今月は、JR外房線上総一ノ宮駅から東浪見(とらみ)駅に向かってスタート(歩き出し9時10分)です。
駅周辺にはまだ線路がたくさんありますが、上総一ノ宮~東浪見間は、単線区間。
外房線も上総一ノ宮駅を過ぎると、電車の密度も、風景もぐっとローカル色が濃くなってきます(―_―)!!
線路沿いに、新しい家の増えた東野というエリアを歩いていて、一宮町のマンホールの蓋を見つけました。
独自にデザインをしたマンホールの蓋というのは、どこの市町村でも作っているのでしょうか?
それぞれ、その街の特徴のようなものが描かれていて、おもしろいですね。
国道128号線と交差する辺りから、線路沿いの小路がなくなり、しばらく国道を歩きました。
この標識で右折したところに、『波切地蔵』がたっていました。
この地蔵は、元禄地震(1703年 房総の死者数6,534人、館山市相浜や南房総市(旧和田町)で10mを超える津波を記録 (『防災誌 元禄地震 』平成20年3月千葉県総務部消防地震防災課より))の際に、一宮を襲った津波がこの地蔵の辺りで止まったと言い伝えられているようです。
この場所は、海岸から1.5Kmほど離れています。
お地蔵さんは、「ここから海側には住まないようにね」との思いで、長い間立っているのでしょうが、人の営みは、そうもういっていられないようで、現在は、海との間にたくさんの家が建っていました。
大きな津波が襲ってきたときの被害は、人が多い事から起こる混乱によって、当時の比ではないかもしれませんね。
普段から、避難場所の確保、そこへ行くための複数の広い避難路の整備、災害発生時の迅速な周知体制を作って、とのかく逃げるのが、個人として、大きな自然の力に対抗する唯一の方法なのだよと、お地蔵さんが教えてくれているようでした。
旧道を少し歩くとJR東浪見駅がありました。
上総一宮玉前(たまさき)神社に所縁の深い歴史のある土地柄ですが、利用者は少なく無人駅となっています。
東浪見駅から線路は、国道128号から少し離れて、綱田(つなだ)という集落に入って行きますが、併行して歩ける小路がないため、車道で線路を追いかけました。
綱田からも、椎木堰までは農道で線路沿いを歩けましたが、先ヘは進めませんでした。
計画距離をしぼって、戦争遺跡としての太東埼灯台を見学する予定でいたので、綱田から国道に戻ることにしました。
途中、上総一宮玉前神社の幟が気になったので立ち寄ってみると、玉前神社の元宮だという神洗神社でした。
神代の昔、ご祭神が、海から東浪見の釣が崎海岸へ上がり、この神社の池で身を洗われたという伝説あるのだとか。
それで、上総一宮玉前神社秋祭礼『上総十二社祭り』のメインも釣が崎海岸で行われるのだと改めて納得でした。
国道128号に出て少し歩くと、左手に海が開けてきました。
サーフィンで賑わっている東浪見志田下(釣が崎)海岸です。
以前、サーフィンをしている後輩に聞いたところ、ここは全国的にも有名なスポットで「僕なんか、とてもそこじゃできませんよ」などと言っておりました。
冬でも海に入っている人を結構見かけます。
太東埼灯台に上ってきました。
戦時中、太平洋に面したこの辺りには、アメリカ軍の上陸に備えたくさんの軍事施設があったようです。
歩いてきた和泉や中原集落の山中を掘り抜き敷設した「野砲」「カノン砲」陣地。
江場土周辺には、太東航空基地。
そして、ここ太東埼にも、海軍技術研究所のレーダー基地があったのだそうです。
(残存しているレーダーの礎石)
(銃座跡)
終戦後、施設のあった断崖は浸食により30 m以上後退し,直径7.8 mの円形地下操作室などの基礎部分も海中に崩落。
山頂(海抜63m)にあった兵舎は昭和25 年に灯台施設となったものの、その後、崖の浸食がさらに進み、昭和47 年に灯台は100 m移動し、現在の位置になったということです。
真偽のほどは別にして、Web上には、江戸時代は現在より数キロメートル岬が海に突き出ていたなどという記述もありました。この浸食された部分で、広い九十九里の砂浜が維持されていたのかもしれませんね。
九十九里周辺の海岸浸食はいろいろ対策はしてきているようですが、お金もかかり、なかなか決め手がないようです。
太東崎の遺跡も時間の流れの中で海に没してしまうのかもしれませんが、当時の人が見ていた大海原、当時の物を目の前にすると、想像もできない戦時ですが、複雑な思いに駆られました。・
物はなくなっても、正しい情報はきちんと伝えて行かなくてはならないと思います。
今回事前情報を集める中で、いすみ市立長者小学校のホームページに出会い、その情報と共に、郷土の事をストックして子供たちに伝えてようとする姿勢は、大変参考になりました。
頑張っている先生たちもいることを知り、心強くなりました。
(参考:すみ市立長者小学校のホームページ23.戦争の足跡.pdf)
灯台下でお弁当を取り、今年一番のぽかぽか陽気の中、約3Km離れた太東駅を目指しました。
13時過ぎ、太東駅に到着。
農協倉庫が立ち並んだ中に、ひっそりという感じで駅がありました。
太東駅から浪花(なみはな)駅までは、いすみ市を歩くことになります。
千葉市を出発し、大網白里市、茂原市、長生郡、そしていすみ市へ。
結構、頑張れるものなんですね(^○^)
これぞ、歳とったからこそできる、シルバーパワーですかね。
若い頃だったら、歩くなんて考えもしなかったと思います。
上総一ノ宮―太東(営業キロ6.3Km) 2015年3月17日
実際に歩いた歩数 22,650歩(16.1Km)