村上原基、滋賀県安曇川の山中20年⇒麓の町の田中に一人暮らし人生

山中で20年一人暮し後71歳から麓の田舎町で暮している、断捨離し自然な生き様と山暮らし体験に基づく人生論及び写真を紹介

62.素晴らしいはずのISO「マネジメントシステム」はなぜ日本企業に根付かないのか?

2006-11-26 19:29:38 | ISO
目下日本では、ISO14001やISO9001の導入が盛んですが、ISO14001や9001を導入する場合、多くの日本の企業は、会社自らが率先してISOを導入したくて導入しているわけではないのです。要因はいろいろありますが、おそらく80~90%の会社が嫌々導入しているのが実態です。日本企業や日本人というのは、多くの場合、世間を気にする世間に合わす癖というか習慣が根底に根強くあるのです。
こういう習慣や癖は日本特有のものですが、このおかげでISO14001の認証取得が非常に多くなっているのも事実ですから、あながちこの日本人の癖は悪いと決め付けられないのかもしれません。
しかし自主性・主体性・独自性・・・というような観点からすると、”他社がやるから当社もやる”という横並び感覚は、企業経営者として極めて幼稚であり、まずいことであるはずです。非常に大事なはずの自社の経営を、他の会社の物真似で行うというのは、あまり褒められることではないはずです、経営が運良くうまくいっている場合は、良いのですが、かつてのバブルの崩壊のように護送船団方式によって多くの日本会社が脆くも崩壊してしまう恐れがあるのです。
自主性・主体性・独自性というのは、ある意味危険なことですし「皆がやっているから俺もやろう」という後追いや物真似のやり方というものは、ある意味楽で安全なやり方ではありますが、こういう安易で主体性のない経営姿勢は大きな問題を持っています。
子供がいつまでたっても親を頼る・従業員がいつまでたっても上司の指示を待っているというのと同様な始末におえないことなんです。
ISO14001の認証取得を必要と感じてないのに、しかたなくやる多くの企業は、せっかく優れた環境マネジメントシステムを活かすことができず、手間とお金がかかるという不満ばかりが表に出てしまうのです。
主体性が欠けていますから、結果的に宝の持ち腐れ・馬の耳に念仏なんです。
「必要がないのにやっている」ということが日本の企業や日本人には多いのですが、本当に必要ないのでしたら、止める勇気を持つことが経営者にとって最低限必要なことだと思います。
必要がないから環境マネジメントシステムの意義を正しく認識せずに、効果的な使いかたがわからないまま、適切な利用(運用)ができていないのです。通販で健康器具を買ったのに、ろくに使わず健康にならない人と同じことです。健康器具をうまく使って健康を得る人は沢山いますが一方でせっかくの素晴らしい道具を利用しようとしない、利用しない人には健康増進するわけがありません。環境マネジメントシステムも健康器具のようにその使い方さえ正しく知り・知ろうとすれば、随分役立つものなのです。
しかし環境マネジメントシステムの本質を活かそうなんてしていないわけですから、役立つどころか、かえっていろいろな弊害さえ出現するのです。そういう経営者は従業員の信頼を失っているのですが、失っていることに気づかないか、失なっても平気な経営者が沢山いるのです。日本の会社の経営者を責めることができないのは、日本の企業の98~99%がそういう経営者だからです。
せっかくコンパクトでシンプルな素晴らしいマネジメントシステムであるISO14001を導入するチャンスに巡り合っているというのに、これが偽らざる日本企業の現実なんです。ISO14001でやってはならないことは、面倒なだけだという間違った認識を植えつけることです。日本のマネジメントは世界水準かと勘違いしている方が多いのですが、実を言うと、日本企業のマネジメントシステムはかなりずさんです。若い時に勤めていた松下電器でも当時マネジメントができているようで、実を言うと実態は形式的で中身の薄いものであったような記憶があります。それに比較してその後勤めた京都の優良企業のロームではISO14001なみのマネジメントがダイナミックかつ厳格に実施されていたように思います。ゴーンさんの日産自動車なんかもきちんとやられていたような印象があります。

・技術は優秀
・努力も凄くやる
・しかしマネジメントはずさん(行き当たりばったり)
個人にでも言えることですが、能力はある・努力もする・がしかしマネジメントはほとんど見向きもしない。こういうことは個人だけでなく、企業にも国家にも言えることなんです。

