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超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

誰からの電話か当てるテレパシー実験と地方恒星時

2007-02-13 | 論文ガイド
<PA2004(8)>

ふたたびオランダのアムステルダム大学から。
●エヴァ・ローバック&ディック・ビールマン
 「誰からの電話か当てるテレパシー実験と地方恒星時」

地方恒星時で13時半前後に特異現象が多く見られことが知られている。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/4-5.htm
シェルドレイクの2003年の研究でも、データをあとから分析したところ、
それが裏づけられている。

本実験では、地方恒星時を説明変数にして、電話テレパシーの結果を
分析したい。そこで、誰からの電話かがよく分かると主張する6人の
女性を被験者にした。各被験者は、友人など4人のうちの誰から電話
があったかを呼び鈴だけで当ててもらう。地方恒星時のピーク1時間帯
に18回、そうでない1時間帯に18回、行なった。

全体の結果は、偶然だと25%が期待されるところ、29.4%の当たりで
5%有意であった。時間帯で分けると、ピーク時間帯の実験では34.6%
が当たりで極めて有意、ピーク外では偶然期待値であった。地方恒星時
の仮説が支持された。

※いったい地方恒星時とは何を意味しているのだろう??

視線感知実験の3つの追試

2007-02-12 | 論文ガイド
<PA2004(7)>

オランダのアムステルダム大学から。
●エヴァ・ローバック&ディック・ビールマン「視線感知実験の3つの追試」

シェルドレイクの視線感知実験は驚異的な結果を出しているので、追試した。
総計188セッションで、4784試行を行なった。

(1)64人の心理学科の学生が、2人の信奉者と、2人の懐疑論者によって
ハーフミラーを介して隣室から見つめられているかを判定する。50.6%の
正答率であった。懐疑論者によって見つめられるほうが正答率が高かった。

(2)45人の心理学科の学生が、隠しカメラによって見つめられているのを
判断するが、前半は音楽でリラックスできるかどうかと、間接的に問われ、
後半は、見つめられているかどうかと、直接的に問われる。皮膚電気応答も
モニターしているが、後半のみで(当然ながら)上昇がみられた。52.1%の
正答率であり、統計的に有意なまでは至らなかった。

(3)22組の友達同士や家族を7ユーロのお金を払って集めた。半分はその
親密なペアで送り手と受け手を交互に行ない、半分は相手を替えて見知らぬ
人同士で(1)と同様な実験を行なった。すべての実験で否定的な正答率が
出た(49.7%)。

視線感知実験は、言われているほど安定して高い正答率が出るわけではない
ようである。何か実験条件に鍵となる要因があるのだろうか。

事象誘発脳波の遠隔的誘導効果

2007-02-11 | 論文ガイド
<PA2004(6)>

イギリスのエジンバラ大学から。
●キテニス&カーライル&スティーヴンス「事象誘発脳波の遠隔的誘導効果」

送り手にフラッシュライトを当てたとき、離れた部屋の受け手のアルファ脳波に
誘発電位が現れるか注目した実験である。41人の被験者について、そのうちの
26人は感情的つながりがあるペアで実験し、10人は無作為のペアを組んで
実験し、5人はペアを組んだと信じ込まされたが送り手はいない状態で実験した。

アルファ波の誘導を調べたところ、感情的つながりがあるペアと無作為のペアで
違いが現われ、感情的つながりがあるペアで有意(p<0.023)、両方あわせると、
きわめて有意(p<0.007)であった。送り手がいない状態では、フラッシュライトが
(無人の部屋で)光ったときの受け手の電位は、そうでないときのサンプル電位
と同程度であった。

※透視ではなくテレパシーであるということか。

乱数発生に対する効果の念じ方による違い

2007-02-10 | 論文ガイド
<PA2004(5)>

再度ドイツのギーセンの大学から。
●ジョープ・ホウトクーパー「乱数発生に対する効果の念じ方による違い」

乱数発生器の大量の乱数累積時に、+に偏るよう念じると+に、-に偏る
よう念じると-に偏ることが知られている。1時間ほどの、この念力実験を
74人の協力者に対して、のべ271回行なった。行なうときに、各協力者が
どのような方法で念じているかを下からひとつ選んでもらった。
・イメージを描いて
・リラックスして
・信頼をおいて
・共鳴する感じで
・推測して
・その他

