ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

第4回全国タナゴサミットのお知らせ

2008-11-23 23:28:21 | 保全生態学
タナゴサミットの告知が来たのでこちらでも。
>2009年1月10日に大阪府の大阪市中央公会堂にて「第4回全国タナゴサミット」が開催されます。。「全国タナゴサミット」は,全国各地におけるタナゴ類の現状や保全活動について情報・意見交換を行う場として2005年にスタートしました。特に今回のシンポジウムでは,淀川のイタセンパラにスポットを当て,その復活に向けて河川の未来像について考えます。身近な環境問題に関心をお持ちの方は,是非ご参加ください。
>開催するにあたり、ポスター発表をしてくださる方を募集しております。
 タナゴ類に限らず、全国で淡水魚の研究、保護活動、あるいは河川やため池などの水環境の保全に取り組まれている方はふるってご応募ください。
全国タナゴサミット

遺伝的多様性の意味

2008-06-15 15:20:30 | 保全生態学
 生物多様性の説明はしたので、その中でも遺伝子の分野いわゆる遺伝的多様性というものがなぜ重要視されるのか説明してみようと思います。
 まずよく知られた一般論として遺伝的多様性の高い個体群は絶滅しにくいというのがあります。またこれを応用してある個体群がどれだけ絶滅しやすいかという絶滅リスクの評価を可能とします。さらに遺伝的多様性が高いということは進化的可能性つまり環境の変化に対応して子孫を残しやすくなることを保証します。
 ここまでは保全の立場からの説明でしたが、今度は人間の利益の立場から説明してみます。個体群の遺伝的多様性が高いということは人間がその生物を利用しやすくさせます。どういうことかといいますと、遺伝的多様性が高いということは個体の特徴にも様々なものが現れます。そしてその中には人間に都合のいい特徴を持った個体が現れることがあります。例えばコムギの祖先種は穂が熟すると地上に落ちてしまいますが、この中に穂が熟しても落ちないものが現れこれが野生型から栽培型への一つの重要な要因となりました。そしてこの特徴を決定したのが一つの遺伝子の突然変異でした。つまり突然変異で遺伝的多様性が増したことで、人間はコムギを利用できるようになったのです。このように人間は遺伝的多様性の恩恵に昔からあずかっているのです。そしてこの恩恵をこれからも受けていくために遺伝的多様性を保つ必要があります。

生物多様性をなぜ保全する?

2008-06-07 00:31:20 | 保全生態学
 そりゃあ私たちが生物多様性から様々なサービスを受けているからですよ。


・・・。え~これだけだとなんとも味気ないし具体例に欠けますのでもうちょっと続けます。例えばホタルや花を見ることでリラックスする人は多いと思います。こういった精神に関わるサービスが生物多様性からはもたらされます。
 次はより物質的なサービスです。衣食住のなかでも「食」はとりわけ生物多様性と関わりの深いものです。私たちが食べるものはすべてその起源を生物多様性の中に持っています。山菜などは言うに及ばず農産物もそうです。なぜなら栽培作物にしろ家畜にしろもともとは野生のものを品種改良してつくったものだからです。例えばトウモロコシは世界で6億トンの生産量をほこる作物ですがもともとはテオシンテという野生の植物を元に作られた作物です。
 またエネルギーにしてもやはり生物多様性の産物です。石油、天然ガスといった化石燃料はもとを辿ると大昔の生物ですから。
 このように私たちは生物多様性からの恩恵で生活しているのでその恩恵が得られなくなることを回避する、すなわち保全する必要性があるわけです。

生物多様性ってなに?私的見解

2008-05-30 23:29:59 | 保全生態学
 生物多様性というのもだいぶ知られてきました。この言葉を一度でも目にしたことのない人というのもいないと思います。じゃあこの生物多様性ってのは何なんでしょう。僕が一言で生物多様性について言えと言われたらこう答えます。生物多様性とは進化の産物であると。なぜならば、進化がなければ生物多様性の3つのレベルすべてが成り立たないからです。
 まず遺伝的多様性は突然変異により生じ自然淘汰や遺伝子浮動で個体群内に蓄積されていきます。そして祖先が同じであってもこの遺伝的な差が積み重なっていくと別種とみられるようになります。この種分化で種の多様性ができあがります。そして生物というのは常に周りの環境と相互作用を及ぼしながら生きています。例えば、荒地であったところに木の種子が芽吹きそれがどんどん子孫を残していけば荒地は森へと変わります。このようにして景観に多様性が生まれます。
 これで進化が生物多様性に大きな影響を与えていることがお分かりいただけたでしょうか。つぎは何故、生物多様性を保全するのかについて書いてみます。