本来優秀であったはずの大手日本企業や金融機関においても「日本企業は、技術や努力という点では優れているが、マネジメントは極めてずさん」という事実がバブル崩壊によって露呈し、証明してしまったのです。日本のスポーツも、典型的にそういう面を持っています。かつてのバレーボールも体操も水泳も技術やガンバリが有効なのはほんのわずかな期間だけであって、そのうちなんとなく、メダルが全くとれなくなって長期低迷してしまっているのです。
技術やガンバリに頼る日本企業は弱さを露呈します。そしてそれが原因で、他の国に大きく水を開けられてしまうのです。例えばISO14001「環境マネジメントシステム」に対する日本企業の経営者の姿勢を見ていると、そういう日本経営の弱さ・アキレス腱が見えてきます。
企業にとってもっとも大事なはずの、マネジメントシステムに対して拒否反応を示す日本企業とは一体何なのでしょう?

①技術に自信がある
②本来の仕事に時間やお金をさくほうが大事
③マネジメントでは儲からない
④マネジメントなんか煩わしい
⑤マネジメントシステムなんか無用だ
⑥小さな企業にマネジメントシステムなんか似合わない
⑦導入したどこの会社での評判も良くない
⑧いかに素晴らしくてもマネジメントシステムをきちんと運用する人材がいない
 (創業者や経営者が有能であっても、番頭に優れた人がいない)
⑨素晴らしいものであるほど、効果が出るまで長い期間がかかるが待てない
⑩マネジメントシステムを独自に磨きあげるような経営者は少ない
⑪マネジメントシステムというのは人のセンスや資質に依存する
⑫日本人は、最も大事なはずのことを後回しにする傾向がある

マネジメントシステムの大切さは理解できるが、経営者は忙しい・時間も金も人材も乏しいとなると、楽をしたい誘惑から逃れられないのです。特に日本企業の経営者は、そういう面が強い。どうしても技術や頑張りに頼って、それだけが、あたかも優れた日本的な経営手法と勘違いしてしまう。現実に日本企業でも世界的なマネジメントシステムをきちんと運用している会社もあるのです。ゴーン氏率いる日産なんかもその例でしょう。そしてそういうきちんとしたマネジメントをやっている会社の業績は高く安定しているのです。一方マネジメントが欠落しているのが日本の政治家であり日本の役人であり、これらは世界一ワーストです。有能な国民のいる日本に生まれたのに、政治家や役人のマネジメントが稚拙なために貧乏籤をひく運命なんでしょうね。
国も企業も個人にとっても、きちんとしたマネジメントシステムは大事なはずなのですが、人生においても、きちんとした生き方:そういうことに気づくのは皮肉にも晩年のことなんです。でもその歳には、もうマネジメントシステムなんか不要になっているんです。
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61.地球環境はあと何年大丈夫なのか?2050年までに地球は崩壊するだろうという人も多い

2006-11-19 21:54:28 | 環境
各国が集まって、さんざ「あーでもない・こーでもない」地球温暖化の削減目標を検討したはずなのに、一向に削減目標の完全達成はできなっかたどころか、むしろ悪化しているのです。そして目標設定に加わらなかった国の温暖化ガスは当然のように増え続けているのです。日本でも目標は設定したものの、その監視測定や監査やフォローはほとんどできていません。罰則がないのですから、目標は掲げてもあとは、お天気次第みたいな感じなんです。まあ実は「本気でやる気なんかない」といったところなんです。
駐車禁止のように、なかなか守られなければ、「駐車しただけで即座に違反とする」と同様な厳しい罰則みたいなものを決めるべきなんですが、これが案外かなり難しいことなんです。ということは「どんな環境負荷削減策も、所詮、絵に描いた餅」でしかないのです。世界中が一斉に自由主義・物質主義を捨てる覚悟をし、環境主義に切り替えでもしない限り、まず不可能でしょう。
「世の辞書に不可能という文字がある、それは環境負荷の削減についてである」村上和隆
みたいな感じでしょうか?
まあ核の廃絶すらできない世界がそんなことできるわけがないのです。「末期癌の患者にタバコ止めろ・酒も止めろ」と言えば大抵の患者は即座に止めるでしょうが、中には「どっちみち駄目ならば、むしろ思い切り”タバコを吸い・酒もあびるほどの飲みたい”なんて人も多いのだろうと思います。癌の場合と違うことは、その害が、自分本人より、子孫に大きく及ぶことなんです。

