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超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

ガンツフェルト実験における実験者・被験者間の会話分析

2007-01-25 | 論文ガイド
<PA2003(19)>

英国ヨーク大学の社会学者の質的分析法の論文。
●ロビン・ウォーフィット「ガンツフェルト実験における
 実験者・被験者間の会話分析」

ガンツフェルト実験で、被験者が自由に心に浮かぶイメージを
語るときに、聞き手になっている実験者との会話を分析する
手法を議論している。

ガンツフェルトでは、被験者が来所するときから帰るときまでの
会話全体が重要な研究対象になる。単なる会話記録では、ターン
テイキングのプロセスなど、非言語的なやりとりが失われてしまう
ので、それらを含めた記述法を使うことを提案する。

エジンバラ大学での実験を分析したところ、実験者が「you said」
と言いながら、被験者の発言内容を確認するプロセスが、さらなる
イメージの詳細報告を引き出している傾向が見られた。

心身二元論と、超物理現象の量子観測理論

2007-01-24 | 論文ガイド
<PA2003(18)>

理論物理学者の論文、この人は2001年にPA学会賞を獲得している。
●エヴァン・ハリス・ウォーカー「心身二元論と、超物理現象の量子観測理論」

心身二元論が哲学のなかで異端視される理由を整理し、それでもなお、量子論と
相対論と標準モデルからなる現代物理学の基盤から、心身二元論が必要であり、
二元論が科学的事実でもあることが証明できることを示す。

次のステップである:
1)意識は実在する何かである
2)物理学は物理性を構成するものを定義できる
3)測定が鍵であり、もし何かが物理的に測定不可能であれば、それは物理的
 実在ではない。
4)意識は測定不可能である
5)それゆえ、意識は実在するのに、物理的実在ではない

また、ホイト・エッジやブロードの議論の問題点を指摘している。

テレパシーがなければ、なぜ思考は自分のものとわかるのか

2007-01-23 | 論文ガイド
<PA2003(17)>

もうひとつ英国のエジンバラ大学から。
●フィオナ・スタインカンプ
 「テレパシーがなければ、なぜ思考は自分のものとわかるのか」

フィオナは哲学者らしい。

人々の思考はコミュニケーションを通して形成されるので、誰かの思考は
必ずしもその人独自のものではない。にもかかわらず、我々は独自性を、
その思考が「自分のものである」と認識するのは不思議である。

テレパシーは、複数人にわたる共有思考のはずだが、複数人に統合化
された視点をもたない。つまり、思考が最初は状況から分離して現れ、
のちにその状況は別な人の視点であると認識し、その状況を共有する。
これは通常のコミュニケーションが、共有した状況から出発して、話者が
それぞれ独自の視点の思考を形成するのと、ちょうど逆であるように思う。

思考の私秘性は当然のようにとらえられているが、この情報の障壁こそ
が問われるべき問題である。そもそも思考とは局在化しているものでは
なく、網の目のように分布しているものではないか。テレパシーと通常の
コミュニケーションは密接に関連しており、通常のコミュニケーションの
成立にテレパシーの要素がかかわっているのではないか。

※重要な指摘を含んでいるように思う。

予知は未来を見ているのか

2007-01-22 | 論文ガイド
<PA2003(16)>

ふたたび英国のエジンバラ大学から。
●フィオナ・スタインカンプ「予知は未来を見ているのか」

4つの絵葉書大のターゲット候補から1つを当てる超心理実験で、
ターゲットの決定は、将来の市場平均株価の数値から乱数表を
参照して決める「予知」の実験設定で行なった。

実験室での実験に加え、郵送やインターネットを介した実験も
行なったが、634試行で偶然平均(それもやや否定的)の水準
にとどまる結果であった。

ガンツフェルト実験における送り手の役割

2007-01-21 | 論文ガイド
<PA2003(15)>

もうひとつ英国のノーザンプトン大学から。
●ロエ&シャーウッド&ホルト「ガンツフェルト実験における送り手の役割」

コンピュータによってターゲットが自動表示されるガンツフェルト実験において、
送り手が必要か否かを調べる。実験は受け手と送り手がペアになって
始められるが、コンピュータが「送り手なしモード」を選択すると、送り手は
ドッグレースの実験参加など、他の仕事を与えられる。この場合、受け手は
送り手がいると期待して、透視の実験を行なうことになる。

