1月16日 国際報道2019
1966年 毛沢東が発動した文化大革命。
このとき中国では
共産主義と毛沢東を宗教のように崇拝していた。
それ以外は悪として
あらゆる宗教団体が迫害されたのである。
毛沢東の死後 党の路線は改革開放へと転換し
宗教を尊重する方針も正式に打ち出された。
中国は目覚ましい経済発展を遂げ
激しい競争や貧富の差などの社会問題が浮上する。
心のよりどころを求めキリスト教や仏教など宗教を信仰する人が急増。
なかでもキリスト教は欧米文化の流入とともに多くの人に受け入れられた。
最近では心の豊かさを求める都市部の若者の間にも定着しつつある。
クリスマスでにぎわった12月
とある店にやって来た地元当局に
クリスマスの飾りが根こそぎ外された。
いま再びキリスト教への締めつけを強める中国政府。
自らに権力を集中させる習近平国家主席。
いま中国では政治経済から一般社会にまで共産党が管理を強化しようとしている。
そして宗教もまたその対象の1つである。
中国の憲法では“信仰の自由”をうたっているが現状はかなり違うようである。
中国では政府の公認を受けた教会だけが宗教団体として認められている。
公認の協会は当局の管理下に置かれ
洗礼を受けた信者の個人情報などを報告しなければならない。
牧師や神父には説教の中で共産党をたたえることや
政府幹部との会食に参加することを求められ
共産党に忠実な存在だということを示さなければならない。
公認の教会に通う信者の数はプロテスタントとカトリックを合わせ
1982年に600万人だったが
現在は4,400万人に。
信仰が広まるにつれ
当局の管理を嫌がる信者も出始め
非公認の教会が増えている。
“家庭教会”や“地下教会”などとも呼ばれ
その信者の数は公認の教会に通う信者の数に匹敵するという見方もある。
中国政府は急速に増えているキリスト教信者への締めつけをこれまでにないほど強めている。
12月9日の夜 摘発は突然行われた。
摘発されたのは四川省成都にある教会のメンバーである。
元大学教授の牧師をはじめ数百人の信者を抱える
政府の公認を受けていない中では比較的規模の大きな教会だった。
牧師夫妻をはじめ教会の主要メンバー100人以上が自宅から一斉に連行され
今も15人が交流されたままである。
教会では説教で貧富の格差など社会問題を取りあげていた。
警察当局は全く発表していないが
フェイスブックで信者が明らかにしたところによると
牧師夫妻の容疑は“政権転覆扇動罪”。
この罪名で牧師が拘束されたのは中国で初めてとみられる。
教会はその後どうなったのか。
警察官らしき男性たちが入っていく。
警察官は信者がこのビルに近づかないよう警戒しているものとみられる。
教会を閉鎖され残された信者たちは公園で礼拝を行った。
しかしこれも違法とされリーダー格の信者が拘束された。
(信者の知人)
「当局は多くの信者を脅迫したりコントロールしたりしています。
政府非公認の教会で礼拝を行なってはいけないというのです。
需要人物とみなされた信者の家は4人の警察に24時間監視され尾行もされています。
おかしいでしょう。
いまどき想像できません。
当局は道理を無視して取り締まっています。
法律なんてお構いなしです。」
中国政府によるキリスト教締め付けの徹底ぶりは
文化大革命以降“最も厳しい”と言われている。
(中国 習近平国家主席)
「我が国の主教を中国化させる方針を堅持し
宗教を社会主義と適応させるよう導く。」
締めつけを法律面で裏付けたのが去年2月に施行された新しい法律である。
中国では法律のことを“条令”という。
中を見ると“宗教は社会主義の価値観を実行する”などと書かれていて
宗教問題を重要な政治課題と位置づけたことがわかる。
宗教の中国化を着々と進める習近平政権は
これをきっかけに
政府公認の教会への管理も強化している。
信者の数が比較的多い河南省。
政府公認の教会に当局が突然大勢の作業員を連れてきて
十字架を撤去した。
同じように十字架を撤去された教会は河南省だけで数千か所にのぼるということである。
十字架の代わりに掲げられたのは
習主席がアピールする社会主義の価値観。
“愛国”“平等”など12のスローガンが並んでいる。
政府公認の教会に入ってみると
監視カメラ。
牧師や信者がどんな発言をするか監視しているのである。
政府批判となるような社会問題を取りあげることは許されず
共産党をたたえるよう指導も受けるということである。
さらに子どもを教会に連れてくることも禁止されるようになった。
親の影響で若い信者が増えるのを防ぐための措置とみられる。
信者たちは当局の締めつけは信仰への侮辱だと感じている。
(信者)
「十字架が撤去されるなんて心が痛みます。
こんな状況になっても信仰は揺らぎません。」