少し間が空きましたが、この本を読んでいました。
人間はときに、愛について語り、「永遠」という言葉を使います。
しかしこの世に「永遠」は存在しない。もちろん、永遠の愛などというものもない。
少なくとも人間にとって「永遠」とは単なる概念でしかないのですね。
そんなことを考えさせる物語でした。
「私」は、病院に入院中、ふとしたことから睦子という老女に出会います。
なんと睦子は、会うたびに美しく若返っていくのです。
「私」と睦子は、愛し合うようになり、奇妙な関係が始まります。
最初は60歳くらいに見えた睦子は、40代、30代と若返っていき、やがて少女の姿に…
いったい、彼女の身に何が起こっているのか。
わからないまま、睦子との愛に溺れていく「私」でしたが…
人間には、始まりと終わりがあります。
この物語の睦子は、普通と逆の時間軸を生きているわけですが、それでも「終わり」があります。
彼女が若返り続けて、いつかは消えてしまうのではないか、そんな不安に苛まれながら、
睦子を愛し続ける「私」。
「最後には死が勝利を収める。しかしそれは、直ちにではない」
そんな言葉が、印象に残りました。