時事解説「ディストピア」

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ちょっと笑ってしまった本

2013-05-26 00:57:44 | 反共左翼
社会批評社という出版社は、イラク戦争や国歌斉唱問題、
トヨタの外国人労働者に対する奴隷労働などなど、なかなか
骨太な本を出版しているのだが、なぜか共産関連になると全然ダメになる。

社長が全共闘世代であるという所から容易に想像がつくが、
この世代の連中は日本共産党をバッシングすれば
それで万事うまくいくという宗教に凝ってるようで、
定期的にその手の本を出している。

で、今回紹介する本は『検証 学生運動』というのだが、
著者の名前が「れんだいこ」である。

れんだいこ?
筆名にしてももう少しマシなのはなかったのだろうか。
思いっきり2ちゃんのハンドルネームじゃないか。

この著者は全共闘世代らしくホームページもあるのだが
中身は基本的に共産主義のバッシングであり、
本気でマルクス主義を評価しているのか
さらさら怪しい御仁である。

なにもこいつに限った話じゃなく、おなじみ加藤哲郎などの自称マルクス主義者は、
現存の共産主義勢力に対して自国の歴史を改ざんしたりマイノリティを日々弾圧、
あるいは差別をしている極右とつるんでネガティブ・キャンペーンを行っている。

現在、アメリカを中心とした帝国主義に対して猛然と抗議を行っているのは
むしろ、このラテン・アメリカやアフリカで活動している共産主義者なのだが、
反共左翼が彼らと一緒になって行動できるとは思えない。

さて、この歴史学の素人(加藤たちには絶賛されている)が執筆した本書、
ぜんぜん売れなかったらしい。以下、書籍紹介のページから抜粋する。

僅か2千冊の売れ行きが気になるほど
学生運動に対する関心の低さにも気づかされた。

早大4万学生の一割が手にすれば容易に完売になるというのに、
全国中に広げてもそうはならないという現実になっている。

学生運動ガイダンスとしての必読書であると自負しているが、
今のところそういう評価まではいただいていない。

書店における左派物図書の取り扱いの不遇も知った。

筆者の学生時代の記憶では所狭しと並べられ
一段や二段は占拠していたはずだが、大手書店でさえ
コーナーそのものがなく今や見る影もない。

左派運動の凋落ぶりを改めて知らされた。
この現実を如何せんか。我らが青春の意地を賭けて棚段復活に尽力したい。

れんだいこ本で段を埋める
快哉日を早く迎えたい。


いやいや、ねーだろ。
私は東ドイツのマルクス主義哲学の本をいくつか持っているけれど、
シュティーラーとかダヴィドフとか、それなりに拍のある名前の人間が多い。

外国でいえば、パブロ=ネルーダ、ユリウス・フチーク、パブロ・ピカソ
日本の共産党でいえば蔵原惟人とか鯵坂真とか結構立派な名前である。

こんなおちゃらけたペンネームの奴が書いた本がリスペクトされる時こそ
日本が本気でヤバい状態になった時だと私は思う。

まー、そういう人間をよりによって「すげー!」と褒めちぎる
加藤やその取り巻きがどれだけ低レベルかがよくわかる話だが。

話を戻すと、全共闘世代の連中は自らを「新左翼」と称し、
共産党を「旧左翼」と貶めた上で勝手に行動し、勝手に仲間割れを
起こして勝手に自滅していった。これが事実である。

であるからして、当時から共産党はその動きがヤバいと散々警告しており、
いくつかリアルタイムで批判の書を書いている。

本来なら、「検証」とか「反省」とかを考えているのなら、
「共産党の言い分はこの件に関しては正しかった」と書くべきだ。

何も共産党を崇拝する必要はないのだから、「この件に関しては」
反省し、他の点では堂々と戦っていけばよい。

だが、それを反共左翼はできない。

本書や同じく社会批評社から出された『検証 内ゲバ』、
『新左翼運動その再生への道』では、なぜか(本当に理解不能だ)
共産党と新左翼がごっちゃにされて批判されている。

それも共産党の批判のほうが多い。

いやいや、お前ら「共産党とは違うんだ!」と当時は大口叩いておきながら
いざ失敗したら「俺たちと共産党、どちらにも深刻な問題がある」と神妙な
顔で説教しやがるんですか?ふーん、あっそう。

もう亡くなったからあまりきつい言葉を言いたくないけれど、
『内ゲバ』の共著者の「いいだもも」(こいつもDQNネームだな)の
内ゲバ論は本当にひどい。自分たちの失敗は共産党の組織体制にあり
ということにしてしまっている。そんな奴を共著者に入れるほうもアレだ。

歴史的には、こいつらの行動があまりにも反社会的だったので、
当時の共産党は票数を逆に多く獲得し、一気に議席数を増やした。

逆に社会主義を掲げながら国家主義でもある何をしたいのか
よくわからん社会党は、連中を支持していたので不評を買い議席数を減らした。

はっきり言って、味方の足を引っ張った連中であり、こいつらのせいで
マルクス主義そのものに邪教のイメージ(中国の文革やカンボジア虐殺
も当時あったし)がつきまとい、日本でマルクス主義が凋落していった
と私は思う。彼らに残されたのは、政府に対して月並みな批判をしながら
現存の共産主義者をバッシングし、弾圧の手伝いをする道しかなかった。

とはいえ、社会党なんて憲法制定の当初から国家が主権だよと書いたり
はっきり言って本気で社会の変革を考えていないのが見え見えの連中
だったから、本質は変わっていないのだ。

今の権力者が求めているのは、こういった左翼だと思う。
右翼が右翼的な行動を取れば批判を受けるが、左翼がそれに
ゴーサインを送れば、世間はへーそうなのかーと納得するものだ。

大企業の労働組合がいつのまにか企業側のエージェントに
なっていったのと同じくらい、こいつらもまた体よく利用されている気がする