私のホームペイジにいろいろ具体的なことが掲載されている頁がありますのでご覧下さい。
参考「環境保全の重大性と現況」
http://www.meico.org/kankyoudoukou.pdfある人がこっそり言っていました、一つだけ解決策がある、でも良心のある人間としては口が裂けても言えない。というのです。それは、大戦争や大災害や大飢饉や感染性の病気による大量死だそうです。今残された解決策はそれだけだというのです。人間はそろそろ末期癌の患者のようにそういうことを覚悟しないといけないのだそうです。しかしそんな事態というのは、死ぬ人だけでなく運良く生き残った人々にとっても相当悲惨かつ過酷な地獄絵になることは間違いありません。
人にも生老病死があるすれば地球や人類にも生老病死があり得るのです。

さて、環境問題にどう取り組むべきか?少なくともこんな中途半端なやり方では2050年又は甘く見ても2100年地球崩壊は避けることはできないでしょう。
①世界の大学や研究機関のあらゆる研究を環境に関するものに限定する
②環境負荷を増やす企業には世界中で、大幅な環境税を課す
③世界中で環境主義を鮮明に打ち出す
④先進国は即刻経済活動を半減する
⑤必要な環境対策の世界基金を創設する
⑥世界基金に先進国は国家予算の20%を拠出する
⑦軍備は国連軍として統合し各国の軍備は80%削減する
⑧世界中の紛争は一斉に無期限で中止する
⑨もし紛争を1年以内に中止しない場合は大きな制裁を課す
⑩世界基準を設定し、10~100%の環境税をかける
⑪環境負荷を削減した場合は環境税に配慮する
⑫一般市民は「もったいない」「有難い」の精神で節約に努める、贅沢品はランクに応じて消費税を課す

その他沢山あるでしょうが、この際末期の地球を救済するための案を早急に国連などで検討し早い時期にコンセンサスをとらないと文字通り余命何年を宣告する事態になることでしょう。それほど地球環境の状況は、日々急速に深刻なものになっています。
地球環境問題等こういうことに関して日本は先鞭をつけても結果的にそのうち、いつの間に他国に大きくイニシアチブをとられてしまうことが多いのです。例えばスポーツの場合でも、バレーボールや相撲や柔道や水泳や体操やマラソンでも、かつての栄光はなく、現在後塵を拝しているのです。環境問題もこれまで日本はかなりリードしてきたはずですが、どうも環境問題でもそういうことに甘んじてしまい。環境先進国を更に強力に推し進めようという信念や気運がありません。
ところがマスコミの論調は、「日本は環境先進国である」といったものです。
そんな自惚れは、きれいさっぱり即刻拭い捨て、世界を更に大きくリードするような鮮明な地球環境保全方針や理念を国家百年の大計として掲げるべき時なんですが、最近どうも欧州などに遅れをとっていくような気がしています。かつての家電製品のようにスペックは日本が決めるというような勢いが必要なんですがね。残念です。
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60.方針・手順・基準・目標とは