結果全体で、念じたとおりに+と-との差が得られたが、統計的に有意な
までには至らなかった(p=0.24)。しかし、典型的なU字効果が得られた
(p<0.02)。念じる方法による違いは「共鳴する感じで」が一番効果が
高く、かつこれのみ有意であった(p=0.03)。「共鳴する感じで」が効果
が高いのは、過去の報告と同様だった。

脳波に現れるフィードバック制御の効果

2007-02-06 | 論文ガイド
<PA2004(4)>

ドイツのチュービンゲン、ギーセンの大学から。
●ヒンターベルガー&ホウトクーパー&コチョウベイ
 「脳波に現れるフィードバック制御の効果」

脳波のスロー皮質電位はバイオフィードッバクで随意制御できることが
知られている一方、超心理学では乱数発生器の信号も随意制御できる
可能性があると知られている。そこで、この実験では、脳波や乱数の
片寄りにおうじて、画面のマークが上下するような仕掛けをした装置を
つけて、被験者にマークが所定の方向に動くように努力してもらう。一連
の試行が脳波によって行なわれる場合と、乱数発生器によって行なわ
れる場合は、コンピュータの擬似乱数によって300-400回ごとに
切り替えられている。

脳波の随意制御が、画面のフィードバックが乱数に変わっても同様に
脳波の制御が行なわれていることを示したい。4人の被験者が脳波
3500回、乱数3500回ずつ行なった。その結果、動機が高い2人は、
脳波の制御に成功し、フィードバックを乱数に変えても、脳波の制御に
大きな影響を及ぼさないことがわかった。

※脳波の随意制御がうまくいくときは、乱数発生の制御もうまくいく
 のではないか、という仮説をたてた実験にしたほうがいいのでは。。。

ガンツフェルトのスコアをUPさせる一方法

2007-02-05 | 論文ガイド
<PA2004(3)>

イギリスのリバプールの大学から。
●ジェズ・フォックス&クリティーン・シモンズ
 「ガンツフェルトのスコアをUPさせる一方法」

ガンツフェルト実験で、参加者が4つのターゲット候補をランキング
するときに、「違うと思う候補をまず除外してください」と助言すると
スコアが上がるのではないか。

32のガンツフェルト実験を試行し、除外させたところ、1枚が除外と
なった21の実験で、ターゲットが除外されてしまった場合は2例しか
なく、7例ではターゲットをランキング1位でヒットさせていた。比較す
るターゲット候補が絞られることで、当たりやすくなっているのだろう。

※もうちょっと、ちゃんと比較したらよいのでは、と思った。

予感効果の追試で性格との相関を確認

2007-02-04 | 論文ガイド
<PA2004(2)>

●リチャード・ブラウトン「予感効果の追試で性格との相関を確認」

ラディンの皮膚電気伝導度を用いた予感実験を、被験者に性格検査
(MBTIとNEO-FFI)を行なったうえで、80人に追試した。過去の報告で
ESPはMBTIの外向性と直観性、NEOの開放性の各尺度と正の相関
があると報告されているので、その仮説の検証も目的とした。

実験の結果、16人の信号が不安定で除き、64人のデータで分析した。
全体の予感効果は見られなかったが、性格検査8項目のうち、MBTI
の直観性、NEOの開放性に有意な正の相関が見られた。

ブラウトンの写真あり↓
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/2-7.htm

ライン『ESPの60年』のデータ再分析

2007-02-03 | 論文ガイド
<PA2004(1)>

フライブルグ大学病院より。
●ホルガー・ボッシュ「ライン『ESPの60年』のデータ再分析」

1940年に刊行されたラインの『ESPの60年』はそれまでの60年間
におけるESP実験を包括的に分析したもので、今日のメタ分析に匹敵
する当時としてはきわめて高度なデータ分析がなされ、統計的に高い
有意性を示していた。ハーバード大学の心理学部の読むべき本のリスト
にも載ったほどである。

