HOBNOBlog

ロンドンから徒然に

終の棲家 ~ 象物語 (多分)最終話

2010-07-11 | アート
 そうだ、知らせておかなきゃ。
 このブログでも何度か取り上げてきたElephant Paradeですが、先日とうとうオークションも終了し、皆自分達の終の棲家に引き取られて行きました。

 約260頭の合計落札価格がなんと4,148,675ポンド(約5億7千万円)。ということは1頭平均220万円くらいになったわけです。アートと考えれば、まぁ適切な価格と言えるのかもしれませんが、やっぱり普通の人にはちょっとね。
 ともかく金額で価値を判断されても困るので、敢えてそれぞれの落札価格を書くのはやめておきます。

 また思い出した時に触れるかもしれませんが、おそらくこれがElephant Parade について書くのは最後になると思うので、今まで紹介していない象を中心に今日は多めに写真を載せておきます。

 今回はシェイプとしては2通り、立ったものと座ったものが用意されましたが、素材に関してはアーティスト側で色々と工夫がされています。
 中でも人気者だったのが、下の写真の《A Penny For Your Thoughts》。イギリスの貨幣で一番下の単位がペニーpenny。但し、この名称を使うのは1ペニーのみで、それより上はその複数形のペンスpenceを用います(2ペンス、3ペンスのように。そして100ペンス=1ポンドpoundというわけですね)
 この象はその名称通り、身体中が1ペニーで覆われています。



 下の象はチェルシー・フラワー・ショーのことを書いた時にちょっとだけ紹介しましたが、その時は天然の芝だった身体が(左の写真)、最終的には人工芝に変わっていました(右の写真)。



 これなんか一瞬ミイラを連想させますね。身体中がラバーで覆われています。



 一方こちらは金属製。Ampersandというこの象も人気者でした。



 身体のあちこちに透明なプラスチックのこぶがあるこの象。皆がそこから覗いているのは訳があります。中には都市が象られ(あ、“かたどる”という漢字も“象”だ)、そこの住人がミニチュアの象なんです。



 目がガラスで出来ているのは、その名もTaxi Elephant。足下にある太陽熱発電のシステムは本当に動いているんでしょうか。夜見たことがないので、この目が光るのかどうか確認していません。



 ロンドン名物と言えばタクシーの他は2階建てバス。さすがにこれはなかったですが、象の上に象がいたり、熊がいたり(どうして?)というのは、ほらありましたよ。



 さらにロンドン名物、おまわりさん(Bobbyくん)とフィッシュ&チップスです。



 この2頭。なかなかユニークな顔をしていますが、もっと笑わせてくれる、いや失礼、和ませてくれる顔の象がまとめて並んでいたので紹介します。
 ちなみに左上の象は、このオークションのプレビューが行われたRoyal Hospitalの住人である退役軍人がモデルです。この象はオークションの対象にならず、Royal Hospitalに寄付されました。





 ここまで来たら、イギリス独特の政治ネタの辛口のものが欲しいのですが、敢えて挙げるならこれかな。
 政党のシンボル・カラーやマークをあしらった3党、いや3頭の象ですが、ご存じのように赤が労働党、青が保守党、黄色が自由民主党です。そして名前はそれぞれの党首からもらって、Mr Brown、Mr Cameron、Mr Clegg。これらの象がボクサー・パンツを穿いて、これからリングに立とうというわけです。




 考えてみたら、このElephant Paradeが始まった直後の5月にイギリスでは総選挙が行われ、その結果保守党と自民党の連合政権が発足したわけです。そしてそれが終わった7月に今度は日本の参議院選挙が行われます。(日本時間だと“今日”ですね)
 将来このElephant Paradeの思い出と共にイギリスと日本の状況を振り返る時、これらの選挙が持つ意味合いがどうなっているでしょうね。