2006-11-16 02:02:13 | ISO
日本では、何故なんでしょうか?”マニュアル化は嫌いだ”とか”マニュアル的な仕事は融通が効かない”などと往々にしてマニュアル化やルール化を批判する人が多いのです。
ところがISO14001では、その逆にそういうことができていないとアウトなんです。そのせいか、日本企業の多くは"ISO14001は役立たない””ISO14001は面倒だ””日本企業にとってはお荷物だ”などと言われるのです。
しかし、私がかつて勤めていた超高収益な京都の半導体部品会社では、どちらかというとISO14001的な管理が当たり前にやられており、効果をあげていました。
またトヨタでも基準化と言うことが大事にされているようです。基準を設定し、その基準をクリヤーし更に高い基準(ハードル)を設定して、あくなき挑戦を続けて行くということを聞いています。
ところで皆様はマニュアル化とか基準化とか方針とか目的目標とかルール化を、それぞれ別のものと認識しておられませんか?確かに文字どおりに考えると皆違うものようですが、根本においては、同じことなんです。簡単に言えば、”物事の良し悪しを評価するための物指し”なんです。ものさし的なものがなく経営や管理や仕事をしていると、自分達の経営や管理や仕事が甘くなり、良いのか悪いのか判断できなくなるのです。
現実に、我々は、いつでも・どこでも、何かあると「これは駄目だ」「あれは駄目だ」と言うのですが、「これは駄目だ」「あれは駄目だ」と言えるのは、何故でしょうか?多分なにがしかの物指しを持っているからなんです。
そうなんです人間は多くのルールや基準を持っているのです。そんな人間がやれマニュアル化がいかんの、やれルール化はいかんのと言われるのです。朝何時に起きて洗面をし洗面はどうやるか食事は、服装は、電車の乗り方は、・・・・みなルールや基準に基づいて行動しておられるのです。ISO14001ではこれを文書化し、厳密に運用管理をしろ、監査しろ、問題があれば是正しろ、場合によっては予防処置もしろ、結果を検証しろ、ということを要求している点が違うことなんです。
そうなると不平派の貴方の管理のやり方とISO14001のマネジメントのどちらが優れているかは一目瞭然ですね。貴方や貴方の会社では、ルールや基準や目標を文書化していない、即ちものさしがきちんとできてないので、社員のやる気も是正も結果の検証もいい加減なんです。
さあこの辺で、「参りました}とならないといけないのですが、不平派の貴方はまだ抵抗されるはずですね。要するに貴方は厄介なことやきちんとしたことが嫌いなだけなんでしょ苦手なんでしょ。また基準やルールも厳しいものでなく、甘い・ずさんなものなんでしょ。
トヨタ方式というか徹底した無駄とりという本をお読み下さい。基準(ものさし)を定めるべきだ、そういうことがきちんと説明されていますし、そういう厳しい経営や管理や改善が企業を安定的に発展させることがおわかりのはずです。
ところでISO14001を認証取得した企業の多くは、「ISO14001は無駄で役立たない」と批判をされるのですが、これには5つの原因がかんがえられますが、どれも的はずれ・逃げ口上なんです。
①ISOコンサルタントが不適切な指導をした
②審査のやり方が不適切でISO嫌いを育ててしまう
③認証取得自身が目的になっている
④忙しさやずさんな仕事ぶりが根付いており、厳しい企業姿勢がない
⑤ISOのマネジメントシステムをきちんと使いこなす意欲や努力の姿勢がないまあ簡単に言えば、自分達の問題をISO14001のせいにし、責任転嫁しているのです。
人間は文書化されていない多くのルール・基準・方針・目的目標を持って日々行動しています。ところがそういうことが認識されていないために、まずは基準やルールを守ることさえできてなく、ましてや問題意識も持てず、改善の意欲もなく、ずさんな経営・ずさんな仕事・ずさんな人生をおくっている過ぎないのです。
最後に申し上げておきますが、マニュアル化やルール化・基準化や方針・目的目標設定などに弊害があるとすれば、それらの内容が日進月歩で見直しされ、是正されていないこと及び杓子定規で状況が変わっても臨機応変に運用されていないことでしょう。
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59.シリーズ.ISO14001取得企業の悩みその10(10回シリーズ)

