村上原基、滋賀県安曇川の山中20年⇒麓の町の田中に一人暮らし人生

山中で20年一人暮し後71歳から麓の田舎町で暮している、断捨離し自然な生き様と山暮らし体験に基づく人生論及び写真を紹介

62.素晴らしいはずのISO「マネジメントシステム」はなぜ日本企業に根付かないのか?

2006-11-26 19:29:38 | ISO
目下日本では、ISO14001やISO9001の導入が盛んですが、ISO14001や9001を導入する場合、多くの日本の企業は、会社自らが率先してISOを導入したくて導入しているわけではないのです。要因はいろいろありますが、おそらく80~90%の会社が嫌々導入しているのが実態です。日本企業や日本人というのは、多くの場合、世間を気にする世間に合わす癖というか習慣が根底に根強くあるのです。
こういう習慣や癖は日本特有のものですが、このおかげでISO14001の認証取得が非常に多くなっているのも事実ですから、あながちこの日本人の癖は悪いと決め付けられないのかもしれません。
しかし自主性・主体性・独自性・・・というような観点からすると、”他社がやるから当社もやる”という横並び感覚は、企業経営者として極めて幼稚であり、まずいことであるはずです。非常に大事なはずの自社の経営を、他の会社の物真似で行うというのは、あまり褒められることではないはずです、経営が運良くうまくいっている場合は、良いのですが、かつてのバブルの崩壊のように護送船団方式によって多くの日本会社が脆くも崩壊してしまう恐れがあるのです。
自主性・主体性・独自性というのは、ある意味危険なことですし「皆がやっているから俺もやろう」という後追いや物真似のやり方というものは、ある意味楽で安全なやり方ではありますが、こういう安易で主体性のない経営姿勢は大きな問題を持っています。
子供がいつまでたっても親を頼る・従業員がいつまでたっても上司の指示を待っているというのと同様な始末におえないことなんです。
ISO14001の認証取得を必要と感じてないのに、しかたなくやる多くの企業は、せっかく優れた環境マネジメントシステムを活かすことができず、手間とお金がかかるという不満ばかりが表に出てしまうのです。
主体性が欠けていますから、結果的に宝の持ち腐れ・馬の耳に念仏なんです。
「必要がないのにやっている」ということが日本の企業や日本人には多いのですが、本当に必要ないのでしたら、止める勇気を持つことが経営者にとって最低限必要なことだと思います。
必要がないから環境マネジメントシステムの意義を正しく認識せずに、効果的な使いかたがわからないまま、適切な利用(運用)ができていないのです。通販で健康器具を買ったのに、ろくに使わず健康にならない人と同じことです。健康器具をうまく使って健康を得る人は沢山いますが一方でせっかくの素晴らしい道具を利用しようとしない、利用しない人には健康増進するわけがありません。環境マネジメントシステムも健康器具のようにその使い方さえ正しく知り・知ろうとすれば、随分役立つものなのです。
しかし環境マネジメントシステムの本質を活かそうなんてしていないわけですから、役立つどころか、かえっていろいろな弊害さえ出現するのです。そういう経営者は従業員の信頼を失っているのですが、失っていることに気づかないか、失なっても平気な経営者が沢山いるのです。日本の会社の経営者を責めることができないのは、日本の企業の98~99%がそういう経営者だからです。
せっかくコンパクトでシンプルな素晴らしいマネジメントシステムであるISO14001を導入するチャンスに巡り合っているというのに、これが偽らざる日本企業の現実なんです。ISO14001でやってはならないことは、面倒なだけだという間違った認識を植えつけることです。日本のマネジメントは世界水準かと勘違いしている方が多いのですが、実を言うと、日本企業のマネジメントシステムはかなりずさんです。若い時に勤めていた松下電器でも当時マネジメントができているようで、実を言うと実態は形式的で中身の薄いものであったような記憶があります。それに比較してその後勤めた京都の優良企業のロームではISO14001なみのマネジメントがダイナミックかつ厳格に実施されていたように思います。ゴーンさんの日産自動車なんかもきちんとやられていたような印象があります。

・技術は優秀
・努力も凄くやる
・しかしマネジメントはずさん(行き当たりばったり)
個人にでも言えることですが、能力はある・努力もする・がしかしマネジメントはほとんど見向きもしない。こういうことは個人だけでなく、企業にも国家にも言えることなんです。

本来優秀であったはずの大手日本企業や金融機関においても「日本企業は、技術や努力という点では優れているが、マネジメントは極めてずさん」という事実がバブル崩壊によって露呈し、証明してしまったのです。日本のスポーツも、典型的にそういう面を持っています。かつてのバレーボールも体操も水泳も技術やガンバリが有効なのはほんのわずかな期間だけであって、そのうちなんとなく、メダルが全くとれなくなって長期低迷してしまっているのです。
技術やガンバリに頼る日本企業は弱さを露呈します。そしてそれが原因で、他の国に大きく水を開けられてしまうのです。例えばISO14001「環境マネジメントシステム」に対する日本企業の経営者の姿勢を見ていると、そういう日本経営の弱さ・アキレス腱が見えてきます。
企業にとってもっとも大事なはずの、マネジメントシステムに対して拒否反応を示す日本企業とは一体何なのでしょう?

①技術に自信がある
②本来の仕事に時間やお金をさくほうが大事
③マネジメントでは儲からない
④マネジメントなんか煩わしい
⑤マネジメントシステムなんか無用だ
⑥小さな企業にマネジメントシステムなんか似合わない
⑦導入したどこの会社での評判も良くない
⑧いかに素晴らしくてもマネジメントシステムをきちんと運用する人材がいない
 (創業者や経営者が有能であっても、番頭に優れた人がいない)
⑨素晴らしいものであるほど、効果が出るまで長い期間がかかるが待てない
⑩マネジメントシステムを独自に磨きあげるような経営者は少ない
⑪マネジメントシステムというのは人のセンスや資質に依存する
⑫日本人は、最も大事なはずのことを後回しにする傾向がある

マネジメントシステムの大切さは理解できるが、経営者は忙しい・時間も金も人材も乏しいとなると、楽をしたい誘惑から逃れられないのです。特に日本企業の経営者は、そういう面が強い。どうしても技術や頑張りに頼って、それだけが、あたかも優れた日本的な経営手法と勘違いしてしまう。現実に日本企業でも世界的なマネジメントシステムをきちんと運用している会社もあるのです。ゴーン氏率いる日産なんかもその例でしょう。そしてそういうきちんとしたマネジメントをやっている会社の業績は高く安定しているのです。一方マネジメントが欠落しているのが日本の政治家であり日本の役人であり、これらは世界一ワーストです。有能な国民のいる日本に生まれたのに、政治家や役人のマネジメントが稚拙なために貧乏籤をひく運命なんでしょうね。
国も企業も個人にとっても、きちんとしたマネジメントシステムは大事なはずなのですが、人生においても、きちんとした生き方:そういうことに気づくのは皮肉にも晩年のことなんです。でもその歳には、もうマネジメントシステムなんか不要になっているんです。
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