And Li Po also died drunk

勝手に好きな音楽、映画、本を書き連ねる。

炎のランナー

2015-08-31 22:52:55 | 日記
昔突然ラザール・ベルマンというピアニストが音楽雑誌で脚光を浴びて、リストの「超絶技巧練習曲」がすごい演奏だと書かれていたからレコードを買った。たぶん自分と同じような人間は多くいたのではないかと思う。でも今冷静に考えるとピアノ好きでもリストはショパン、ベートーヴェンほど聴かれない。ましてや「超絶技巧練習曲」なんて愛聴してたなんてそう多くないだろう。その曲でどんな指が早く動こうが驚きようがない。それを代表盤だと宣伝して超絶のピアニストなるキャッチつければなるほど売れる。偽物とは言わないがギレリス、リヒテルには遠く及ばずカラヤンとの共演もあったが、そうやって売ったのだからモーツァルトやバッハなんか録音させるわけがない。レパートリーも狭くなるで忘れ去られることになったのは想像つく。他の音楽に比べればクラシックはテクニックが重要視されるところがあるが、オリンピックでないのだから、この演奏で5分切ったなんて記録はいらないのだ。そのレコードはとっくに売ってしまって見ることはできないが、ネットなどでそのジャケットを見ると懐かしい思いに駆られる。ただそれだけでCDなどが廃盤になって希少価値がついたとしても笑うしかない。誰もビートルズのように自分のやりたいことをやれば才能開くわけではない。モンキーズのように操られていたうちが華というのもある。クラシックの場合、たいていの演奏家は似た曲を演奏するので、その曲をよく知っていないとみんな同じ演奏に聞こえる。その中でハイフェッツのようによくわからない素人でもこれは違うとはっきりわかる演奏家などは100年に一人だ。あと好みで自分ならオイストラフとか。たぶんベルマンも超絶のピアニストなんて売られかたは嫌だっただろう。トランペッターが息継ぎしないで5分吹けるとかというのと同じだ。実はモーツァルトやバッハをコンサートで演奏するのが難しいという。子どもでも弾ける曲を聴かせなければならないから。