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超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

感情のテレパシー的伝達実験の追試

2007-03-04 | 論文ガイド
<PA2004(23)>

もうひとつスウェーデンの大学から。
●ウェスタランド&ダルキヴィスト
 「感情のテレパシー的伝達実験の追試」

送り手に感情的スライドを見せて、その感情を受け手がテレパシー
で感じとる実験をかつて行なった。337人の学生を動員して
データをとり、8つの事前に設定した超心理仮説を検証した。

今回は605人に増やして追試したところ、8つの仮説はどれも
受け入れられなかった。前の実験で一部肯定的に出たものも、
偶然などの通常の要因によるものと想定される。

※徹底的に否定的結論である。超心理学では、こうした発表も
 奨励されている。

ガンツフェルト報告とターゲットの一致~超心理か認知的錯誤か

2007-03-03 | 論文ガイド
<PA2004(22)>

スウェーデンの大学から。
●ウェスタランド&パーカー&ダルキヴィスト&ゴウルディング
 「ガンツフェルト報告とターゲットの一致~超心理か認知的錯誤か」

ガンツフェルト実験では、結果の統計的数値には直接表れてこない、
被験者の口頭報告とターゲットのかなり強い一致が、とくに映像の
ターゲットを用いた場合に見られている。これを超心理の影響とみるか、
認知的錯誤として説明できる通常の一致とみるかは、議論がある。

本実験では、被験者の報告を音声ファイルに記録して、4つの映像
クリップ(1つが真のターゲット、3つはオトリ)と同期して再生して、
外部判定者に、口頭報告と映像のかなり強い一致が生じている箇所を
指摘してもらった。20箇所の指摘があり、うち真のターゲットと一致
しているのは6箇所(ほぼ偶然平均)であった。ここまででは、認知的
錯誤とみるのに分がありそうである。

さらに、11人の学生にその20箇所の一致について、100点満点で
評価してもらった。その結果も、真のターゲットとの一致が際立って
よいわけではなかった。以上から、ガンツフェルト実験で補助的に語られる、
被験者の口頭報告とターゲットのかなり強い一致は、認知的錯誤である
可能性が高いので、そうした主張は控え目にすべきであると思われる。

※20箇所のリストが論文に載っているが、オトリとかなり衝撃的な
 同期一致をしているように思える。予知的な転移効果が起きている
 ような気さえする。オトリだけでなく、別の映像クリップとも比較して
 みたらどうだろうか。

誰からの電話か当てるテレパシー実験の追試

2007-02-26 | 論文ガイド
<PA2004(21)>

ドイツのフライブルグから。
●シュミット&ミューラー&ヴァラヒ
 「誰からの電話か当てるテレパシー実験の追試」

<PA2004(8)>に引きつづき電話テレパシーの話題。

21人の被験者に2時間の実験に2回きてもらい、1回あたり
10コールの電話がある。電話主は、4人からランダムに選ばれ、
そのうち2人は被験者の知りあいで、2人は見知らぬ人である。

その結果、偶然期待値が25%のところ、知人と推定したときの
正答率は27.7%で、見知らぬ人と推定したときの正答率は25.2%で、
少し高かったが、ともに有意ではなかった。両者の差も有意では
なかった。この実験単独では追試に失敗した。

※400試行程度では数が少ないのだろう。

ガンツフェルト実験における雰囲気や実験者の影響

2007-02-25 | 論文ガイド
<PA2004(20)>

イギリスの人々。
●シャーウッド&ロエ&ホルト&ウィルソン
 「ガンツフェルト実験における雰囲気や実験者の影響」

3人の実験者が38人の被験者に対してガンツフェルト実験を
行なった。被験者と実験者の双方に実験状況について感じること
をアンケートし、うまくいく試行とうまくいかない試行の違いを
見つけようとした。

その結果、全体スコアは偶然期待値にとどまった。3人の実験者
による違いも出なかった。アンケート項目から、スコアと相関が
ありそうな項目を探したが、見つからなかったようだ。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/3-2.htm

蜘蛛の刺激を使った予知的馴化実験

2007-02-24 | 論文ガイド
<PA2004(19)>

リバプールの大学から。
●サヴァ&チャイルド&スミス「蜘蛛の刺激を使った予知的馴化実験」

ベムの研究によって恐怖画像の恐怖度合いが、将来よく見ることに
よって予知的な馴化作用が現れ、低下することが知られている。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/3-4.htm

これを、蜘蛛が嫌いな人々と、そうでない人々で予想どおり効果が違う
かどうか追試した。その結果、蜘蛛が嫌いな人々では、蜘蛛の絵と
穏やかな絵で、予知に有意な差があった(p=0.021)。蜘蛛が嫌いでは
ない人々では、両者に差がなかった。見事に追試に成功した。

