時事解説「ディストピア」

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中国の「反日」デモについて

2012-09-16 16:42:15 | 国際政治
反日デモ、16日も中国各地で 成都では学生ら5千人(朝日新聞) - goo ニュース

中国での日本企業を主としたデモが問題視されているが、
私は、新聞やメディアには、むしろ手を叩いて絶賛してほしいと思う。

というのも、今まで日本のメディアやブロガーは
中国共産党を大悪党として位置づけ、チベットの暴動を
はじめとして各地の民衆の運動を讃えてきた経緯があるからである。

メディアやブロガーは今まで反日も中国共産党によるものだと散々吹聴してきた。
しかし、きちんと現地で取材・研究してきた学者やジャーナリストによれば、
反日運動は民衆の本意から起きているものであり、
共産党は逆に彼らの感情を封じ込めることに躍起になっているのである。
(今回の暴動も共産党は警察を動かして暴動を止める側になっている。)


今回の反日運動は今に始まったことではない。
これまで、日本企業は中国に工場を建て労働者を酷使してきた。

そのことに対する不満というものは相当にあり、
過去のデモでも度々日本製品に対するボイコットが行われてきた。

そのような積もり積もった感情が
今回の尖閣列島購入で爆発したわけである。

そういうことなので、これまでの日本メディアの理屈からすれば
現地の中国人を家畜同然に扱う日本企業に対する怒りの声でも
あるこの暴動に対しては、絶賛こそすれ非難するいわれはない。


もちろん、筆者は怪我人や死人が生じるようなデモは
自粛しようという立場だ。だが、チベットのそれは称賛しておきながら
いざ怒りの矛先が日本に向けられると、鼻の息を荒くして
「けしからん!異常だ!ジャパンバッシング!」と
がなりたてる新聞やTV、ブログの面々に対しては
「はぁ?」という疑問を感じずにはいられないのだ。


ブロガーたちにとっては反日・左翼ということになっているらしい
朝日新聞も、あれやこれやと中国を非難し、日本には
一片の落ち度もないと胸を張っているのだが、それは違うだろう。


去年の漁船の事件の際の中国の反応を考えれば、
尖閣を購入すれば、暴動や経済制裁が降りるであろうと
筆者は予見していた。

その予想通りに今回の暴動が起きたわけで、筆者としては
「やっぱりな」と思いこそすれ、「けしからん」とは思わない。

世論とメディアは、前中国大使である丹羽宇一郎氏が
東京都の尖閣購入を批判した際にも、
「けしからん!売国奴!反日め!」
と悪口雑言を並べ立てた。

今でも、「尖閣諸島 丹羽宇一郎」とGoogle検索を
かければ、いかに「購入決定以外の道は断固として許さない」
という我々日本国民の強硬な姿勢が伺えるだろう。

別にそういう態度を否定はしない。
だが、こちらが強硬な姿勢をとれば、向こうも同様の姿勢を
とるのであり、それが向こうで生活をしている日本人の安全を
脅かすのは、必至だろう。

暴動が起こることは確実なのに、わざわざ購入を、それも
中国や台湾に通知すらせずに決定してしまった日本外交のミスと、
購入に対して全くの無批判を貫いた世論こそ問われるべきだ。


なぜ、こうなることが予想できたはずなのに、
いざ暴動が起きると、全ての責任を向こう側になすりつけて
自らを被害者ぶるのか?私にはさっぱりわからない。

相手の頬を思いっきりぶっ叩いておきながら、
叩き返されたとたんに
「異常な行為だ!自粛せよ!」
と相手を諭すのは何というか、かなり意味不明だ。

もしかして、こういう事態になるとは思わずに
その場の感情で動いているのだろうか?

何度も言うように、私は購入決定自体に異論はあえて言わない。
しかしながら、何の準備も対策もなくして行ったとすれば
それは大問題だ。

朝日新聞に至っては、今まで一度も尖閣購入の自重を
問わなかったし、今も国有化が正しい選択なのだと御高説を
唱えているが、同様のことを原発問題で「環境保護に必要」
「設備は安全」などとほざいていたわけで、あちら側にとって
みれば、侵略を認める発言にしか見えないだろう。

結局のところ、朝日新聞は外務省の言い分を
そのまま活字化しているだけだ。まるで考えていない。


考えなしに行動すれば、相応のしっぺ返しを
受けることになる。その意味を今回の暴動で知るべきである。


追記

朝日新聞は、原発は安全・原発はクリーンといった
2面丸々を使った経産省の記事広告を掲載しておきながら、
いざ放射能が漏れた途端に、「プロメテウスの罠」という
反原発ルポを掲載し始めた。

罠も何も、仕掛け人の中にはお前たちも
いただろうと口を尖らして抗議したい。

その割にいざ大飯原発が再稼働されそうになる際には
「今夏は電力不足になる可能性大」といった論調で稼働に賛成し
不足どころか余ったかもしれないという調査報告が出されるや否や
即座に反原発のポーズをとった。

今や朝日新聞は只のスピーカー以下の存在だ。
権力側の言い分をただそのままコピー&ペーストするだけで
その発言について検討しようとしない。

そればかりか、自分たちが責任の一端を担っているという
事実について無感覚でいるのは恐ろしさすら感じる。

ほかの新聞も似たり寄ったりで、このままでは

「中国が尖閣を狙ってくるから防衛力を上げて改憲し
戦争ができる状態にしなければならない」

とかいって、9条を放棄して軍備拡張を行い、

「中国の軍艦が尖閣周辺の領海に侵入したから攻撃を
開始した」

とかいって、再び日中戦争を開始するかもしれない。

一億総突撃の事態になりかねない。
それも、国家権力など介さない民意による民主主義的な
自発的特攻を行ってしまうのでは?

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