HOBNOBlog

ロンドンから徒然に

黒と白

2010-07-03 | 日常
 “familiar spirit”という言葉があります。日本語だと「使い魔」と訳されているようですが、魔法使いや魔女に仕えている精霊や動物のことを言うそうです。
 で、一番代表的なのが黒猫。可愛そうにそう決めつけられた黒猫はかつて魔女狩りの時に被害にあったと言われています。

 そういうわけで欧米ではけっこう不吉の象徴とされる黒猫ですが、日本では逆に魔除けとして重宝がられ、商売繁盛や恋煩いにも効くと言われてきたのですから、分からないものです。



 “黒”だけではなく、“白”の解釈も異なっていて、昨日のブログのコメントでも少し触れましたが、ビルマで白い象が見つかり、早速軍事政権はこれを捕らえて飼っているみたいです。
 というのが、国が栄える象徴とされるからですが、一方では政権が代わる暗示だとも解釈されているのですから、これまた面白い。

 ところで動物が白くなるのは、いわゆるアルビノと言われる、先天的にメラニンが欠乏する遺伝子系の疾患なんですが、その発生する確率は相当に低いもののはずですから、滅多に見ることはできません。

 そのことでいつも僕が思い出すのは、かつてバルセロナ動物園にいた白いゴリラ“コピート・デ・ニエベCopito de Nieve”です。
 スペイン語で「雪の小片」を意味するこのゴリラは、2003年に皮膚癌で亡くなるまでバルセロナ動物園の一番の人気者でした。表情にもすごく味があって、ずっと見ていても飽きませんでした。

 実はこのコピート、日本にも縁があります。
 1995年から上野動物園にいたビンドンが実はコピートの子供なんです。ビンドンは確か2001年頃に福岡市動物園に移ったのですが、今でも元気に暮らしていると思います。

 そのうち子孫に白いゴリラが生まれてきたら、今の日本では何を暗示する象徴と取られるでしょうね。明るい未来だといいですが。