2006-11-09 22:48:18 | ISO
「会社」:環境問題は、末期的で最悪の状況になりつつありますが、最後に環境マネジメントシステムに取組む姿勢みたいなものをお教え下さいますか?
「村上」:すでに私をはじめISOコンサルタント達の持論は次のようなものになるでしょうか。
 ① マニュアルは30頁以内とする
 ② 無用な下位の規定は作らない
 ③ 手順書は点検表含め3~4頁
 ④ 自前で作り他人の真似しない
⑤ 社員がわかる簡単な文書作り
 ⑥ 皆が参加して環境負荷の削減
⑦ ケチルでなく徹底した無駄取り
 ⑧ 日常点検・監査は真剣にやる
⑨ 毎月必ず環境委員会を実施
 ⑩ 事務局は広く、浅く勉強する
⑪ 外部審査は、本音でぶつかる
 ⑫ 経営者や管理責任者の関与
そして、優れた経営コンサルタントを利用する。120~150万円以内文書や記録作成までやってくれる知識・経験豊かな人がいいですね。
「会社」:なるほどそういうことがまず基本なんですね。今言われたことから外れる場合は、うまくいかないということですか?
「村上」:そうですね断言してもよろしいと思いますよ。大半のISOコンサルタントは、どこかに問題があることが多いですね。
「会社」:ということはまず相当しっかりしたコンサルタントを選ぶように厳密にチェックしないといけないのですね。
「村上」:そのとおりです。会社さんサイドとし守ることを更に追加して申し上げます。
 ① 最初の3年間は、あせらないで、普及啓蒙や人材育成を図り、基本的な勉強や体験を積み上げ、定着を図る
 ② 最初の3年間は、基本的な環境改善や法令の順守を確立する
 ③ 4年目からが本格的な活動と考える
 ④ 4年目には毎年の環境報告書をWEBに掲載できるようにする
⑤ そのために初年度から改善成果=パフォーマンスデーターを記録しまとめておく
 ⑥ 環境問題は今後情報開示とパフォーマンス重視や環境税の導入などへ大きく舵をとると意識しておく
⑦ 環境改善の課題をしっかり選定し環境配慮に優れた会社と言われるように懸命な努力をする
 ⑧ 環境管理委員会や課題毎の分科会などを作りきめ細かく改善に取り組んでいく
⑨ 環境改善テーマには会社のあらゆる問題のうち環境にプラスの効果を出すものは何でも取組む
 ⑩ 環境の専門家を招聘し環境改善などの指導を受ける
⑪ また環境改善について技術的選択肢を幅広く調査し積極的に取組む
 ⑫ 経営層に定期報告と改善提案を行い、経営層を巻き込んで環境保全を盛り上げていく
 ⑬ 環境に配慮され、会社を訪問した人々が一目みて環境優良会社であることを目指す
 ⑭ 特に1.地球温暖化2.廃棄ゴミの大幅な削減3.山林や川湖海等の自然環境保護等を目的にし現在の半減以下を目的にする
 ⑮ 日本企業で弱いとされる1.資源の有効活用及び2、緊急事態への予防・緩和・処置については強化する
「会社」:なるほど山ほどありますね。
「村上」:新興国家がどんどん先進国の仲間入りをしてきます。ですから環境負荷は、むしろ今後更に本格的に増えていきます。ということは先進国は、経済を減速又は相当な技術改善を行い環境負荷を少なくとも1/2~1/3にしていかないといけないのです。
「会社」:そうですか。環境負荷は益々増えるんですか。今でも年々海の魚貝が減るクラゲ等有害生物が蔓延る・山の動物が都会に降りてきて悪さする・巨大洪水や大雪に見舞われるなんてことはどんどん悪化していくというのですか?
「村上」:そうですね。心ある人や企業や政治家は真剣に環境問題に取り組み具体的かつ大幅な効果を出すべき時期にきているのです。ですから、あれこれ言いましたが、またISO14001の細かい要求がどうの、審査認証がどうのと言ってる段階じゃないんですよ。真面目に環境マネジメントシステムに取組むことが急務なんですよ。まあ言ってみれば、「ノアの箱舟」状態なんですよ。

最後にISO14001は環境改善・環境パフォーマンスを上げることが目的ですから次のようなことを常にチェックすることをお勧めします。

①環境負荷削減の方針はいいのか?
②環境負荷削減の目的・目標はこれでよいのか?
③環境改善テーマが少な過ぎないか?
④環境改善テーマが抽象的でないか?
⑤環境改善に対する情熱が不足していないか?
⑥環境改善が隅々までできているか?
⑦通常の環境配慮ができている会社でやっていることができているか?
⑧環境改善テーマが大き過ぎないか?
⑨格好ばかり良いテーマを並べていないか?
⑩大きなテーマしかあげていないことはないか?
⑪社長や取締役が率先して環境改善の努力をしているか?
⑫新しい環境技術を取り入れているか(屋上緑化・窓の断熱・浸透性路盤・断熱カーテン・事務所の田舎への移転・工場周囲の全面緑化・省エネ製品・使い捨て排除・自動消灯・クールビズ・低公害車・・・)
⑬すぐにできることを目標に上げることを避けていないか?
⑭他社がやっている環境改善でその会社でできることは紹介してあげて下さい
⑮業務改善・能率改善・品質改善も環境改善として取り組んでいるか?
⑯社内の従業員に環境改善提案をどんどんさせ表彰しているか?
⑰環境改善成果の一覧表があるか?
⑱環境改善成果の一覧表がWEBにあげて公開しているか?
⑲EMSは環境負荷削減が目標であるので、もし改善成果があがってなければそれ自体が重大な不適合なんですよ
⑳環境負荷削減に成果をあげている会社は細かい指摘は無用

