絶望と希望

君はこの道ではやっていけない

そんなふうに言われて

絶望に打ちひしがれているときは

やがて希望に変わるのを待てばいい


絶望と希望

この二つは同じもの

そう言われても

ピンとこないかい？


絶望から生まれてくるのが希望

そして希望が変化したものが絶望

いうなれば２色のドーナツのように

つながっている

どこから食べ始めてもいいけど

どちらか片方だけ

味わうことはできない

凧

子供のころ

ゲイラカイトという

すごくよく飛ぶ凧を買ってもらい

ひとりで遊んでいたことがある

冬の空の中

それはぐんぐんあがっていき

糸がどんどん繰り出され

ついには振り切れてしまった

空高く浮かぶ凧は

点のように見えた


それから成長して

学生になり

社会人になり

いろいろ経験したけれど

あれほどの高揚感は

ついに味わうことはなかった

究極の高みにのぼりつめる

あの凧のような

信じる

なにごとも疑ってかかるのが

ものごとの発展には

必要だというけれど

ときに疑うことが不可能

信じるしかないこともある


たとえば時間

時間が流れていることを

どうやって疑うか

時計なら疑うことができるが

時計は電池やゼンマイで動いている

時間の力で動いているのではない


たとえば命

ぼくが生きていることを

どうやって疑うか

死なら疑うことができるが

それも今生きていればこそ

ぼくが生きていることは

信じるしかない

銃

少年はかつての母校で凶行に及んだ

その日はバレンタインデー

楽しいはずの学校は血の海に


大統領は言う

「教師に銃を持たせるのだ」

ある実業家は言う

「銃規制などしても手遅れだ」

ある女性は言う

「私は非力だから銃がないと殺される」


なぜ銃が欲しいのか

なぜ銃を撃ちたいのか

わからないけれど手放せない

そんな人々にさらにたくさん銃を売りつける


「問題は銃そのものではなく銃弾だ」

と誰かが言う

「１発１００００ドルにすればおいそれとは撃てないだろう」

たしかに名案かもしれないが

どこか違和感がある


それはセルフ・ディフェンスなのか？

それとも負の連鎖？

お国柄の違いだと言ってしまえば

それまでだけど

ひとつ言えることがある

そこに銃があるかぎり

だれかが撃ち

だれかが撃たれる

夜

人間には夜行性の遺伝子が

組み込まれているのかもしれない

夜はついつい

必要以上に元気になってしまうものだ


通販でよけいな物を買ってしまって

朝になって後悔したことはないかい


すばらしい文章を書いたのに

朝になって読み返してがっかりしたことはないかい


思いがけず夜更かししてしまい

夜明けを迎え

ショーの終わりを告げるように

消えていく星々を見て

ふと寂しくなってしまったことはないかい