レタス種へのヒーリング効果にかんするフィールド研究

2007-02-23 | 論文ガイド
<PA2004(18)>

英米の協同研究。
●ローニー=ドゥーガル&ソルフヴィン
 「レタス種へのヒーリング効果にかんするフィールド研究」

レタスの種へヒーリングを施し、収穫量・健康度などの促進効果が
あるかどうかフィールド研究した。

いろいろ不測の事態が起きて、最終収穫に至らないものが多かった
が、うまくいったもので実験群と対照群を比較すると、生産量に
かんして実験群が有意に上まわった。


ガンツフェルト実験で送り手がPKを行なっている可能性

2007-02-22 | 論文ガイド
<PA2004(17)>

英国のエジンバラ大学およびノーサンプトン大学から。
●クリス・ロエ&ニコラ・ホルト
 「ガンツフェルト実験で送り手がPKを行なっている可能性」

ガンツフェルト実験でターゲットの描写が成功したときに、送り手が
PKを行なっている可能性が指摘できる。ただ、送り手がいない純粋
透視設定実験もテレパシー設定実験と同様に当たる傾向がある
(やや低くなる傾向もなくはない)。

このへんを明らかにするために、ガンツフェルト実験の受け手を乱数
発生器にして、通常通り送り手の担当をしてもらう実験を行なった。
乱数発生器は768の画像プールから20枚をランダムに選ぶ。送り手
がPK能力者であったら、送り手が知らせたい画像に似た20枚を
乱数発生器に選ばせるにちがいない。対照実験には送り手がいない
設定で行なった。

送り手ありを23回、なしを17回行なって、2人の評定者に「描写」
が4つのターゲット候補のどれに近いかを評定してもらった。その結果
偶然期待値では。25%当たりのところ、送り手ありで平均30.6%、なし
で平均16.7%と送り手ありで大きく正答率を上げた。が、回数が少なく
統計的に有意とまでは至らなかった。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/3-2.htm

ESPとPK実験での実験者効果

2007-02-21 | 論文ガイド
<PA2004(16)>

英国のエジンバラ大学およびノーサンプトン大学から。
●ロエ&ダーヴィ&スティーヴンス
 「ESPとPK実験での実験者効果」

コンピュータ上のドッグレースゲームに、いくつかの条件で
参加してもらう実験の応用で<PA2003(14)>の続き。

全体のスコアは有意でなかったが、従来と同様な傾向がみられた。
ロエが説明した実験が、ダーヴィが説明した実験よりスコアが
よい傾向があった(p=0.06)。実験者がうまくいく気がすると
いうときは事実スコアがよかった(p=0.007)。

シンクロニシティと超心理の関係

2007-02-20 | 論文ガイド
<PA2004(15)>

チューリッヒに移動した前ラインセンター研究所長の論文。
●ジョン・パーマー「シンクロニシティと超心理の関係」

ユングは超心理現象をもとにシンクロニシティの考えを提唱した。
それは「同時並行的に生起する意味ある偶然の一致」であるが、
ときには、将来の事象との一致も含まれていた。元型の活性化が
事象を結びつけるのである。

超心理現象はシンクロニシティほど限定された現象ではない。
ユングはシンクロニシティを体験と客観的事象の関係と見ていた。
そうなるとテレパシーは直接にはシンクロニシティにはあたらない。
ESPカード当てなどの意志を働かせておこなう超心理的行為に
ついても、シンクロニシティでは説明しにくい。

シンクロニシティは、超心理では適合行動理論に似ている。だが、
提唱者のスタンフォードは適合行動理論は因果的理論であるという。
議論の要点は、シンクロニシティの意味的な連関性は、ある種の
因果性ではないか、である。ともあれ、シンクロニシティは十分法則
定立的であり、経験的に実証可能である。実証に向けては元型リスト
の整備が重要だ。ESPカードの元型などの探究がせまられる。

シンクロニシティ
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/5-8.htm

適合行動理論
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/5-3.htm

乱数発生器の特異的な片寄りは平均値のシフトではない

2007-02-19 | 論文ガイド
<PA2004(14)>

ギリシアのアテネ大学の物理学者の論文。
●フォーティニ・パリカリ
「乱数発生器の特異的な片寄りは平均値のシフトではない」

乱数発生器の出力に対する念力実験をじょうごプロットでメタ分析
したところ、平均値のシフトではないことがわかった。大規模な
実験が偶然期待値にとどまる傾向があるのに対し、比較的小規模
の実験が高い片寄りを起こしている。大規模の実験を行なうと
下降効果で偶然レベルに落ちるなどの、補助仮説を加えないと
この特異現象の説明が難しい。

※ラディンは、ごくわずかのシフトと、選択的報告で説明している。
 科学探究誌(Journal of Scientific Exploration)の2006年
 秋号でも、この点について論議されている。

体脱体験者の身体イメージの調査

2007-02-18 | 論文ガイド
<PA2004(13)>

イギリスのリバプールの大学から。
●クレイグ・ミューレイ&ジェズ・フォックス「体脱体験者の身体イメージの調査」

体脱体験の3理論:
(パーマー説)身体からの運動感覚情報が希薄になり、身体の定位が異常となる。
(ブラックモア説)脳が入力情報で外界を形成しているが、感覚情報が減って、
 記憶などから認知的に異常体験が形成される。
(アーウィン説)心理的な解離性の諸要因が重なって起きる。意識への入力情報は
 むしろ増大している。

