ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

オーストラリアとキンギョの話

2009-04-12 22:45:58 | 外来生物
 皆さんの身近にいる魚はなんですか?フィールドに出かける人にはそのフィールドに生息する魚かもしれません。では、一般の人にもおなじみの魚はなんでしょうか?それは、キンギョではないでしょうか。キンギョといえば、夏の風物詩。縁日の屋台でキンギョすくいをしたひとも多いと思います。今日はそんな身近な生き物と日本から遠く離れたオーストラリアの話です。
 オーストラリアにキンギョが持ち込まれたのは1876年のことです。そこから瞬く間に広がり、いまではタスマニアにまで分布しています。オーストラリアでは、キンギョは食用にもスポーツフィッシングにも利用されていません。これが各地で広まってしまった一因です。
 現地でのキンギョの生態ですが、えさはトビケラ、カゲロウなどの水生昆虫や植物、デトリタスです。基本的にフナとあまり変わりません。外見的にも、ワキンがさらにくすんだ色合いでフナに近いです。生後約1年で成熟し、10月から一月後半までの水温が15℃を超えている間に繁殖します。卵は水生植物や岩に産みつけられ、5日~7日でふ化します。稚魚が成長する速度は、ほかの魚より早く、これが生存競争に有利に働いていると思われます。天敵もあまりいないのか、10歳ほどと思われる個体が確認された例もあるそうです。
 このように、キンギョはオーストラリアを新天地としましたが、その陰にはキンギョに敗れて消えていった在来種もいることでしょう。日本でも、フナとの交雑が危険視されています。縁日ですくったキンギョは死ぬまで飼うつもりで飼いましょう。
参考文献
AUSTRALIAN FRESHUWATER FISHES
(和訳すると「オーストラリアの淡水魚」かな?)