長いことお付き合い戴きありがとうございました。これで10回シリーズを終わります。また何か質問がございましたら度し度お寄せ下さい。11回以降も追加可能です。よろしくお願い申し上げます

(シリーズ終了です)
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58.シリーズ.ISO14001取得企業の悩みその9(10回シリーズ)

2006-11-06 20:25:12 | ISO
「会社」:ISO14001は、一口で言うと「環境管理と環境改善」のしくみですが、その中でも改善は環境ISOの重要な目的です。ところが日本では環境改善は、俗に言う「紙・ゴミ・電気」の改善が主体で、改善がある程度進むとタネがなくなりましたと言うのが現実ですが?
「村上」:そうですね。小さな企業では、今の日本的な視野の狭い、危機感のない考え方の場合には、環境改善には限界がありますね。業界ぐるみの取り組みや相当思い切った会社トップの決断や方針提示でもあれば別ですが、一般的に中小企業の経営者は、ISO14001を認証取得した場合でも、環境問題には及び腰ですね。企業のISO14001における改善活動には、次のような基本的な問題を内在しているのです。

①一企業内だけの改善では効果は限定的である。(世界的又は先進国だけでも強い規制や方向性が出ないといけない)
②利益を減らしてまでも環境改善に経費をかけたくないと言う考え方がある
③環境に良い製品やサービスが売れる商品とはなり難い
④便利さ豊かさに慣れてしまったため、不便や不快を耐え忍んでまでも、すすんで環境負荷を削減しようとはしない
⑤世間一般のそこそこのレベルの改善までしかやろうとしない
⑥環境改善することで直接的なメリット(例:税制優遇や売上げアップなど)を享受できない
⑦ISO14001の審査では、環境改善のパフォーマンスそのものについて不適合は出せない
⑧政府や環境省が環境改善の強力な方向性や目標を提示していない
⑨ISO14001はマネジメント重視であり、審査で環境パフォーマンスの改善にあまり踏み込まない
⑩環境問題が最悪の状況にあることの厳しい認識がない
⑪ISO14001かを取得してさえいれば、改善はそこそこでも、顧客企業から文句を言われない
⑫環境への対応が浅く狭く、社内の直接影響の改善が主体であり、取引先や出荷後の製品~廃棄に関する間接的な影響の改善に踏み込まない
「会社」:まあ難しいですね。環境改善をどんどんやらないといけないのはわかっているんです。審査員も「不良を減らせ・環境対応製品を開発せよ・業務の効率化をせよ・・・」と言いますが、淘汰の進んだ日本では、極端に不良の多い会社や効率の低い会社なんてそんなにないですし、品質問題は、環境マネジメントシステムに関係なく懸命にやっているのです。何も、改めてISO14001で取り組む必要はないのでしょうね。
「村上」:まあ環境問題は今すでに相当深刻な事態に突入しています。21世紀は地球が崩壊する世紀とか人類種の絶滅の世紀と言われています。2100年はおろか2050年迄持ちこたえられるだろうか?万一もったとしてもかなり悲惨な状況になっているだろうと言われています。というのは環境改善より環境悪化の速度のほうが速いし、ある限界を超えると、あたかも癌のように悪化が急加速されるからです。不謹慎ではありますが、相当大きな災害や戦争や病気で大量の人類が死に絶えるなんてことがない限り悪化は続くという恐ろしい予想をしている人も多いのです。今後も状況は改善されるどころかむしろ悪化していくことが予想され、悪化を少しだけでも遅らすので精一杯なんです。いまでも深刻な事態で今後も悪化するのはわかっているのですが、無力なんです。日本の国家や地方財政の膨大な借金問題より数倍深刻なんです。
①地球温暖化やそれにより環境悪化の進展を抑えられない
②後進国家がどんどん先進国家の仲間入りをしてくる
③環境の悪化により自然災害や資源の減少や環境悪化が加速度的に表面化している
④国の財政が悪化し環境対策に回すお金がない
⑤環境問題が複雑多岐にわたっており対策は狭く・浅くしかできない
⑥環境の悪化に対して人々の認識が極めて甘い
⑦環境は他人事のようになっていて、「俺はやる」というような人が少ない