今回の論文では、それをさらに現代的手法で再分析した。メタ分析の
じょうごプロットの結果によると、(1)実験回数の少ないものが高スコア
の傾向があり、古い研究ではいわゆる能力者を中心に、限定的な回数
を行なって高いスコアを出していた傾向性が見られた。(2)スコアの
低い報告が大幅にお蔵入りになっており、古い研究ではスコアの低い
報告の価値が知られてなく報告されなかったことが明示された。

※メタ分析の威力を示す論文と言えよう。

マルセロ・トロッチィ追悼記念

2007-02-01 | 論文ガイド
<PA2003(26)>

論文ではないが、PAでマルセロ・トロッチィ追悼記念パネルが
開かれたので、紹介する。

マルセロ・トロッチィは、奇術師で初期のCSICOP活動に参加した
懐疑論者である。ところが、商業化を強めるCSICOPから離脱し
自らゼテティック・スカラーという雑誌を発刊し、健全な懐疑論争の
場を提供した。ここではいくつもの健全な懐疑論争が戦わされた。

この追悼パネルでは、モリス、クリップナー、パーマーらが講演し、
トロッチィとともに仕事した経験を振り返っている。彼ら超心理学者も
トロッチィと同様に懐疑論者でもあるから、ソリが合ったのだろう。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/1-4.htm

直観的疾患診断の厳密な実験

2007-01-31 | 論文ガイド
<PA2003(25)>

ライン研究センターからの論文。
●ジョン・パーマーら7人の共著「直観的疾患診断の厳密な実験」

際立った疾患を有する8人と、超心理体験を頻繁に報告する8人を集め、
患者4人と診断者4人からなるグループ2つで、実験を行なった。

各グループでは患者4人の名前がそれぞれ入った4つの封筒を「写真に
とり」、診断者はその写真を見ながら、各患者の疾患を「透視」する。
その言語報告を記録し、のちに第3者の判定者が、その4つの言語報告と
患者の4つのカルテが(組合せは16通りある)、どれほど合致している
か点数化する。実験者がその後、各言語報告が、4つのカルテのうちで
正解のカルテに対して何位の点数をとっているか調べる。

その結果、計32個のデータに対して、偶然平均順位は2.5位のところ、
平均2.44位(8人のうち最良診断者は1.8位、最悪診断者は3.8位)
で、まったく有意でない結果だった。

各診断者に対して感受性尺度HSPをとって成績と相関を調べたが、それも
有意な関係が見られなかった。

※ちょっと実験設定が厳密すぎたのではないだろうか。


臨死体験は夢か現実か

2007-01-30 | 論文ガイド
<PA2003(24)>

臨死体験研究財団(NDERF)の調査。
●ジョディ・ロング「臨死体験は夢か現実か」

NDERFのWEBサイトでアンケートを行なった。
650人中312人に臨死体験が報告された(サンプルの偏り注意)。
そのうちの73.6%は、臨死体験は現実感が高く夢とは言えない、
と報告している。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/7-2.htm
また、読書ガイドの77-80番をご覧ください。

意識による状態ベクトルの収縮―量子観測理論を支持する実験

2007-01-29 | 論文ガイド
<PA2003(23)>

量子理論と超心理学の接点の論文。この説明の理解には物理学の
知識が必要です。

●ディック・ビールマン&エヴァン・ハリス・ウォーカー
 「意識による状態ベクトルの収縮―量子観測理論を支持する実験」

ウォーカーの量子観測理論(1971年)では、量子的な重合せ状態は、
観測機器と観測者の意識によってはじめて状態が確定するとされる。

1977年にその趣旨にのっとった実験がホールによって行なわれた。
それは重ね合わされた量子状態を測定する第1の測定器と、数ミリ秒
遅延したあと、またそれを測定する第2の測定器からなる実験系で、
第1の測定器の数値を人間が見たり見なかったりする場合に、それを
知らない第2の測定器を観測する人間が、第1の測定器が見られたか
見られなかったかが分かるという実験であった。それが可能な理論的
理由は、もし第1の測定器が見つめられていたら、その意識によって
状態が収縮した信号が第2測定器に至り、第1の測定器が見つめられ
ていなければ、状態が重ね合わされたままの信号が第2測定器に至る。
第2測定器を見つめる人間の意識は、すでに状態が収縮した信号か、
または状態を自らの意識で収縮させるかの違いが知覚できるはずだ。