どの組合せでも有意な結果は得られなかった。・・・

※どうも仮説と実験デザインが一致しないような実験に思われる。

ESPとPKは統一した現象か――実験から探る

2007-01-20 | 論文ガイド
<PA2003(14)>

英国のエジンバラ大学およびノーザンプトン大学から。
●ロエ&ダーヴィ&スティーヴンス
 「ESPとPKは統一した現象か――実験から探る」

40人の被験者に対し、コンピュータ上のドッグレースゲームに、
いくつかの条件で参加してもらう。

1グループには、「これは透視の実験で、すでにコンピュータ内で
終っているレースの結果を当てる課題だ」と教示する。犬の番号を
予想したら、画面には、すでに決まっているレースがリプレイされる。
ところが、ランダムに偽のレースがあり、それは終っているレース
でなく、新しいレースであり、被験者が指定した犬の番号が、あら
かじめ決まっている番号の犬と交換され、リアルタイム表示される。
これは透視に見せかけた念力実験である。

もう1グループには、「これは念力の実験で、これから始めるレース
の特定の犬が一着になるよう念じてもらう課題だ」と教示する。一着に
するよう努力する犬の番号は、被験者がスペースキーを押すと自動
的に乱数で決められて画面に出る。ところが、ランダムに偽のレース
があり、それは実は終っているレースである。つまり、被験者がスペース
バーを押すときに出る数字が1着の犬であればよいので、透視に見せ
かけた念力の実験である。

また被験者の半分には、コンピュータがときには偽のレースを行なうと
教えてあり、残り半分には、それを教えないで、実行した。教えた群の
成績は、教えなかった郡の成績より有意に低かった(p=0.01)。

その後、科学探究誌(Journal of Scientific Exploration)の2006年
夏号に、本論文の改訂版が掲載されている。

霊媒や霊感の強い人の解離性と精神衛生

2007-01-19 | 論文ガイド
<PA2003(13)>

●ラス・ラインセル「霊媒や霊感の強い人の解離性と精神衛生」

霊媒は解離性人格障害などの精神疾患と関係があると精神科では
考えられるが、証拠は十分にない。そこで、18人の自称霊媒と
14人の霊感の強い人と、11人の対照者を調査した。

この3群で精神衛生上の差異は得られなかったが、霊媒と霊感の
強い人は、対照群より離人的傾向と熱中傾向が有意に高かった。
霊媒は対照群よりも、パシンガーの複合的部分てんかん徴候が
有意に高かった。

※使われた尺度/テストは以下の4つ
MHI-17: Mental Health Inventory
DSS: Depersonalization Severity Scale
SDQ-20: Somatoform Dissociation Questionnaire
Triangle Personality Inventory
↑これはパーマーが次の2つから項目を選抜して作成したものである。
・Tellegen's Absorption Scale
・Persinger's CPES scale

隔離された被験者間の脳波の同調

2007-01-18 | 論文ガイド
<PA2003(12)>

またもうひとつラディンの論文。
●ラディン「隔離された被験者間の脳波の同調」

シールドルームにそれぞれ隔離した送り手と受け手の脳波を個別
に記録する。受け手の表情をカメラで撮影し、送り手の部屋に送り、
画面に表示する。この表示は、コンピュータによってランダムな
タイミングでON/OFFされる。送り手は、その画面を見ながら
所定時間をすごし、受けては目をつぶって安静状態ですごす。

ON/OFFのタイミングの送り手の脳波の変化と、同様な脳波の
変化が同時期(50ms内)に受け手の脳波に見えるかを調べたところ、
13組の被験者で、622データp=0.0005でたいへん有意であった。



培養細胞へのヒーリングと乱数測定

2007-01-17 | 論文ガイド
<PA2003(11)>

もうひとつラディンの論文。
●ラディン&タフト&ヨーント「培養細胞へのヒーリングと乱数測定」

ヒト脳培養細胞へのヒーリング効果を三重盲検法で行なった。またその間
乱数発生器を走らせ、乱数の偏りが起きないか調べた。

実験はシールドルームで行なわれ、実験群の培養液に浄霊家4名が施術し、
対照群の培養液と比較する。乱数発生器は、その部屋のなかに2台、外に
1台設置した。それぞれはメーカの異なる製品である。

乱数発生器はどれも実験期間中に大きな偏りをみせ、合計でZ=5付近に
至る極めて有意な偏りを示した(p=0.0003)。また有意な培養細胞増加
が見られた(p=0.02)。

以上の実験はラディンが出張中に、マニュアルに沿って行なわれ、どの培養
液が実験群でどれが対照群か、どの実験者もわからない状態でデータが
記録されている。


未来の感情が予感される皮膚電位

2007-01-16 | 論文ガイド
<PA2003(10)>

ノエティックサイエンス研究所の有能な実験超心理学者の論文。
●ディーン・ラディン「未来の感情が予感される皮膚電位」

彼が名づけた予感実験について、新しく3つの実験を行なって
再現性を調べたもの。総計107人の参加者が3709試行をした
ところ、p=0.003%の極めて有意な結果となった。