本論文では、日常の身体経験に注目して体脱体験の新理論へのアプローチを探る。
WEBの質問票で、62人の体脱体験者と181人の未体験者の調査回答を得た。
体脱体験者は、身体解離性指標と、身体不満足度が0.1%有意で高かった。
この傾向性は、これまでの3理論では説明できないと思われる。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/7-2.htm

特殊な人間とまれな出来事

2007-02-17 | 論文ガイド
<PA2004(12)>

オーストリア超心理学会からの論文。
●ピーター・ムラス「特殊な人間とまれな出来事」

ここでの特殊な人間とは、絶対音感、共感覚、驚異的な計算能力、
並外れた創造性をもつ人々をさす。そうした人々は、超心理学の
研究対象となる特異能力者と関連するかもしれない(少なくともまれ
であるという点では共通しているので、研究方法のヒントになる)。

特殊な人間の研究は、まれな出来事の研究に通じる。他の分野では、
天文学や生物学などで、1回しか起きないようなまれな出来事が本流
科学で認められている。それは、その科学の体系にうまく位置づけ
られるからだろう。

※当然の話のように思われる。開催地のハンデでパスしたのか。

儀式ヒーリング理論の評価

2007-02-16 | 論文ガイド
<PA2004(11)>

アメリカの社会学者の論文。
●ジェームズ・マクレノン「儀式ヒーリング理論の評価」

儀式ヒーリング理論とは、次のようなものである。
解離性と特異体験傾向には生理学的要因がある。初期の霊長類はトラウマ
の対処に解離傾向を身につけ、儀式による治療を行なっていた。ところが、
解離傾向がむしろ、儀式におけるシャーマンの役割などにおいて有利に働き、
遺伝的に強化された。解離につながる体験(憑依、体脱、ESP、PK)が豊富
になり、霊魂や死後生存、魔術の信奉につながり、宗教の形成に至った。
これは、約3万年前のことである。

儀式ヒーリング理論は、次の検証可能な仮説を導く。
・幼少時のトラウマと解離性が相関する。
・解離性と特異体験が相関する。
・特異体験の一部は生物学的要因があり、文化普遍的にみられる。
・特異体験は意識状態と構造的関連性をもち、生理学的要因がある。
 例)覚醒時ESPは、現在について強い確信とともに小さい情報を、
  超常的夢は、未来について弱い確信とともに大きい情報をもたらす。
・特異体験は、霊魂などの信奉と相関する。むしろ信奉を引き出す。
・特異体験は、側頭葉徴候、境界超越性、認知的開放性などのシャーマン
 の特性と相関がある。
・儀式ヒーリング能力は、解離性と催眠能力と相関がある。
・人類学的フィールドワークで、儀式によるヒーリング過程が判明する。
 そこでシャーマン特性を示すパターンが発見できる。
・歴史研究によると、古代の医学的実践はプラシーボや催眠をもとにした
 儀式であることが判明する。

予感実験の決定増大理論による説明

2007-02-15 | 論文ガイド
<PA2004(10)>

あのスターゲート研究者の論文。
●エドウィン・メイ「予感実験の決定増大理論による説明」

物理学者のメイは、念力現象を徹底的な予知で説明する決定増大
理論(DAT)を提唱している。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/5-4.htm

皮膚電気伝導度を使った予感実験をこの理論で説明しようとする。
つまり、被験者が予感して伝導度の変化をきたしたのではなく、
よい結果を出そうとする実験者が、未来のターゲットのパターンと
伝導度の上昇パターンとが相関するようなタイミングを予知して
実験の開始を決定するというものだ。

これを示すには、成功した予感実験中の伝導度の変化が、普段の
伝導度の変化と大して変わらなければよい。もしそうならば、予感
によって伝導度が変化したのでなく、たまたま伝導度が上昇する
タイミング(実験者の予知)によってターゲット提示がされたと想像
できる。分析の結果、決定増大理論に肯定的な傾向性が見られた。

実用的情報量モデルによるポルターガイストの説明

2007-02-14 | 論文ガイド
<PA2004(9)>

ドイツのフライブルグから。
●ウォルター・フォン・ラカドウ&フラウケ・ザーラドニク
 「実用的情報量モデルによるポルターガイストの説明」

フォン・ラカドウ(ルカドウ)が提唱する実用的(語用論的)情報量モデル
のポルターガイスト(RSPK)への理論的応用である。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/5-7.htm

モデルから次の4つの性質が予想できる。
(1)RSPKは抑圧された心身症的問題の外化で、構造面と機能面がある
(2)RSPKは情報が広まるに従って、驚嘆期・転移期・下降期・抑制期
  とうつっていく
(3)RSPKを観測し記述することで出現をコントロールできる
(4)能動的RSPKと受動的RSPKがある