ホールの実験がうまくいくと、テレパシーのような現象が見られるはず
だった。しかし、実験結果は否定的であった。そこで今回、実験を2点
改良した。(1)第1の測定器に対する第2の測定器の遅れを1秒に
のばした。というのは、リベットなどの最近の意識研究では、意識が
働くまでに0.5秒ほどの時間を要することが判明している。ならば、
ホールの実験では、第1の測定器を見つめていても、状態の収縮まで
時間がかかるので、第2の測定器には依然として重ね合わされた状態
ままの信号が至っている。(2)第2測定器を見る人間の脳波を記録
して、差異を検出する。というのは、第2測定器を見る人間は、信号の
違いを知覚していても、それが潜在意識レベルで働き、それを発話報告
できない可能性がある。

今回の改良実験をしたところ、10箇所のうち2箇所の脳波に5%有意、
1箇所に0.05%有意の差異が検出された。改良実験は成功し、量子
観測理論を支持するデータを提供した。



日本で報告されたポルターガイスト事例の電磁気学的調査

2007-01-28 | 論文ガイド
<PA2003(22)>

日本の超心理学者の論文。

●小久保秀之&山本幹男
 「日本で報告されたポルターガイスト事例の電磁気学的調査」

2000年に岐阜県富加町でのポルターガイスト事例について
電磁気学的特徴を現地調査した。特異的な測定数値は得られな
かったが、奇妙な現象が見られた。

※うーん、あとはご本人にコメントいただきたいところ。

スペイン語圏における超心理体験と明晰夢の関係調査

2007-01-27 | 論文ガイド
<PA2003(21)>

ニューヨークの超心理学財団からの論文。

●カルロス・アルヴァラード&ナンシー・ジングローン
 「スペイン語圏における超心理体験と明晰夢の関係調査」

これまでの研究では、超心理体験を報告する人は、さまざまな
種類の体験を報告しやすい、また夢を報告する頻度や明晰夢
の頻度も多い、という関係が報告されてきた。本研究は、その
傾向性をスペイン語圏で、追調査しようとするものである。

スペイン語の超常現象雑誌の読者492人(その9割以上は
スペイン人)に調査したところ、夢を報告する頻度は、憑依と
体脱体験以外のすべての超心理体験と有意な相関があった。
明晰夢の頻度は、覚醒時ESPとオーラ視以外のすべての
超心理体験と有意な相関があった。(すべてボンフェローニの
補正で0.1%を有意水準にとっている)

本研究は、これまでの研究を大枠うらづけた。超心理体験は、
体験者の空想傾向、熱中度、解離度、催眠感受性、超境界性*
と関連している。つまり概して、心理学的体験が多い人は
超心理学的体験も多いのである。

(*)トランス・リミナリティ:超心理学者のマイケル・タルボーン
が提唱した概念で、意識と無意識の間の移りやすさを表わす。
神秘体験や創造性、超常信奉と関連がある。

いわゆる交霊会における霊媒と会席者間の会話分析

2007-01-26 | 論文ガイド
<PA2003(20)>

ふたたび英国ヨーク大学の社会学者の質的分析法の論文。

●ロビン・ウォーフィット「いわゆる交霊会における
 霊媒と会席者間の会話分析」

前項につづき会話分析の意義を例示している。

占いと同じで、超常的なお告げは、霊媒の言語を通して行なわれる
ので、その内容の分析が重要。会席者から何らかの情報を引き出し
ている可能性(コールド・リーディング)もチェックする必要がある。

なかには、会席者が手がかりを与えてしまっていることが判明する
事例もある。