⑧環境悪化する大多数の人が存在する
⑨石油や資源が高騰するとますます環境に悪い燃料を使用せざるを得ない
⑩環境悪化が不可逆で元に戻すことは数倍の努力と費用がかかる
⑪膨大な借金のように環境問題も末期的な段階になっている
⑫人口が減るどころか高齢化や多産化や医療技術の発達によって世界人口が急増している
※後進国が先進国の仲間入りをするということはその分先進国はここ10年くらいに環境負荷を半減以下にしておかないといけないのだそうです。
「会社」:そうですね。従来に増して、もっと頑張って環境改善をしないといけないのですが、いろいろと壁があって思うように成果が出ませんね。それが事務局の悩みにもなるのです.ISO14001を取得しても改善テーマに苦労するのです。
「村上」:とっかかりの改善目標は、まず身近な課題で、できるレベルでいいのですよ。また目標は長期のものだけでなく1年でできる短期のものでもいいのですよ。例えば次のようなことは基本的に実施することが必要です。まず以下のことぐらいはすぐにやって下さい
1 廃棄物分別
 分別表示
 分別
 ごみ丸めない
 ゴミ圧縮
2 廃棄物再使用
 ダンボール
 用紙の裏利用
 緩衝材として利用
 処理水の再利用
3 廃棄物再生
 新聞雑誌
 コピー用紙
 トナー容器
 飲料容器(びん・缶・ペットボトル)
 パソコン・家電
 乾電池
4 廃棄物売却
 金属屑
 什器・備品
 廃棄物の資源化研究
5 廃棄物返却
 通い箱化
 梱包引取り要請
6 照明
 蛍光灯間引き
 トイレや玄関、廊下の自動消灯
 LED照明等切替え
 使用しない会議室や倉庫の消灯
 残業時の照明カット
 休み時間の消灯
 天井間接から直接照明へ
 照明スィッチの細分化
7 パソコン
 節約モード設定
 液晶への切り替え
 つけっ放し追放
8 空調
 適正温度設定
 扇風機併用
 厚着・薄着
 省エネ型への切り替え
 太陽光発電
9 断熱
 窓の断熱カーテン
 出入り口の二重化
 空気層入り二重ガラス化
 壁面断熱
 外断熱
10 緑化
 会社周辺の芝生
 屋上ベランダの芝生化
 地域緑化支援
 緑地開放
 森林保護再生支援
11 コピー用紙
 ペーパーレス
 イントラネット化
 両面コピー
 保存は電子文書
 無駄資料作成廃止
 ミスコピー削減
12 削減
 会議やセミナー等でプロジェクター利用
 自動販売機
 残飯ゼロ活動
 新聞雑誌の購入削減
 FAX廃止
 新聞のインターネット化
13 グリーン購買
 事務消耗品
 生活消耗品
 什器・備品
 事務機械
14 制度
 サマータイム
 服装自由化又は緩和
 会議時間短縮
 残業の削減
 改善提案制度
 組織のフラット化
15 効率化
 レイアウト改善
 事務所や工場の面積削減
 事務所と保管場所分離
 包装材の簡素化
 機械化・自動化
 材料ドリ向上
 部材のカセット化機械装着
16 品質
 不良削減
 クレーム撲滅
 製品設計改善
17 パンフレット・カタログ
 電子配信
 DVD化
 WEB上に掲載
18 その他
 エンジンストップ
 低公害車への切り替え
 構内土回復
 夏の散水
 公共交通機関利用
 出張の直行直帰
 5S(整理整頓・・・)
19 防火
 消火器設置・点検
 タバコの吸い殻処理
 緊急時連絡網
 帰宅時配電盤OFF
 帰宅時点検記録
 ガスの電気への切り替え
20 石油など液体薬品
 受け皿
 防油堤
 一斗缶3段積み禁止
 土嚢設置
 毒劇物の施錠保管
 吸着マット
21 環境対応商品
 小型化・軽量化・省資源化
 省エネ化
 有害物質削減・切り替え
 修理・補修対応
 廃棄時回収
 環境改善商品開発
22 情報開示
 環境報告書をWEBに掲載
 環境月報
 環境情報の提供
 地域清掃
 環境団体への資金援助
 環境イベント協賛
「会社」:わかりました。末期症状だからあきらめるのでなく、身近な小さなことからコツコツと改善をしていきます。
「村上」:目的目標は、3年5年など長期のものだけでなく、短期で1年で完了する課題を沢山やっていくこともお勧めします
(来週、次回に続く)

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