また、提示される画像のセンセーショナル度合いを事前評価して
予感実験を行なったところ、その度合いと予感皮膚電位の大きさ
が正の相関(わずかだが有意のp=0.8%)を示した。

これまで指摘された問題を改善した実験・分析のため、この種の
現象が存在する可能性が実証された、と述べている。

※予感実験は再三登場しているが、まだ知らないという方は:
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/3-4.htm

体脱体験を例にした超常体験の超心理学的研究アプローチ

2007-01-15 | 論文ガイド
<PA2003(9)>

精神科医の教授の論文。
●ヴァーノン・ネッペ「体脱体験を例にした超常体験の超心理学的
 研究アプローチ」

主観的超常体験を脳の異常とみなす傾向に対し、超心理学的分析を
重視した研究の方法を述べる。次のガイドラインを提示しながら、
体脱体験を例にとって具体化している。
1.体験内容を詳細に記述する。
2.その内容を脳障害の既往症のない体験者の標準的内容と比較する。
3.体験者に何か病状が見られないか医学上適切に注意する。
4.個別のケースで一般化した主張をしない。
5.文献を比較する。
6.特定の現象に対応する脳の部位があるか探してみる。
7.疾病分類の下位項目を認識しておく。
8.かりに脳異常として説明できてもそれを断定しない。
9.脳内の事象には複数の説明が可能であるから、広範囲に捉える。
10.下位項目の存在を示す同様な研究を行なってみる。
11.関連性を因果関係などに拡大解釈しない。
(注意、翻訳が一部不正確の可能性あり)

体脱体験については:
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/7-2.htm

創造的被験者によるガンツフェルト実験

2007-01-14 | 論文ガイド
<PA2003(8)>

超心理学で博士号がとれるエジンバラ大学からの実験報告。
●モリス&サマーズ&イム「創造的被験者によるガンツフェルト実験」

22人の音楽家と18人の画家を「受信者」にしてガンツフェルト実験を
した。ターゲットは、コンピュータによって自動選択された映像である。
4択評価で偶然25%のところ、40人中15人ヒットで37%の正答率
であった。

性格検査との相関は、外向性と正の相関が出た。また、ガンツフェルト
の最近の実験について学んだうえで実験に入った人々は正答率が
有意に高かった。

将来の騒音に対する予知的皮膚電気応答

2007-01-13 | 論文ガイド
<PA2003(7)>

スターゲート計画のスタッフだった研究者の実験報告。
●メイ&スポティスウッド「将来の騒音に対する予知的皮膚電気応答」

騒音を聞かされる前に,それを予期して皮膚電位が変動するという
現象を測定している。100人の被験者に対して,騒音の3.5秒
前の電位を測定すると,騒音がある場合の平均電位はない場合の
2倍程度あり,統計的差異はZ=5で極めて有意であった。
これは基本的に以前の実験を再現できた。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/3-4.htm

このメイはDAT理論を提唱している。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/5-4.htm

人工空電下でのESP実験

2007-01-12 | 論文ガイド
<PA2003(6)>

ドイツのギーセンの大学での実験報告。
●ジュープ・ハウトクーパー「人工空電下でのESP実験」

従来ESP実験の24時間前に空電が起きているとスコアが
低下するという報告があった。

そこで、57人の大学生を2群に分け、一方の群にそれとは
わからないものの、脳波に検出可能な信号が出る大きさの、
25分間の人工空電にさらした。その後に両群ともに、強制
的に選択するタイプのESPテストを行なった。これは被験者
と接する実験者も被験者とともに、空電群かどうかわからない、
ダブル・ブラインド法で行なわれた。

その結果、差異は得られなかった。

このように超心理学の分野では、一見失敗実験も、緻密に
行なわれたものは報告が奨励されている。この論文はさらに
細かい要因を分析しているが、ここでは省略する。

地球物理的な指標とESPの関係については:
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/4-5.htm


子供の直観能力の学校での測定

2007-01-11 | 論文ガイド
<PA2003(5)>

●クリスチャン・ホールマン「子供の直観能力の学校での測定」

直観能力は(女子が比較的高く)、年をへるごとに衰えるといった
研究があるが、この理由は、教育課程でその能力を尊重しないから
能力を抑制しているのではないか。さらなる研究が求められている。

そこで、2千名の子供(3-19歳)について、コンピュータによる予知
テストを行なった。これは画面上に表示されたルーレット状の区画を
当てるゲームである。

全体のZ値は1.51で有意でないのだが、幼稚園児は3.13で極めて
有意、またスコアは10歳までに低下した(年齢との相関-0.8)。
男女差も女1.75、男0.39で差が見られた。全般に従来研究をよく
裏づける結果となった。

この人の所属はサイオニクス教育発達研究所となっているが、
私設研究所であろうか?