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地域のシンボル ラクダを守れ

2019-02-10 07:00:00 | 報道/ニュース
1月25日 世界のトップニュース
 
 
インド ラジャスタン州ビカネールで開かれたラクダ祭り。
州政府が観光の振興につなげようと25年ほど前から開催している。
地元の人たちが豪華な装飾を施した自慢のラクダを持ち寄って街を練り歩く。
800年ほど前 中東から持ち込まれたラクダ。
インドの砂漠地帯の農業や流通を支え
人々の生活のシンボルとなってきた。
祭りのハイライトは「ラクダダンス」のコンテスト。
ラクダたちが音楽に合わせてリズミカルな踊りや曲芸を披露する。
ラクダの毛を刈り込んで模様を描く「ラクダアート」。
ヒンドゥー教の神様やかつての王様たちがまるで絨毯のように描かれている。
こうした芸術が栄えることもラクダを大切にする気持ちにつながっている。
イベントは2日にわたって行われ
国内外から数千人が訪れた。
(海外からの観光客)
「初めての光景でとても楽しかったです。」
「ラクダが踊れるなんて驚きでした。」
ふだんから街中で見かけるラクダたち。
しかし近年その数が急速に減っているのである。
経済成長とともにトラックやトラクターが普及。
それまで農作業に欠かせなかったラクダを手放す農家が増えているのである。
また所有するラクダを使って運送業を営む人々にも影響が広がっている。
(運送業者)
「朝からずっと仕事がありません。」
「昔は3頭いましたが今は1頭です。
 それでもこの仕事をするしかないのです。」
食肉用として海外に密輸されるケースも増えていると伝えられ
30年前に全国で100万頭いたラクダは
現在は5分の1になったとも言われている。
危機感を持った州政府は5年前
ラクダを“州の動物”に指定。
ラクダ飼いに補助金を出すなどしているが減少に歯止めがかかっていない。
そうしたなか新たなラクダの活用を広げ
その保護につなげようと活動を続けているNGOがある。
設立者のハヌワント・ラトールさん。
旅行代理店を経営していたが
ラクダの数が少なくなっていることを知り
このNGOを始めた。
NGOではラクダのミルクで作った石けんやフンから作った紙などの販売を行っているが
中でも力を入れているのがミルクの流通である。
ラトールさんは牛乳に比べて脂肪分が少ないことに注目。
これまで飲まれていなかったラクダのミルクを健康食品として売り出すことにしたのである。
(NGO設立者 ハヌワント・ラトールさん)
「私たちの目標はラクダを飼う人の暮らしを守ることです。
 そのためにミルクの事業を始めました。」
ラトールさんは地元のラクダ飼いの人たちにミルクの提供を呼びかけるとともに
ミルクの取り扱いなど衛生面の指導を続けてきた。
ラクダ飼いのブーラ・ラムさん。
5年ほど前からラクダが農家にほとんど売れずに困っていたが
2年前からこのNGOにミルクの納入を始めた。
ラクダのミルクは今では地元だけでなく
ニューデリーやムンバイなどの大都市にも毎日数十リットルを出荷するようになっている。
ラムさんも今では代価として毎月5万円ほど受け取り生活が安定するようになったという。
さらに収入を増やそうと
この2年間に飼育するラクダを10頭から50頭に増やした。
(ラクダ飼い ブーラ・ラムさん)
「子どもの学費も払えました。
 もっとラクダを増やしたいです。」
ラトールさんは春までにミルクの生産量を現在の4倍に増やす計画である。
(NHO設立者 ハヌワント・ラトールさん)
「ミルクなどの商品化に成功すれば
 私たちの文化・遺産であるラクダを守れます。
 何とかラクダの減少を食い止めていきたいです。」
乾燥地帯生活を支えてきたインドのラクダたち。
保護を目指す人々の力を借りて
いま新たな役割を担い始めている。
 
 
 
  
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