくる。
2012年12月に北朝鮮が気象衛星「光明星3号」を発射したのは、そのような事情があるためだった。

この発射は国外のオブザーバーを招き行われ、NASAも「発射されたのは人工衛星」と認め、
その後、国連宇宙事務所(UNOOSA)にも公式に人工衛星として登録された。

この間、日本のメディアは先端に核を搭載することも可能であることを理由に、
最後までロケットとは認めず、「事実上のミサイル」とみなして発射を非難した。
(ちなみに日本も2013年に「事実上のミサイル」を飛ばしている)

米韓日の反発は激烈で、これに対する応酬として北朝鮮は2013年2月に核実験を実行した。

つまり、「衛星を核に換えればミサイルになる。ゆえに、これはロケットではない」という
理屈で攻撃してきたことに対しての非難の意思をこめた反撃が2013年の核実験であり、
順序としては人工衛星の発射→核実験となっている。


今回の場合は、水爆実験が先であり、また人工衛星の発射は北朝鮮国にとって、
自国の科学技術の向上を確認する一大イベントであり、事前に大々的に宣伝されるため、
「事実上のミサイル」が発射される可能性は極めて低い。

「ミサイル実験と核実験は常にセットで行われてきた。だから今回もある」と語る論者は、
 これまでの経緯を完全に忘れているか、意図的に脅威を煽っているかのどちらかだと言えよう。

ただし、人工衛星の発射はないと断言できるが、文字通りの弾道ミサイルなら可能性はある。
まだ1年も経っていない2015年5月8日には潜水艦弾道ミサイルの水中発射実験を行い、成功させた。

この時、金正恩は「人工衛星の打ち上げに劣らない驚異的な成果である」、
「潜水艦弾道ミサイルの発射技術が完成したことで、敵対勢力を任意の水域で攻撃できる
 世界的水準の戦略兵器を持つことになり、自在に水中作戦を行えるようになった」と述べた。

このように、人工衛星の打ち上げと通常の弾道ミサイル実験は別物として認識されている。

前回の弾道ミサイル実験は米韓軍事演習の中止の呼びかけに応じず、
演習を続行したことに対する抗議として発射されたものだった。


今回、米韓は戦闘機の配置は行っているが演習までには至っていない。
よって、この線も薄いと言わざるを得ない。


百歩譲って、現在、下されようとしている追加制裁に対する抗議として
発射されるかもしれないが、個人的にこれは疑心暗鬼というものだと思う。
テロが起きるかもしれないという理由で完全武装して街中を歩くようなものだ)

気象観測が必要不可欠である以上、北朝鮮は今後も衛星の発射を止めることはない。
しかし、それは今すぐ発射されるわけではない。
また、通常のミサイルの場合も実験目的であるならば日本の領海に着弾することはない。


日本のメディアの場合、人工衛星も通常のミサイルも全て「弾道ミサイル」と表現するので、
政府が今、何に対して防衛態勢をとっているのかがいまいちハッキリしない。
(「事実上のミサイル」に対する防衛なのか通常のミサイル実験に対する防衛なのか)

実際に攻撃の意図をこめて発射してくると捉えているのか、
それともあくまで実験にすぎない飛来物を勝手に撃ち落すつもりでいるのかもわからない。

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沖縄の嘉手納基地にアメリカの戦闘機26機が配備

アメリカ国防総省が、沖縄県のアメリカ軍嘉手納基地に
26機の戦闘機が派遣されたことを明らかにしました。

ロシアトゥデイによりますと、アメリカ空軍は、F16戦闘機12機と、
最新鋭ステルス戦闘機F22、14機が、今月末まで嘉手納基地に留まると発表しました。

これらの戦闘機の配備は、北朝鮮の核実験を巡る緊張が高まっている中で行われています。
これらの戦闘機の配備は、アメリカの日本を防衛する力をはかるための訓練の一部だと言われています。

沖縄の住民は、アメリカ軍の駐留に反対しています。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61894-
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実際に撃ってくるというよりは、それを仮定した上での訓練、
およびその結果による北朝鮮への威嚇が今回の目的であると私は捉えている。


日本の報道は、例えるならば、自衛隊が避難訓練をしている様子を見て、
「火事が起きたぞ!こっちにも火が移るぞ!」と馬鹿騒ぎしているようなものだと感じる。

上の記事を読んでもわかるように、
北朝鮮への威嚇と米軍基地問題は連動している。

米軍基地の国外移設を訴える一方で、北朝鮮の脅威を煽るのは矛盾しているのだが、
こういう態度を取る左翼は恐らく、全体の半数以上いるのではないかと思う。

ロシア外相であるラブロフ氏は、「北朝鮮抜きで5カ国協議を行う」という
韓国のパク・クネの提案に対して、「北朝鮮を孤立させるのは、よい提案ではない」と答えた。

ラブロフ外務大臣はまた、
「この協議の目的とは、北朝鮮がどのような核兵器をもたないということを
 確信することではなく、朝鮮半島の非核化を確信することだ」とも述べた。

こういう強硬姿勢を諌める意見を表明しても良いものだと思うのだが……


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